地球 ウェストバージニア チャールストン
例のニューヤークでのテロ事件からしばらくして俺は少しばかりの休暇を貰い故郷に戻ってきていた。
休暇自体は簡単に取得できた。そうだろうな、例のテロでの活躍もあるだろうが政府閣僚の葬儀に出席するという理由なら休暇が下りないはずがない。
こんな形で故郷に戻って来たくはなかった。父と母に久しぶりに顔を見せた時なんだかずいぶん厳しい顔つきになったと言われた。こんな事があった直後だからというのもあるだろう。なんというか故郷であるチャールストン全体が悲しみに包まれているように感じた。いや悲しみに包まれているのは街ではなく俺自身だ。
地元の知り合いにも何人か会った。昔俺とサラの仲を茶化していた同級生が俺のことを心配して話しかけてきたりもした。なんだかそいつがものすごく大人に見えて逆に自分がものすごい子供に思えてきた。
ウィリアムズ家とは親の世代からの付き合いで必然的に俺とサラも物心ついたときから一緒にいることが多かった。
サラが俺のことをどう思っていたかまでは正直わからない。幼馴染以上の感情は抱いてくれていなかったかもしれない。それこそさらに幼い頃にした大きくなったら結婚しようなんてよくある約束を真に受けるほど俺は子供でもない。でも君のことを忘れられるほど大人にもなれていない。
実のところ最初俺がマハに入りたいと言ったとき父と母、そしてトーマスさんはあまりいい顔をしなかった。トーマスさんは俺に言ってたっけ・・・サラのことは君のせいじゃない、だから君にはそのことで危険な目にあってほしくないと。母も自分の兄弟がザンスカール戦争で亡くなっていることから反対していたし父もその母に同意していた。だが俺は自分の意思を貫き通した。これは俺の意地だ。このことだけはどうしても譲れなかった。
やがてしばらくしてトーマスさんも父も母も反対はしなくなった。
すでに葬儀は済んでいる。俺は今トーマスさんの墓標の前に立っていた。
トーマスさん、俺宇宙に行くことにしたよ。局長から推薦を貰えて、マハの宇宙進出の先遣隊になる。スペース・マハ誕生まではまだ時間はかかると思うけど・・・
俺はやるよ。トーマスさんとサラの仇はこの命に代えても成し遂げる。だから安心して眠っていてほしい。
俺は無意識に拳を握りしめていた。ああそうさ、奴等テロリストどもをどこまでも追い詰める。たとえ宇宙の掃きだめに隠れていようが必ず、この俺が仇を討つ。
俺にはそれくらいしかできない。