宇宙 フロンティアⅣ ラー・カイラム級 アドミラル・スターン
「MS隊からミノフスキー通信入ります。・・・コロニー内部でバグと呼ばれる無人兵器を確認、MS隊に被害が出ている模様です。」
なるほど、今回の作戦、どうやら軍の面子以外にも何かあるようだとは思っていたがそういうことか。もし面子を保つためだけの作戦ならこんな物騒な物は持ち込まないはずだ。ということは以前から上層部はフロンティアⅣがバグを所持していることを掴んでいたというのか、あるいは・・・いやそんなことを考えても仕方がない。
「MS隊へ撤退命令を出せ。艦の直掩機も友軍の撤退を支援させろ!」
もはや迷う余地はないようだ。仕方があるまい・・・神よ、われらの罪を赦し給え。
「ミサイルランチャー1番2番発射管に核弾頭装填、友軍撤退と同時にフロンティアⅣを攻撃せよ。」
私のこの言葉を聞いたブリッジには若干の戸惑いの声が響いたがすぐに収まった。
フロンティアⅣ内部
撤退命令か、正直ありがたい。このままだとさらに損害が増えるだけだ。俺の小隊以外にも撃破された機体が出始めている。
俺は頭部のバルカンを発射しながら機体を後退させる。
バグにバルカンが命中して吹き飛んだ。
こいつら相手ならビームライフルよりもバルカンのほうが有効だな。しかしバルカンの装弾数はそう多くはない。今の射撃で俺のは弾切れだ。
バグ自体に攻撃を当てるのはさほど難しくはないのだがいかんせんこの数だ。
よしさっさと脱出だ。3番機のジェイブスが外に出るのを確認すると俺も入ってきたコロニーに空いた穴に飛び込んだ。
我が隊が一番先行していたこともあって俺が最後らしい。
さてこの後どうするのか・・・いやとりあえず艦に戻ろう。
コロニーからは追撃のバグや自治軍のMSは出てこなかった。
「ん?艦隊から通信?コロニーに核攻撃だって!?」
いや、それくらいやるかもしれんな。もっともビーム兵器使用が許可された時点でコロニーへの被害など考慮しても仕方がない。
しかしそれをやれば間違いなくフロンティアⅣは壊滅、生き残りなど出ないであろう。
こりゃ俺は間違いなく死後は地獄行だな。いやそんなものあるかどうかわからんが。
しばらくしてラー・カイラム級から2発のミサイルが発射、フロンティアⅣに命中した。
核爆発を直視したらまずいのでその瞬間を見なかった。
まったくなんてことになっちまったのか。大勢が死んだ。もし俺があのニュータイプって奴なら何か感じることもあったのだろうが特に感じるものはなく罪悪感だけが残った。
ニュータイプか・・・そんなもの本当に存在するのだろうか?確かに兵器をうまく扱えるという意味でのそれは存在するとは聞いたことがある。しかし本来の意味での人類の革新、誤解なく分かり合えるという意味でのニュータイプなど幻想なのではないかと思う。かつてジオン・ズム・ダイクンが提唱したとされるニュータイプ理論、しかしその後出現したニュータイプは戦争に利用され本来の意味とは真逆の働きをしてしまった。かつての伝説的なニュータイプ、アムロ・レイとシャア・アズナブルも最終的には袂を分かったのだ。
サイド3 コロニー スウィート・ウォーター
「先生、フロンティアⅣの件予定通りに行ったようです。」
「そうか、まあ持つべきものは友というからな、私の友人が連邦にいて助かったというところだろう。」
今スペースノイド同士で大きな争いをしてもらっては困るのだ。それにこの件すら次の作戦に利用できるだろう。
「それとティンブレにMS・・・ザンネックと例の機材を譲渡完了しましたが・・・あれでよかったのですか?」
「ん?ああ構わないどうせ奴らはこちらのことなどほとんど知らんのだ。」
「はあ、しかし次の作戦奴等に任せるにしては危険すぎるかと・・・」
「なに、心配はいらない。それに私は鈴の扱いには慣れている。」