月面 フォン・ブラウン市アナハイム社工場
※ローレンス視点
まったくアレックスの奴は妙にニブいんだか・・・あれは何か一つしか見えていないと言ったほうが正しいのか。あれだけヨハンナがアピールしても気が付かないふりだ。いやあれはマジで気が付いていないのかもしれない。
一体彼の過去に何があったのだろうか、それをアレックスから聞いたことはない。
「なあヨハンナ、まだお前アレックスに気があるのか?」
「そんなのあんたに関係ないでしょ、それに折角また再会できたのにあきらめる理由はないわ。」
士官学校時代からヨハンナはアレックスに気があるというのはアレックス本人以外知らない者はいないというくらいの噂になっていた。同期達でいつくっつくのかと賭けの対象にしていたり明らかにアレックスに嫉妬して敵意を抱いている者もいたのだが、当のアレックスがあの有様だ。理由は何となく思い当たる節がある。
「それにさ、士官学校時代のルームメイトはあいつのサラっていう寝言みんな聞いてるんだぜ。」
「・・・だから?そのサラとかいう女のことアレックスは何も言わないじゃない。付き合ってるわけじゃないみたいだし。」
確かに俺達でアレックスに寝言の件を問いただしたことがあるのだが聞いてもあいつは何も話してくれないのだ。やれ昔の女だの振られた相手だのと同期達の間では話のタネになっていたのだが真相は分からない。
そういえばいつの日だったか、なぜマハに入ろうと思ったのか士官学校で語り合ったことがあったはずだ。熱い理想を語る奴もいれば冷めたことを言う奴もいていろいろだったがあいつはその場でさえも特に当たり障りのないことしか言ってなかったな。
それが本心だとは思えなかった。なぜならアレックスの内心に何か硬く強い意志のようなものを感じたからである。いや、別に俺は人の内心が読めるわけではないのだが彼にはそれを感じさせる決意のようなものを感じた。それが一体何なのか、なぜアレックスは隠すのだろうか・・・
「まあヨハンナがそう言うならいいけどな、俺も協力するけどあんまり期待しないほうがいいぜ。」
「別にあんたなんて最初からあてにしてないわ、それに人には言いたくない事の一つや二つはあるものよ。」
そういえばアレックスの奴、検査の結果NT適正有りとでたらしいな。まさかあいつがニュータイプとは・・・あいつから感じた決意のようなものはそれだったのかもしれないな。だが俺はその結果をアレックスから聞いたとき何か嫌な予感がしたのだ。
かつて存在したニュータイプ達の中には不幸な末路を迎えた者が多いと聞く・・・
あいつ大丈夫だろうか、その力で身を滅ぼさなければいいが・・・