エドゥ・アルカラ
30歳
旧ザンスカール軍残党兵士の息子
暗礁宙域 旧ザンスカール軍拠点アベッハ
ここ暗礁宙域の拠点アベッハはかつてザンスカール帝国の自国領警備拠点だった場所である。
特に当時連邦軍やリガ・ミリティアに襲撃を受けることもなく、その設備のほとんどが残ったまま帝国は崩壊してしまいその後は残党軍およびその後合流したジャンク屋や海賊くずれのような連中が集まりコミュニティを形成し一種の小さな都市のようなものになっていた。
宇宙での連邦軍の活動が少ないからなのかそれとも連邦政府が現在宇宙に関してあまり関心がないのか・・・それはわからないがこの拠点の存在を連邦は把握してないと思われる。
そもそもここに集まっている連中は反連邦というより生きるために違法行為に手を染めているいわばテロリストというより犯罪者、もしくは金で雇われる傭兵のような感じなのだ。
もはや残党軍の人間も帝国を復活や連邦に一撃食らわせるといった考えはもっていない。もっとも他の残党軍のことまでは分からないが・・・
戦力もなんとかジャンクパーツや連邦系MSのパーツを使用して維持しているゾロアットが6機と哨戒艇5艇あとは・・・例のMSが1機。それだけだ。
そうあんなものは取っておくべきものではないのだ。かつて高額の報酬で釣られ引き受けたあの仕事、あんな仕事は本来目立ちたくない俺たちがやるべきではなかった。
しかしあの仕事のおかげで君がいるともいえるのだ。
そういま隣で寝ている君・・・
当時俺はまだ18で生きるために仕方なく父親と同じ道に進んだ。
親父はザンスカールのパイロットで敗戦後も投降することもなく残党として活動した。
あの仕事を父親とその仲間そして俺の3人で地上に降りて無事成し遂げたが、まさか鹵獲したMSに人が搭乗しているとは・・・それも12歳の女の子だ。
そのことはこの仕事の依頼者に報告したが特に関心は示さなかった。その子の扱いはこちらに一任すると言ったらしい。
しかしあのくそったれのクライアントはなんであんな仕事を依頼してきたのか。お目当てのMSを少し弄り回して中身のコンピューターか何かを抜き出してMSはそのままこちらにくれた、いや押し付けた。奴等はどうやらお目当ての物以外には無関心らしい。
現在そのMS、F90Ⅱはコックピットをほかの機体から無理やり移植して稼働状態にはあるが使用する予定はない。
まったくやっかいな代物だ。おそらくこんなワンオフに近い旧式機などばらして売っても足がつく可能性が高い。かといってその辺に捨てるのも躊躇われた。なので旧式とはいえここの予備戦力という形で保管してある。
さてと、俺は起き上がろうとすると隣の君も目を覚まし話しかけてきた。
「もう行くの?」
「ああ、なにやら昔仕事を依頼してきた奴らまたなにか話があるらしい・・・」
「昔?もしかして、あのこと?」
「ああそうさ君には嫌な思い出だろうし、内容によっては断ることにするさ」
「ううん・・・気にしてない。それに私宇宙のが好きよ。あなたにも会えたし。」
「・・・そう言ってもらえると助かる。」
俺はそう言うと着替えを済ませ立ち上がり部屋を出ようとした。
「気をつけてねエドゥ、個人的な事情になるけどあいつら私嫌いなの、だから・・・」
「わかってるさ、俺も連中は嫌いだし危険な仕事なら断るよ。別に断ってもほかの仕事がいくらでもあるさ」
本当は仕事を断る余裕などない、だが連中はなにかやばい、なにか他の依頼者とは違うのだ。なにをいまさらと思うかもしれないが自分たちや他の依頼者のようなアウトローよりもさらに嫌な感じがするのだ。勘でしかないが。