地球 北米都市ニューヤーク
「HQHQこちらオールド1異常なし、定時連絡終わるオーバー」
「オールド1了解、そのまま警備を続行せよ、アウト」
ふと思う・・・このままでは何も変わらないのではないかと。
俺は定時連絡を終えて、MSジェムソンのコックピットでボトルに手を伸ばし水分を補給する。
マハは一応警察であり軍ではない。・・・が俺のような一介のパイロットに捜査などできないのだ。そもそもマンハンターのもともとの役割は地球上に存在する不法滞在者の摘発なのだが・・・
あの時のMSゾリディア3機はどこに行ったのだろうか。その機体さえ発見されれば何かしらの手がかりになるかもしれない。・・・いや内部のデータなど消去されているだろうな。
しかしあれだけ大々的に捜査されたのだ。影響力が低下したとはいえ地球上では連邦政府の手の届かないところなどないというのに。
「やはり宇宙か・・・」
実のところマハの宇宙進出はすでに決定されており、その準備は着々と進んでいる。がこの時点での俺はそんなことは知る由もない。
そんなことを考えていると、周囲に警報がなりその後すぐに爆発音が鳴り響いた。
自分のいる位置の数ブロック先と思われる高層ビルが派手に火を噴き倒壊していた。
「なんだ!?HQHQ!こちらオールド1」
無線で本部を呼び出したが答えは返ってこなかった。
「まさか本部がやられた?いや違うミノフスキー粒子か!」
「上空からMS接近!市民の皆様は直ちに屋内に避難してください!」
避難アナウンスが流れ市街地はまるでハチの巣をつついたかのようなパニックになっていた。
その時ビームの軌跡が目の前を横切りビルに直撃した。
俺は機体を動かしビルの陰に隠れ敵を探した。
すると上空に1機飛行しているMSがおり、またビームライフルを発射した。
射線の先には他のジェムソンがおり、ビームが直撃し爆発炎上した。
「クソッ!テロリストども地上で簡単にビームをつかってくれる!」
もしやられたのがジェムソンではなく小型MSのジェムズガンだったなら核爆発を起こして今頃この周囲ほとんどがお陀仏だった。(小型MSの小型化した核融合炉はビームで撃破された場合高確率で核爆発を起こす)
俺は上空にむかって90mmマシンガンを撃つが敵機はビルの陰に隠れ姿をくらました。
こっちも移動しなければやられるな・・・
俺は機体をビルの陰から陰へ移動し敵機を探した。
「敵の機種はなんだ?・・・照合結果はゾリディア!?」
まさかあの時の機体か?いや今は考えるのはよそう。それより奴をどうするかそれに集中しなければ。
幸い敵機は単独行動しているようだ。だが相手のゾリディアとこのジェムソンではもはや性能の差は歴然だ。
ならば味方と連携して数的優位を生かさなければ。がまたしてもビームが発射され味方がやられたようだ。
「まずいな、このブロックの警備は俺含めて3機、もう俺だけか・・・」
増援はあまり期待できないだろう、他のブロックでももしかしたらMSに襲撃されているかもしれない。
頬に冷や汗が垂れた。だが俺はこんなところでは死ねない。
おい、まったくこんなことで・・・何のためにマハに入ったんだ!君を・・・市民を守るためだ。と自分に言い聞かせる。
大丈夫だ、ここは宇宙ではなく地上、しかも高層ビル群だ。小型MSもその動きを完全に発揮できるとは限らない、それにこの機体はジェムズガンより威力の高いマシンガンを装備している。当たれば倒せるはずだ。
それに誰かが言っていた、MSの性能の違いが戦力の決定的差ではないと・・・