宇宙 月面 フォン・ブラウン市
※アレックス視点
そういえばあの初老の男性の名前を聞いておくのを忘れてしまった。
全く俺というやつは赤の他人にああ言われなければ何せずにただ待つだけだったのかもしれない。
だがもう決心はついた 例えそれがいかに無謀であろうともこの命尽きるまで、己の肉が骨から削ぎ取れるまで俺は戦う。
使える機体はクィン・マンサだけ・・・木星帝国の来襲次期までには例の新装備の調整も完了しているはずだ、隙をみればあれで無断出撃だろうが可能であろう。
1機で・・・単独でどうにかなる相手ではないというのは十分に承知している。
まさに特攻 カミカゼ・・・
死んでいった皆・・・少しでも皆の無念を晴らせればよい、1隻でも1機でも多く沈めてみせる もうすぐ皆の所に行くことになると思うが・・・これほどまでに死後の世界の存在を信じたくなったのは人生で初めてであろう。
ああ、本当にそんな世界があればよいのだが・・・ヨハンナ、君にもまた会えるだろうか?
遺書でも書いておこうか そんなことを考えながら基地に戻った俺を待ち受けていたのは俺の考えを汲み取ってくれたかのような事実であった。
その命令を受けた時耳を疑った 何度も聞き直してしまったくらいだ
ローレンスはその命令を聞いたとき猛烈に反対したようだが・・・まるで自殺行為だと。
だが助け船とはこの事だ、少なくとも無断出撃などはせずに済むという事だ。
しかし何故命令が出たのであろうか?流石に無謀すぎると上層部も分かっているはずだ。
だがその後の人払いのされたブリーフィング・ルームで作戦計画を聞いたとき先ほどの命令を受けた時ですら耳を疑ったというのにそれ以上の衝撃を・・・いやそれは衝撃と言うよりその作戦を真剣な顔で話す本部直属の士官の頭を疑った、しかし冗談を言っているような雰囲気ではない 自分の方の頭がおかしくなったとさえ思ったがどうやら作戦に参加するメンバー全員がこの話に俺と同じ感想を抱いたらしくそれは否定された。
ローレンスが口を開く
「そんな与太話よくこの場で出来たものだ、何が極秘作戦だ全く、ふざけるな!」
しかしその士官はローレンスからの罵倒を受けても顔色一つ変えずに話を進めついにはローレンスも黙ってしまった。
だが俺からしたらこの話が嘘であるかどうかなど関係ない 正規の命令を受けられたのだ、それだけで十分
それに嘘かどうかはこの後直に判明することなのだ。
月面 グラナダ
さあ餌は与えたぞ だがそれは余興であり本来であれば直接的に行動してもよいのだが先生相手には回りくどいやり方が合っているだろう たとえあの鼠がこちらの想定通り動かなくてもよい だが私と違って彼は心配性だからな ならばやはり駒で対応すべきかもしれん。
木星艦隊掃討作戦が終了すれば先生には悪いが退場していただく 今回の件が極秘裏で処理されたとしても連邦政府はマハの権限の拡大を承認せざる負えないだろう、そうなればもはや先生の力は不要である・・・ガイア・ギア計画も変更させてもらおう。
あれはまさにラインの黄金とも言える代物であろう
世界を支配するラインの黄金 ニーベルングの指環か・・・
問題があるとすれば先生の手元にもあれがあるという事であろう だがそれさえ無くなればもはや我々の障害は無い
全ては我らがヴァルハラ建設の為に