宇宙 サイド3 コロニー スウィート・ウォーター
※サラ視点
エドゥが銃を構えながら部屋の扉を開ける、アポステルさんは先ほどの資料の内容がよほどショックだったのか呆然と立ち尽くしそれを止めることはしなかったのだ。
テーブルを挟みいかにもな椅子に腰かけそこにクワック・サルヴァーは居た。
「騒がしいと思ったら君達か、その様子では例の件に気が付いたようだな。だが確かに私がティンブレの依頼主ではあるが地球に対する攻撃は彼女らの独断なのだよ。」
「ああ、そうだろうな、だが今はそれよりもこちらの方が問題だ!」
エドゥが資料をサルヴァー氏のデスクに叩き付ける、一体あれの内容は・・・
サルヴァー氏が資料を読む、途中その顔つきがとてつもなく強張るが直にまたいつも通りに戻る・・・いや、あれは笑みを浮かべている?
「そうか、君たちはこんな紙切れを信じてここまで来たというのかね?・・・いやもはやその資料の信憑性云々よりもなぜそれをどこで君が手に入れたかと言うほうが問題だろうな。」
「なに!?」
「ああ、そうだ、この資料の内容は真実だよ。何一つ間違いなどなくね。」
「先生そんな!?」
私もデスクに駆け寄り資料の中身を確認する・・・これは・・・
「認めるのかサルヴァー!?」
「ここでもう君達にしらを切っても何の意味もないのだよ、それにしても全くダーゴルの奴、この私を切るとは・・・これだから人間というものは、つくづく絶滅していい動物の中に入るな!」
サルヴァー氏が激高しデスクを叩き付ける、その怒りは目の前の私達ではなく違う人物に向けられているようであった。
「そこに記されているガイア・ギア計画、つまりは地球再生計画に全て嘘偽りはない、それが私の計画なのだよ。」
その資料、ガイア・ギア計画と呼ばれる計画の細かな作戦資料とも言えるべき文章には恐るべきその計画の全貌が記されていたのだ。
このズィー・ジオンの目的 連邦に対抗できる国家的な規模の組織の確立と言うのは嘘ではなかった・・・がそれは通過点でしかなかったのだ。
ガイア・ギア計画、それは人類の粛清計画であった 連邦政府に対抗できる国家的な規模の確立、その後連邦政府とその組織の間に大規模な戦争を誘発させ地球圏の経済に打撃を与え尚且つ地球上から人類を掃討せしめる、また宇宙に住むスペース・ノイドも粛清の対象に含まれていた、それがこのクワック・サルヴァー真の目的であったのだ。
「こんな事やっていい権利なんて貴方にあるって言うの?いいや、この世の人間誰にだっていいはずがない!」
私はサルヴァー氏に問いかける。
「ならばあの世の人間ならばどうなのだ?貴様らは結局赤い彗星の再生計画などと言うものに賛同しておいてこの私を非難する権利など無いのだよ。」
「貴様!!」
エドゥが銃を突きつける。だがサルヴァー氏はまだ言い続けたのだ。
「まさか君が私を非難する権利があるとでも?あのような天使の輪を作り上げた国の人間に私を否定することができようか?それに結局シャアもこの私と同じようなものだろう、いや隕石落としなど馬鹿げた環境破壊をしない分私の方が大分まともだと思うがね。」
「貴方にシャアの何が分かるっていうの?シャアは最後まで人間を、人類を信じて戦っていた!だから彼の意思はオーロラになって地球を救ったって・・・」
「シャアが地球を救った?地球の為に戦っていた?何を馬鹿げたことを、君達こそ本物のシャアを知らないからそう言えるのだよ、それに私の手の中にはエドゥ君の仕事の成果でもあるサザビーの脱出ポッドがあるのだ、そこに残されたシャア・アズナブルとアムロ・レイの最後の通話ログを聞いてなお同じことが言えるか試してみるかね?」
「えっ?」
「それにだ、私から言わせればアースノイドもスペースノイドも連邦もジオンも木星もザンスカールも変わりはしない、皆母なる地球を汚染し食い潰す駆除すべき害虫、結局シャア再生計画など唯の人集めの手段、道具にしか過ぎないのだよ。」
「貴方は!!シャアを尊敬していない!」
「私がか?当たり前だよ、私はシャアなど尊敬はしていない。私が尊敬する人物は唯一ジャミトフ・ハイマン閣下ただ一人のみなのだからな。」
「ジャミトフ・ハイマン?誰だそれは?」
「待って、私はその名前に聞き覚えがある・・・確かあのティターンズの創設者だったような・・・でもそれが本当なら何故貴方はそんな人を尊敬しているの?だってティターンズは・・・」
「ああ、私もティターンズがどういう組織だったか分かっている、だが閣下のお考えとティターンズの唱えていたお題目とは相反するものであったのだよ、閣下にとってティターンズなど理想を実現するための道具でしかなかったのだ、だが閣下は不幸にも人材には恵まれなかった、だから私がやっているのだ!私が閣下の理想の正当なる後継者なのだよ!それも全て台無しになってしまったがな。」
「しかしそれだと変な話になるぞサルヴァー!お前の話しているティターンズにせよ、ジャミトフ・ハイマンにせよ、90年以上も前の事だぞ?それを貴様が何故・・・まさか!?」
「気が付いたか、まあここまで話せば誰でも気が付くであろう、そうだ、私はメモリー・クローンだよ、それも完璧な記憶を引き継いだ完成体のね。」