宇宙
※アレックス視点
サイド3のコロニー スウィート・ウォーター付近に接近するとどうやらこちらの存在に向こうも気が付いたらしくこちらに攻撃を仕掛けてきたのだ。
巡洋艦クラスが3隻、もはや奴等は自分たちの存在を隠そうともしていないという事か
艦艇やコロニー内部から30機を超える敵MSが出現、その中には先日の事件で強奪されたMSリバティや大気圏突入試験の時にこちらに攻撃を仕掛けてきた所属不明のMS(イーディム)が見受けられた。
だが何機いようがこのクィン・マンサの敵ではない 光子魚雷は既に使用不能だがあれを使わずともこの程度では問題は無いのだ。
SE式のビームキャノンを発射、この前の木星艦隊の時のような最大ではなく出力を抑えて連射し敵巡洋艦群を攻撃する。この火器の威力は凄まじくそれでも巡洋艦を一撃の下で轟沈せしめることが出来る威力があるのだ。
機体から放出されたファンネルが敵機に襲い掛かる それを掻い潜って接近できたとしても敵はこちらを捉えることが出来ないであろう。
今まさにこちらに接近してきたリバティをサーベルで薙ぎ払う この機体の性能は異常であると言うしかない、搭乗している俺でさえ恐怖を覚えるほどに
数十機居た敵はみるみるうちに消えていき数分もしないうちに敵は全て撃墜してしまった さてまだいるはずだ 出てこないならば炙り出すまで・・・
ビームキャノンをコロニーに向けようとしたその時、気配を感じ俺は回避運動を取る。
数発のビームが・・・いやこの攻撃は通常のビームライフルではない
コロニーから新手の敵が1機出現しておりこちらに接近してくていたのだ あのマシーンは小型MSではない!?
トリコロールカラーのその機体はどう見ても大型・・・このクィン・マンサには及ばないがそれでも30mはありそうであった。 だが問題なのはそのサイズではない、あの機体のあの攻撃・・・それにあのスピードは・・・
俺はファンネルを敵機に差し向ける、だがそれを容易に回避しこちらにさらに接近してきたのだ・・・よく見たら敵もファンネルを放出しこちらに対応してきているようであった。
「馬鹿な・・・敵もこちらと同じソードのマシーンを使用しているだと!?ありえない!!」
それは直に理解できた、あの目の前の機体がこちらと同じシステム、動力を搭載していることは一目瞭然であったのだ。
敵の動きが速い、あの機動性と運動性能はこちらを超えているとでも言うのか!!
敵機がサーベルを構えこちらに攻撃を仕掛けてくるようだ、こちらも対応しなければ・・・
機体同士が接触し回線が開く あのパイロットが誰であるのか話す前から俺は気が付いてはいたが直接声を聞くまではあんな機体に彼女が乗っているとは信じられなかったのかもしれない。
「アレックス!」
「サラか!」
俺は頭部のバルカンを発射し牽制するが弾は弾かれてしまう あれも同じタイプのマシーンならSEフィールド・バリアーは当然搭載してあるだろうが今の攻撃はそれを確かめる為でもある。
「もう止めて!全て・・・全てわかったの!今までの全て全部仕組まれていた事だった!!」
「世迷言を!」
「お願い信じて!!私達の組織は確かに反連邦組織だった!でも!」
サーベル同士が切り結び敵機がサンド・バレルを発射、こちらもバルカンで応射する。
ファンネルが熾烈なドッグファイトを繰り広げサイコフレームが赤く発光し始める。
恐らくは向こうの機体にもサイコフレームが用いられているであろう、たった今こちらのサーベルが向こうの実体シールドに防がれたことを考えれば敵のシールドはサイコフレーム製かもしれない。
お互いのファンネルの数が減少していく あれでは決着はつけられないか
「アレックス!もう止めて!」
そう言うとサラのあの機体を突然戦闘を中止して動きを止めた 一体何を考えているんだ・・・いやもはや容赦はしないと誓ったじゃないか ここで止めを刺すんだ そうしなければ・・・
サーベルを構え敵機のコックピットを狙い突き刺そうとするがサーベルが敵機に接触する紙一重で俺は動きを止めることになる この感覚は・・・命だっていうのか!?
「なんだこれは・・・敵機が発光している!?この光は・・・」
その光は自機から発せられている赤い光とは別のもっと暖かい敵意のない光に俺は感じられたのだ。
「もう貴方だって分かっているはず!どれだけ否定しても頭では理解しているはず!」
「うるさい黙れ!こんな事が・・・頭に!?」
俺の脳内に鳴き声のようなものが響いてくる この声は赤ん坊の声!?向こうの機体から発せられている!?
戦場に、周囲に光が溢れる これは幻か、それとも・・・
頭に様々な感情が錯綜する それは直接頭の中に響いてくるような感触であったのだ あの光から来ているのか!?
「何故・・・何故なんだ・・・こんなにも時間が経ってから君は何故俺の前に現れる!?」
その問いかけは無意味に思われた もはや言葉など発しなくても相手・・・サラの内心が分かっていたからだ・・・それに俺がマハに入ったのも宇宙に来たのも元の理由を考えればなおさらその発言がおかしいという事も俺には十分に分かっていた だがその問いかけをせずにはいられなかったのだ。
「分かっていた・・・分かっていたさ、君に罪が無いことぐらいは!」
「アレックス・・・」
もはや俺に戦う理由は無い・・・もう全て理解してしまった こんな事したってなにも解決しないなんて分かっていたのに・・・
ヨハンナが戻ってくるわけでもない、だが仇を取らなければ君に顔向けが出来ないと思っていただけだ。
暫くの沈黙の後、気が付くと自機の赤い光も緑の暖かい光に変わっていた
「サラ・・・すまなかった。君の言葉をもっと信じておけばまた違う結果があったかもしれないというのに・・・」
「ううん・・・もういいの・・・それに私も今全て理解できた、この10年以上もの間の貴方の想いが、本当にごめんなさい・・・」
「・・・どれだけ時を戻せればよいかそう考えない日は無かった、どれだけ足掻いてもこのメビウスの輪からは抜け出せなかったのが俺なんだ・・・皮肉なもんだ、お互いにこんなマシーンに乗って殺し合い、ようやく分かるなんて・・・抜け出せるなんて・・・」
「アレックス・・・私達大人になったの・・・悲しいことだけどもう時は戻らない、でもだけど、大人だから出来ることもあるはず・・・」
「ああそうかもしれない・・・そんな奇跡は起こらない、いや起きなくていい、必要なのは過去や未来じゃなく今この時・・・やり直しなど効く訳がない、未来だって分かるはずはない。だが今この時なら変えられる。そうすれば必然的に未来だって・・・」
その時だった、一条のビームがサラの機体に目掛け閃光を放ったのは
体が勝手に動いていた 機体を前進させサラ機の前に俺は自機を進める
機体にビームが直撃しとてつもない衝撃が襲う SEフィールドすら貫通せしめるその威力は・・・
「アレックス!!」
「残念ながら君達には未来はない。ここが袋小路だ。」