宇宙 サイド3 コロニー スウィート・ウォーター
※エドゥ視点
しかし引っかかることがある・・・やけにこのクワック・サルヴァーの往生際がよすぎる事が俺の中の疑念を深くしているのかもしれない。
それにこのサルヴァーの発言を信じるなら今回の件が露呈した原因・・・ダーゴルという人物についても何か不自然ではないか?
さっきの話の中ではダーゴルと言う人物に裏切られたようだがそもそもがこのクワック・サルヴァーはそう簡単に人間を信用する人物ではない・・・だがダーゴルなる人物はこの計画の全貌を知っていたことになる・・・という事はかなりの信頼を寄せられていたはずなのだ。
「サルヴァー、一つ聞くが何故貴様ほどの人間が自分を裏切るような人間を信用していたのだ?貴様は人間を信じてはいないタイプなはずだ、それは先ほどの貴様の発言からも明確になっているはずだが・・・」
「ん?ああ、そのことか。そう難しい話ではない。たとえ自分自身ですら人間と言う愚かな生き物は信用できないと私も先ほど学んだ、それだけの話だからな。」
「・・・意味が分かるように答えてもらおうか。」
「彼らは私の記憶のごく一部を引き継いでいるいわば同志・・・少なくとも少し前までは私はそう考えていた為と言うのが理由だな、彼等2人は記憶の引継ぎ作業無しでサイコフレームを媒体にした言わば今回のコンテニューオペレーションの試作のようなものだからな、最も当人達はそのことについては承知していない事柄だがね。」
「なんだって?それは貴様のメモリークローンという事か?」
「いやメモリークローンなどと言うものではない、私の記憶を持っていると言っても数パーセントの話なのだ、本人たちに自覚すらないであろう。復活を予定しているシャアの記憶の保持率よりもさらに低い数値でしかない・・・この計画を進める上ではどうしても信頼できる人間が数名は必要だからな、ならば自分自身の要素を持つ人間が適任であると私は考えたのだ、だがそれは大いなる間違いであったがな。」
「なに?だが例の脱出ポッドが発見されたのはつい最近の事だぞ?そんなにも前から再生計画は動いていたのか?見つかってもいないポッドを当てにして・・・」
「まあそれも計画のプランの一つという事だよ、ポッドが発見されたときの試作も兼ねてだ、それに発見されなくても信頼できる人員が確保できると考えたからなのだがね。」
「なるほど貴様らしい考えだな、だがそれで自分自身に足を掬われるとはな。それにどうせ貴様の事だ、たとえポッドが発見されなくても計画を実行したんだろう?」
「その通りだよ。もし発見されなければシャアの生体データを使って肉体的なクローンを作るまでの話だ、たとえ中身が無くても万人がそれをシャアだと思えば良い、どの道私にとっては道具に過ぎないのだからな。」
「・・・貴様は以前空っぽの器では意味がないと言っていた筈だが?」
「ああそうだ、だが無いものねだりは出来ないという事だ。無いよりはましと言う事だよ。」
「ふざけたことを・・・」
「君は考えたことがあるかね?このまま人間が増え続ければどうなるかを?今ですらもはや限界だと私は思うがね、一つ例を挙げれば食糧危機などがいい例だよ。この問題についてはこれからますます深刻化するであろうな・・・どの道このまま手を打たなければ待っているのは滅びの道なのだよ。」
「俺を説得でもするつもりか?そんな話を聞いて俺が貴様に賛同するとでも?」
「いやいや、これは説得ではなく説明だよ。ところでだ、私が間違いを犯したのと同じく君も一つ間違いを起こしている・・・それが何か分かるかね?」
「なに!?グゥッ!!」
それはいきなりの事であった 油断していたのかもしれない 確かにクワック・サルヴァーは危険な人物であるとは分かっていたがそれはその思想などの方面であり肉体的な・・・こんな老いぼれだと侮っていたのが間違いであった。
この目の前の老人はたった今信じられないような動きで俺に一撃を食らわせ銃を奪い取ったのだ。
「言ったであろう?私はメモリー・クローンだと。ならば強化を施されていても不思議ではないだろう?もっともこの強化はNT能力の強化ではなく肉体だけだがね。」
「貴様!!」
「悪あがきくらいはさせてもらう事にするよ、まだ私は地球再生を、母なる水の星の再生を諦めてはいないのでね。残念ながら君とはここでお別れだ。」
突き付けられた銃の発射音が響く それが俺の聞いた・・・感じた最後の感覚であったのだ。