前話投稿から時間が経っている(約1年)ので内容をお忘れの方はさきに過去のストーリーをお読みください!
それでは本編、どうぞ!
最後に加賀課長はこう付け足して腰を下ろした。
「また、他の地域でも地盤隆起は確認されています」
「そうか。まったく君の情報網の広さには感服するよ」
情報課長の敏田さんがそう笑うと加賀課長はニヤッとして「情報課には及びませんよ」と静かに言った。何故か分からないが背筋がぞわっとするのを感じた。
「えー」
副議長がそう言って前を向かせる。
「今日の会議はここまでです。明日は同じく地盤隆起が発生している、芦北市、高末町、呆毛町、そして三芦県との合同会議を三芦県中芦庁舎で行います。朝9時より2階、大会議室で行いますので遅刻のないようよろしくお願いします」
私は慌てて手帳を出して「AM9時 中芦庁舎 大会議室」と書き込む。
再び全員が前を向いたのを確認して副議長が号令をかける。
「それではこれにて、三芦県北東部地盤隆起 対策会議を終わります。礼」
私たちは揃って頭を下げ、会議が終わった。
私の配属である地域安全課のデスクに戻ってみるとまだ時刻は9時を回ったところだった。しかし、佐原市のホームページや地域安全課のメールボックスには大量のメッセージが入っていた。9割が地盤隆起関連だ。そして残りの1割は……一定数いる公務員アンチによるクレームだ。正直言って、地盤隆起関連の情報は被りがあるものの、中には非常に有益なものもあるのでありがたい。しかし、クレームは「そんな小さなことをいちいち送ってきたの!?」と思うようなことばっかりだ。
例えば「市役所の公用車のエンジン音がうるさい。公的機関なのだから水素自動車とまでは言わないが電気自動車くらい買ったらどうだ」というメッセージ。そんなことを言い出したらガソリン車はその人の家の前を通ることができなくなってしまう。が、そんなことは公共の福祉に反するので認められない。それにあまり知られていないかもしれないが、役所は貧乏なもんなのだ。それに電気自動車を買ったら買ったで「電気自動車を買うお金があるなら福祉をもっと充実しろ」と言う市民も出てくるに違いない。
そんなわけでメッセージを読むのは気が進まないのだが、全体の奉仕者である以上、市民の声を聞くことは責務だ。これも1つの声として受け止めよう。私はそう自分に言い聞かせてメーラーを開いた。
プルルルルル♪プルルルルル♪
なんだなんだ人がやる気を出した途端に。
「もしもし。佐原市役所市民生活部地域安全課です」
そう決まり文句を言いきると同時に鼓膜に老年男性と思わしき人の怒鳴り声が飛び込んできた。
[一体、いつになったら電気自動車にするんだ!メッセージフォームからちゃんと送ったが見ていないのか!!]
「いえ、確認済でございます」
しかし、あくまでも冷静に対応する。相手を調子に乗らせてはいけないのだ。
[ならば何故変えん!役所なのだからそれくらいできるだろう!]
「しかし……」
[しかしなんだ!]
「私どもとしましては、皆さんからお納めいただいた税金の使い道というのは電気自動車を買うより、社会福祉の充実に使うべきという考えでして」
[わしは十分年金を貰っとるから良いわ、そんなもん!]
おお、かなり主観で物事を考える人のようだ。ならば……。
「佐原市は貴方はもちろんのこと他にも多くの市民の皆様がいて成り立っております。なので1人のために尽くすことはできません。公務員はあくまでも全体の奉仕者ですので」
[またエンジン音がうるさかったら電話するからな!]
主観で物事を考える市民(基本、クレーマーと呼んではいけない)には『公務員は全体の奉仕者である』ということを伝えれば捨て台詞を残して電話を切っていく。
というわけでいかがだったでしょうか!久々ということでちょっと長めに書きました。
さてさて、私音槌政旨の今後について12月1日の夜7時にブログにてお知らせがあります。ご確認のほどよろしくお願いします。
それではまた次回の小説でお会いしましょう!サラダバーー☆