隣の一等星   作:Re:GHOST

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UA数4000突破!本当にありがとうございます!

今回は遂に、パスパレの皆と顔合わせ!

ジュウイチワメデス、ドウゾ



イロトリドリの色

 今日は日菜がアイドルバンドの顔合わせに行く日だ。

 

 俺は学校が終わり一足先に帰宅していて、珍しく自室でうずうずしてした。日菜は終わったらどんな感じだったか連絡するって言ってたけど、やっぱり心配だ。メンバーの皆さんにご迷惑をおかけしてないかしら.........

 

 ピローン

 

 軽快な通知音と共にスマホの液晶画面が光る。どうやら日菜からみたいだ。噂をすればなんとやら。今日の成果報告を聞くことにしよう。

 

「ひな☆」「聞いて聞いて!というか話したい事いっぱいあるから電話しよ!」18:57

 

 え、電話?まぁ、いいk.........

 

 テレテレテレーン

 

 手に持っていたスマホが振動し、着信音が鳴る。着信音はデフォルトの、CMでも使われている馴染み深い奴だ。

 

 相変わらず、発言から行動に移すのが早い子だ。俺もぱすてるぱれっと?とかいうグループがどんな感じなのか気になるし、なにより日菜と話すのはとても楽しい。さっさと電話に出るとしよう。

 

「もしもし、日菜?」

 

「あ、冬夜君!あたし、パスパレ大好きかも!もう、るるるるんって来ちゃって、それで!」

 

「あー落ち着いて?俺も気になることは沢山あるけど、1つづつね?」

 

「うん!まずは彩ちゃんから紹介するよ!彩ちゃんはね.........」

 

 .........それにしても楽しそうで良かった。うんうん。パステルパレットが日菜にとって、居心地のいい場所になるといいな。

 

「イヴちゃんって子はブシドーに憧れてるんだって!」

 

 ぶ、ブシドー?それは具体的にどういう感じなのか.........名前がハーフの子っぽいから日本の文化に興味があるかもわからんな。

 

「後は千聖ちゃん!あたし、有名人と一緒にアイドルやるんだ!」

 

「ん?有名な千聖って、あの白鷺千聖か?」

 

「そうだよ!実際に会ってみると凄い美人で、びっくりしちゃった!」

 

 これは驚いた。あの天才子役と言われた白鷺千聖がいるなんて。俺も昔、白鷺さんが主演していたドラマを見てたけど、子供ながらに可愛いと思ったもんだ。

 

「楽しくやれそう?」

 

 なんか食卓の場で話すことがないお父さんみたいな質問しちゃったよ。

 

「もちろん!あたし、パスパレの皆と頑張るよ!冬夜君も応援してね?」

 

「当たり前じゃん。頑張れ」

 

 日菜の幸せが俺の幸せ.........なんてことは言うつもり無い。ただ、彼女には楽しく元気でいて欲しい。それだけだ。

 

「ありがと!これで、あたしのファン1号は冬夜君だね!」

 

「それは光栄な事だ」

 

「じゃあまた明日会おうね!ばいばい!」

 

 電話越しでも分かるくらいテンションの高い日菜。俺も元気に返したかったのだが、出てきたのは暗い声だけだった。

 

「ああ、また明日」

 

 そう言い放ち、すぐさま電話を切る。愛想が悪い事は自分でも分かっている。でも、それでも今の俺に、いつもと同じような対応は出来なかった。

 

 座っていた椅子から立ち上がり、よろめきながらベッドに倒れ込む。

 

(日菜がアイドルになったら、この気持ちも無駄になっちまうな)

 

 アイドルが恋愛禁止なんてのは世間の常識。そんなことは誰だってわかる。だけどそれを認めることなんて嫌だ。

 

(想うだけなら、いいよな)

 

 日菜がアイドルのオーディションを受けると言った日から、こうなることは決まっていたも同然だった。だって、あの「天才少女」が失敗することなんてあるわけが無い。それこそ、有り得ないというやつだ。

 

 そう、さっきの日菜の発言で決定的になってしまったんだ。

 

 俺は、どこまで行ってもファン止まりだって事が。

 

 とても悔しい。自分の中でどす黒い感情が渦巻いているのが手に取るように分かる。油断したら、涙まで出てきそうな勢いだ。

 

(でも、迷惑をかけることなんて出来ない。日菜がアイドルを頑張るって決めたんだ。その決断に負担をかけることや、足を引っ張る真似なんて出来るわけがない)

 

 感情が決壊し、悲しい気持ちがとめどなく溢れ、零れ落ちてくる。乱れきった心のバランスを取るのが、とても難しく思えてきた。

 

 ピローン

 

 ああ、日菜怒ってるだろうな。無愛想に自分の都合で電話を切って.........嫌われてもしょうがない。

 

 半分諦め、半分自己嫌悪をしながら、スマホの画面を見る。

 

「ひな☆」「もしかして具合悪かった?そうだったらごめんね!あたし、自分の話ばっかりしちゃって。冬夜君の話全然聞いてあげられなかった。本当にごめんなさい」19:18

 

 涙が止まらない。自分のペットが亡くなった時にも、こんなに泣けなかったというのに。

 

 そうだよ、日菜はこんなにも優しい子じゃないか。自分の浅ましさを思い知ったよ。ちゃんと謝らなきゃ、心配かけてごめんって。自分の気持ちを伝えないと。

 

 涙で視界がぼやけてキーボード画面がよく見えないが、頑張って文章を打つ。

 

「冬夜」「俺は大丈夫だよ。心配かけてごめんね」19:20

 

「ひな☆」「ほんとに!?あたし、冬夜君を怒らせちゃったと思って.........でもなんもないなら良かったよ!また明日ね!」19:21

 

「冬夜」「うん、また明日」19:21

 

 別れの挨拶を済ませ、枕元にスマホを置く。今日はもうこのまま寝よう。

 

(人を想うのがこんなに辛いなんて、知らなかった)

 

 日菜のもっとそばに居たい。一緒に居たい。でも、それは叶わぬ夢なんだ。日菜にはもっとカッコよくて、ヒーローみたいな人がお似合いなんだ。俺みたいな奴とは釣り合わない。

 

 なんて言って諦めるつもりはない。

 

 日菜がアイドルだから?俺が微妙な男だから?そんなの諦める理由には微塵もならない。

 

 だって俺は、日菜の隣に居たいから。その為なら俺はなんでも出来る気がしてくる。

 

 まどろみの中へ誘われていく。泣き疲れたんだろう、もう眠る寸前だ。

 

(ひな.........好きだ、よ.........)

 

 意識が落ちる寸前で、想うのは愛しい人。星が大好きで、明るいあの子の事だ。眠るには少し早いが今日くらいはいいだろう。今日は初めて失恋して、初めて真剣に、恋を始めた日なんだから。

 

 こんな事を考えていたらとっても素敵な星の夢が見れるような気がしてきた。それこそ俺達が出会った、あの夢の続きが。




冬夜君.........頑張れ!俺は応援してるぞぉ!

今回は少し長めでしたね。でも、書いててとっても楽しかったです。

ではこの辺で。

今回もお読みいただきありがとうございました!
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