終わり方はぼんやりとは決めているんですがタイミングが分からんのです。
では、12話目に突撃〜!
もうこの際はっきり言おう。寝起きの気分は最悪だ。
星の夢なんて全く見なかったし、泣きすぎて枕は冷たいし、何より起きたのが遅刻寸前の時間ってのが1番辛い。
でも、晴れやかな気持ちだ。自分が何をしたいのか、誰が好きなのか、再認識することが出来た。
取り敢えず今、優先すべきは始業時刻までに教室に滑り込むことか。
そうと決まったら急がないとな。寝巻きをさっさと脱ぎ、クローゼットの中から制服1式装備を取り出し装備する。時刻は現在、8:23分。
40分にホームルーム開始だから、後17分か.........走れば間に合うだろ!(能天気)
おおお!燃えろ!オレの小宇宙よ!!
階段を高速で降り、玄関口までダッシュで行く。靴を履き、そのまま勢いよく外へ飛び出す。でもちゃんと鍵は閉めることは忘れない。
それから全力で走り、席についたのは、チャイムが鳴る10秒前だった。
✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕
「あはは、だから疲れてるんだね」
「はぁはぁ.........遅刻するといけないからな。全力疾走したよ」
「お疲れ様。それでさ、言いづらいんだけど.........」
俺がめちゃくちゃ疲れて机に突っ伏していると、日菜が申し訳無さそうに話しかけてくる。
「今日から毎日バンドの練習があるんだけど.........それで、部活は当分無しになっちゃうと思う」
「ああ、そんなことか。俺は大丈夫だよ。日菜のアイドル活動、応援するって言ったろ?俺の事は気にすんな」
俺は平気で嘘をついた。本当は天文部で一緒にいたいし、大丈夫なはずがない。でも、昨日決めたんだ、絶対日菜の足枷にはならないって。その為には俺の我慢が必要なんだ。
「冬夜君.........ありがと!あたし、頑張るよ!」
一瞬悲しそうな目をしたけど、日菜は直ぐにいつもの元気な目をしてくれた。良かった、バレてないみたいで。でも案外、この子は鋭いから、察してくれて気丈に振舞ったのかもな。
「ああ、頑張れ。俺は疲れたから少しそっとしといてくれ」
そう言って、伏せ目がちに教科書を見る。
今日の授業はずっと上の空だった。
✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕
学校が終わり、日菜はすぐに事務所に行ってしまったので、俺は1人で帰っていた。下を向きながら、のろのろと歩いているところに、右から昨日聞いた声が聞こえてきた。
「では、今日の練習はお休みと言うことで。湊さん、また明日会いましょう」
この声は.........間違いない。日菜のお姉さんだ。すぐさま顔を右に向け、声のする方向を見る。
そこに居たのはとても綺麗な女性だった。身長は日菜よりも高く、髪も長い。目元はキリッとしていて、とても凛としている。でも、どこか優しそうに見えるのは、きっと気のせいじゃないだろう。
お姉さんと目が、合った。
「あ、あの!もしかして日菜のお姉さんですか!?」
無意識に話しかけてしまった。自分でも何をしているのかわからない、気づいたら話しかけていたのだ。
「そうですけど.........貴方は?」
「俺は雹崎冬夜って言います。日菜とはクラスメイトで、天文部を一緒にやってるんですけど.........」
「はぁ.........貴方の事はわかりましたけど.........私に何か用ですか?」
いや、そりゃそうなるよな、知らんやつにいきなり話しかけられたら。何か用があると思われるに決まってる。でも、生憎用があって話しかけた訳では無い。
「え、えっと.........用は無いんですけど、昨日の夜、日菜と話してたのが聞こえて、声が同じだなって思って、話しかけちゃいました」
「そうですか、私は氷川紗夜と言います。日菜がいつもお世話になっております」
紗夜さん.........か。ギターケースを背負ってるけど、この人もバンドとかやってるんだろうか。
「いえいえ、お世話だなんてとんでもない!それより、氷川さんもバンドやられてるんですか?」
「妹と同じになってしまうので、紗夜と呼んでください。それより、私もとは?」
やっぱり姉妹なんだな、言ってることが全く同じだよ。やっぱり苗字が同じだと名前で呼んで欲しいものなのかな?
「あれ、聞いてないんですか?日菜もギターを始めたんですよ。なんでも、アイドルをしながら楽器を演奏する、アイドルバンドという奴らしいんですけど」
紗夜さんの顔がみるみる怒りに染まっていく。でも、それ以上に悲しそうだ。まるで、子供が自分の好きな物を横取りされたみたいな。
「それは.........本当ですか?日菜は.........本当にそんなことを始めたんですか?」
ものすごい剣幕で詰め寄ってくる。正直、とても怖い。昨日の会話からは想像出来ない怒り方だ。
「は、はい。日菜は今日もアイドル活動のレッスンがあるって言ってましたよ」
「またなの.........またあの子は私から奪うのね.........」
下を向き、拳を握りしめる紗夜さん。
「私にはギターしか無いのに、どうして.........」
とても小さい声で、恨み言を呟く彼女は、とても悲しげに見えた。
多分、日菜と紗夜さんには溝があるのだろう。それも、ただの溝じゃない。埋めることなんて、不可能に近い程の、溝が。
でも、そうじゃないだろ。それじゃダメなんだよ。日菜が紗夜さんと、紗夜さんが日菜と、ちゃんと向き合わなきゃダメなんだ。それは当事者である彼女たちにしかできないことで、俺には無理なんだ。
「紗夜さん、日菜は今頑張って変わろうとしてます」
「それを姉である貴女が信じなきゃ、誰が信じるんだよ!?」
「俺は紗夜さんと日菜に何があったかなんて知らない!でも、姉妹なんだろ!?」
「俺には出来ない事なんだよ!」
言ってしまった。思ってる事、全部。これは俺のわがままで八つ当たりなのかもしれない。でも、日菜と紗夜さんには笑っていて欲しい。その為には仲直りしなきゃいけないんだ。
「貴方に.........私の何がわかるんですか!?」
飛んできたのは、罵声だった。せき止めてた感情を一気に吐露するように、声を荒らげている。
「いつもあの子ばかり!私の努力なんて、才能で軽々しく追い抜いていく.........」
「ギターだけは負けないと、頑張っていたのに!それすらもあの子は奪うというの!?」
「私は凡人だから、天才の日菜といつも比較されて生きてきた」
「私が二等を取った時、一等のあの子が私に言うの、おねーちゃん、おねーちゃんって」
「何よそれ.........勝者の余裕?敗者への慰め?いい加減鬱陶しいのよ!」
紗夜さんが息も切れ切れに叫ぶ。そして、同時に俺は悟った。
ああ、この人、俺と同じだ。どうしようもない壁にぶち当たって、どうしたらいいか分からなくなっているんだ。
きっと、認めたくないはずだ。誰しも、自分が劣っているなんて。だから紗夜さんは自分の存在を認めさせる為に、ギターを始めた。でも、それが日菜に邪魔された、と.........
「なんだよそれ.........」
「一番比較してんのは紗夜さんじゃないか!」
「日菜は日菜、紗夜さんは紗夜さんだろ!?そんな結果だけ、表面上の事だけ見て比べんなよ!」
「それに、日菜が余裕や慰めでそんな事は言わないって紗夜さんならわかんだろ!」
「日菜は紗夜さんが好きなんだ、もうちょっと歩み寄ってあげてくれよ.........」
叫びすぎて声が掠れる。でも、伝えたいことは全部伝えた。紗夜さんの顔を見る。
泣きそうで辛そうで、でもふっ切れた、そんな顔をしていた。
「そう.........ね。貴方の言う通りだわ。私は私、日菜は日菜。どうしてこんな簡単な事に気づかなかったのかしら」
紗夜さんが晴れやかな表情でそう言う。日菜とは違うって、自分の弱さを認めたんだ。
「ありがとうございます、雹崎さん。貴方のお陰で大切な事に気づけました」
「い、いえ!こちらこそ生意気な事言っちゃってすみません!」
「大丈夫です。それにしても.........ふふっ、なんだか怒られて嬉しかったです」
「両親も先生も、私を怒ることなんて滅多に無かったですから。なんだか新鮮で」
紗夜さんが笑う。あれ?めちゃくちゃ可愛い.........いや、そりゃそうだろ、日菜の姉なんだから。
「そう言って貰えると嬉しいです。じゃあ、俺はこれで」
そう言い、立ち去ろうとしたが、紗夜さんに服の袖を掴まれる。う、うん?中々引っ張られるな。氷川姉妹は力が強いのか?
「あ、あの.........その、わ、私とも、友達になっていただけますか?」
上目遣いで、紗夜さんがフレンド申請してくる。え、当然受理でしょ。
「ええ、もちろんいいですよ」
この日を境に、俺には魂でぶつかりあった友達が出来た。
書きたいことがぐちゃぐちゃになって伝わってないような気が.........不安です。
やばい紗夜さん可愛い。好き。
ちなみに紗夜さんは攻略しません。すみません。
別の作品でもしかしたらやるかも?って感じです。
ではこの辺で。
今回もお読みいただきありがとうございました!