本当にありがとうございます!ありがとうございます!
ターニングポイントな13話目です!
紗夜さんと醜くみっともない、でも大切な口論をした日から、実に2週間が経過していた。
2週間と言えば今日は前々から約束していた、日菜の所属アイドルバンドであるパステルパレット(通称パスパレ)の初お披露目の日である。
意外とライブ開始の時間は早く、眠い目を擦り朝5時半に家を出発し、7時半に会場へ着いたのだが、そこにはもう長蛇の列が出来上がっていた。
(後ろの方の人達は普通なんだけど.........前の方に並んでいる人強すぎだろ、リュックサックにポスター差してるやつ初めて見たわ)
ネットでしか見たこと無いものに、若干の興奮を覚えテンションが上がる。そんなこんなでスマホをいじったりして時間を潰し、会場入りしたのは1時間半後の事だった。
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(うぉー。すっげーセットだな)
ライブ会場の中に入った感想は、月並みだが可愛い。これが一番合うだろう。
暗い廊下をスマホの明かりを頼りに進んで、開けた場所に出たと思ったら、そこがライブ会場だった。
明るい色でコーティングされた壁と床。それに、キャンディやマカロン、シンデレラが眠ってそうなベッド。まるで女の子の部屋みたいな装飾だ。1度も入ったことないけど。
なるべく、日菜の姿が見れるように前へ行きたいのだが、そこへ立ちはだかるは人の壁。
1万人もいるだけあって会場の熱気は凄まじく、立っているだけで体力を持っていかれる。
(いやしかし、あちーなぁ.........春なのにこんなに暑いのか?次のライブの時は熱中症対策してこよ.........)
しょうがないので後ろの方で我慢しよう。つま先立ちすれば余裕で見れるし、大丈夫なはずだ。
そんな感じで暑さと格闘し、他のアイドルグループを見ていると、遂に彼女達の番がやってきた。
『続きまして、新生アイドルバンド「Pastel*Palettes」の登場です!このステージで初お披露目となる彼女たちを、どうぞご覧ください!』
(お、ついに始まるのか)
舞台袖から壇上へ、5人のアイドルが出てくる。あ、日菜いた。
「みなさーんっ!はじめましてーっ!私達、Pastel*Palettesです!略して『パスパレ』って呼んでくださいね♪」
えーっと、白鷺さんはわかる。あの背が高くて白い髪の子が多分イヴちゃんで.........んで、今MCしてるのが彩ちゃん、だよな。
あれ?じゃああの子誰だ?日菜からの話だとエア演奏をするはず。ドラムの前に居るけど.........普通に考えてドラムの叩いてるふりって無理くね。
え、じゃああの子本当に演奏すんの!?まじかよ、すげぇ.........超楽しみ。
「私達のことをよーく知ってもらうためにー.........まずは1曲聞いてくださいっ!『しゅわりん☆どり〜みん』!」
しゅ、しゅわりんどりーみん?それは何ともメルヘンチックな曲名ですね.........まぁアイドルらしくていいと思うけど。
曲が始まり、お客さんの歓声が上がる。うん、中々にいい曲だ。事前に日菜から聞いていなかったら大興奮していただろう。
でも、ドラムを叩いてる子、とんでもねぇな。とてつもなくカッコよく見えるぞ。音楽知識は皆無だし、センスの欠片もないけど、わかる。あの子は凄いドラマーだってことくらいは。
ドラムの音色にうっとりしていると、日菜が元気にギターを弾いているのが見えた。ってか日菜は引けるんだからちゃんとやればいいのでは.........?
まぁ大方、お客さんを騙しきれるか、ドキドキするね〜!とか言ってみんなに合わせたんだろ。.........うん、脳内再生余裕だったわ。
興奮と熱狂に包まれたライブ会場。観客はライブに忘我し、ステージ上の彼女達はとても楽しそうにしている。そんなPastel*Palettesの初ライブは大成功に見えたが.........
ガタンッ!
(ん?バックサウンド止まったけど.........あれ?これって結構やばいやつじゃね?)
いきなり演奏が止まった。観客達も、どよめき驚いているが、一番驚いているのは壇上にいる彩ちゃんだろう。ここからでも分かるくらい体が震えている。
『なんだ?音が止まったぞ?』
『機材トラブルとかじゃないの?』
『もしかして、今のって口パク?』
『ていうか、演奏もしてなくない?』
『演奏どうしたー?』
不安と疑問は波紋のように広がり、今や会場全体が猜疑心でいっぱいになっている。MCの彩ちゃんが頑張って喋ろうとしているが、動揺で喋れず、漏れだした吐息は、無慈悲にも会場の野次に飲み込まれ消えていく。
「みなさん、ごめんなさい。機材のトラブルで、残念ですが演奏ができなくなってしまいました」
「私たちは、今後もライブを行っていく予定なので、もしよければ遊びにきてくださいね。それでは、『Pastel*Palettes』でした!」
白鷺さんが、急遽MCをする。やっぱりプロなんだな、不測の事態にはちゃんと対応できるのか。
『どうなってんのー!?』
『これでおわりー?』
彼女達がそそくさと舞台袖へはけていく。あ、焦りすぎて彩ちゃん若干コケた、可愛い。
うーん、一応どーすんのか日菜に聞いてみるか。よし、そうなれば一旦外に出ないと。
会場を後にすることを決意し、出口を目指す。人の波に揉まれ、会場の外に出た時には疲れきって満身創痍だった。
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(はぁ.........疲れたぞおい。取り敢えず電話してみるか)
日菜に電話をかける。4コールしても出ないので、少し日菜の状況が気になる。
「あ、冬夜君!?」
やっと繋がった。まぁ今忙しいのは分かりきってた事だから、しょうがない。
「ああ、日菜。そっちはどう?パスパレ大丈夫なの?」
これからアイドル活動がどうなるのか、メンバーの子達はどうなるのか、心配なことは沢山ある。でも、彼女は、彼女だけは違った.........
「大丈夫。彩ちゃんの目の色がビビビッて変わったからね。パスパレは前へ進むよ」
.........無駄な心配だったみたいだな。それもそうか、日菜がネガティブになる訳が無い。そんな前向きな姿勢が、俺は好きなんだ。
「そっか、忙しそうだし、切るね」
「うん、心配ありがとね。んじゃ、またね〜!」
日菜との電話を切り、スマホをしまう。会場の暑さのせいで汗をかき、フィルムがヌルっとくるのが少しムカつく。
(前に進む.........か)
(俺も前に進まないとな)
今日は自分へのご褒美に、帰り道で大好きな抹茶ラテを買おう。
暑さと人の波と戦った、ご褒美に。
Pastel*Palettes結成に、乾杯。
なんか原作改変しすぎてすみません.........
そんなこんなで原作話でした!
次回はオリジナル投下したい!
ではこの辺で。
今回もお読みいただきありがとうございました!