隣の一等星   作:Re:GHOST

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最近バンドリがスランプ気味.........判定ねじ曲がってる気がするぞ!

近づく24話目です。



月光

 女子の買い物はなんと長いのだろう。みんなもそう思わないか?男だったら5分で必要な物だけ買って終わるのに、なんでいらないし、買いもしない、いらない物を見て盛り上がるのだろう。いらなすぎて2回も言っちゃったよ。

 

 誤解のないように言っておくが、別に俺は女子の買い物に不満がある訳では無い。じゃあ何がそんなに気に入らないのか、それは.........

 

「ねぇ見て冬夜君!ティッシュの空き箱だって!あはは、なんでこんなのが置いてあるのー!?」

 

 いらない物にも限度があるという事だ。

 

「早く行こうよ.........」

 

「えぇ!?これ可愛いじゃん!あたし、ちょっと買おうかな.........」

 

 控えめに言って意味がわからない。こんなので買うか悩む人間がいたのか.........?しかも中身入ってないのに普通のティッシュと値段変わらないし、やっぱり意味がわからない。

 

「そんなのいらないでしょ。まず、家のティッシュの空き箱で代用出来るし」

 

「あ、そっか!おねーちゃんがすぐ捨てちゃうから見たこと無かったよ!今度取っておいてってお願いしとこ!」

 

 .........やっぱり日菜といると楽しいけどそれ以上に疲れる。

 

 ✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕

 

「何ともメルヘンチックなとこですな」

 

「るんっ!て来るものがいっぱいだねー!」

 

 100円ショップを後にし、俺たちは服屋に来ていた。ここは前から日菜が気になってた店らしく、移動中に沢山話を聞かされた。夏のコーデはうんたらかんたら.........今注目の帽子はうんたんうんたん.........正直、俺には無縁な話だ。

 

「冬夜君はおしゃれすればもっとかっこよくなれるのに.........感性がおかしくなっちゃってるのかな?」

 

 神妙な面持ちで言われるとなんだか深刻に聞こえる。え、コンビニにジャージかスウェットで行くのっておかしくないよね。感性おかしくなってないよね。

 

「おい、日菜には言われたくないぞ」

 

「あたしはおしゃれにも気を使ってるもーん」

 

「それ以外だよ。ティッシュ箱欲しいやつなんてそうそういないぞ.........」

 

「可愛いのに.........」

 

 頬をぷくっと膨らませて抗議する日菜。紗夜さんがあんまり怒れないのもわかる。こんな可愛い顔されちゃ怒るに怒れないぞ.........

 

「そうだな可愛い可愛い」

 

「投げやりだなぁ.........ほら、行こっか」

 

「おっけー」

 

 日菜に促され入店することにした。中に足を踏み入れると涼しい冷房の風が体を冷やしてくれる。ああ、きもてぃー.........内装はシャンデリアやロウソクなどの装飾がされていて、洋風な感じだ。

 

「あ、あの服可愛い!」

 

「おーいいじゃん」

 

「あれも綺麗で、るんってくるな!」

 

「ふむふむ」

 

 店内を回る日菜はとても楽しそうで、瞳がキラキラ光っている。あちこち動き回るところは、どこか小動物っぽい感じがする。

 

「あ、これ.........」

 

「なんかあった?」

 

 ふと、日菜の足が止まった。視線の先には煌びやかな服が陳列されていた。今、この服を頭の中で日菜に着てもらったが、鼻血もんの可愛さだった。どれどれ、お値段は.........8000円か。あんまり服買わないし、しかも女子の服.........相場は全くわからないけど、この可愛さでこの値段は安いと思う。

 

「これいいね」

 

「.........冬夜君ちょっと待ってて」

 

「いいけど、どうしたの?」

 

「今から着てくる!」

 

 日菜はそう言うと、服を持って試着室へと向かっていった。

 

(楽しみに待っときますか)

 

 そこから三分ほど経過した辺りで、日菜から声をかけられた。

 

「着れたから今から見せるよ?」

 

 どうやら試着が終わったららしい。俺と日菜とを仕切るカーテンの向こうから、恥ずかしさ4割、自信6割の声で話しかけられる。日菜の事だからほとんどが自信だと思っていたが、やはり異性に服を見られるのは恥ずかしいところもあるのだろう。そんなことを思った俺であった。

 

「うん。見せて」

 

「っ.........」

 

 カーテンが、開かれた。そこには天使のような少女が、いた。

 

 恥じらいながらもこちらをしっかりと見つめてくる日菜は、俺の目には天使のように見える。背中に羽がないか確認してしまった程だ。

 

「ど、どう.........?」

 

「愛してる」

 

「あ、あいっ!?」

 

 どうやら日菜の反応を見る限り、俺はとんでもない受け答えをしたようだが、そんなことはどうでもいい。目の前の麗人に最大限の称賛を送りたい、その一心だ。

 

「大胆だなぁ、冬夜君」

 

「ん?なんか言った?」

 

「なんでもなーい。これ、買ってくるね!」

 

 心底嬉しそうな表情で試着室へと戻っていく日菜。そのはしゃぎっぷりは子供がおもちゃを買いに行くものに通づる何かがある気がした。

 

 ✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕

 

 以下、少し前の会話。

 

「あー楽しかった!次は映画行こうよ、映画!」

 

「何か見たいのあるの?」

 

「王道の恋愛映画!」

 

「ほほう」

 

「じゃあ、そこの映画館へレッツゴー!」

 

「ゴー」

 

 以上、会話終了。

 

 こんな会話を繰り広げ、俺たちは映画館へと来た。恋愛映画なんて見た事も聞いたこともやったことも無い。無い無い尽くしの俺である。

 

 チケットは日菜が取ってくれるらしく、俺は上映スケジュールを見上げてポケーっと突っ立っていた。「ムーさんと大人になった僕」.........か。子供の頃、ムーさんの声が怖くてトイレに行けなかった時代があったなぁ.........しみじみと思う俺であった。

 

「お待たせー」

 

「よし、入ろっか」

 

 受付の人にチケットを渡して座席へと移動していく。少し暗いので、手を繋ぐことにした。コ、コケたら危ないからね?

 

 指定した座席へ座り、スマホの電源は切る。未だに繋いでる手は暖かく、ぽかぽかした気持ちになってきた。

 

「映画、始まってもこのままでいようね」

 

「日菜から離さなきゃ、俺が離すことは無いよ」

 

 小声で囁かれたので、同じくらいのボリュームで返す。.........それにしても横顔超可愛いな。ずっと見ていられるわ、ってか見させてください。

 

 アホなことを考えていると、照明が消えた。

 

 お馴染みの泥棒映画や、上映中のマナー、新作映画の予告など映画好きには馴染み深い映像が流れ始める。地味にこの瞬間好きだわ、始まる前のワクワク感ってのを制作側は分かってらっしゃる。

 

(お、始まった)

 

 予告も終わり、本編が始まる。

 

 そこからは、笑ったり泣いたり、ちょっとキスしたり、幸せ気分な2時間だった。

 

 ✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕

 

「もう、終わりかーなんだか寂しいね」

 

「そうだなー」

 

 時刻は夕刻。映画を見終わって軽くお昼ご飯を食べた俺たちは目的もなく歩き回っていたが、どうやらその時間も終わりのようだ。夕日が沈み、月が顔を出す。

 

「今日楽しかった?」

 

「日菜のおかげでな。そっちは?」

 

「もっちろん、楽しかったよ!」

 

 なんてことの無い、別れ際の挨拶。なのに、どうしてだろう。悲しくて仕方ない。今生の別れという訳でもなんでもないのに、何故こんなにも気分が沈むのだろう。

 

「それなら.........良かったよ」

 

 悲壮感で何とか返事をする。悟られてないといいが.........

 

「冬夜君」

 

 でも、やっぱりダメみたいだ。日菜は全てお見通しってわけだ。街灯もあまりなく、曇り空なので、日菜のことはあまり見えないが、きっと泣きそうな顔だろう。なんでか分からないけど、そんな気がした。

 

「なに?」

 

 虚勢を精一杯張り、いつもと変わらない口調と、声量で返事をする。

 

「あたし、まだ一緒にいたいよ」

 

 そんなの当たり前だ。俺だってそうだ。

 

「でも、今日はさよならしなきゃ。冬夜君もお別れの時くらい笑わなきゃダメだよ?」

 

 わかってる.........わかってるけど.........

 

「じゃあ、あたしが笑顔にしてあげるね」

 

 日菜がそう言うと、曇り空が晴れた。満月が顔を覗かせ、月明かりが彼女を照らした。

 

「あ、お月様!」

 

 空を指さし、明るくはしゃぐ日菜。そんな日菜を見ていると、かぐや姫もこれくらい美しかったのだろうか、そんなことを考えてしまった。

 

「冬夜君、月が綺麗ですね」

 

 真剣な顔で、日菜がそう言った。

 

 俺の方に向き直り、まっすぐ見つめてくる日菜。この一言には、今日までの出来事を全部、詰め込んでいる気がした。

 

「急に敬語なんて使ってどうしたの?」

 

「別に深い意味はないよ?ただ、君に笑って欲しくてさ」

 

 この一言で、俺は自分が笑っていることに気づいた。心の底から、嬉しそうに笑っていたんだ。

 

 .........日菜には叶わないな。俺だってそこまでアホじゃない。さっきの言葉の意味だってわかっているつもりだ。だからありったけの感謝を伝えよう。俺のことを想ってくれる、大切な人に。

 

「ありがとう」

 

 俺はこの5文字に色んな思いを込めた。俺と出会ってくれて、一緒にいてくれて、好きになってくれて。本当にありがとうって。

 

「.........うん。あたしからも、ありがとう」

 

 そう言って、日菜が近づいてくる。少し身長差があるため、背伸び気味になる日菜はとても美しかった。

 

「んっ.........」

 

 月明かりの下で、影が重なる。口付けを交わした瞬間に、好きという気持ちが溢れて止まらなくなった。

 

「お昼の返事、まだだったね」

 

「あたしも、愛してる」

 

 6月中旬。この月に祝日は無いが、俺と日菜にとっては特別な月になった。

 

 人生で1番長いキスをした月。初めてデートをした月。

 

 そして.........愛を確かめあった、大切な月。

 

 顔を出したばかりの満月は、今も俺たちを見守ってくれていることだろう。




終わりまで持ってくのに字数めっさかかった.........

そろそろ終わりかなぁ.........まぁいくらでもアフター出しますけど!

終わりというか一区切りという言い方の方が正しい気がしますけどね!

ではこの辺で。

今回もお読みいただきありがとうございました!

(実はガールズコードの歌詞を参考にしました.........気づいた人いるかな?)
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