ここまでのお付き合い、本当にありがとうございます。
後書きで伝えたいことは沢山書きますので、前書きはこの程度で。
最後の26話目です。
「日菜、聞いてくれ」
「.........うん」
花火が上がり、爆音が聞こえてくる。赤青緑、色とりどりの花が、夜空いっぱいに咲き誇り、俺たちに降り注ぐ。まほろばの場所と言ってもいいくらい、ここは「素敵」だ。
「俺は日菜が好きだ。愛してる」
「.........うん」
花火の音に掻き消されないように、必死に声を、気持ちを吐き出す。今までのこと、これからのこと、伝えたいことは山ほどあるんだから。
「だから、えっと.........」
でも、言葉に詰まってしまう。おかしいな、練習だと上手く言えたんだけどな.........練習、足りなかったかな.........?
「冬夜君」
俺がしどろもどろになり、口をもごつかせていると、名前を呼ばれた。目を合わせてみると、なんだか分からないけど、とても安心できた。俺が日菜の顔を見て、穏やかな気持ちになって笑うと、彼女もまた、笑ってくれた。いつもと変わらない.........いや、それ以上に笑ってくれた。とても楽しそうに、俺が好きになった、笑った顔を見せてくれた。
そんな顔見せられちゃ、俺が怖気付く訳には、いかないよな。
.........覚悟は決まった。
「日菜」
あとは、言葉にするだけだ。
「はい」
色んなことがあった。
「俺は、日菜から色んなものを貰った」
何かの本で読んだことがある。
「だから、これから俺なりにお返ししていきたいと思う」
大人になるってなんだろう。
「そのためには.........日菜」
今なら、わかる。きっとこういう事だったんだ。ああ、これは1人じゃ気づけないわけだ。
「俺と.........」
大切な人がいて、守りたいって思って.........
「付き合ってください!」
ずっと隣にいたいって思える人が出来る事なんだ。
「.........はい、喜んで!」
今日、俺は少しだけ大人に近づけた。日菜という、かけがいのない、大切な人のお陰で.........
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「うぅ.........顔、見れないよぉ.........」
「俺の方が恥ずかしいんだけど」
「そ、それはそうかも!しれないけど.........は、恥ずかしいことに変わりないの!」
「まぁ、確かに.........」
「でも、ありがとね。あたしも、大好きだよ」
「うん。どういたしまして」
でもさぁ.........そんな後ろ向かれて言われても、説得力の欠片もないよ!?声も若干うわずってるし.........これは、お仕置きが必要ですなぁ.........(ゲス顔)
「日菜、もう1回、こっち向いて?」
「うっ.........こ、これでいい.........?」
優しい口調で語りかけると、恥じらいながらもこっちを向いてくれた。やっぱりとてつもなく究極的に完全なまでに、可愛い。かのクレオパトラも裸足で逃げ.........出しはしないがティーパーティーには入れてくれるだろう、楊貴妃と小野小町も入れて、世界4大美女パーティーも開けそうだ。
何を言ってるかよくわからないって?大丈夫、俺もよくわからないから。
「やっぱり可愛い」
「も、もう!冬夜君のすけこまし!」
す、すけこまし.........?心外すぎるぞ、それ。恐らく(というか確実に)照れ隠しなのだろうが、それにしてもレベルが高い。現実で初めて聞いたぞ、そんなセリフ。
「さっきの気持ち、嘘じゃないよ。本当に好きなんだ」
「うぅ.........」
「愛してる。これからも一緒にいてね?」
「わ、わかったからぁ!あたしが悪かったから許して!」
勝った。別に勝敗を競ってたわけではないが、日菜を照れさせることに成功した。競技名をつけるとしたら.........「デレデレ!?日菜陥落選手権」とかだろうか。自分でつけたのにこう言うのは悲しすぎるが、センスがなさすぎる。
そのあと2人で花火を見て、バカ笑いして、気持ちを伝えて。
こうして、花火大会は終わりを告げた。そして始まるのは、先の話。未来の話。
これからの、約束の話。
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「また、来ようね」
「ん?」
時刻も頃合。花火大会が終わり、丘の上に少なからずいた人もまばらになってきたので、帰りの支度をしていたら、ぼそっと隣の日菜が呟いた。別に何回来てもいいけど.........なんでわざわざそんなことを?多少の疑問が残る。
「次は.........秋に来たいな」
「なんかあるのか?」
「うん.........あたしが一番好きな、星が見れるんだ」
「.........そりゃ、来るしかないな。彼氏として、お供させていただきますよ」
「うん!くるしゅうない!」
軽口を叩きあい、恋人らしいことをしてみる。これが本当に恋人の正しい姿なのかはわからない.........でも、俺は今、幸せだ。なら、それでいいじゃないか。
「日菜、手、繋いでもいい?」
「もう.........彼氏っていうのは、空気を読んで、さりげなく手を繋ぐんだよ?」
「.........そうだね、ごめん」
.........どうやら、もう手を繋ぐ確認は不要みたいだ。流石日菜、もう俺の照れさせる攻撃を克服しやがった。なんて恐ろしい子なんだよ!?
「それじゃ、帰ろっか!」
快活に、笑い飛ばすように、日菜が元気に声を上げる。聞いてるだけで、勇気を貰えそうな、そんな声で。
「.........うん」
自分でも思うが、俺はどれだけ女々しいのだろう。この期に及んで、まだ別れが寂しく感じてしまう。この前、あんだけ励ましてもらったのに.........
「大丈夫だよ」
「だって、終わりじゃないもん。寧ろ、始まりなんだよ?」
「明日から世界が、見てる景色がきっと、変わるから」
「だから、大丈夫」
俺が暗然としていると、沢山、勇気づけてくれた。ああ、泣いちゃダメだって思ってたのに.........なんでだろう、涙が止まらない。悲しくなんてないのに、希望を持てたのに、涙がとめどなく溢れてくる。
「ひな.........ありがとう.........」
嗚咽混じりの声で、感謝を伝える。顔も涙で濡れてぐしゃぐしゃだ。正直、人前に出られるような状況じゃないけど、日菜には、ちゃんと言いたかった。
「泣いちゃダメだよ。言ったでしょ?お別れの時は、笑わないと!」
「.........うん」
袖で涙を拭う。そうしたら、不安や悲しい気持ちも一緒に消えた気がした。
「冬夜君、好きだよ」
「俺も好きだよ、日菜」
泣き腫らした、真っ赤な目を合わせる。すると、日菜の綺麗な黄緑色の瞳と、ピッタリ視線が合う。
もう、言葉はいらない。
日菜を抱き寄せ、そのまま口付けをする。キスの時間はそんなに長くなかったが、気持ちを通わせるには十分だった。
「じゃ、帰るか」
「そうだねー.........っあ!流れ星!」
唐突に日菜が空を指さし、声を上げる。空には流れ星が雨のように降り出していた。
「綺麗.........!!」
横にいる日菜の方が綺麗.........そんなことを思ったけど言わなかった。だって、言わなくても伝わってるから。
「日菜、これからも一緒にいようね」
「うん!」
固く繋いだ手は離れない。離さない。空には、花火が終わり、満天の星空が広がっていた。
「そーいや、帰りにコンビニ寄っていい?」
「いいよー!」
「お腹すいちゃったよ、俺」
今日が、俺と日菜の.........
友達関係が終わり、恋人関係が始まった日だ。
これにて、日菜と冬夜の物語は一旦、完結です。
(どうでもいいことかも知れませんが、本文は3020文字で構成されています。日菜と紗夜さん好きなら、わかりますよね笑)
初めて投稿して、ちょうど1ヶ月。長かったような、短かったような、そんな気分です。でも、あらすじにもある通り、「走り抜けた」1ヶ月であったことは確かですね。
あと1話!あと1話だけこの続きを出します。時期は未定ですね.........気長に待ってくれるとありがたいです笑
最後に!ここまで読んでくれた皆様!本当にありがとうございます!
では、この辺で!
今までありがとうございました!
(別の作品とか書くつもりなので、またお会いしたらよろしくです笑)