隣の一等星   作:Re:GHOST

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日菜ちゃんの手作り弁当.........イイ!

天文部とは一体何をする部活なのか.........今、その秘密が紐解かれる!(大した秘密はないです)

ってな訳で5話目、どうぞ。



美味しい昼食と、これからのこと

 俺たちはお昼ご飯を食べるため、特別棟へ向かっていた。特別棟には、家庭科室や理科室などの実習部屋がある場所だ。あ、あとダンス部とかもあったな。去年の文化祭では体育館の壇上を、所狭しと動き回っていたのが印象に残っている。

 

 教室を出て右へ左へ、階段を登り、また右へ。そんな感じで歩いていたら古ぼけた教室の前へ着いた。多分ここが部室だろう。

 

「とうちゃーく!ここが我が天文部の部室だよ」

 

 日菜が誇らしげに紹介をしてくれる。ちょっと古い感じはするけど、これはこれで味があるというか、秘密基地っぽくてワクワクする。

 

「早速、中に入ろっか!」

 

 そわそわしている俺に気づいたのか、日菜が気を利かせて部屋に入れと催促してくる。こちらとしても願ったり叶ったりなので、横開きの扉に手をかけた。

 

 かけたのだが。

 

 .........なんだか緊張するなぁ。ただ扉を開けるだけなのに、大事のような気がしてきたぞ。実は部活なんてのは全部ハッタリで扉を開けた瞬間「ドッキリ 大成功」と書いてあるプラカードを持った人が出てくるのでは。

 

 不安というのはスパイラルハリケーンするもので、俺の心の中はマイナス思考で埋め尽くされていった。

 

「どうしたの?ドア、固い?」

 

 俺が扉の前で逡巡していると、見兼ねて日菜がそう言った。

 

 いや、全然そんなことは無いんだけれど。まず扉を開けようと思ってなかったから固いかどうかなんて全然知らんし。

 

「いや、そんなことはないんだけど」

 

「じゃあ、入ろ!」

 

 これは覚悟を決めるしかないな。

 

 意を決して、扉を開く。

 

 ガラガラという音がなり、立て付けの悪さと、この教室の古さを感じさせてくれる 。この教室いつからあるんだよ。まずこんなとこにあることすら知らなかったし。これは秘密基地感増してきたぞ。

 

 1歩、教室へ足を踏み入れてみる。

 

 そこは、色褪せた図書館のような場所だった。

 

 誰もが知っている有名小説は勿論、題名も作者も知らないマイナーな本まである。右の壁に寄せてある机の上には、埃を被った高そうな地球儀が置いてあり、ここが物置部屋ということを実感する。

 

 定位置でもあるのだろうか、日菜が迷わず俺の横をすり抜けて行き、部屋の中心にあるソファーに座る。

 

「冬夜君も座りなよ」

 

「いや、そのソファーどしたの」

 

「あたしが入部した時にはもうあったよ。なんでも3年の先輩が昔、持ち込んだんだって!」

 

 いや、意味わからんし。その先輩?とか言う人ぶっ飛びすぎだろ。学校に完全なる私物を持ち込み、あまつさえそれを認可させてしまうなんて。常人の出来ることではない。

 

 ま、日菜の先輩だもんな、もう驚かないぞ。

 

「そうなのか。それじゃ、失礼して」

 

 日菜の隣に腰掛ける。中々に良いソファーなのだろうか。座り心地が抜群だ。

 

 あぁ、この沈み込む感じよ.........もう、最高。

 

 俺がソファーに洗脳、もとい懐柔され、間抜けな顔をしていると、何やら日菜がカバンをゴソゴソと漁っている。

 

 お弁当楽しみだなぁー!ああ、中には夢いっぱい腹いっぱいの希望が詰まってるんだろうなー。想像したら早く食べたくなってきた。

 

「よし、それじゃ食べよっか!」

 

 お弁当を探し当てた日菜がそう言う。手にはピンク色と水色の可愛らしい風呂敷で包まれた弁当箱がつままれており、日菜のセンスの良さが窺える。

 

「こっちのお弁当箱が冬夜君のだよ」

 

「この水色のか」

 

「結構頑張ったから、美味しいと思うけど.........」

 

 美味しいに決まっている(断言)

 

 まず日菜の手作りというアドバンテージの時点で美味い。そこから料理の才能点がプラスされるので、料理が上手くなくてもご飯は美味い。

 

 暴論すぎるだと?じゃあなんだお前ら、日菜の作った飯が不味いって言いてぇのか!?そりゃ少しは不安だわ。本当にこの子が料理なんて出来んのかなって気持ちもある。でもよ、そういう事じゃねぇだろ!愛がこの弁当にはつまってんだよ!その愛の対象は俺じゃなくてお姉さんにだがな!

 

「俺は日菜が作ったご飯を食べれるだけで嬉しいよ。味はあんまり関係ないさ」

 

「そっか。なら、はい!召し上がれ!」

 

 玉手箱を開けるような気分だ。

 

 よし、行くぞぉ!

 

 弁当箱の蓋に手をかけ開ける。中にはプチトマトやレタスなどの彩りの他、唐揚げやフライドポテトなどの男子が好きそうなガッツリ系のおかずも入っていた。

 

 端的に言ってめちゃくちゃ美味そう。

 

 クオリティ高ぇ.........超うまそうなんだけど。日菜って天才かな?

 

「え、超美味しそうじゃん!」

 

 感想を包み隠さず言う。思ったことをそのままにだ。

 

「感想は食べてからにしてよね〜 でも、ありがと」

 

 日菜も弁当箱を開けて待機している。中身は俺の弁当より少なく、にんじんが入っているのが見える。

 

 今から始まるのは「あれ」だ。

 

 そう、あの古来より伝わる「あれ」を今からするんじゃ!とっても大切な事だからね。

 

「じゃあ、せーの」

 

 日菜が掛け声をかける。

 

 この世の全ての食材に感謝を込めて!

 

「「いただきます!」」

 

 二人分の声が部室に響いた。

 

 ―――――――――――――――――――――――

 

 結論から言ってお昼ご飯の弁当はとても美味しかった。唐揚げは時間が経ったにも関わらずさくさくジューシー。トマトもみずみずしく食べやすかったし、なによりフライドポテトが凄かった。味付けに工夫がされているのか、俺の人生で1番美味しいフライドポテトで賞!を余裕でかっさらっていった。

 

「じゃあ、今日の活動を説明するよ」

 

 食後の余韻に浸り、夢見心地だった俺に、日菜が唐突に提案する。

 

「今日の活動は.........無しだよ!」

 

 え、梨狩り?そんなことすんの.........って、え?無しなの?うせやん。

 

 今日は俺の記念すべき初部活だから、特別なことをやりたいと思っていた矢先にこれだ。正直納得がいかない。

 

「どうしてだ?」

 

「今日はあたしに用事があるんだ。元々、このお弁当も学校で食べるつもり無かったし。あ、でも明日はちゃんと活動出来るからね!」

 

 堪らず質問したが、帰ってきたのは曖昧な答えだけ。

 

「それはわかったが、理由とかは話せないのか?やっぱり気になる」

 

 なんの用事か、これだけは聞いておきたかった。同じ部員だからな、これくらいは許されるだろう。

 

「あたし、今からアイドルのオーディション受けに行くんだ!」

 

「は?」

 

 これが、国民的アイドルバンドのPastel*Palettesギター担当。氷川日菜の誕生秘話である。このことを知っているのは、この世で俺と彼女だけだ。




はい、5話目を書き終えました。結構疲れますね(汗)

でも自分で決めたことは曲げません!毎日頑張って書くぞー!おー!

あんまり書くこともないので今回はこの辺で。

今回もお読みいただき、ありがとうございました!

ちなみに天文部の活動は、作者の設定で昼は本を読み、夜は外に天体観測しに行くということになっています。

(紗夜さんのお弁当にポテト入れて、にんじんを抜いてあげるって日菜ちゃん可愛すぎませんか??)
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