ifの始まり
「ギン!どこ行ってたのギン!!それ、死神の服じゃない…!どこでそんなもの…」
「決めたんや。ボク、死神になる。死神になって変えたる。乱菊が泣かんでも済むようにしたる」
ボクの決意。ぼくが死神になった理由の1つ。ボクは、ボクの世界の中心にはいつも乱菊がおった。乱菊の為に全て行動にうつしとった。けど…
「ギン!!」
あかんかった。結局、乱菊のとられたもん取り返されへんかった。ああ、やっぱり
――謝っといて
――
顔に水が流れる。ボクのやない、乱菊のや。泣かんで、乱菊。ボクは乱菊泣かすため死神になったんやない。泣かせないためや。
ああ、体が動かん。どうしたら、ええんや。乱菊の涙さえ拭うこともできん。
ああ、だめやなぁ、ボク。何も乱菊のために出来とらんやないの。ここ何百年全て棒に振ってしもうたわ。
ああ、黒崎一護。強い眼にになった。
こうして、ボクは一生と言う幕を閉じた、と思っていた。
「ギン、ギン、ギン!!」
「ら…んぎく……?」
「ギン!!」
何故かボクは目が開けられて、乱菊の顔も見える。乱菊と喋れる。…何故や?ボクは死んだはずや……。
「目を覚まされましたか?市丸元隊長」
「卯ノ花隊長…」
卯ノ花隊長はボクを見てニコリと微笑むと「松本副隊長が血だらけになって貴方を連れてきた時は流石の私でも少しびっくりしてしまいました」と言った。
「アンタがボクを助けてくれはったんですか…」
「いいえ、違いますよ。市丸元隊長。松本副隊長が私の元に貴方を連れてこなければ助けられなかった命でした。貴方を助けたのは松本副隊長ですよ。お礼なら是非、松本副隊長に言って上げて下さい」
乱菊の方を向くと乱菊は涙を溜めてボクを見ていた。そんな乱菊に驚くけどそんな顔は出さんで笑顔を作り言った。
「ありがとう、乱菊」
「ギン!!」
乱菊はボクに抱きついてそして泣きながら言った。
「当たり前じゃない!ギンはいつも行き先を告げずにどこか行っちゃうんだもの!もう、待ってるだけなんて嫌!それに…私の元に帰って来ないなんてもっと嫌だし許さないんだから!」
「…怖いなぁ乱菊は」
トン、トン、と規則正しく乱菊の背中を叩くと更に強い力で乱菊は抱きついてきて泣いた。声を上げて泣いた。乱菊が強くボクを抱き締める様はまるでもうボクを離さんと言っているかのようで少し嬉しくて恥ずかしかった。
「もう、もう、絶対に離さないんだから!勝手に私の前から居なくなることも許さないんだから!」
「ああ。ボクもや。もう乱菊の元から離れんし離さへん。また、昔みたいに一緒に暮らそう」
「当たり前よ!!」
ボクと乱菊の誓い。もう絶対に離さんし離れん。ボクは乱菊にそう誓った。
乱菊はまだまだ仕事が残ってるらしくカンカンに怒り狂った日番谷隊長はんに連れていかれた。「ギン~!!」なんて叫んでたけどボクは知らんふり。
「では、落ち着いたところですので、市丸元隊長。貴方に総隊長からの伝言をお伝えします」
「…伝言?」
「ええ。ついこの前まで尸魂界は大変でしたから。総隊長もお忙しいのです。だから市丸隊長が目を覚ましたら処罰についての伝言を頼みたい、と」
卯ノ花隊長は一息つくとニコリと笑って言った。
「安心してください。市丸隊長が死ぬことはありませんよ。松本副隊長がかなり抗議した結果です。では、処罰を言います。市丸元隊長、貴方は尸魂界追放とします」
「…軽くありまへんか?ボクの処罰」
「先程も言ったでしょう。松本副隊長の抗議があった、と。それに平子隊長も抗議したんです」
「平子…隊長……?」
「ええ。藍染を投獄した後、一部の人達はまた、尸魂界に戻って来ました。平子隊長もその1人です。平子隊長は総隊長に「自分の好きな女護るために仕方なくやったんや。凄いやろ、俺の元部下は。格好ええやろ」って永遠と貴方の事について語っておられましたよ」
「何で、そんな事…。あの人はボクを恨んでる筈やろ?仮にもボクは藍染に加担しとった。何で助けるんや…」
「私も、格好いいと思いますよ。大切なものを護るため、取り返すために貴方は戦いました。何かを護るためには何かを犠牲にしなければならない時があります。それを知っているからこそ、平子隊長は総隊長に抗議をしたのでしょう。それに…せっかく助かった命。それを粗末にするなんて私が赦しません」
「なんや、卯ノ花隊長も抗議してくれはったんですか」と笑うと卯ノ花隊長は「当たり前です」と言った。当たり前、か。ボクには出来ひんかった。死ぬ覚悟もした。なのに“当たり前”でボクを助けて更には抗議までしてくれた
「次に貴方の体についてです」
「ボクの体…?」
ボクが聞くと卯ノ花隊長は「ええ」と頷いた。
「貴方の体は藍染にボロボロにされました。私の力で一命をとりとめ、助かりましたが全てを治すことは流石の私でも…」
「別にええよ。また、乱菊と喋れたんや。治してくれはっただけでも感謝ですわ」
「激しい運動は控える…と言うか、止めてくださいね。そんな事したら死にますよ」
いきなりの死の宣告。まあ、激しい運動をしなければええんやろ?そんなの楽勝や。
「はい、斬魄刀をお返しします」
「ええんですか?ボクに斬魄刀を返して」
「あら暴れる気ですか?どうぞ暴れてもらって構いません。その代わり…ここで斬られることになりますけど」
「うわぁそれは嫌やな。それこそ乱菊に怒られてしまうわ」
「そう思うならしないで下さいね」
卯ノ花隊長はそう言うと「私にも仕事がありますので、これで」と言って部屋を出てしまう。部屋にポツンと1人取り残されたボク。ボクは斬魄刀、神鎗の刃を見て呟く。
「また、会えたで神鎗。これからも宜しゅう頼むわ」
神鎗から「分かってるよ」と聞こえた気がした。
世界が逆さまになった。ボクが天井にいて、天井が床におる。
「どうや?逆さまの世界は」
「あかんですわ。酔ってしまって今にでも吐いてしまいそうや」
「それはあかんなぁ」
窓から現れた平子隊長は始解を止める。カツカツと歩いてボクに近づいて来たかと思えば思いっきりボクを一発殴った。
「これで今までやって来たこと全部チャラにしてやるわ。ああ、俺なんて優しいんやろ。お前もそう思うよなぁ?ギン」
「そうやなぁ。意外と優しいじゃあないですか。ホントはもっとボク殴りたくて仕方ないちゃいますか?」
「せっかく助かった命や。俺もそこまで鬼とちゃう。まあひよ里にあったら用心しとき。死ぬまで殴られるで」
「それが普通や。隊長はんが可笑しいだけやで」
ボクがそう言うと隊長はんはボクを殴る。
「おとなしく礼も言えへんのか。餓鬼」
「それじゃあ遠慮なく。抗議してくれはった見たいでありがとうございます。おかげで死刑は免れましたわ」
「お前のために抗議してやったとちゃうで。乱菊ちゃんのためや。お前のために流す涙あるんなら幸せに暮らさせてやりたいやろ。あの子も充分頑張っとるからなぁ」
「それに礼を言うのに遠慮も何も無いわアホ」と言う平子隊長。ボクは平子隊長に「そう言うとこ一々言うから女にモテへんとちゃいます?」と言った。
「アホ。モテとるわバカ。少なくともお前さんよりかはバリバリモテとるで俺は」
「そないな嘘つかんでええですよ。まあ、元部下拠りもモテてないって知ったときの現実が怖くてそないなこと言ってやはるんだと思いますけど」
「ほお。そこまで喧嘩売ってくるか。ええで、買ったわ。俺の経験人数教えたる。俺はな」
「死ねぇ!!!!!!」
「ゲホォ!!」
平子隊長の後ろから凄い蹴りが出てくる。その蹴りは見事に平子隊長にクリーンヒットしはって、平子隊長はそのままクルクルと回転して飛んでいった。
「女子の前でなんちゅうこと言い出すんや!死ね!!ボケ!!死ね!!!!」
「ひ、ひよ里ちゃん…そんなに蹴ったら可哀想だよ…」
「ええんや、織姫!!ウチはなぁ、コイツのこと大っ嫌いや!!それが更に嫌いになったわ!!」
地べたに倒れている平子隊長を更にゲシゲシと蹴り続ける猿柿はん。猿柿はんを止めようとしとる茶髪女子は確か……。
「黒崎一護と一緒に行動しとった奴やな」
「は、はい!!井上織姫です!い、市丸さんのことは結構乱菊さんに聞いてて、ひよ里ちゃんに言って尸魂界に連れてきて貰ったんです!」
「そうか、乱菊の友達やったんやな。あ、ボクのことはギンでええで」
「はい!ギンさん!」
「…それはあかんかな。同じジャンプでもボク主人公ちゃうから」
「…ジャンプ?」
「んー、やっぱ市丸でええか?」
「?分かりました!」
「宜しゅうな織姫ちゃん」
とりあえず織姫ちゃんとの話に一区切りついたので猿柿はんの方を見ると猿柿はんは平子隊長の前髪を鷲掴みにして「お前が隊長でホンマにええんか?更に酷くなるわけないよなあ?ふざけてるなら1回死ぬか?ウチが介錯してやるであ"あ"!?」と言っていた。
「ひ、ひよ里ちゃん……?」
「死ぬか?なんとか言えや!」
「猿柿はん、そこまでにしとき。死ぬで隊長」
「ここで死んだらそこまでやったちゅうことやハゲ」
ゴン!と大きな音をたてて平子隊長の頭を地面に打ち付けると「帰るで織姫」と言って部屋を出てしまう。織姫ちゃんは「ま、待って、ひよ里ちゃん!」というとボクに一礼してから部屋を出ていった。
……とりあえず平子隊長どないしよ。
▼▲▼▲▼
尸魂界を追放されて早一年。ボクは現世に家を置いてそこに住んでいた。激しい運動=走ったり戦ったりすることだと思ったボクは歩くぐらいならいいだろう、と歩いて近くを散歩していた。
「お前…市丸ギン!?」
「ん?黒崎一護やないの」
散歩して偶々出会った黒崎一護。黒崎一護はボクが生きとることを聞いとらんかったのかボクを指差してプルプルと震えていた。
「織姫ちゃん、久しぶりやな」
「こんにちわ!市丸さん!」
黒崎一護の後ろにいた織姫ちゃんに話しかけると織姫ちゃんは元気よく挨拶してくれた。ええ子や、この子。
黒崎一護は織姫が返事したことでボクと面識があることを知り織姫に恐る恐る質問した。
「い、井上……知ってたのか?」
「?何が?」
「…市丸ギンが生きてるって…」
「うん、知ってたよ!あ、そう言えば結婚おめでとうございます!私も呼んでくれれば良かったのに!」
「キミら噂じゃテストの日って聞いたんや。現世じゃそのテスト受けなあかんのやろ?誘いたくても誘えんかったのや」
「ああ!確かに!!」
織姫ちゃんはウンウンと頷くと「市丸さん頭いい!」と言った。もう、黒崎一護は話の流れにはついていけず置いてきぼりである。
「…市丸ギンって結婚したのか…?」
恐る恐る黒崎一護は言う。織姫ちゃんは大きく頷くと「そうだよ!!」と言った。
「乱菊さんとね、半年前に結婚したんだよ!」
「そやそや。っちゅう言っても乱菊とは離ればなれやけどね」
「かわいそう…」
「ええんや、ええんや。結婚できただけでもボクは嬉しいで?」
「キャー」と顔を隠して叫ぶ織姫ちゃんが面白くてついつい笑ってしまう。
「ま、安心してええよ、黒崎一護。ボクは尸魂界に追放された身やしここで暴れまわるっちゅう無謀なこともせえへん。敵視するな、とまでは言わへんけど肩の力ぐらいなら抜いてええで」
「そ、そうか…」
ボクは「じゃあな、織姫ちゃん」と織姫ちゃんに言うとわざと黒崎一護の横を通り囁いた。
「はよ織姫ちゃん口説かな取られるで?」
ボクの囁きががっつり聞こえた黒崎一護は「はあぁぁ!?」と顔を真っ赤にして叫んだ。ああ、餓鬼はおもろいなぁ。
▼▲▼▲▼
『ねぇ、ギン』
「なんや?乱菊」
ボクは今、尸魂界にいる乱菊と電話をしょった。基本は乱菊からかけてくる。だってボクがかけたとき丁度戦闘中とか洒落にならんやろ?だから乱菊が暇なときにかける、と言う約束になっとる。
『私…出来ちゃったみたいなの』
「……は?」
乱菊と結婚して早半年。会ったのは大体1ヶ月前。最後にヤったのも大体それぐらい。
『…卯ノ花隊長にね、「おめでとうございます」って言われたから「なにがですか?」って聞いたら「あら?気付いていなかったのですか?多分、出来てますよ」って…』
「……」
『その後詳しく卯ノ花隊長に調べて貰ったら男の子って。隊長にね、言ったの。そしたら『とりあえず、市丸のいる現世に行って、産んで帰ってこい』だって。だから明日から産むまで暫く一緒にいられるわよギン!!』
「…ごめん、今ボクの頭がキャパオーバーしてて整理つかへんわ。とりあえず…暫くの間現世に住むんやな…?」
「そう言うこと!!」
速報。乱菊の中に餓鬼おったわ。
時空軸?そんなのバラバラに決まってるだろ!だってif物語だもん!藍染を退けて「はい、終わり」の世界があってもいいじゃん!ユーバッハとか知らねー。ゾンビシロちゃんとかみたいって思うけど知らねぇもん!!