――信じるのは、まだ早い
「…本当にいいの……?」
ボク達は“あの人”を裏切る準備をしていた。
「ボクはやる。碧、やりたくないんやろ?ならせんでええよ。ボク一人でやる」
「それはダメ」
「何がダメなん?」とボクに聞いてくるギンにボクは「ギン、そんなに一人で抱え込まなくていい」と言った。
「…抱え込んでなんかあらへんよ」
「ううん。抱え込んでる。断言する」
「そんな…断言いらんわ……」
苦笑いで言うギンにボクは言った。
「ボクはあの人よりもギンの方が大切だから。ギンを見捨てて一人でいくことはないし、見捨てもしない」
ボクとギンはいつか離れ離れになるだろう。でもギンが乱菊とくっついてくれたらまたボクは…この世界の本当のボクとギンは会えるから。
この世界に来て早数百年。まだ本当の世界に帰るメドは経ってないし、どうやって帰れるのかもわからない。だから決めたのだ。自分が帰れるその日までボクはボクを大切に育ててくれた…この世界のギンではないけれど、ギンを助けると。
乱菊の奪われた物を取り返して、ギンは乱菊とまた平和な暮らしをする。そんな世界にするためにボクはギンに力を貸す。これが今ボクにできる最大の親孝行だと思うから。
――帰れるその日までボクは
▼▲▼▲▼
カランと下駄の歩く音、そして次にザッと草履の歩く音がする。
「お」
藍染を連れて歩いていた平子は下駄の音で振り向き後ろを歩いていた三人組に話しかけた。
「お――す。おはようさん」
「あ、おはよッス平子サン」
平子達の後ろを歩いていた一人、浦原喜助が返事をする。
「シンジでええ言うてるやろ。めんどいやっちゃな」
平子の言葉に浦原は「ハハハ」と笑う。平子は浦原の後ろを歩いていた一人、
「おはようさんマユリ」
「余所余所しく涅と呼べといっているだろう。不愉快な男だネ…!」
「めんどいやっちゃなァ」
平子はせっかく挨拶してやったのに、と言うような顔で涅に文句を言うと平子は話題を変えようとした。そう
「そういや聞いたかオマエあの話」
「どの話ッスか?」
平子の腰に渾身の蹴りが入る。音もズゴォといい音がした。平子を蹴った人物に平子は怒鳴る
「何やねんひよ里いきなり!」
「ウチへの挨拶がまだやっ!!」
「なんでオマエにアイサツせなあかんねん!!」
「あかんにきまっとるやろ流れ的に!一人だけアイサツせえへんて」
「ええんですー!俺は隊長オマエは副隊長!隊長のすることにイチイチ口出さんといてん…あ痛たたたたたァっ!!」
ドタンバタンと目の前で乱闘が起きているにも関わらず浦原も藍染もいつも通り平然とした顔で立っている。
「そうだ浦原隊長。もう耳にされましたか?」
「何をッスか?」
「流魂街での変死事件についてです」
藍染が浦原に告げると平子はひよ里との乱闘を止め「それや俺が言いたかったんは!ナイスフォロー惣右介!!」と言った。
「変死事件?」
どうやら浦原は聞いていなかったようで平子達に説明を求めた。平子は浦原に説明する。
「せや。ここ一月程、流魂街の住人が消える事件が続発しとる。原因は不明や」
「消える?どこかへいなくなっちゃうってことッスか?」
浦原に疑問を平子は「アホか」と言って一蹴する。
「それやったら蒸発て言うわ。ちゃうねん。
「生きたまま人の形を保てなく…?」
浦原にはまだまだ疑問が残るようだが平子にはそれが答えられなかった。
「スマンなァ。俺も卯ノ花隊長に言われたことそのまま言うてるだけや。意味わからへん。ともかくそれの原因を調べる為に今、九番隊が調査に出とる」
▼▲▼▲▼
「不明ってなに~~~~ね――
緑色の髪色にゴーグルを着けた女性九番隊副隊長
「うるせぇぞ!不明なもんは不明なんだよ!ゴチャゴチャ言うな!」
「なにそれー!原因不明なモンの為に隊長出る必要ないじゃんかあ!」
「だからソレを調べに行くんだろうが!!」
「先遣隊のコたち出たじゃん!10人も!あのコたちの連絡待てばいいのに拳西のせっかち!出たがり!」
さすがに白の言うことに苛ついたのか無言で殴りにいこうとする拳西。慌てて隊士達が拳西を止める。
「そもそも俺がいつてめえについて来いなんて言ったよ!?てめえなんかついてこなくてもいいんだよ!帰ってクソして寝てろボケ!」
「ぶ~~~~!白は副隊長だから隊長についていかなきゃダメなんですー!知らないのバカじゃないの拳西。ば~~~~~~~~か」
「…………!!」
「隊長!!」
またしても白を殴ろうとした拳西を隊士達が止める。すると白は「おはぎが食べたい」だの「お腹すいた」だのとダダをこね始めた。
「どうします?隊長…」
「ほっとけ!!」
即答だった。
「うわあああああ!!」
「!!」
人の叫び声がする。走って叫び声の方向に行くと虚が現れた。拳西達は自分の斬魄刀を構えると虚に向かい、斬魄刀をフリ翳した。
「吹っ飛ばせ『
拳西が斬魄刀の解号、そして始解の名を呼ぶ。すると拳西の目の前にいた虚は爆発した。拳西は『
「白…てめえ戦闘中どこ行ってやがっ…」
「そこの茂みの中にねぇ!こんなの落ちてたよ!」
「ほい!死覇装!」白はそう言って拳西に落ちていた死覇装を見せた。
「ここにねいっぱい脱いであんの!10着も!」
死覇装が10着。それは九番隊の先遣隊の人数と同じであり、先遣隊の可能性が高いだろう。魂魄消失で初の死神の犠牲者。拳西はてきぱきと部下に指示を出していく。「瀞霊廷に近づく前にここで殺す」と宣言した拳西は修平に「日が落ちないうちに帰れ」と言った。
修平は69と書かれた拳西の腹を見ていた――。
▼▲▼▲▼
「フム…良いネ…良い感じだヨ…!」
マユリは試験管の中に入った液体をぐるぐると掻き回しながら言った。
「オイ!二十二番の容器はまだかネ!」
マユリは机をバンバンと叩きながら言う。ひよ里は小柄な為、大きい容器を持ってくるには少し時間がかかる。だがそんなことも考えずマユリはひよ里に文句を言う。
あまりにもマユリがうるさかった為ひよ里は容器をおもいっきり地面に叩き落とした。
「ヒトが親切で手伝ったっとったら何やねんその口のきき方は!ふざけんなやハゲ虫コラァ!!」
「…何を急に怒っているのかネ?君のそう言う処……正直引くヨ」
「やかましい言うてるやろ!!」
ひよ里はマユリを指差して怒鳴る。
「そもそもなんでウチがオマエの手伝いせなあかんねん!!ウチ副隊長やぞ!オマエ何席や言うてみい!!」
「笑止。この私に席次なんて必要ないのだヨ」
真顔で言うマユリにひよ里が「ウチが言うたるわ!」と言った。
「参席や参席!!わかるか!?ウチは副隊長オマエは参席!!オマエがウチに命令したらあかんねやっ!!」
「君こそ解っているのかネ?この技術開発局に於ては私が副局長君は研究室長。私の方が上だ」
ひよ里は瞳孔をカッ開いて浦原の名前を呼ぶ。浦原は目を擦りながら何かを肩にかけ出てきた。ひよ里もそれに気がつきそれの説明を求めた。
「何やねんそれ?」
「あコレッスか?新しい義骸の試作品ッス。今朝平子サンが言ってたじゃないッスか。流魂街の事件は人の形を保てなくなって魂魄が消えるんじゃないかって。仮にそれが本当だとすれば分解しかけた魂魄をもう一度人型の器に入れれば魂魄は消えずに済むんじゃないかと思って。その器を義骸技術を転用して作ろうとしてるトコッス」
「オマエ…」
ダダダダッと誰かが走ってひよ里たちのところへ向かってきている音がする。九番隊隊士であり拳西の伝言…研究員の要請を浦原は聞いた。
浦原はひよ里を指名。ひよ里は文句を言っていたがうまく浦原が丸め込み結果ひよ里がいくこととなった。
▼▲▼▲▼
うざい白の寝言を聞きながらテントの中で休んでいた拳西。外から呻き声が聞こえたので慌てて外に出ると自分の隊士が仲間を殺しているところを目撃した。しかし、その男も何者かによって殺される。
――敵はまだ近くにいる。
結果は周りを警戒した。白を起こそうとするが白は起きず仲間が一人、また一人と殺られていく。
――異様な霊圧。そして刺された自分の…腹。
「…て……めえ………」
▼▲▼▲▼
『緊急招集!緊急招集!各隊長は即時一番隊舎に集合願います!!九番隊に異常事態!九番隊隊長、六車拳西及び副隊長久南白の霊圧反応消失!それにより緊急の――』
寝ていた頭が一瞬にして覚醒した浦原。ひよ里はどこに行ったのか、そう研究員に聞くと「先程出発した」と。浦原は慌ててひよ里を追う。
ボクが行くべきだった……――
こんなことになるなんて……――
▼▲▼▲▼
「火急である!前線の九番隊待機陣営からの報告によれば夜営中の同隊隊長・六車拳西、同副隊長・久南白の霊圧が消失。原因は不明!これは想定し得る限りの最悪の事態の一つである!昨日まで起きた単なる事件のは一つであったこの案件は護庭十三隊の誇りにかけて解決すべきものとなった!よってこれより隊長格5名を選抜しただちに現地へと向かってもらう!」
総隊長が全て言い終わると同時に浦原が到着した。浦原は自分に行かせて欲しいと頼むが却下され選ばれた5名は――。
――三番隊隊長、
――五番隊隊長、平子真子
――七番隊隊長、
――鬼道衆総帥大鬼道長、
――鬼道衆副局長、
話し合いの末、鬼道衆のトップ2を出すのはさすがにと言うことで握菱鉄裁の代わりに
▼▲▼▲▼
ひよ里は逃げていた。ボロボロな体で逃げていた。刀は決して抜かない、いや――抜けない。
やられるかと思った。しかし平子が間一髪助けに入ったお陰で死にはしなかった。
「……真子…!」
「アホか。なんで刀抜かへんねん」
ひよ里はうつむいて言う。
「…アホか。抜けるわけないやろ」
ひよ里を襲っていた人物、それは――
「…拳西……!?」
虚の仮面をつけた九番隊隊長、六車拳西だった。
平子の後を追って他のみんなも来る。しかし真実を目の当たりにし、走る足を止めた。信じられなかった。仮面も霊圧も全て虚なのに…姿は拳西のまま。何がなんだかわからなかった。
勿論先に到着した平子にも分からなければ、ひよ里にもわからない。
「俺にもよう分からへんわ。ほんまに拳西なんか違うんか…。とにかく確かなんは刀抜かんと……死ぬゆうことや」
刀を構えた皆を見てひよ里が叫ぶ。「拳西なんやぞ!」と。しかし皆は言った。「俺らが止めなあかんねん」と。「殺さなくても助ける方法は沢山ある」と。
リサと鳳橋が
白のような奴。
鉢玄が
しかしそれも単なる時間稼ぎに過ぎなかった――。
「…さァてと……どないしたモンやろなァ…。鬼道でどうにかならへんか?」
鉢玄に無茶振りをかける平子だが原因が分からなければ治せるものも治せないと言われてしまう。
「げほっ、ごほっ」
平子が抱えていたひよ里が突如咳き込む。
「何やねんひよ里。大丈夫か?ハッチぃとりあえずコイツから治したってく…」
「…シン…」
ひよ里が苦しそうな声で平子の名を呼ぶ。
「シン…ジ…はな…放……せ」
ひよ里の顔が白い仮面で覆われる。そして平子の肩から足にかけて斜めにおもいっきり斬った。倒れる平子、ひよ里が平子を斬ったことへの仲間達の動揺。そしてひよ里の遠吠え。
「グオオオオオオオオ」
「ひよ里!」
「ちィッ!どうなってんだよっ!!」
突然、皆の体に異変が起きた。気づいた時には遅く皆は
「なんでや…お前…拳西を…自分とこの隊長を…裏切ったんか…!?」
「裏切ってなどいませんよ」
平子からしては聞き慣れた声が聞こえる。この場にはいないはずの“声”が。
「彼は忠実だ。ただ忠実に僕の命令に従ったに過ぎない。どうか彼を責めないでやってくれませんか――
平子は敵の名を、敵の親玉の名を呼ぶ。
「…藍………染…!!」
自分の部下。藍染惣右介の後ろには何気に平子が気にかけていた人物――市丸ギンと市丸碧がいた。
少し前半足しました。主人公ほとんど出てこなかったから…。