if物語 市丸ギンの息子   作:フ瑠ラン

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この小説書いてる時が今一番楽しいです。やっぱりBLEACHって偉大だなぁと思いました。


妖怪――アヤカシ――

妲己(だっき)様!ご指名です!」

 

 

妖怪一つ目小僧は妲己と言う名の九尾の元へと駆け寄った。妲己は皇帝の座るような大きな椅子に座っている。黒い髪色に白い肌。紫色の浴衣には赤色の彼岸花の刺繍が入っている。妲己と言う人物はとても妖艶で美しくそして近寄り難い人であった。

 

 

「わっちを指名?ほぉ、あの小僧もやりおるのぉ」

 

 

「わっちから契約(やくそく)をするなど小僧の死に等しいと言うのに」と妲己はクツクツ笑いながら言った。

 

 

「それほど力が欲しいのか、はたまた只の自殺希望か…。まあ良いわ。どっちでもわっちには変わらん。ちっとばかし小僧の指名とやらに付き合ってやろうではないか」

 

「本気ですか、妲己様!?」

 

「ああ、本気じゃよ。わっちの力に耐えられなく死んで行ったのならそこまでの命。わっちらを使うには等しくなかったと言うことじゃ」

 

 

「少なくともわっちはわっちよりも強い奴に使われたい」そう言った妲己に一つ目小僧は反論を止めた。

 

 

「それに…今は『妖刀』の名はなくとも、わっちらが小僧を認めた時には名がつく(・・・・)であろう。どんな名がつくのか、楽しみで仕方ない」

 

「…妲己様はアイツのこと、どう思っているのですか?」

 

「………わっちは小僧に同情するわ」

 

「同情?」

 

「暇潰しのために家族と離ればなれにされ、最後には興味もない死神になり、家族が死する時を見せられる。小僧はわっち達とは違って悪いことなんぞ何一つやってはおらぬのにな。可哀想な奴よ」

 

 

妲己は空を見る。空には沢山の雲がかかっており月は見えなかった。

 

 

「無理して大人になろうとすると子供はいつかは壊れる。子供の内は沢山甘えておればいいものを…。現実とは、神とは時に残酷じゃ」

 

 

妲己は椅子から立つと歩きだした。目的地は妲己の言う“小僧”の元である。

 

 

 

 

 

 

 

▼▲▼▲▼

 

 

 

妲己は姿を変えた。先程の女性の姿から、銀髪の、――と瓜二つの少年の姿へと。

 

 

「小僧、わっちを指名したらしいの」

 

「お前が一番扱うのに難しいと聞いた」

 

「ほう、それでわっちを選んだ、と。…小僧はわっちをなめているらしいの。そんなんでは小僧――死ぬぞ」

 

 

妲己に「小僧」と呼ばれた少年は怯まなかった。それほどまでに少年は妲己の力を使いたいのかもしれない。

 

 

「ボクは死なない。ボクは大切な人の大切なモノを取り返さないといけないんだ。そして、あの人達には平和に暮らして欲しい」

 

 

――小僧それほどまでに“仇”を討つ力が欲しいのか

 

 

「だから妲己力を貸して欲しい」

 

 

妲己は目を瞑った。数秒程考える。小僧は何も知らない。小僧が護ろうとしている人が死ぬと。小僧のいた世界とは違う(・・)のだ。その真意に小僧は気づいていない。

 

 

「小僧は護るため(・・・・)の力が欲しいのだな?」

 

「ああ」

 

「……そうか。良いだろうわっちの力で良ければくれてやる」

 

 

――小僧がどう足掻こうが死ぬと決まっている者は死ぬ

 

――それは小僧が護ろうとしているやつも然り

 

――だからくれてやろう、わっちの力を

 

――貸してやろう、わっちの力を

 

 

 

 

 

 

 

 

――“仇”を討つ為の力を

 

 

 

 

 

 

「わっちを、上級妖怪(アヤカシ)を呼びたい時は『――』と呼べ。解号は――じゃ」

 

「ありがとう、妲己」

 

「ああ」

 

 

――ああ、楽しみじゃ

 

――小僧が真実を見たとき、誰の力を使うのか

 

――小僧は“藍染”を殺せるほど真実(原作)に影響を及ぼせるのか

 

――ああ、楽しみで仕方ない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

▼▲▼▲▼

 

 

 

「ギンと碧には三番隊の隊長と副隊長をやってもらいたい」

 

 

藍染はボクとギンを呼び出してそう言った。浦原や隊長達が尸魂界を追放されて早百年。藍染は新しく五番隊の隊長についた。そしてギンは副隊長に、ボクは副隊長補佐となった。全ては藍染のもくろみ通りに進んでいる。

 

 

「どっちが隊長なんやろ」

 

「ギンでしょ」

 

「ボク?無理やてそんな堅苦しいとこ嫌いやもん。碧やってな」

 

「嫌だ」

 

「げぇ、即答はあかんやろ」

 

「嫌だ」

 

「……話通じんわ」

 

 

結局どっちが隊長をやるかでじゃんけんをするとボクが勝ったので負けたギンが隊長をやることに。隣でぶつぶつとギンの小言が聞こえるが全て無視した。

 

 

「で、いつからなんです?ボクらが三番隊に移動するのは」

 

「今からだよ」

 

「すんません隊長。もう一度言ってくれます?今聞こえちゃあかん言葉聞こえて」

 

「今からだよ」

 

「…空耳じゃなかったわ」

 

 

と言うことは今から早急に引き継ぎをやらなきゃいけないらしい。と言っても引き継ぎをやるのは副隊長のギンだけで後任のいないボクはやらなくていいらしい。

 

藍染は隊士に呼ばれ出ていった。ボクは藍染が出ていった後、ギンに応援をした。

 

 

「頑張ってギン」

 

「少しは手伝ってな」

 

「嫌だ」

 

「…また即答…」

 

 

ギンは苦笑いだ。今回の嫌だにはちゃんと意味が込められている。

 

 

「だってボク、雛森桃のことそんなに好きじゃないからさ」

 

「……」

 

 

どうして雛森は藍染が全て正しいと思うのだろうか。ボクには信じがたい。東仙に続く藍染信者。ボクは嫌いだ。東仙も雛森も藍染も。

 

 

「そうか。確かに分かるわ。ボクもあの子のことは好きになれんなぁ」

 

「うん」

 

「どうせいつかは藍染に捨てられる、それを分かってないあの子は可哀想や」

 

「うん」

 

「…憂鬱やなぁ」

 

「頑張れ」

 

 

…応援したらギンに足蹴られた。痛い。

 

 

 

 

 

 

▼▲▼▲▼

 

 

 

「三番隊に誰おるん?やっぱ隊士ぐらいの名前は覚えておかなあかんやろ」

 

「えっとね…」

 

 

ボクは三番隊隊士名簿を見て名前を言っていく。

 

 

「…あれ……?」

 

「どうしたん?」

 

「副隊長補佐がいる」

 

 

副隊長補佐の欄に“吉良イヅル”と言う名前が。

 

 

「ほな、その子に沢山仕事預けよか」

 

「だね」

 

 

基本サボり魔のボク達は仕事を全て吉良に預けることにした。

 

 

「それにしてもギンが隊長だなんて考えられないなあ」

 

「せやね。ボクもあんまし想像つかへんわ」

 

「……ボクはギンの味方だから」

 

「なんや急に」

 

 

ギンは笑った。ボクも笑った。なんとなく、言いたかっただけなんだ。ただそれだけ。

 

 

「…ギンはボクの前から消えないよね?」

 

「………」

 

「藍染倒してまた三人で暮らすんだもんね」

 

「そうや。藍染倒すまでは三人誰も欠けちゃあかん」

 

 

「――ボクは消えへんよ。碧の前から。今も昔もこれからもずっと相棒や。相棒には嘘つかへん」

 

 

ギンは初めてボクに嘘をついた。

 

ボクがそれを知るのはまだまだ遠い未来の話。

 

 

 

 

 

 

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