if物語 市丸ギンの息子   作:フ瑠ラン

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殺意と怒り

 

 

『隊長各位に通達!隊長各位に通達!只今より緊急隊首会を召集!!繰り返す――』

 

「あ――あ。呼ばれてもうた。早いで嗅ぎ付けんの」

 

「藍染がそう仕向けてるんだから当たり前でしょ?嫌だなぁ怒られるの」

 

「ボクだって怒られるの嫌や」

 

 

そんな話をしながらボクらは一番隊隊舎へと向かう。門の前につくと声が聞こえた。どうやら隊長各は全員集合しているらしい。

 

 

「…来たか」

 

「さあ!今回の行動についての弁明を貰おうか!三番隊隊長――市丸ギン!!!」

 

「そして三番隊副隊長――市丸碧!!!」

 

 

ボク達は歩いて中へと入り真ん中に立つ。ちなみに緊張はしていない。

 

 

「何ですの?イキナリ呼び出されたか思うたらこないな大袈裟な…。尸魂界を取り仕切る隊長さん方がボクらなんかの為にそろいもそろってまァ……――でもないか」

 

「十三番隊長さんが見えないですね?どうしたんですか?」

 

「彼は病欠だよ」

 

「あ――聞いたことあるわ。お大事にって言ってもらえません?」

 

 

ボクが東仙隊長に言うと横から「フザケてんなよ」と声が聞こえた。勿論発した人物は更木隊長である。

 

 

「そんな話にここに呼ばれたと思ってんのか?てめえら、二人で勝手に旅禍と遊んできたそうじゃねぇか。しかも殺し損ねたってのはどういう訳だ?てめえら程の奴が旅禍の4、5人殺せねぇ訳ねぇだろう」

 

「あら?死んでへんかってんねやアレ」

 

「ギンはともかくボク、過大な評価受けてるなぁ」

 

 

ボクは呟く。勿論ボクの声はこの場にいるであろう隊長全員に聞こえていると思う。

 

 

「てっきり死んだ思うててんけどなァ。ボクらの勘もニブったかもしれん」

 

「だねぇ。少しサボり気味だったし」

 

 

ボクがギンの言葉を肯定するとある人物の笑い声が部屋に木霊した。

 

 

「猿芝居はやめたまえヨ。我々隊長クラスが相手の魄動が消えたかどうか察知できないわけないだろ。それともそれができないほど君達は油断してたとでも言うのかネ!?」

 

「いややなぁ。まるでボクらがわざと逃がしたみたいな言い方やんか」

 

「そんなにボクらをしながら悪者にしたいの?涅隊長」

 

「そう言っているんだヨ」

 

「うるせえぞ涅!今は俺がコイツらと話てんだ!すっこんでろ!俺に斬られてぇなら話は別だがな!」

 

「…下らぬ」

 

「やれやれ」

 

 

ボクら達の間に不穏な空気が流れたその時だった。

 

 

「ぺいっ!」

 

 

言い合いを止めたのは総隊長であり、驚いたみんなは総隊長に注目する。

 

 

「やめんかみっともない!更木も涅も下がらっしゃい!…じゃがまあ今のでおぬしらがここに呼ばれた理由は概ね伝わったかの。今回のおぬしらの命令なしの独断行動。そして標的を取り逃すというのは隊長、副隊長としてあるまじき失態!それについておぬしらからの説明を貰おうと思っての!その為の隊首会じゃ。どうじゃい。なんぞ弁明でもあるかの、市丸や」

 

 

総隊長がボクらを睨む。ボクらは顔を見合わせると笑みを作り言った。

 

 

「「ありません!」」

 

「…なんじゃと?」

 

「弁明なんてありませんよ。ボクらの凡ミス。言い訳のしようもないですわ」

 

「だからどんな罰でも受ける覚悟――」

 

「…ちょっと待て、市丸、市丸副隊長」

 

 

「どんな罰でも受ける覚悟です」とすべてを言い切る前に藍染がボクらに話しかけてきた。それと同時に警鐘が鳴り響く。なんでも瀞霊廷に侵入者が出たそうだ。

 

更木が走り出す。きっと彼の頭にはもう旅禍のことしか入っていないだろう。藍染の静止の声も勿論聞かない。無視である。

 

それを見た総隊長は隊首会を一先ずお開きにする決断を下した。皆が部屋を出ていく。藍染も出ようとしたがボクらの横を通り過ぎる時、呟いた。

 

 

「随分と都合よく警鐘がなるものだな」

 

「…ようわかりませんな。言わはってる意味が」

 

「…それで通ると思ってるのか?僕をあまり甘く見ない事だ」

 

 

日番谷隊長はその光景を見ていた。

 

 

 

 

 

▼▲▼▲▼

 

 

僕達は歩いていた。現在は旅禍も侵入しているためなんとも雰囲気がギスギスとしている。

 

 

「いやあああああああああ」

 

 

雛森の叫び声が響く。ボクらはそれを聞いても急ぎはしない。

 

 

「藍染隊長、藍染隊長っ、いやだ…いやです、藍染隊長!」

 

 

吊るされた藍染を見て雛森は叫ぶ。

 

 

「何や。朝っぱらから騒々しいことやなァ」

 

「お陰で目ェ覚めたからいいんじゃない?」

 

 

雛森がボクらの顔を見てまた目に涙を溜める。そして――目の色を変えた。

 

 

「お前か!!!」

 

 

雛森が斬魄刀を手にかけ、ギンに突進していく。それを見たイヅルが動こうとするがボクがイヅルに静止の言葉をかけ、ボクが動き出す。

 

 

「~っ!!」

 

「ボクの隊長に手をだそうとしているキミはボクに殺されても文句は言えないはずだよね?」

 

「どけ!!」

 

「……話が通じないようだ。やはりキミは好きになれない」

 

(はじ)け!!『飛梅(とびうめ)』!!!」

 

「――『――』」

 

 

雛森の始解の言葉に被せるようにボクは小さく自分の斬魄刀の始解の名を呼ぶ。お陰で『飛梅』を食らってもボクは無傷。

 

 

「コロス」

 

 

一気に霊圧をあげ、斬魄刀の能力を使おうとしたその時――ギンがボクに声をかけた。

 

 

「やめぇ、碧」

 

「…ギン」

 

「そないなことで本気出したらあかんよ。瀞霊廷が壊れてまう」

 

「………」

 

「イヅル、雛森副隊長捕らえてな。せやないと碧が殺してまうから」

 

「は、はいっ!!」

 

 

イヅルが雛森を捕らえる。数秒後に騒ぎに駆けつけた日番谷隊長がボクらの前に現れた。どうやら遠くからでもこの光景を見ていたらしくボクらに近寄ってくると日番谷隊長は言った。

 

 

「…市丸。てめえ今…雛森を殺そうとしたな?」

 

「はて、どちらの市丸かわかりませんな」

 

「…雛森に血ィ流させたら俺がてめえを殺すぜ」

 

「あら、ボクの質問には答えてくれないんか。それにしても怖いなぁ。悪い奴が近づかんように見張っとかなあきませんな」

 

 

大切な(好きな)女を護ろうとしている騎士。日番谷隊長が一瞬ギンと被って見えた。

 

 

 

 

 

 

▼▲▼▲▼

 

 

藍染は全ては日番谷氷獅郎に擦り付け、雛森に刀を抜かせた。日番谷隊長は身に覚えのない罪を藍染に被せられ驚愕している。雛森は泣きながら日番谷隊長に刃を向けたら。

 

日番谷隊長はなんとか雛森を説得しようとするが、それは叶わなかった。遺言として雛森に渡された藍染の手紙。それは全て藍染の字で書いてあり自分が見間違う筈がないと。

 

日番谷隊長は試行錯誤する。そして見つけたのだ。

 

――笑っているボクとギンを

 

 

「…そうか…これもか…これも全部てめえの仕業か!!!市丸!!!」

 

 

日番谷隊長は霊圧を上げてボクらに向かってくる。するとボクらと日番谷隊長の間に雛森が間に入る。

 

 

「…雛森…ッ!」

 

 

空中で避けられなかった日番谷隊長は雛森を思わず殴ってしまう。

 

 

「…あらら。酷いなァ十番隊長さん。傷ついて我を忘れた女の子をあない思いきり殴らんでもええのに」

 

 

日番谷隊長は唇を噛み締め、何かを思い出すように言った。

 

「…てめえの目的は何だ」

 

『…はあ……相変わらずやなァ…』

 

『だね。最後の警鐘くらいゆっくり聴いたらいいのにね』

 

『そうやで。じきに聴かれへんようになるんやから』

 

「藍染だけじゃ足りねぇか…。雛森まで…こんな目に遭わせやがって…血が滲むほど刀を握り締めなきゃならなくなるまでこいつを追いつめやがって…雛森に血ィ流させたらてめえらを殺す!!!」

 

「…あァ…あかんなァ。十番隊長さん。こないなところで斬魄刀(かたな)抜かれたら…ボクが止めるしかないやないの」

 

 

ボクら、と言わなかったと言うことは遠回しにボクに下がっていろ、と言う意味だ。大人しくボクは後ろに下がる。珍しくギンもうやる気になってることだし。

 

 

霜天(そうてん)()せ!!『氷輪丸(ひょうりんまる)』!!」

 

 

溢れた霊圧が創り出す水と氷の竜。そして天候さえも支配する。これが日番谷隊長の持つ氷雪系最強の斬魄刀――。

 

日番谷隊長は凄い早さで突進していく。勿論ボクに向かってくるおこぼれの攻撃は全て避けきった。

 

ギンと日番谷隊長の攻防は続く。そして遂に日番谷隊長がギンの片腕を凍らせて封じ、勝利したかと――勝利に確信したその瞬間。

 

 

「終わりだ市丸」

 

「射殺せ『神鎗』」

 

 

ギンは日番谷隊長を狙ったのではない。日番谷隊長が避けると予想したギンは日番谷隊長の後ろで横たわって寝ている雛森を狙って始解をしたのだ。

 

 

「…ええの?避けて。死ぬであの子」

 

「…雛――…」

 

 

しかし雛森に『神鎗』が当たろうとしたその時、乱菊が間に入り斬魄刀で攻撃を相殺した。

 

 

「松本…!!」

 

「…申し訳ありません。命令通り隊舎へ帰ろうとしたのですが…氷輪丸の霊圧を感じて戻って来てしまいました…。…刀をお退き下さい市丸隊長(・・・・)。退かなければ――ここからはあたしがお相手いたします…!」

 

 

ギンの凍っていた片腕が段々と溶けていく。ギンは――笑っていた。ギンは刀を退く。日番谷隊長はボクらを追おうとしたがギンはそれを止める。

 

 

「ボクを追うより五番副隊長さんをお大事に」

 

 

「行くで」とボクに声をかけギンは瞬歩で消えてしまう。ボクは一瞬悲しそうな顔をしている乱菊を見て――ギンを追った。

 

 

 

 

 

 

 

 

▼▲▼▲▼

 

 

 

日番谷隊長達の霊圧が感じられない程遠い場所でギンは頭を抱えていた。

 

 

「あ――!!何してんねんボク!!ら、乱菊に斬魄刀向けてしまった!切腹!今すぐ切腹するから後始末頼んでもええか、碧!!」

 

「いや、なんで!?なんで切腹!?ちょ、やめて!ここで死なれてもボク困るって本当にマジで!!」

 

「でも、でもでもでも!!ボク乱菊傷つけてまったんやぞ!?死んで詫びるしかないやろ!!」

 

「詫びれてないよ!だからやめて!死んだら元も子もないから!!」

 

 

この後無駄にしぶといギンを説得するのに一時間かかった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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