if物語 市丸ギンの息子   作:フ瑠ラン

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沢山の違和感

碧を見つけて、一緒に暮らし始めてどれ程の時が過ぎただろうか。今までは碧が隣にいることが当たり前やったけど、今はそれに違和感(・・・)を感じ始めていた。

 

碧がボクん家の前で倒れているところを偶々発見して、看病をした。家に帰れないと聞いたからボクは家に居ていいと言った。そして碧は居候をし始めた。

 

ボクは見たことがなかった。碧が(・・)家族を(・・・)探している(・・・・・)ところ(・・・)を。当たり前のように家に居て当たり前のようにご飯を作っていた。ボクもそれになれていたから可笑しいとは思っていなかった。

 

他にも碧は寝ぼけてボクのことを「父ちゃん」と何度か呼んだことがある。挙げ句の果てにはボクのことを「父ちゃんと呼ばせてくれ」なんて頼まれた時もあった。勿論断ったが。

 

異様に似ている顔、体つき。それに碧はまるでボクの癖から何までを知り尽くしているような感覚。今思えば全て違和感である。元々この違和感を感じ始めたのは死覇装(・・・)()隊首羽織(・・・・)()着た(・・)平子真子(・・・・)()緑色の(・・・)しましま(・・・・)帽子(・・)()被った(・・・)浦原喜助(・・・・)に出会ってからだ。

 

尸魂界を追放された平子真子が何故死覇装を来て、隊首羽織を着ているのか、色んな疑問は浮かんだ。が、一番疑問に感じたのは浦原喜助が『碧の翔んだ世界の市丸さん』と言ったことだ。浦原のその言い方ではまるで碧はこの世界の住民やないみたいな言い方。これがずっと気になっていた。

 

 

「ギン」

 

「……」

 

 

頭を叩かれる。叩いたのは碧で碧は鬼の形相だ。後ろに般若が見える。

 

 

「旅禍も今は尸魂界内にいるんだから気抜いちゃダメ。またボーっとしてたよ?」

 

「なァ碧」

 

「…反省してないなコノヤロウ」

 

「碧の“家族”ってどんな奴なんや?」

 

 

碧の顔が驚愕へと変わる。そして驚愕の顔から少し懐かしそうにそして悲しそうな顔へと変わった。

 

 

「……急になんでそんなことを?」

 

「…ホントはずっと前から気になってたんや。そもそも碧は家の帰り方解らんくてボクん家住んでた訳やろ?でも家の帰り方探しとるようにも見えへん。逆に碧、ボクを手伝ってくれとるやん。それが謎で仕方がなかった」

 

「もうしかしてだけどそれが原因でここ最近ボーっとしてた訳じゃないよね?」

 

「………」

 

 

急にボクが黙ると碧は「図星かよ…」と呟く。碧は「はあ」とため息をついたかと思うと「ボクん家は少々特殊でね」と語り始めた。

 

 

「…教えて、くれるんか?」

 

「こんなことなら別に。隠す必要もないしね」

 

 

碧は懐かしむように目を細めた。

 

 

 

 

 

 

 

▼▲▼▲▼

 

 

「父ちゃんはやんちゃ者でね、死神だったんだけど尸魂界追放されちゃって現世でボクと暮らしてた」

 

「…尸魂界追放ってどれだけのやんちゃやったんや……」

 

 

いやあんただけどね、なんて言葉は口に出さない。確かにボクの父親は『市丸ギン』だけどこの世界の『市丸ギン』ではないから。

 

 

「やんちゃのし過ぎで死にかけた父ちゃんを血だらけになってまでも母ちゃんが救護室に連れていって父ちゃんを死なせなかった。そこで父ちゃんと母ちゃんは永遠の愛を誓った。もう二度と離れない、離さないって。二人は凄くラブラブだけど母ちゃんは死神を仕事としてるから父ちゃんに中々会えなくてそれでも二人は仲睦まじく、ボクが生まれた。ボクは父ちゃんっ子で母ちゃんよりも父ちゃんが好きで、父ちゃんの真似を沢山してた」

 

「……」

 

「家に籠ってばかりだったからボクは友達を探す旅に出掛けた。お陰で変なところに迷いこんで帰れなくなるしここ何百年も生きてるのに友達はギンと乱菊だけ。後はもうギンが知ってる通りだよ」

 

「妹とか居らへんのか?」

 

「いないね。ボクは一人っ子。こう見えても長男でね」

 

 

ボクはニコリと笑うと「無駄話はここまでにしようか」と言って話を変えた。

 

――きっとギンは何かに勘づいてるんだろうな

 

ボクがギンの“息子”だとバレそうになったら死神を辞めよう。ギンの元から去ろう。そしてボクはストーカー業にでも転職してギンを影から見守ろう。

 

ゲシリとギンから蹴られる。

 

 

「いった!?何すんの!?」

 

「嫌な予感がしたから蹴っただけや。後悔はしとらんで」

 

「理不尽っ!!」

 

 

理不尽な暴力反対!!たとえボクの心をギンが読んだとしても!!

 

 

 

 

 

 

▼▲▼▲▼

 

 

「ねェねェ創造主サマァ。楽しいィ?こんなの見てて愉しいィ?」

 

「嗚呼、愉しいよ。あまりにも藍染が(・・・)愉快過ぎてね愉しいさ」

「アタシはねェ暇なのォ。創造主サマと一緒で暇は好きじゃないンだァ。…人間脅かしてきても(殺してきても)いい?」

 

 

MGICIANS(マジシャンズ)RED(レッド)は長い髪の毛をくるくると指先でまわしながら言った。「創造主サマ」と呼ばれた男性は「ダメだよ」と言う。

 

 

「えェ~なンでェ」

 

「現世では市丸ギン達が気を張っているからね。現世に降りた瞬間キミは浦原喜助の実験材料となってしまうだろう」

 

「アタシそンなに弱くないモン。だァかァらァ大丈夫ゥ!!」

 

「ダメなモノはダメ。……其処まで聞き分けの悪い子に育てた覚えは、無いけどなァ」

 

「………ゴメンナサイ」

 

「解ればいいんだ」

 

 

冷や汗をダラダラと流しているマジシャンズ・レッドの頭を「創造主サマ」は撫でる。

 

 

「…創造主サマって“藍染惣右介”好きだよねェ」

 

「好きじゃないさ。どちらかと言うと嫌いな部類だよ」

 

「えェ!?似てるよォ?二人とも」

 

「止してくれ。そんなことを言われると……藍染惣右介を殺したくなる(・・・・・・)

 

 

殺気と霊圧を一気に放出する「創造主サマ」を見てマジシャンズ・レッドは「創造主サマも殺る気満々じゃァン」と嬉しそうに呟いた。

 

 

「この世の人間の中でどうしても藍染は好きになれない。何故だろう」

 

「それはァ二人が似てるからでしょォ?似た者同士は磁石と一緒で引き合わないしィ。仲のイイ人だって大抵自分とは性格が全然違う奴じゃン」

 

「何度も言うが私は藍染とは似ていないよ」

 

 

「創造主サマ」は侵害だ、と言う風に頭を振った。

 

 

「認めちゃえばいいのにィ。そっちの方がラクだよォ?」

 

 

「なんで変なところで創造主サマって頑固なのォ?」と聞いてくるマジシャンズ・レッドの頭を「創造主サマ」は軽く叩いた。

 

 

「私は部屋に戻るよ」

 

 

「創造主サマ」が部屋に戻ろうと歩き出したときマジシャンズ・レッドはボソッと呟いた。

 

 

「創造主サマと藍染は血が繋がってるからなァ。そこが許せないのかもねェ」

 

 

「創造主サマ」は何も聞いていないフリをした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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