if物語 市丸ギンの息子   作:フ瑠ラン

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この作品の完結はまだまだなのに、もう次回作の構成をしてしまう作者は悪い人です。因みに次回作の主人公はぶっ飛んだキャラにするつもり。これまたある人物の“if”にするつもりです。


朽木ルキア

「なァ碧」

 

「ん?」

 

「朽木ルキアっちゅう子に会いに行ってみよか」

 

 

突然ギンがそんなことをいい始めた。ボクはそれに驚くこともなく「いいよ」と了承する。

 

 

「おおきに」

 

「礼を言われる程でもないと思うけどね」

 

 

ボクは苦笑いをすると朽木ルキアのいる懴罪宮へと向かった。

 

大きな霊圧どうしが先ほどまでぶつかっていた。戦闘をしていたのだろう。2つの霊圧のぶつかり合いがなくなり、1つの霊圧が消える。

 

 

「やっぱ、勝てんかったか六番隊隊長さんには」

 

「でも卍解かぁ。この土壇場でよく覚えられるなぁ。ホント尊敬するわ」

 

 

ボクはケラケラと笑いながら言った。

 

 

「全然尊敬しとるように見えんよ、その顔」

 

「えー、ホント?」

 

 

懴罪宮に着くと朽木ルキアは言葉を呟いていた。

 

 

「…恋……次…?」

 

 

今しがた消えた霊圧が阿散井のものだと気づいたルキアは叫ぶ。「何故お前の霊圧が消えるのだ!!」と。叫ぶルキアにボクとギンは段々と近づいていく。

 

ボク達の霊圧に気づいたルキアは目を見開きこちらを見た。

 

 

「おはよ。ご機嫌いかが?ルキアちゃん」

 

「いいお目覚めはできてるかな?」

 

「――市丸、ギン。…――市丸、碧」

 

 

ボク達のことを呼び捨てにするルキアにギンは「あかんなァ」と咎める。

 

 

「相変わらず口悪いんやねぇキミは。ギン、碧やのうて 市 丸 隊 長、市 丸 副 隊 長。いつまでもそれやったらしかられるでお兄様に」

 

 

ルキアはボクらの霊圧にあてられたのか沢山の汗をかきながら「…失礼しました……市丸…隊長……副隊長…」と謝った。

 

 

「あ、もうしかして本気にしちゃった?別にいいよ、ボクらはそんなの気にしないから。ボクらとキミの仲でしょ?…ねぇギン」

 

 

「そうやで」とボクの言葉を肯定するギン。ルキアは恐る恐る「何故ここに来たのか」とボクらに問うた。ギンとボクは厭らしい笑みを浮かべながら言った。

 

 

「ちょっと嫌がらせしに」

 

 

 

 

 

 

 

▼▲▼▲▼

 

 

 

――この男が、…いや、この男“達”が嫌いだった。

 

 

私が護廷十三隊に入隊する前に兄様は六番隊の隊長になった。それと時期を近くして三番隊の隊長、副隊長になったこの男達は私が時折兄様と歩いていると決まって兄様に声をかけてきた。

 

傍から見れば隊長各同士の世間話に見えただろう。実際話の内容など有って無いようなものだった。だが私にはとてもそうは思えなかった。初めてこの男達を見た時、全身から刺すような汗が吹き出したのを憶えている。

 

――指先も

 

――口も

 

――僅かな眼の動きさえも

 

――全てが蛇の舌嘗めずりに見えて話しているのは兄様なのに常に私の喉元に手をかけられているように思えて瞼一つさえ動かせなかった。

 

 

――この男達が嫌いだった

 

 

日常の小さな亀裂を毒気で溶かされ、知らぬ間に病のようにぬるりと奥底へと入り込まれる。そういう恐怖をこの男達に感じていた。

 

理由など無い。最初から私の中の何かがこの男の総てを悉く拒絶していたのだ。それはそれから幾度言葉を交わしても微塵も薄れることはなく、そして今も――

 

 

「どないしたん?」

 

「急にボーっとしちゃってさ」

 

 

何一つ変わってはいない――

 

 

「…いえ…」

 

 

市丸ギンは空を見上げると言った。

 

 

「あァそうや。死んでへんみたいやねぇ…阿散井クン」

 

「…な…まさか…!」

 

 

 

私は必死になって恋次の霊圧を捜す。すると集中して捜せば弱々しいが恋次の霊圧が感じられた。しかし…このままでは……。

 

 

「死んじゃうだろうね直ぐ」

 

 

市丸碧の発言に私は目を細めて睨む。

 

 

「可哀想やなァ阿散井クン…」

 

「ルキアちゃん助けようとしたばっかりにこんなことになって…」

 

 

れ、恋、…次が私を助けようとした…!?

 

 

「莫迦な…!適当なことを言うな!!何故、恋次が私を…」

 

「怖い?」

 

「…何…だと…?」

 

 

市丸ギンの言葉に私は何故か核心をつかれた気がした。

 

 

「死なせたないやろ。阿散井クンも他の皆も。死なせたない人おると急に死ぬん怖なるやろ?」

 

「…………………!!!」

 

 

市丸ギンの言うとおりだった。今、私は……死ぬのが怖い……。

 

 

「助けたろか?」

 

「…な…!?」

 

 

市丸ギンの言葉に回りは唖然する。そして直ぐ市丸碧を除いて騒ぎ始めた。

 

 

「ルキアちゃんも阿散井クンも旅禍のみーんなも」

 

何を言っているのだこの男達は…!?正気か!?私を助けてこの男に何の得がある!?一護や恋次を助けて何の得があるのだ!?いや、それとも本当に――

 

市丸ギンと市丸碧は私の頭を掴むと耳元で囁いた。

 

 

「「嘘」」

 

「バイバイルキアちゃん」

 

「次は双極で会お」

 

 

手を振って去っていく二人の姿を私は暫く見届けた。希望は捨てた筈だった。生きる理由も失った筈だった。未練などない。死ぬことなど恐ろしくはないと。

 

――揺るがされた

 

 

希望に似たものをほんのわずかちらつかされただけでこんなにも容易く、生きたいと、思わされてしまった。覚悟を――。

 

 

「ああああああああああああああ」

 

 

 

 

 

 

 

▼▲▼▲▼

 

 

「ボク達性格悪いね」

 

「やね」

 

 

満面な笑みでボク達は歩いていた。心なしか少しスッキリしたような気がする。

 

 

「ルキアちゃん壊れちゃったかな?」

 

「さァ。どうやろね」

 

 

「でもボクはこれぐらいじゃ壊れんと思うで?」とギンは言った。

 

 

「…やっぱり?」

 

「ここで壊れたら全てがおしまいや。何も意味を成さん」

 

「うん」

 

「どうせ黒崎一護が助けに来る。絶望と言う名の闇におったときの希望と言う名の光は凄く眩しく…救われるんや。心身共にな」

 

 

ギンは少し羨ましそうに言った。

 

 

「はよこんなの止めて乱菊と共に……」

 

 

ギンは苛つく程青い空を見て呟いた。ボクも空を見て「そうだね」と小さい声で返した。

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