if物語 市丸ギンの息子   作:フ瑠ラン

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生きていた

「ここは…清浄塔居林(せいじょうとうきょりん)…四十六室の為の居住区域…どうしてあたしをこんなところに…?市丸隊長」

 

 

現在ボクと雛森ちゃんは清浄塔居林と呼ばれる場所へと足を運んでいた。ボクが雛森ちゃんに「ここに来たことは?」と聞くと雛森ちゃんは「来たことも、見ることも初めてです」と答えた。

 

 

「…逢わせたい人おんねん」

 

「…逢わせたい…あたしに…ですか?」

 

 

雛森ちゃんの問いにボクは「そうや」と答えた。

 

 

「ほれ、後ろ見てみ」

 

「うし…ろ…?」

 

 

雛森ちゃんの後ろにある扉には死んだとされていた藍染が立っていた。雛森ちゃんは本当の藍染か、と確めそして藍染に抱きついて泣いた。

 

…全く趣味の悪いやっちゃ――。

 

雛森ちゃんは藍染の計画の捨て駒に過ぎない哀れで可哀想な子。だがボクは決して助けようとはしない。

 

乱菊が静かに安全に暮らせるなら犠牲だって何だって捧げる――。

 

 

「君を部下に持てて本当に良かった…。ありがとう雛森くん…。本当に、ありがとう…」

 

 

藍染は雛森ちゃんを抱き締めると冷たい目で見下ろし言った。

 

 

「さようなら」

 

 

雛森ちゃんの腹を刺す。雛森ちゃんはあり得ない、と言うような顔で藍染を見上げた。

 

 

「嘘」

 

 

雛森ちゃんの腹を刺した斬魄刀を藍染は抜くと同時に雛森ちゃんは倒れた。藍染は斬魄刀に着いた血を振り払い言った。

 

 

「…行くぞ、ギン」

 

「…はい。藍染隊長」

 

 

いつか、いつかお前も地面にひれ伏す時が来るんやね、藍染。その日が楽しみやわ。

 

 

 

 

 

 

 

 

▼▲▼▲▼

 

 

藍染が阿散井に朽木ルキアを渡せと言っている時にようやくボクはギンと合流できた。

 

 

「ただいま、ギン」

 

「お帰り。遅かったなァ」

 

「そう?急いで来たつもりだったんだけど」

 

 

これでも結構本気を出して走ったのだ。大体七割ぐらい。少しぐらい勘弁してほしい。

 

 

「…断る」

 

 

阿散井は藍染の言葉を受け入れなかった。ギンとボクは斬魄刀を構えようとするがそれを藍染は止める。藍染は『鏡花水月』を構え言った。

 

 

「こちらも君の気持ちを汲もう。朽木ルキアは抱えたままで良い。腕ごと置いて退がりたまえ」

 

 

藍染は阿散井に攻撃を仕掛けるが、全て、とは言えないが藍染のほとんどの攻撃を交わすことに成功していた。成長とは恐ろしいものである。

 

阿散井の攻撃を素手で受け止める藍染は化け物だ。

 

 

「最後だ。朽木ルキアを置いて退がりたまえ」

 

「…放さねぇぞ……誰が、放すかよ…バカ野郎が…!」

 

 

藍染の最後の忠告に阿散井は笑いながら断った。

 

 

「そうか。残念だ」

 

 

藍染は『鏡花水月』を構え阿散井の首に振り落とそうとした。が、それは旅禍、黒崎一護によって止められてしまう。

 

 

「よォ。どうしたよしゃがみこんで。ずいぶんルキア重そうじゃねえか。手伝いに来てやったぜ、恋次!」

 

 

藍染は黒崎一護を見て少し笑う。剃ればボクもギンも一緒だった。その後、少しの間先ほどの真剣な雰囲気が無かったかのように阿散井、黒崎、朽木は喧嘩(漫才)をし始める。

 

 

「すいませーん、藍染隊長」

 

「手ェ出したらあかんおもってあの子が横通るん無視しました」

 

「ああ、いいよ。払う埃が一つでも二つでも目に見える程の違いはない」

 

 

藍染の言葉を聞いて三人は喧嘩(漫才)をするのをやめて藍染をロックオンした。どうやら阿散井と黒崎の共同戦線が始まるらしい。

 

 

「あの子ら藍染隊長の隙を狙ってるね」

 

「そやね。…そないなことしても無駄やのに…」

 

 

ギンの言うとおり全て無駄であった。阿散井は肩を斬られ黒崎は腰を斬られる。全ては一瞬のことである。

 

 

「立つんだ。朽木ルキア」

 

 

藍染は朽木の首についている首輪を触りながら言った。藍染は朽木の首についている首輪を斬られ無理やり持ち上げ立たせる。

 

 

「…ああ、そうか。僕の霊圧にあてられて体が弛緩(しかん)してしまっているのか。なに、気にすることはないよ。自分の足で歩かせた方が程のが楽だと言うだけの話だから――」

 

 

鎖の擦れる音がする。音の主は黒崎一護でどうやら生きていたらしい。頑張って立とうとしている。そのまま黒崎に藍染は真実を伝えた。「全ては浦原の仕業である」ことそして崩玉(ほうぎょく)のこと全てを。

 

 

「藍染!!!!」

 

 

上空から降ってきた狛村。狛村は藍染に攻撃を仕掛ける。

 

 

「…随分久し振りだね。その素顔を見るのは。どういう心境の変化かな…狛村くん」

 

 

狛村の攻撃を片手で受け止めた藍染。狛村は藍染に言った。

 

 

「何故…そうして笑っていられるのだ…藍染!!!」

 

 

狛村の鉄拳が藍染を襲う。が、もちろん藍染には効いていない。

 

 

「我々、全員を(たばか)った貴公の裏切り…儂は決して赦しはせぬ!!」

 

 

狛村は藍染の横に立っていた東仙に視線を移し「…貴公もだ東仙…!」と言った。

 

 

「何か弁明でもあるなら言ってみろ!」

 

「…………」

 

「…無いのか、何も…!残念だ……東仙…!」

 

 

狛村は霊圧を上げ叫んだ。

 

 

「卍解!!」

 

 

藍染は未だ東仙の横から動かない。

 

 

「破道の九十『黒棺(くろひつぎ)』」

 

 

同じ隊長各同士で、手も足も出ない。そこまで藍染と護廷十三隊の力の差は激しいのだ。

 

 

「…『鏡花水月』の完全睡眠は完全無欠だ。例えかかるとわかっていても逃れる術などありはしない」

 

 

そう言った藍染の元へとボクとギンは歩いて近づいていく。

 

 

「九十番台詠唱破棄!…怖いわァ」

 

「ボクも練習したらできるようになるかな?」

 

「出来るんとちゃう?碧はボクよりも霊圧高いんやから」

 

 

ギンはボクにそう言うと藍染に言った。

 

 

「いつの間にそんなコトまでできるようになりはったんです?」

 

「いや、失敗だ。本来の破壊力の三分の一も出せていない。やはり九十番台は扱いが難しいよ」

 

 

藍染はそう言うと朽木ルキアを再び無理やり立たせる。

 

 

「…さて、済まない。君達との話の途中だったね。そう、朽木ルキア。君が現世で発見された時真っ先に僕が行ったこと。それが四十六室の抹殺だ」

 

 

藍染は笑って言う。

 

 

「君達は恐らく勇音くんからこう聞いている筈だ。“藍染惣右介は死を装って行方をくらませ然る後に四十六室を殺害した”と。だがそれは間違いだ。君が発見されてすぐに僕は四十六室を殺し“中央地下議事堂全体”に『鏡花水月』をかけた。そうして“四十六室が生きて会議を続けている状態”に見えるようにしておけば万一何者かが入ってきても異変に気づかれることは無い。尤も四十六室(うちがわ)から許可しない限り隊長各に議事堂に入る権限など無いんだがね。そうして僕達は常に四人の内一人を議事堂に置きそれ以降今に至るまで四十六室を演じ続け全ての命令を操作し続けた。捕縛を確実にする為に君の捕縛役を六番隊の二人に替え君を人間から遠ざける為に義骸の即時返却破棄を命じ君の魂魄を完全に蒸発させ内部から『崩玉』を取り出す為に双極を使って君を処刑することを決めた」

 

 

朽木ルキアと黒崎一護の目が見開かれる。

 

 

「僕達が地下議事堂を完全に開けたのは二度の隊首会を含む前後数時間だけだ。死を装って地下議事堂に潜伏したのはその直後。君達の働きで処刑が失敗する可能性が出てきたと判断したからだ」

 

 

藍染は懐から何かを取り出す。

 

 

「魂魄に直接埋め込まれた異物質を取り出す方法は二つしかない。双極のように超々高度の熱破壊能力で外殻である魂魄を蒸発させて取り出すか何らかの方法で魂魄組成に直接介入して強制的に分離させるか。万一双極での処刑が失敗した場合そのもう一つの方法を見つけなければならない。その為に必要だったのが尸魂界の全ての事象、情報が強制集積される地下議事堂の大霊書回廊だ。僕はそこで浦原喜助の過去の研究を一つずつ細かに調べ上げた。魂魄への異物質埋没は彼の編み出した技術だ」

 

 

カシッと何かを藍染はセットしながら言う。

 

 

「ならば其を取り出す技術も彼の過去の研究の中に必ず隠れていると読んだ。…そう」

 

 

藍染を円形状に囲む白い柱。

 

 

「これがその」

 

「…待――」

 

(こたえ)だ」

 

 

藍染はルキアの心臓を貫いた。そして『崩玉』をルキアの中から取り出す。

 

 

「…ほう、魂魄自体は無傷か。素晴らしい技術力だ。…だが残念だな。君はもう用済みだ」

 

 

藍染はルキアを持ち上げギンに命じた。

 

 

「殺せ、ギン」

 

 

ギンは斬魄刀に手をかけると「…しゃあないなァ」と言う。

 

 

「射殺せ『神鎗』」

 

 

ギンの斬魄刀の刃が伸びる。ルキアの元へとギンの刃が行ったか、と思ったが――。朽木白哉がルキアを庇い刺された。

 

 

「…兄…………様…!」

 

 

朽木白哉が両膝を地面につく。ルキアが白哉に「何故だ」と問いかけるが白哉は答えない。いや、答えられないのだろう。

 

藍染がルキアにジリジリと近づいていく。ルキアはすかさず白哉を抱き締め護ろうとした。藍染が斬魄刀を触ったとき…二人の隠密機動衆が藍染の首に刃を向けた。

 

 

「…これはまた、随分と懐かしい顔だな」

 

「「動くな」」

 

「指一本でも動かせば」

 

「即座に首を()ねる」

 

 

瞬神夜一と二番隊隊長砕蜂が言った。藍染はそれを見て「……成程」と呟く。ドン、と大きな音が3つ。それは兕丹坊以外の門番がこの地に降りてきた音であった。

 

藍染は三人の門番までも手懐けており、更に優勢へと持ち込む。するとまたドン、と音がなった。その音の主は空鶴を肩にのせた兕丹坊が落ちてきた音であった。

 

 

「空鶴!!!」

 

「おう夜一!あんまりヒマだったからよ散歩がてら様子見に来たぜ!」

 

 

空鶴は夜一にそう言うと「さァ行くぜ兕丹坊!」と兕丹坊に声をかける。

 

 

散在(さんざい)する(けもの)(ほね)

尖塔(せんとう)紅晶(こうしょう)鋼鉄(こうてつ)車輪(しゃりん)

(うご)けば(かぜ)

(とま)れば(そら)

槍打(やりう)音色(ねいろ)虚城(こじょう)()ちる!

破道の六十三『雷吼炮(らいこうほう)』!!!」

 

 

空鶴が『雷吼炮』で門番の一人を吹っ飛ばす。しかし他の門番は眉毛一つ動かさなかった。それを見て兕丹坊は覚悟を決め、また一人と門番を吹っ飛ばす。

 

砂やら小さな岩などがボク達に当たる。

 

 

「うわぁ、派手だなぁ」

 

「どないしよか?」

 

 

ボクとギンは飛んでくる小さな岩を手で払い除けていたら手首を捕まれる。

 

 

「動かないで」

 

 

ボクとギンの手首を掴んでいたのは乱菊でボク達は捕まってしまう。

 

 

「すいませーん藍染隊長」

 

「「捕まってしまったわ」」

 

 

藍染はちらりとこちらを見る。乱菊を筆頭に他の隊長各がこの場に集まっていた。優勢から劣勢に、そう思われたが――。

 

藍染は笑った。

 

 

「…どうした何が可笑しい藍染」

 

「…ああ済まない時間だ」

 

 

藍染が立っている地面に正方形の光が灯る。その光は空まで行き届き…大虚(メノスグランデ)が空を裂いて出てきた。それも数十体。

 

光は藍染だけではなく、東仙、ボク、ギンの足元にも光が灯る。ギンは残念そうな顔をすると言った。

 

 

「…ちょっと残念やなあ…。もうちょっと捕まっとっても()かったのに…。さいなら乱菊。ご免な」

 

 

ボク達の体が浮き上がる。藍染はかけていた黒淵の眼鏡を握り潰して髪をオールバックにかえた。そして言う。

 

 

「私が天に立つ」

 

藍染は二言ぐらい死神達に言葉を言うと空へと呑み込まれた。それはボク達も一緒だった――。

 

 

 

 

 




~おまけ~

ギン「あ、ああ!!見てた!?見てたやろ碧っ!!ら、乱菊に手ェ繋いでもろうたで!!あ、ヤバいヤバいわぁ!!」

碧「藍染隊長~。ギンが壊れたぁ~薬、薬頂戴~」

藍染「碧、それはもう治せないよ。人間はそこまで万能じゃないんだ」

東仙「其処らに捨てておけ。邪魔だ」

ギン「あ!乱菊や!!」

碧「…こいつ酔ってる?酒の臭いが…」
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