if物語 市丸ギンの息子   作:フ瑠ラン

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戦い

「…なんや覗き見かいなあんまりええ趣味やないなァ東仙サン」

 

「キモい、キモいよ東仙!!」

 

 

本当の事を言っただけなのにボクはギンに頭を叩かれる。

 

 

「…心外だな。君も奴等の動きが気にかかって此処へ観に来た口だろう?市丸」

 

「いややなァ。冗談やないの」

 

「これだから冗談も区別の出来ないお堅い人はさ」

 

「…一旦黙ってくれへん?碧」

 

 

…また頭を叩かれた。痛い。絶対たんこぶ出来たねコレ。

 

 

「ねー東仙。コレどうにかしてよ」

 

 

ワンダーワイスがボクの腕をつかむ。捕まれてない方の手でワンダーワイスを指差すと東仙は「ワンダーワイス」と名前を言う。すると大人しく手を離すなるワンダーワイス。

 

 

「…何やあの難しい子があんたにはえらいなついてるなァ」

 

「…純粋なものはそれ同士引かれ合うものだ。その子が何について純粋なのかは未だ量りかねるがな」

 

「成程なァ。道理でボクらには仲良うしてくれへん筈やね」

 

「え?ボクは至って純粋ですけど?なのに何でギンよりも敵視されちゃってんの?ボク?」

 

 

ボクがワンダーワイスを指差して言うとギンは「当たり前やろ」と言った。

 

 

「生粋のドSが何言っとんねん。アホか」

 

「はあ!?Sじゃないし!!どこ見て言ってんの!?」

 

 

ギンの胸ぐらを掴みグワングワンと揺らす。

 

 

「…っちょっ、止めてェ。酔う、酔うから」

 

「………奴等五人に別れたんだが…」

 

 

東仙はボクとギンが言い合っているのを見ながら小さく呟いた。

 

 

「ボクはSじゃなぁぁいいいい!!」

 

「…吐く…」

 

「ワンダーワイス!!袋だ!!袋を持ってこい!!」

 

「……袋…?」

 

 

その場はカオスだった。

 

 

 

 

▼▲▼▲▼

 

 

「あー。碧のせいで大変な目にあったわ」

 

「ホント何ボクの一張羅に吐いてくれてんの!?汚れた!!臭い!!」

 

「何度も止めろ言うたわ!!それを無視して振り続けたんは碧やろ!!」

 

「はあ!?ボクが悪いって言ってんの!?」

 

「碧、ギン。喧嘩は止めてもらえるかな」

 

 

「せめて外でやって来てくれ」そう言う藍染にボクは挙手して言う。

 

 

「藍染隊長ー。喧嘩してませーん。ただのじゃれ合いでーす」

 

「そやそや。これが喧嘩の内に入るんやったらボクら何回も喧嘩やっとるで」

 

「……無性に燗にさわるね」

 

 

プププと笑うと藍染にギンと共に軽く頭を叩かれた。ジンジンする。

 

 

「…何か言うことは?」

 

「「ご、ご免なさい…」」

 

 

 

 

 

▼▲▼▲▼

 

 

「眠ーい。何かあったらギン起こして」

 

「今寝るん?場違い過ぎるやろ」

 

 

横でブツブツ姑のように五月蝿いギンを無視してボクは目を瞑る。そして、目を開けた時は……

 

 

「何で現世?」

 

 

護廷十三隊を敵にしてギンに抱えられてました。

 

 

「ほんま何度も起こしたんやで?なのにこの状況下で寝れるってどれだけの神経しとんねんお前」

 

「…なんかご免なさい」

 

 

とりあえずギンにおろして貰う。

 

 

「寝起きに戦闘かぁ。きっついなァ」

 

「多分未だボクらは戦闘せんで」

 

 

ギンがそう言った瞬間――

 

 

「おー、珍しい」

 

「イヅルが怒っとるなぁ」

 

「「元気そうで何より」」

 

 

急激に大きくなったイヅルの霊圧を感じてボクとギンは笑いながらそう言った。

 

 

「何でこんなにイヅル怒ってるんだろ?」

 

「大方イヅルと中った奴がボクらの名前出したんとちゃう?ボクら裏切り者やし」

 

「そっか」

 

 

 

ここでボクとギンの会話は途切れた。

 

ピクリとギンの眉毛が動く。

 

 

「…乱菊…」

 

 

反射だろうか。ギンは斬魄刀の柄を手にかけている。

 

 

「抑えて、ギン」

 

「…わかっとる」

 

「わかってないよ」

 

「わかっとる!!」

 

「なら…斬魄刀から手を離しなよ」

 

 

ボクがギンの手を指差すとギンはハッとしたような顔をして斬魄刀から手を離す。

 

 

「…もう少し、もう少しだから……抑えて、お願い…!」

 

「……わかっとる…」

 

 

ギンの横顔は苦しそうで見てるこっちが辛かった。

 

 

 

 

 

▼▲▼▲▼

 

 

「…なんやえらい…懐かしい顔が揃うてるやないの」

 

「ホントだ。平子サンいるじゃん。生きてたんだ」

 

「久し振りやなァ藍染」

 

 

目の前には昔失踪したとされる元隊長各がたっていた。それは懐かしい顔が沢山いて表情筋がついつい緩みそうになってしまう。

 

だが直ぐに戦闘は始まり簡単に“フーラー”がやられてしまう。それを見たギンが嬉しそうな声色で言った。

 

 

「ひゃあ可哀そ」

 

 

戦闘を観戦していたボク達だが平子さんがボク達に攻撃を仕掛けてきたせいで観戦とも言わなくなった。ボクとギンが応戦する。

 

 

「もういいよ。ギン、碧。終わりにしよう」

 

「………何やと…?」

 

 

藍染は用済みのハリベルを斬った。

 

 

「どうやら君達の力では私の下で戦うには足りない。ギン、碧、要。行くぞ」

 

 

ハリベルはすかさず藍染を攻撃したが首を斬られて瞬殺されてしまう。

 

 

「さあ始めようか。護廷十三隊そして――不出来な破面もどき(・・・)達」

 

 

藍染がそう言うとひよ里さんが「…藍染…」と声を漏らす。

 

 

「…迂闊に近付かんとけよ。藍染のあの能力や。考えなしに近付いたらその時点で終いやど」

 

「…わかっとるわ」

 

 

ひよ里さんが歯軋りしながら平子さんの言葉に答えた。

 

 

「アホ。お前に(・・・)言うて(・・・)んねん(・・・)。柄から力抜けひよ里」

 

「流石思い遣りの深い言葉だ。平子隊長(・・・・)

 

 

藍染の言葉にひよ里さんが顔を上げる。藍染の言葉に反応するひよ里さんを平子さんが咎める。

 

 

「だが迂闊に(・・・)近付いたら(・・・・・)終わり(・・・)とは滑稽に響くな。迂闊に近付こうが慎重に近付こうが或いは全く近付かずとも全ての結末は同じこと。未来の話などしていない。君達の終焉など既に逃れようのない過去の事実なのだから」

 

 

ひよ里さんだけではなく、平子さんを除く他の皆が藍染の言葉に反応する。

 

 

「挑発や!乗るな!!」

 

「――何を恐れるコトが有る?百年のあの夜に君達は既に死んでいると言うのに」

 

 

もう我慢は出来なかった――。

 

ひよ里さんが目をかっ開き藍染に攻撃を仕掛ける。

 

 

「ひよ里っ!!!」

 

 

しかしひよ里さんを攻撃したのは藍染ではなくギン。ギンの斬魄刀『神鎗』でひよ里さんの胴体を切り離した。

 

 

「お一人様お――――終い」

 

「ひよ里!!!!」

 

 

平子さんが慌ててひよ里さんのところへ駆け寄る。

 

 

「…ご……ゴメンな……シンジ……ウチ…ガマンできひんかった……」

 

 

平子は織姫の力にすがった。早く一護は帰って来ないのかと。平子さんの悲痛な声だけが木霊する。

 

平子さんが藍染を睨む。

 

 

「良い眼だ。百年振りに生き返った眼を見た気がするよ。平子真子。憎いかわたしが。憎ければ向かってくるがいい。君は特別に私の剣でお相手しよう」

 

 

平子さんはひよ里さんを地面に置くと「一護が戻ってくるまでハッチ頼む」と言った。

 

 

「随分と信頼しているんだね。あの少年を」

 

「理解でけへんやろ。仲間すら信じひんオマエにはのォ」

 

「信じるということは頼るといえことと同義だよ。それは弱者の行いだ。我々には無用のものだよ」

 

「あんだけ手下引き連れてた奴がよう言うわ。部下には自分のこと信じるように口八丁(くちはっちょう)(たぶら)かしとってんやろが」

 

「いいや。私は部下達に自分を信じろなどとただの一度も言ったことは無い。共に来いとは言ったが信じて共に来いなどとは言わなかった。常に私を含めた何者をも信じるなと言って聞かせた。だが悲しいことにそれを徹底出来る程強き者はそう多くない。全ての生物は自分より優れた何者かを信じ盲従しなければ生きてはいけないのだ。そうして信じられたその重圧から逃れる為に更に上に立つ者を求め上に立つ者は更に上に信じるべき強者を求める。そうして王は生まれそうして全ての神は生まれる。まだ私を信じるなよ平子真子。これからゆっくりと信じられる神が誰なのか教えよう。信じるのは、それからだ」

 

 

藍染は冷たい眼で言った。藍染が斬魄刀を抜く。それを見た平子さんは嬉しそうに「やっと抜きおったか」と言った。

 

 

「オマエは俺の斬魄刀の能力を知らん。――言うとくで藍染。他人の神経を100%支配する斬魄刀がオマエの『鏡花水月』だけやと思ったら大間違いや。――(たお)れろ『逆撫(さかなで)』」

 

 

全てが逆様の世界へと変わる。しかし藍染は「只の眼の錯覚」で済ませ平然と平子さんを斬る。「只の子供遊び」だと。それは一瞬の出来事で、藍染は“ついで”のように東仙も斬る。前の戦いで重症を負っていた東仙は直ぐに死んでしまった。

 

黒崎一護が虚圏から現世へと戻ってきた。そして藍染に斬りかかる。が、藍染に一撃目を防がれてしまう。

 

 

「…良い斬擊だが場所が良くない。首の後ろは生物の最大の死角だよ。そんな場所に何の防御も施さず戦いに望むと思うかい?」

 

 

藍染は振り返って黒崎一護を見据えて言う。

 

 

「…何を考えているか当ててみようか。初擊の判断を誤った。今の一撃は虚化して撃てば一撃で決められた――。撃ってご覧。その考えが思い上がりだと教えよう」

 

 

黒崎一護は顔に仮面をつける。

 

 

「そうだ、来い」

 

 

黒崎の攻撃『月牙天衝(げつがてんしょう)』は藍染に届いていなかった。そして一瞬で黒崎一護の下へと藍染は行くと言った。

 

 

「こうすれば今すぐにでも心臓に手が届きそうだ」

 

 

藍染が黒崎一護に問いかける。藍染に呑まれそうになった黒崎一護を狛村が止める。そしてその場にいた全員が言った。「俺達がお前を護ってやる」と。一護は「みんなボロボロなのに何を言ってるんだ」と言う。すると平子さんは言った。

 

 

「オマエ一人で戦わす方がよっぽど無茶やろ。一人でやられたハラの虫おさまれへん奴がようさんおんねん。一人で背負うな、厚かましい。これは俺ら全員の戦いや」

 

 

そう言って全員が藍染に斬魄刀を向けた。

 

 

 

 

 

▼▲▼▲▼

 

 

藍染だと思っていた者は雛森だった。動揺した隊長各及び仮面の軍勢(ヴァイザード)はやられる。総隊長まで出て来て戦う。総隊長の攻撃、そして黒崎一護の攻撃で藍染を少しだが斬ることに成功した。だがそれは直ぐに治ってしまう。藍染が黒崎一護を“生まれた瞬間から特別な存在だった”そう言った瞬間、元十番隊隊長黒崎一心が出てきた。

 

 

「――喋りすぎだぜ藍染」

 

「………お………親父………か…?」

 

 

全ての真実を知らない黒崎一護は動揺する。黒崎一心は一護を連れて距離を取った。

 

 

「…それにしても随分と長い見物だったね。ギン、碧」

 

「見物してたのと違いますよォ。手助けに入る隙も必要も見つからへんかったんです」

 

「みーんな藍染隊長の方に行っちゃうからこっち暇だったんですよ?」

 

「…そうか」

 

 

黒崎一護が後ろから攻撃してくる。ギンがそれを受け止めた。

 

 

「ねえねえギン。どっちが戦う?」

 

「せやね…。ボクから行こか」

 

 

ギンはそう言うと黒崎一護の下へと歩いて行く。

 

 

「…久しぶりやね。君と戦うんは。今度は手加減無しや。卍解『神殺槍(かみしにのやり)』」

 

 

ギンの周りの建物全てが真っ二つに斬られる。ボクはギリギリ回避成功。

 

 

「あっ、ぶねぇ…!」

 

 

し、死ぬかと思った…!!しかしギンの攻撃は黒崎一護に止められていた。

 

 

「同じ卍解が卍解で止められるワケねぇだろ」

 

 

そう言って黒崎一護がギンに攻撃する。ギンは避けられず頭に傷を負ってしまった。

 

 

「ギン…!!」

 

「大丈夫や。安心してええよ」

 

 

「にしても…」とギンが言葉を続ける。

 

 

「…やっぱり気味の悪い子や。怖いなァ。これは今のうちにちゃんとお仕置きしとかんと…難儀なことになりそうや」

 

 

ギンはいつの間にか斬魄刀を縮めており、それを構える。

 

 

「さてしかしどうしたもんやろね。ボクの卍解はあっさり止められてもうたし――普通に戦うしかないんやろか」

 

 

そう言ってギンは黒崎一護に突進する。素早い剣技。黒崎は防御で精一杯だ。

 

 

「大した刀やね。斬り込んでるこっちのんが折れてしまいそうやわ」

 

「よく言うぜ。じゃあさっさと折れちまえよ!」

 

 

ギンは黒崎一護と間合いを取ると『神殺槍』を伸ばし黒崎一護の肩を斬る。黒崎一護は戦いの中でギンの卍解が一番怖いのかを見極めた。伸縮の速度(・・・・・)だと。

 

それを聞いたギンはニヤリと笑みを深めると手を叩いた。そして言ったのだ。『神殺槍』の速さは手の叩いた音が聞こえる速さの五百倍だと。そしてそれを知ったところで勝ち目はないと。

 

 

「…大丈夫だよね、ギン」

 

 

――何か嫌な予感がする。

 

 

その嫌な予感が当たってしまった。ボクは目の前が真っ暗になる感じを感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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