ギンが乱菊をどこかに連れて消えたとか今となってはどうでもいい。今のボクにはギンが
「…ギ、ン……?」
乱菊が空から降ってくる。ボクの体は冷たくなって動かない。
やめろやめろやめろやめろやめろヤメロっ!!
ギンの下へと走って行きたいのに足が鉛のように重くて動かない。指先が驚くほど冷たい。自分の顔が自分で理解出来る程――青い。目が充血してボクは…吼えた。
「あいぜェェェェンンンンンンン!!」
ボクは藍染に斬りかかった。
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碧から違和感を感じ始めたのはだいぶ前からやった。何者なのか、ボクは詳しいことは知らん。ずっと考え取った。そして結論に行き着いた。
碧は多分ボクの息子や――。
母親はきっと乱菊だろう。時折見せる碧の笑顔。あれは乱菊の笑顔と同じだ。どこの世界のボクの息子かは解らんけど――ご免な碧。この世界では生んでやれんかった。
黒崎の強い眼になったのを見てボクは安心する。ふと視線を外すとそこには小さい碧が眼に涙を溜めてこちらを見ていた。
この世界で生めない事を謝る?いや……ここはお礼を言おう。少なくとも何らかの形で碧はこの世界に来てくれた。ボクに顔を見せてくれた。こんな情けないボクに着いてきてくれた、その事全てのお礼を言おう。最高な笑顔で。
「ありがとう」
この世界に少しだけでも来てくれてありがとう
ボクと一緒に行動してくれてありがとう
ボクに笑顔を見せてくれてありがとう
ボクと乱菊の奪われたモン取り返そうとしてくれてありがとう
ボクの息子…ボクと乱菊の息子として生まれてきてくれてありがとう
――さいなら
小さな碧から「こちらこそ、ありがとう」と言われたような気がした。
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ボクの斬魄刀は藍染に意図も容易く受け止められてしまう。
「キミは随分とギンに執着していないかい?」
藍染はそう言うと言った。
「やはり君達
「!!」
「どうやってこの世界に来たのかは流石の私でも解らない。教えてくれないかい?」
ボクは無言で斬魄刀を振り回す。
「…無視か」
「……ボクは藍染に嘘をついていた」
「……」
ボクは斬魄刀の握る力を強める。
「ボクは火炎系の斬魄刀だと言ったな?ホントは違うんだ。名だって『鬼火』じゃない。ボクの斬魄刀は――
黒い霧がボクと藍染を覆う。
「
ボクの斬魄刀が『神殺槍』へと変わる。藍染は一瞬驚いた顔をすると「成程」と呟いた。
「キミの斬魄刀は只の
「ボクの斬魄刀は契約している
妲己が得意とするのは“変化”。その変化の力を使って色んな斬魄刀のに姿を変えることが出来る。
「…しかしこの程度の力。先程のギンの攻撃の方が強かった。もうしかしたらその妲己とやらは持ち主以上の力を出すことが出来ないんじゃないのかな」
「!!」
「もしそうでないのなら、キミはまず『鏡花水月』を使えばいい。しかし使わないと言うことは…本体を持っている私には通用しないから。それでいて幻覚の作用も弱いのだろう。…残念だ」
藍染はそう言うとボクの体を斬った。
「本物以上に成れない物真似など虫けら同然だ」
勝てなかった。仇を討てなかった。ここで死ぬのだろうか。もう何もかもがどうでも良くなってきた。ああ、死ぬをだな。
ボクの体が光に包まれた――。
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「もォー。何でアタシが
「
暗い、暗い道。そこには
「
そう言って歩く創造主サマを見てマジシャンズ・レッドは頬を膨らませる。
「いい退屈しのぎになったよ。彼は良かった」
「ホント創造主サマって兄に似て性格悪いよねェ」
「…先の言葉は撤回しよう」
創造主サマの言葉に思わずマジシャンズ・レッドは吹き出す。
「どれ程嫌ってるのォ!?クククッ」
「……
二人は足を止めると大きな扉がギギギと音を立てて開いた。扉はとある場所の空に繋がっていた。下を見るとそこには市丸ギンが立っていた。
「…初めまして、かな。市丸ギン」
「はよ碧返して貰えんか」
一年。碧がいなくなって本当の世界は
碧の体は本当の世界の体の形になっており、子供の姿だ。碧が飛ばされた世界の体は本当の碧の体ではなく、マジシャンズ・レッドが作った「魂すら違和感を感じない本物そっくりな体」に一時的に碧の魂魄を移していた。そのお陰で藍染に体は殺された碧だが瞬時に本物の碧の姿に魂魄を移し変えたことで生き延びている。
マジシャンズ・レッドは市丸ギンに碧を引き渡す。
「今回は有意義な時間を過ごせた。ありがとう、そして済まなかった」
創造主サマは市丸ギンに頭を深く下げるとマジシャンズ・レッドと共に何処かへと消えてしまった。
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戦争が終わって藍染は投獄された。ギンは死んで碧はいなくなってしまった。
「碧っ!!碧っ!!」
あたしはいなくなってしまった碧をずっと探し続けた。
「おい、松本。一体誰を探してる」
「碧が!碧がいないんです隊長!!」
あたしがそう言うと隊長は首を傾げて「…碧って誰だ……?」と言った。
「…え?」
「松本の知り合いか?」
あたしは碧の特徴をあげていく。だけど隊長は「知らない」と頭を横に振った。
碧の存在を覚えているのはあたしだけだった――。
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碧が眼を覚ました。あれから一週間眼を覚まさなかった碧。ボクは碧に抱きついた。
「大丈夫か、碧っ!?怪我しとらんか…?」
「怪我?そんなのしてるわけないよ。だってボク
「もぅ心配性だなぁ」と笑いながら言う碧にボクは眼を見開く。…もうしかして記憶が抜かれとる……?この後碧に確かめを取ったら「友達を作るために散歩して帰って来て疲れて寝た」と返って来た。
碧に何があったのかは解らんけど、記憶を消すほど悲しいことがおきたのならボクは詮索はせん。碧が無事に生きているのであれば――。
少年は記憶を消した。
記憶を消したことで少年は忘れようとした。
記憶は忘れても魂魄は覚えている。
楽しいあの記憶も悲しいあの記憶も全て。
いつか少年が思い出すその日まで――
――パンドラの箱に仕舞われることとなる。