これは市丸ギンの誕生日に書いたお話。漸く出せました。
9月10日
今日は父ちゃんの誕生日。母ちゃんが気合いを入れて現世へと来ていた。
「久しぶりね!碧っ!!」
ボクの顔を見るなり母ちゃんはボクを抱き締める。母ちゃんの包容な胸に顔が埋まり息が出来ない。その為背中をバンバン叩くのだが、母ちゃんは「そんなに喜んでくれてるの!?碧好きっ!!」等と言って悟ってはくれない。
「ら、乱菊さん碧くん多分苦しがってるんじゃ…」
「あら?そうなの?ならちゃんと口に出さないとわからないわよ碧」
織姫さんに助けられた。危うく実の母親に殺されるところだった…。いや、口に出せって言われても喋れない状況下だったし。
今は父ちゃん抜きでお出掛けだ。勿論お出掛けの目的は父ちゃんの誕生日プレゼントを買うため。
ちなみに何故ここに織姫さんがいるかと言うとボクは父ちゃんへの誕生日プレゼントを買ったこの後織姫さんの家に直行しないといけないからだ。
誕生日の日ぐらい二人でラブラブして欲しいと言う子供なりの気遣いである。
「碧はギンになに買うの?」
「ボクは、父ちゃんの好きな小説家さんの新作だよ。買いたいとは言ってたけど本屋に行く用事もそんなになかったから買おうかどうか悩んでるのを見てこれを買おうかなって」
ボクがそう言うと母ちゃんは「あたし、なに買おうかしら……」と言った。
「干し芋?」
「母ちゃん、それ父ちゃんの嫌いなもの。せめて好きなものあげてよ」
父ちゃん曰く昔、上司に干し柿と称して干し芋を食べさせられたらしい。干し柿に似てるくせに柿じゃないことに怒りを覚えてから嫌いになったとか。ちなみにこれのせいで瀞霊廷通信と言うものに「んなアホな」と言う題名で連載を持っていたらしい。
「…んー、ギンって物とか欲しいってあまり言わないから困るのよねぇ」
「父ちゃん物とか必要最低限しか買わないよね」
「母ちゃんと違って」とボクが言うと母ちゃんに頭を叩かれた。
「だって家にあるタンス全部母ちゃんの服で埋まってるじゃん。着ない癖に何で買うの?」
「別にいいじゃない!欲しいんだから!」
母ちゃんを見て女性は全員こうなのか、と思ってしまう。
「織姫さんは母ちゃんと違ってちゃんとしてるよね」
「うーん。私の場合はお洋服とか買うお金がないからなぁ」
「あたしのおさがりあげるわよ、織姫!」「ありがとうございます、乱菊さん!」と女子トークに花を咲かせている為、ボクは置いてけぼり。……本買ってこよ。
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結局母ちゃんは最後の最後まで悩んだ末に写真立てをあげることにしたらしい。母ちゃん曰くそこそこお高い茶色を貴重としたカッコいいやつ。理由は父ちゃんがいつも家族皆で撮った写真を大事そうに持っているから、だそうだ。
「じゃあ織姫、碧を頼んだわよ」
「任せて、乱菊さん!」
「お幸せに~」
ボクん家まで母ちゃんを送ってボクと織姫さんは織姫さんの家へと向かう。
「今日は何が食べたい?」
「私、碧くんの為に腕を奮っちゃうよ!!」と織姫さんが言うのでボクは「パスタ食べたい」とリクエストした。
「パスタ、パスタかぁ~。んー、あんこ風味のカルボナーラ風パスタ作ろう!!」
…果たしてボクは生きて父ちゃん達の元へと帰れるのであろうか。
ちなみに織姫さんの作ったあんこ風味のカルボナーラ風パスタは意外にも美味しかった。
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「誕生日おめでとう、父ちゃん」
父ちゃんの誕生日は昨日終わってしまったけどボクは気にしない素振りで綺麗に包装された本を渡す。父ちゃんは本を見た後嬉しそうな顔をして「ありがとう、碧」とボクの頭を撫でた。
どうやら母ちゃんは写真立てを3つ程買ってきたらしく、その写真立てには既に写真が入れられていた。
1つ目の写真立てには父ちゃんと母ちゃんが小さい頃の写真。
2つ目の写真立てには父ちゃんと母ちゃんの結婚式の写真。
3つ目の写真立てにはボクが生まれて父ちゃんの指をしゃぶっている写真だった。
「ボク、今幸せや」
「なら良かった」
「今何歳?」と聞けば「覚えとらんよそんなチマチマしたこと」と返ってきた。
「意外と大雑把だよね、父ちゃんって」
「乱菊程じゃないけどな」
「ちょっと。それ、どういう意味よ」
ボクと母ちゃんの目が合う。二人で頷くと父ちゃんに抱きついて言った。
「ギン」「父ちゃん」
「「お誕生日おめでとう!!」」
父ちゃんは嬉しそうにボク達の事を抱き締め返した。