if物語 市丸ギンの息子   作:フ瑠ラン

3 / 32
狂ったキャラァ?そンなこと言ってもらえるなンてアタシ嬉しいなァ!!


消えたボクの息子

走って、走って、走った。碧が姿を消して約3日。市丸ギンは居場所の分からない碧をずっと探していた。

 

 

「どこや、碧!!」

 

 

碧が何か事件に巻き込まれているとしたら。そんな事を考えると気が気じゃなくて寝れない市丸ギンは寝るまも惜しんで碧をずっと探していた。

 

大通り。右を見ても、左を見ても、碧はいない。逆に碧どころか、人1人見えない。現在は朝。誰かいても可笑しくない時間帯だ。人気のない静かな大通りは何とも不気味で仕方がなかった。

 

 

「さァさァ!愉しンでもらえてるかなァ!?アタシのMAGIC(マジック)SHOW(ショー)!!」

 

「誰や…アンタ」

 

 

突然現れた朱毛に市丸ギンは警戒する。朱毛の気配すら感じなかった。それに…。

 

 

「その右の面、アンタ破面(アランカル)やな」

 

 

少し前まで見慣れていた白い鬼のような面。それを見て市丸ギンは思わず顔を歪める。それとはまた逆に市丸ギンの顔を見て嬉しそうな顔を朱毛はすると大きな声で喋り市丸ギンの“破面”と言う言葉に大きく肯定した。

 

「そォだよォ!!アタシの名前は“MAGICIANS(マジシャンズ)RED(レッド)”!!破面さァ!!特技はアタシのMAGIC(マジック)SHOW(ショー)で愉しンでもらうことォ!!好きなモノは死神(ヒト)の絶望のカオとォ、赤い血だよォ!!」

 

「アンタ…狂っとるな」

 

「狂ってるゥ?ありがとォ!!アタシにとってはァ褒め言葉でしかないのさァ!!」

 

 

更に顔を歪めた市丸ギンを見てマジシャンズレッドは笑みを深める。

 

 

「キミが探しているのは市丸碧クンかなァ?」

 

「!!アンタ、碧どこに居るんか知っとんのか!!」

 

 

市丸ギンの質問にマジシャンズレッドは「クククッ」と笑うと「知ってるよォ!」と言った。

 

 

「だって彼をこの世界から移動(・・)させたのはアタシだもン!知ってて当たり前だよねェ」

 

「どこにやったんや。はよ、碧返せ!!」

 

「ン~、無理だなァ。キミの要望にはアタシ答えられなィ」

 

 

キランと星が語尾に付きそうな勢いでマジシャンズレッドは言う。

 

 

「アタシはアタシの意志(・・)で行動してる訳じゃァないのさァ!アタシにはアタシの創造主(・・・)がいるゥ!!だからァアタシにはココロもなァにもないただの“操り人形”!!」

 

 

悲しみも何も含んでいない、逆に嬉しそうな声色でマジシャンズレッドは言う。

 

 

「アタシの創造主は望ンでいる!!退屈を忘れたいとォ!つまりィ、今回創造主に選ばれた退屈しのぎはァキミの息子、碧クンだったってことさァ★☆★」

 

「退屈しのぎ…やて…?」

 

「そうだよォ!!碧クンには真実を見てきてもらうのさァ!」

 

「真実?」

 

 

“真実”とはどういう意味なのか。市丸ギンには分かっていない。分かっていないからこそ、マジシャンズレッドは面白くて笑う。「何も知らない死神達(ヒトタチ)は滑稽で仕方がない」と。

 

 

「ヒトには沢山の“もしも”がある!『あそこで飛び降りていなければ』『道路に飛び出さないでいれば』『~を作らなければ』後悔や喜びを沢山に含んだ“もしも”!!さァて、ここでキミにクイズを1つ!!“もし”『この世界がある創造主によって造られた(・・・・)世界』だったらァ?」

 

「創造主によって造られた世界?そんなん」

 

「あり得なくないよォ!だってホントだもン!この世界はある創造主によって造られた(・・・・)世界!!それもォ沢山の“もしも”が“分岐”して造られた世界さァ!!」

 

 

マジシャンズレッドは市丸ギンとの少しの間合いを一瞬で懐に入ると言った。

 

 

「“もしも”キミがあの時キミが松本乱菊に助けられていなかったらァ?“もしも”あの時黒崎一護に全てを託しキミが絶命していたとしたらァ?」

 

「~っ!!」

 

「“もしも”キミの息子が生まれていなかった(・・・・・・・・・)としたらァ?」

 

 

もしも碧が生まれていなかったとしたら、少しだけ市丸ギンは想像してしまう。きっと市丸ギンは1人で現世に住むことになるだろう。もし、そうだとしたら。それはとてもつまらない。

 

 

「彼にはねェ、その“生まれてこない”世界に少しだけ翔んでもらってるンだァ。だァかァらァ、暫く帰れないのォ」

 

「そんなん言われても「はい、そうですか」って言ってなぁ、引き下がるほどボク、ええ子やないんよ。意地でも返してもらうで」

 

「何故キミはそこまで碧クンに執着するのォ?」

 

 

マジシャンズレッドが聞くと市丸ギンは当たり前だと言うように笑った。

 

 

「それは…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――碧がボクの大切な息子やからや

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピクリとマジシャンズレッドの眉が動く。

 

 

「……」

 

 

マジシャンズレッドは何も言わない。数秒、時が過ぎるとマジシャンズレッドは笑った。

 

 

「そうかァ。分からないなァ」

 

「別に分からんでもええで。キミはここでボクが殺すんやから」

 

 

懐から取り出した脇差し(斬魄刀)。それを構えると市丸ギンは解号を呟く。

 

 

射殺(いころ)せ『神鎗(しんそう)』」

 

 

市丸ギンの斬魄刀『神鎗』は物凄い早さでマジシャンズレッドの顔めがけて伸びる。ギリギリ『神鎗』の早さについていけたマジシャンズレッドは避ける。

 

 

「あはッ★危ないなァ★☆★」

 

「全然そうは見えへんで。正直楽勝とちゃいますか?」

 

「全然だよォ☆こう見えてもアタシ避けたの凄くギリギリなンだからァ!!」

 

 

悠長に話している間に市丸ギンの第二擊目に襲われるマジシャンズレッド。第二擊目もギリギリのところで避けるとマジシャンズレッドは声に出して大きく嗤った。

 

 

「アッハッハッハ!!どォしよォ!これじゃァアタシ勝てないよォ!流石元三番隊隊長なだけあるなァ!★☆★」

 

 

第三擊、四擊、と攻撃をギリギリ避けるマジシャンズレッドは言う。市丸ギンから見るとマジシャンズレッドはまだまだ余裕そうに見えてそれがまた、市丸ギンの怒りを誘うのだ。

 

――プルルルル

 

マジシャンズレッドの携帯が鳴る。マジシャンズレッドは市丸ギンの攻撃を避けながら通話を始めた。

 

 

「ハロハロ?こちらMAGICIANS(マジシャンズ)RED(レッド)ォ!」

 

『遊ぶの…止めて。時間…ありません』

 

 

マジシャンズレッドの電話の相手はどうやら少女らしく、小さな少女の声が聞こえた。

 

 

「えェ!?今から愉しい時間なのにィ!キミはアタシの愉しい時間を奪うつもりなのかィ!?」

 

『…困ります……』

 

 

本当に困ったように言う少女。どうやらマジシャンズレッドはこのギリギリの直面が愉しく、それを指摘されたことが気に入らないらしい。

 

 

MAGICIANS(マジシャンズ)RED(レッド)

 

「oh~創造主サマァ★☆★」

 

 

どうやら通話する相手が変わったらしい。次は男性の声に変わった。

 

 

『残念だが、時間切れだよ』

 

「えェ~!!これからが愉しい時間なのにィ!」

 

『また、今度遊びなさい』

 

「はァい」

 

 

マジシャンズレッドは大人しく男性の言い付けを聞くと通話を切った。マジシャンズレッドは市丸ギンを見てこういい放つ。

 

 

「残念だけどォ帰らなくちゃいけなくなっちゃったァ★ごめンねェ☆」

 

 

謝罪とは思わせない口振りである。もちろん市丸ギンだって逃がすつもりはなく「逃がさへんよ」と『神鎗』を構える。それを見たマジシャンズレッドは困ったように嗤った。

 

 

「ン~、アタシも遊びたいンだけどォ、創造主サマがァ、帰ってこいってェ。創造主サマの言い付けはアタシ達の中では絶対なんだァ☆」

 

「こっちとしても碧、返してもらうまでは返せんなぁ」

 

「はいは~い、そこ、危ないですよ~」

 

 

間延びした中性的な声が聞こえたかと思えば市丸ギンに何本もの電柱が襲いかかった。

 

 

「げェ。何でここに“掃除屋”がいるのさァ!」

 

「どうも~。創造主サマに頼まれて飛んできた掃除屋です~。以後、良しなに~」

 

 

金髪のメッシュが入った黒いフード付きパーカーに程好い長さのズボンを履いた青年――それも、鼻の下から顎までは白い仮面がついていて破面だと言うことが伺える。

 

 

「ココに来たのは、ボクだけじゃないんですよ~」

 

「こ、困ります。早く帰りましょう、マジシャンズレッド」

 

PINKY(ピンキー)まで来たわけェ?サイアクゥ」

 

 

先程までマジシャンズレッドと通話をしていた声――薄いピンクのボーイッシュな髪型に、白いワンピースを身に纏った少女、ピンキーは顔の左半分全てが仮面で覆われている。彼女も破面だろう。

 

 

「創造主サマがお待ちだよ~」「創造主様がお待ちです」

 

 

声を被せてまで「早く帰ろう」と言う掃除屋とピンキーの声にマジシャンズレッドはキレながら「帰ればいいんでしょォ!!帰ればァ!」と言った。

 

 

「文句なら創造主様に言ってください」

 

「そうだよ~。ボク達に当たらないでよ~」

 

「帰るって言ったじゃん!何でアタシ掃除屋に抱えられてるわけェ!!」

 

 

「帰る」と宣言したはずのマジシャンズレッドはいつの間にか掃除屋に肩で担がれており、マジシャンズレッドはバタバタと動く。

 

 

「止めて~。落としちゃうから~」

 

「なら止めろよォ!」

 

「逃げるの、ダメです」

 

「逃げてねェしィ!」

 

 

「ン~でもなぁ」と困ったように空いている手で頭をかく青年。それを見たピンキーは「早く帰りましょう」と言っているか市丸ギンを見据えた。

 

 

「では」

 

「これにて~」

 

「おーろーせーよォ!!」

 

 

ピンキーが煙玉を地面に叩きつける。煙が大通り全てを覆う。周りが見えない。マジシャンズレッド達の気配もしなくなった。市丸ギンは舌打ちをする。

 

 

「…逃げられて、しもうた…」

 

 

早く、早く碧を見つけて抱き締めて、碧が生きていることを実感したい、と思う市丸ギンであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

▼▲▼▲▼

 

 

 

 

 

 

「お帰り。MAGICIANS(マジシャンズ)RED(レッド)、掃除屋、PINKY(ピンキー)

 

 

薄い水色が混じったような白い髪色をした青年。青年は頭に黒いサングラスをつけていて正直言って似合わない。青年の仮面は右目だけを覆うようにしてできていた。

 

 

「ただいま帰りました~創造主サマ~」

 

「ただいまです」

 

「……ただいまァ」

 

 

まるで遊ぶオモチャを取られたように不貞腐れているマジシャンズレッドを見て「創造主サマ」と呼ばれた青年は困ったような顔をする。

 

 

「ごめんよ、MGICIANS(マジシャンズ)RED(レッド)

 

「もっと遊びたかったのにィ~」

 

「そもそもキミは遊ぶ為に行かせたわけじゃないだろ?」

 

 

優しく、諭すようにマジシャンズレッドに言う。マジシャンズレッドは「そうだけどォ~」とばつが悪いように言う。

 

 

「また、今度遊んでいいから」

 

「むゥ、約束だよォ」

 

「嗚呼、約束だ」

 

 

「ならいいやァ」と満足したらしいマジシャンズレッドは部屋を出ていく。マジシャンズレッドが出ていったのを見て「創造主サマ」と呼ばれている青年は「仕方がないなぁ」と声を漏らした。

 

 

「どうだった?市丸ギンは」

 

「市丸碧、凄く探してた」

 

「大切にされてるんですね~。市丸碧~」

 

「市丸ギン、親の顔だった」

 

「だね~」

 

 

二人の話を聞いて「創造主サマ」と呼ばれている青年は「そうか」と言った。

 

 

「退屈しのぎになりそう~?創造主サマ~」

 

「うん。今回はアタリだね」

 

「なら、よかったです」

 

 

これから先のモノガタリを見て精神を安定させられるのか、市丸碧のことを考えるとニヤケが止まらない。誰でも良かった。「創造主」の生け贄になるのは。偶々だった。「創造主」がマジシャンズレッドを作って(・・・)本当の世界を見つけた(・・・・)のは。本当の世界にはいないイレギュラーな市丸ギンと市丸碧。退屈が消えたような気がした。退屈がなくなる予感がした。だから使った。ただそれだけだった。

 

 

「嗚呼。こんなにもドキドキワクワクしたのは久しぶりだよ」

 

 

「創造主サマ」は呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




【設定】

名前:MAGICIANS(マジシャンズ)RED(レッド)
身長:百七十六
体重:六十二
性別:女
所属:破面
容姿:
朱く左右に結われた髪、黒いシャツと短パンの上に白くブカブカなコートを羽織っている。右の顔から髪にかけて狐のような仮面がある。大体20代前半に見える。



名前:掃除屋
身長:百九十八
体重:八十二
性別:男
所属:破面
容姿:
金髪のメッシュが入っていてガタイがいい。黒いフード付きパーカーを着ている。下は程好い長さのズボン。鼻の下から顎まで覆う仮面。大体背の高い10代に見える。



名前:PINKY(ピンキー)
身長:百四十八
体重:三十九
性別:女
所属:破面
容姿:
薄いピンク色でボーイッシュな髪型をしている。服装は白いワンピースで肌は色白。黄色と白のオッドアイで左半分全てが仮面で覆われている。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。