if物語 市丸ギンの息子   作:フ瑠ラン

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番外編⑥

碧の誕生日。

……ホントは作者の誕生日です。誰か祝って下さい。


市丸碧の誕生日

10月12日

 

それは市丸碧の誕生日である。が、碧は走っていた。つい先日父親の市丸ギンから習った瞬歩を駆使して走っていた。いや、正確に言うと逃げて(・・・)いた(・・)の方が正しいかもしれない。

 

どこに行く!?織姫さん家…?いや、即母ちゃんにバレておしまいだ。ならこの前会った黒崎一護…?いやいや、そもそもアイツの家知らないよ!……じゃあ、浦原…?

 

浦原もバレル可能性が高い、そう判断した碧は浦原に協力(・・)()求める(・・・)ことにした。

 

碧は急いで、全速力で、浦原商店に向かう。

 

 

「浦原!!」

 

「…碧サン。せめてもう少し静かに入ってきてくれませんかね」

 

 

お茶を飲みながら店番をしていた浦原は突然開けられた戸にビビり肩を少しだけ動かす。碧とわかった瞬間は少しだけホッとした表情だった。

 

 

「こんな店ですけど泥棒かって少し焦っちゃったんスから」

 

「違うでしょ?ボクか父ちゃんか瞬時に見極められなかっただけだよね?」

 

 

ボクは父ちゃんの遺伝子をかなり濃く受け継いでいる。霊圧もその濃く受け継いだ1つで、霊圧を消していきなり背後などにまわられるとボクか父ちゃんか一瞬わからなくなる、と母ちゃんが言っていた。

 

浦原は苦笑いを溢すと「で、今日はどんなご用件で?」と話の流れを変えてきた。

 

 

「ボク、尸魂界に行きたいんだ」

 

 

 

 

 

 

 

▼▲▼▲▼

 

 

「ひーつーがーやーくんっ!」

 

「……なんだ平子」

 

 

背後から「わっ」と平子は日番谷に声をかけるが日番谷は大して驚いていない。逆に冷静な顔で後ろに振り返って来るので平子の顔は不満げな顔に変わる。

 

 

「なんや、のり悪いなぁ」

 

 

「乱菊ちゃんなか肩びくつかせて驚いてくれる言うのに」と平子は言う。平子は少しニヤニヤしているのできっとその時の乱菊を思いだし笑っているのだろう。

 

 

「俺は松本じゃねぇ」

 

「せやろな。逆に一緒言われたら俺寝込むで」

 

 

ケラケラと笑う平子を見て日番谷は眉にシワを寄せる。

 

 

「…何のようだ」

 

「いやぁついこの前乱菊ちゃんが碧の誕生日ぃ言うて自慢してきおったからなぁ。どないなモン買ったか気になってん。乱菊ちゃん居るか?」

 

「…現世だ」

 

「え?」

 

「だから!仕事サボって現世に居るって言ってんだよ!!」

 

 

カッと眼を見開き言う日番谷は相当お怒りのご様子だ。その日番谷の圧に押されて平子は「そ、そうか……」と語尾が段々と小さくなっていく。

 

!!

 

平子と日番谷の近くにある気配がした。辺りを見渡すと「いててて…」と頭を押さえている子供の姿を発見する。

 

 

「…雑過ぎ。お陰で落っこちた……」

 

 

銀髪のふわふわとした髪に糸目な目。白い肌に身長とは似合わない痩せた体型。そして……市丸ギンと似たような霊圧。一瞬市丸ギンかと錯覚してしまう程霊圧は似ていた。

 

 

「…ギン、ではないなぁ。まあちびっこい頃にそっくりやけど」

 

 

「誰や、アイツ」と平子は少し警戒した声で日番谷に聞く。日番谷は「はぁ」とため息を出すと言った。

 

 

「松本の息子だよ。名は確か……碧」

 

 

 

 

 

 

 

▼▲▼▲▼

 

「乱菊さんやめた方がいいって、碧くん絶対嫌がっちゃうよ…!」

 

「あら?これでも毎年恒例なのよ?」

 

 

現在松本乱菊は市丸ギンと言うストッパーを家に置いて、井上織姫と現世でショッピングをしていた。ちなみにこのショッピングの目的は碧の誕生日プレゼントを選ぼう!と言う目的である。

 

現在松本乱菊達は空座ショッピングモールと言うデパートの女性服コーナーを歩いていた。

 

 

「毎年恒例でも!碧くん男の子なんだから女装は可哀想だよ!」

 

「んー、けどねぇ。これがあたしからの誕生日プレゼントだし……」

 

 

毎年、毎年。ギンが寝付いた後、乱菊は碧の身ぐるみをひっぺ剥がして、誕生日プレゼントと言う名の嫌がらせをしていた。

 

織姫はその嫌がらせを「やめてあげて」と言うのだが乱菊は「この服も似合いそうね」と全く打ち合う気がない。

 

ピリリリリ

 

織姫の携帯がなる。

 

 

「誰から?」

 

「えーと…あ、市丸さんからだ!」

 

 

ギンから連絡が来た織姫は慌てて通話ボタンをおし、通話を開始する。

 

 

「はい、いますよ。え?いないですけど……えぇー!?」

 

 

織姫は「わ、わかりました!こっちでも探してみます!」と言って勢いよく通話を切った。

 

 

「何かあったの?」

 

 

乱菊の質問に織姫は顔を青くして答えた。

 

 

「あ、碧くんが…居なくなっちゃったって!!」

 

 

 

 

 

 

▼▲▼▲▼

 

 

「ボク、尸魂界に行きたいんだ」

 

 

浦原はその言葉を聞いて驚きの表情を見せる。

 

 

「…確かに尸魂界を追放されているのは市丸サンですから碧サンは行けると思いますけど……理由を聞いても?」

 

 

 

碧は神妙な顔で頷いて言った。

 

 

 

「…もうボクは女装したくないんだ!!」

 

「………」

 

 

その後、詳しく話を聞いた浦原は頷く。

 

 

「…わかります、その気持ち。アタシも若い頃は夜一サンの無茶振りで女装をさせられたときがあったんですが…あの恥じと皆の冷たい目、大きく嗤われた口……全てが今でも鮮明に思い出せます」

 

 

「わかりました、お手伝いしましょう」そう言う浦原に初めて碧は尊敬した。

 

 

「何処の隊舎に行きたいですか?アタシ、設定しておきますよ」

 

「…十番隊で」

 

 

浦原は微笑みながら「わかりました」と言った。

 

 

 

 

 

 

▼▲▼▲▼

 

 

「で、松本の息子が一体何のようだ」

 

「まあまあ。そないシワ寄せたらあかんって。ビビるやろ?碧が」

 

「市丸と松本の餓鬼がこんなところでビビってたまるか」

 

「あ、別に大丈夫です。世の中には色んな人いますから」

 

「……日番谷よりも大人やんけ、碧」

 

 

ヨシヨシと平子は碧の頭を撫でる。碧は気持ち良さそうに眼を細めた。

 

 

「で、遠渡遥々尸魂界にどうして来たん?ってかどないして来たんや」

 

「……逃げて来ました、母ちゃんから。尸魂界に来た方法は浦原です」

 

「…アイツは一体何をしたんだ……」

 

 

遠い目をする日番谷を見て碧は「アハハハ」と乾いた笑いを出した。

 

 

「母ちゃんって沢山サボってるんでしょ?お手伝いができることならボク、やりますよ」

 

「(本当に松本の息子か…?)」

 

「(顔はギン似やけど……性格はどっちとも似とらんなぁ。しっかりしとるわ)」

 

 

日番谷は目頭を押さえて言った。

 

 

「助かる」

 

 

 

 

 

 

▼▲▼▲▼

 

「やっぱり碧くん嫌だったんですよ!乱菊さんがやめないから!」

 

「そんなに嫌がってたのね…」

 

「ボクが寝とる間にそないなことしとったん!?どうりで碧が成長していくに連れて段々誕生日近づくと嫌な顔する訳や」

 

 

「ごめん、碧」と顔を俯かせる乱菊。勿論この場には碧はいない。

 

 

「悔やんでも仕方がないですよ!早く碧くん探さないと!」

 

「でもどこにも…」

 

「まだ探しとらんとこあったやろ」

 

 

ギン、乱菊、織姫は唯一探していない場所“浦原商店”へと向かった。

 

 

 

 

 

▼▲▼▲▼

 

「松本副隊長の息子さん!?す、すみません、こんな手持ちしか持っていませんが…」

 

 

十番隊隊士達はとても優しく、碧が乱菊の子供だと知ると沢山のお菓子やジュースを持ってきてくれた。

 

 

「いい隊ですね」

 

「ああ。なんだかんだでできる奴らばっかりだ」

 

 

「それにしても…」日番谷は視線を下に落とす。

 

 

「済まねぇな。ソレやってもらって」

 

 

日番谷の言う“ソレ”は今日乱菊がやる分の仕事である。日番谷が1の書類のやり方を教えるとなんと碧は10の書類のやり方を覚えた。

 

そして碧は言ったのだ。

 

 

「どうせ母ちゃんサボってるんでしょ?ボクが尻拭いします。下さい」

 

 

と。母親よりもしっかりしている。日番谷はホッとする。松本のダメな部分を碧が受け継がなくて良かった、と。

 

顔だけだったら正直言って乱菊にに似てもギンに似てもモテることは間違い無しだろう。日番谷は少しの間だが碧を観察して思った。「コイツは絶対苦労人になる」と。

 

 

「てめえはしっかりしてるな」

 

「ありがとうございます」

 

 

碧は脅威的なスピードで書類を片付けた。

 

 

 

 

▼▲▼▲▼▲

 

「碧サン?ここにはいませんよ」

 

「…どこ!?碧っ!!」

 

 

パニックになる乱菊にギンが「まあまあ」と声をかける。

 

 

「すぐに帰って来るやろ、碧も」

 

「…そうかしら」

 

「せやせや。だから家に帰って碧待とう。な?」

 

 

ギンに説得された乱菊は「わかったわ…」と浦原商店を出ていく。出ていく乱菊を見て織姫は慌てて乱菊の後を追った。

 

 

「で、どこにおるん?碧は」

 

「お見通しでしたか」

 

「当たり前や」

 

 

浦原は「敵わないッスね」と笑うと「尸魂界に今、いますよ」と言った。

 

 

「…尸魂界、か」

 

「はい。きっと日番谷サン達と仲よくなって帰ってくるんじゃないッスか?」

 

 

浦原がそう言うと同時にギンの携帯がピロリンとなった。メールである。メールの送り主は平子でそこには写真が。平子と碧は肩を組んでピースサインをしており、それにしても無理矢理巻き込まれている日番谷の写真だ。

 

そして平子からは「俺達が責任持ってギンとこに送り返すわ。だからちょっと待っててな」と書いてあった。

 

ギンはソレを見て「仲良うしとるみたいやわ」と笑った。

 

碧が返ってきたのはギンにメールが届いて約1日過ぎた日の事だった。

 

 

 

 

 

▼▲▼▲▼

 

「碧っ!!」

 

 

碧の顔を見たとたん乱菊は抱きつく。

 

 

「ごめん、ごめんね!!」

 

「…もう、しない……?」

 

「しない!!」

 

「そうか。なら帰るぞ、松本」

 

 

碧の声とは違う若々しい声に乱菊はギギギと壊れた音をたてるロボットのようになった。

 

 

「な、何でここに……隊長…」

 

「碧を送り届けるついでにな。てめえも回収しようと思った」

 

「…あたし、碧の誕生日を祝わなきゃ……!」

 

 

救いを求めるような表情で乱菊は言った。それを見た碧はにこりと笑い……

 

 

「行ってらっしゃい。今度はいつ逢えるかな?」

 

 

と言った。乱菊は日番谷に引きずられる。

 

 

「う、裏切り者ぉぉおお!!」

 

 

碧の遅めの誕生日パーティーはギンと二人っきりであった。

 

 

 




例え今日、作者が学校でテストを受けなくてはならなくても、友達から「え、誕生日の日ってテスト日じゃん」と哀れみな目で見られたとしても、家族から忘れないうちにと約一時間フライングの「誕生日おめでとう」を聞いたとしても作者の誕生日です。

碧くんと同じ誕生日にしてみました。

おめでとう碧、おめでとう自分。

テストは死んだ(確定)けど、作者はまだまだ生き続けます。とりあえずは、アンケートを見て新作の下書きを書いていこうと思います。とりあえずはここでこの小説も終了です。ここまでのご愛読ありがとうございました。もし、他に番外編で書いてほしいものがあれば感想欄にお願いします。
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