if物語 市丸ギンの息子   作:フ瑠ラン

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日常編を書こうと頭を悩ませますが、中々思い付かない。そろそろ原作突入の予感。こんなもの書いてほしいなどの要望があれば言ってもらえると嬉しい。


市丸碧の風邪

朝5時。ボクは朝ごはんを作るため、目を覚ました。現在の季節は冬。その為、布団から出たくないのだがその気持ちを押し殺ししぶしぶ冷水で顔を洗う。

 

 

「ゴホッ」

 

 

喉が痛いような気がする。頭が痛いような気がする。あくまでも気がするだけである。ボクが風邪引くなんてそうそうないし(多分)。

 

ご飯を炊いて味噌汁作って鮭を3つ焼く。乱菊は朝はそんなに食べないから量は少なめで鮭の大きさも小さいのを。ギンは気分によって食べる量が違うからいつも適当。多く出しても残しはしないので適当でいいのだ。今回、ボクは食欲がないので少なめにしておく。

 

6時15分頃に頭にピョンと可愛らしい寝癖をつけたギンが起きた。

 

 

「ふあぁぁ。寒いわ~」

 

「おはよ、ギン」

 

 

起きて初めて今日しゃべったのだが、声がなんともガラガラだ。ギンも勿論それに気づいていて「風邪か?」と聞いてきた。ボクは頭を横に振る。

 

 

「朝だから、声が、出てない、だけだよ」

 

 

ギンは納得していない様子だったが「とりあえず顔洗ってくるわ」と言って顔そして寝癖を直しに行った。

 

ギンが戻って来る頃には朝ごはんの準備は完了していて後は乱菊を起こすだけとなった。

 

 

「ボク、乱菊起こしてくるわ」

 

「う、ん」

 

 

いつもなら自分の料理を見て空腹心を擽られ早く食べたいと思うのだが今日はそれがない。逆に吐き気があり正直に言うと今でも吐いてしまいそうだ。

 

 

「おはよ~…顔色悪くない?」

 

 

乱菊が起き、ボクの顔を見て一言。ギンは「さっきよりも顔色悪くなっとるで」と言った。

 

 

「熱あるんじゃない?」

 

「……吐きそう」

 

 

ボクの呟きに驚く乱菊とギン。乱菊とギンがあたふたしてる間に結局ボクは吐いてしまってダウン。布団の中へと連行されてしまった。

 

 

「ちょっとこれ熱高いじゃない!!なんで早く言わなかったのよ!!」

 

 

なんでって…乱菊寝てたでしょ。そんな事を口に出す前にボクは目を瞑った。

 

 

 

 

▼▲▼▲▼

 

 

 

体が弱いのは誰に似たのかはわからない。いつも季節の変わり目に熱を出して父ちゃんに看病されてた記憶がある。

 

 

「きついならきつい、ってちゃんと言わな。ボクわからんで?」

 

「…ごめんなさい…」

 

「怒っとるわけやないんやけどなあ…。まあ早く治し」

 

 

父ちゃんはボクにそう言うと笑って頭を撫でてくれた。父ちゃんの手は暖かくてそれでいて優しくて。安心できた。

 

 

――そんな昔の夢を見た。

 

 

 

▼▲▼▲▼

 

 

女が1人立っていた。銀髪のボクに似たような…まるで成長したかのような男も立っていた。男と女は白い、なにもない世界で何かを話していた。内容は聞こえない。

 

女は姿を変えた。男の姿へと。男は二人になった。表情も体つきも全て同じ男に。男は苦笑いだった。もう1人の男はまるで悪戯が成功した時の子供のような笑みで笑った。

 

場面が変わった。

 

銀髪の、ボクと言うよりかどちらかと言うとギンに…父ちゃんに似た男が口から血を出して倒れていた。それに寄り添うように乱菊に似た…母ちゃんに似た女が泣いていた。

 

それを遠くで目を真っ赤にしたボクを成長させたような男が見ていた。男の顔からは憎しみ、怒り、哀しみ現れていてすぐに分かった。

 

男は叫んだ。なんて言っているかはノイズのようなものがかかっていてわからない。確かのは母ちゃんに似た女が男に何かを言っている事だけ。ギンに似た男は前に立っているオレンジ色の髪をした男の瞳を黙って見ていた。

 

 

「あいぜェェェェンンンンンンン!!」

 

 

急にノイズが取れたかと思えば聞こえたのはボクを成長させたような男が叫んだ『藍染』と言う単語だけ。一体ボクは何を見ているのだろうか。何故こんなにも…『藍染』と言う男を殺したい衝動に駆られてしまうのだろうか。

 

分からない、わからない、ワカラナイ。

 

目の前が赤く、黒く染まっていく。何がなんだか分からない。何故だか恐くて鳥肌が凄くて涙が止まらなかった。

 

ボクの瞳とギン似の男の瞳があった。ギン似の男はこの場では似合わない笑顔で、口パクで「ありがとう」と言った。

 

どんな意味のありがとうなのか分からない。何故ボクが見えているのか分からない。どうしてボクに言うのか分からない。全てが分からなかった。けれど、今ボクもこれを言っておかなければいけないような気がして――。

 

目に涙を溜めてボクも言った。

 

 

「こちらこそ、ありがとう」

 

 

ギン似の男は嬉しそうに笑って、そして瞼を閉じた。乱菊似の女の叫び声が空に、空座町に響いた。

 

 

 

 

 

▼▲▼▲▼

 

 

「ギン!!ギン!!」

 

 

どんなに叫んでも、揺すってもギンは私を見ようとはしない。一護の瞳を見たかと思えば全然違う方をただボーとしたような感じで見ていた。

 

 

「ありがとう」

 

 

ギンが誰かに呟いたかのように言った。ギン、それは一体誰に言った言葉なの?なんでそんなに…嬉しそうな顔をしているの?私には分からない。

 

ギンは暫くすると更に嬉しそうな顔をして目を瞑ってしまった。何故そんなに安らかな顔なのか聞きたくてもギンはもう目を瞑ってしまって聞けなかった。それに今の状態じゃ…声も出せないわ。

 

 

 

 

▼▲▼▲▼

 

 

 

目を開けると一番最初に見えたのは木と藁でできた屋根だった。次に見えたのは心配そうなギンの顔と乱菊の顔。

 

さっきのは…夢か。何を見ていたのか忘れてしまったけれど、悲しい夢だったような気がする。まるで大切な人が死んだような――。

 

 

「大丈夫か?もう夜やけど飯、食えるか?」

 

 

ギンに喋りかけられ現実に戻る。結構長く寝ていたらしい。空腹感はそんなにないけれど何かを胃に流し込まなければならないと思い「少しだけなら」と言った。乱菊はボクの返答を聞いて「あたし持ってくるわ!」と炊事場へと走って行ってしまった。

 

 

「乱菊が珍しく作ったんやで。命の保証は出来ん」

 

「…なにそれ、恐っ…」

 

 

ガラガラな声で言うとギンは「何度聞いてもおもろいわ、その声」と笑いながら言った。仕方がないじゃん。風邪引いてるんだから。

 

 

「持ってきた!!」

 

 

乱菊はどうやら鍋からおわんに少しだけうつして持ってきてくれたようだ。乱菊曰くたまごがゆを作ったらしいのだが尋常デパートないほどグツグツと言っている。少し…煮込み過ぎたではないだろうか?

 

ギンもそう思ったらしく「これ煮込みすぎやない?」と乱菊に言っていた。

 

断言できる。今あんな熱さのたまごがゆなんか食ったら違う意味で喉が死ぬ。それだけは避けたい。だが乱菊作たまごがゆは一向に冷える気はない。

 

あんな人を一人殺せそうなお粥をとりあえず冷めるまで放置しとく事にする。熱のせいか頭が痛いようなボーとして体も鉛のように重い。

 

数十分経つとさすがに殺人たまごがゆも冷めてきて食べれる温度になった。たまごがゆはとても辛かった。そこら辺の漫画の主人公のように口から火が出せるかと思ったぐらい辛かった。

 

余談だが次の日ギンと乱菊も風邪を引いた。

 

 

 

「…あ…~……久しぶりに風邪なんて、引いたわ…ゴホッ」

 

「あ、あたしもよ……ゴホッ」

 

「お粥作ったよ~!!」

 

「…なんでアオイ、そんなに嬉しそうななん?」

 

 

 

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