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「今日はあたしが料理するわ!!」
「「はぁ?」」
乱菊の突然の宣言にボクとギンは顔を歪める。正直行って乱菊は料理は上手ではない。彼女もそれを重々承知のようで料理はボクやギンに任せてきた。
「あたしも女よ!料理の1つや2つできないと!!」
「そんなこと言ってボク達が死んだらもとも子もないやろ」
「ちょっと!!それはどう言う意味よ!!」
乱菊とギンの言い合いをボクは微笑ましく思いながら見ていた。乱菊はギンに拾われここに来た。ボクは乱菊よりも先にここにいたからギンとの付き合いはボクの方が長いのだがどうにもボクよりも乱菊との方が仲良く見えて仕方がない。
それがとても羨ましく、そして喜ばしく思えた。ボクはこの世界の本当の住民じゃないから。そんなに深く関わりは持てない。だから良かったと思える反面少し寂しく思う気持ちもあるのだ。勿論口に出すつもりはない。だって二人ともそんなこと思っていないから。
これからもずっと3人で、なんてそんな夢物語は永遠に続かない。少なくともボクは本当の世界に帰らないといけないし、二人だって二人の未来がある。
「ほら!早く薪とか拾ってきて!!」
ギンと一緒に家を追い出されボクとギンは顔を見合わせる。二人同時にため息をつくと「仕方がないなぁ」と言った。
「…今日、まともなもん食えるとええんやけど」
「…乱菊を信じよう…」
ついこの前作ってもらったお粥がトラウマになりつつあるので正直言って乱菊の手料理は食べたくない。けれど本人はやる気満々なので文句を言うこともできず、腹を括る。ギン、ボクが死んだら骨を拾ってもらいたい。
ギンとふたてに別れて重い足取りで薪を拾っていく。時々黒い死覇装を着た男たちを見かけるが無視した。興味ないし関係もない。
ある程度薪を拾い終えるとギンと合流。どんな夕飯が出てくるのか、なんて議論しながら家までの道のりを歩いた。
遠くから見ても分かった。家がボロボロで、誰かが立っている。黒い死覇装を着てて側に寝ているのは――。
「乱、ぎ、く…?」
隣でギンの呟く声が聞こえた。このままだとボクらまで見つかってしまう。それは…得策ではない。そう判断したボクはギンの片腕をつかんで大きな木の後ろに隠れた。
「離せ!!乱菊助けな!!乱菊助けな!!」
「落ち着いて…!ここでボクらまで見つかったら更に乱菊助けられなくなる!!」
きっとあの男は隊長クラスだ。斬魄刀を所持しないボクでは勝てないだろう。それはギンだって同じ。ギンはボクの言葉を聞いて黙った。そして乱菊を傷つけた男を覚えるように、恨むように見つめていた。
男は乱菊から何かを取ると満足したような顔で消えた。ボクたちは走って乱菊に駆け寄った。
「乱菊!!乱菊!!」
「…気絶してるだけ……」
土まみれになっている乱菊の土を払いおとすとギンが乱菊を背負った。
「一先ず乱菊が安心して寝れるところ探さな」
ボクはギンの言葉に頷いた。
何百メートルも歩いて歩いて歩くと誰も使っていない小屋を見つけた。ついこの前作ってまで人が暮らしていたのだろう。家具とかも充実していて乱菊を寝かせることに成功した。
布団に乱菊を寝かせるとギンは立ち上がった。
「何処に行くつもり?」
「…ボク、アイツがゆるせへん」
「それはボクも一緒だよ」
「…ボク、死神になろうと思う」
「は?」とそっけない声がボクから出たのが分かった。ギンもこんな返答を予想していたのか驚いた様子はない。
「死神になってアイツ欺くんや。そして…乱菊から奪ったものを取り返す」
「……」
「だからボク、行ってくる」
ギンは行き先を告げずに消える悪い癖がある。けれど、ギンはわざわざボクに行き先を告げてくれた。教えてくれた。それがちょっと嬉しくてこんな雰囲気でも笑ってしまう。
「なんで笑っとるん?」
「…ボクも手伝うよ」
「は?」
ボクは笑いながら言った。
「きっとアイツは強い。ボク達よりもはるかに強い。強い相手に1人で勝とうなんて無謀なことしないで二人で力を合わせて確実に勝つんだ。それで、乱菊が奪われたもの、取り返そう…?」
「ははっ……なんやそれ……」
「ギンだけに業は背負わせないよ。ボクも一緒に背負う」
ギンの手のひらを握りしめるとギンは「ありがとう」と小さく呟いた。
「これから、ヨロシクね相棒」
ボクとギンは寝てる乱菊に行き先は告げず死神になるためその場から姿を消した。
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死神になるには
「いっそのこと死神襲おう」
「…それ、大丈夫なの?」
いきなりの爆弾発言にボクは目を丸くしながらギンに聞くと「知らん」と帰って来た。
「けど、襲った死神アイツに見せたら死神なれると思うんや」
「根拠は?」
「勘」
策も何もないのでとりあえずギンの案で行くことになった。とりあえずって言うか…ギンの案は一発勝負でそれもかなりリスクが高い。下手すれば死神になる前に牢に入れられる可能性だってあるし、逆に返り討ちにされて死ぬかもしれない。けど、そんなことを言ってる時間はボク達にはなくてギンの案で行くしかないのだ。
死神を襲う前に乱菊を襲った男のことについて調べた。案外簡単に出てきたのだが――真実とその男の偽りの姿は大変な差があった。
乱菊を襲った男は尸魂界でもモテる男として、有能な副隊長として有名だった。優男だとかなんだとか色々と情報は手にはいった。けれどこれは全て…偽り。
乱菊の大事なもん奪っといて優男?紳士?冗談はよしてもらいたい。あんな冷酷な目をした男が優男で紳士な訳がない。アイツは周囲を嘘の情報で騙しているらしい。
男の名前は『藍染惣右介』。どこかで聞いたことのあるような名前であるが思い出せない為あきらめる。こいつは五番隊の副隊長をやっているとか。
五番隊…これまたどこかで聞いたことのある単語だ。勿論思いだせはしなかった。無念。
「なあ、あれ」
ギンが指差したのは流魂街へと赴く藍染の姿。藍染が瀞霊廷から出たこのチャンスを逃す訳にはいかない。ボク立場近くにいた死神の身ぐるみを全てはきとる。多少怪我はしたが大丈夫だろう。
「…君達は……」
僕達の霊圧に気づいた相手にが近寄ってきて話しかけた。ボクとギンは張り付けたような胡散臭い笑みを浮かべて言った。
「あんた、藍染惣右介言うんやろ?」
「ボク達、どうしても死神になりたいんだ」
「何でも手伝う。せやから――」
「「――ボク達を死神にして」」
藍染惣右介は一瞬キョトンとしたような顔をしたがすぐに笑った。
「…何でも手伝う、それに二言はないね?」
ボクとギンは頷く。すると藍染はボク達に手のひらを差し出してきた。
「いいだろう。私は藍染惣右介。これから君達の上司となる人間だ」
ボク達は忌々しい藍染の手をとった。
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藍染の力によって真央霊術院に通うことが決定したボクとギン。真央霊術院とはとてもつまらないものであった。今では始解も習得し約一年で卒業。みんなからは『神双』と呼ばれるようになった。
「ギンの斬魄刀と同じ名前だね。ボクら」
「ああ、『神双』のことかいな?そう言えばボクら双子だと思われてる見たいやで」
「あ、それ知ってる。ボクも時々ギンと間違えられる」
「ボクもや」
髪の色も表情も体型もほとんど似ているボク達は双子だと思われていた。周りからは見分けがつかないらしく「とりあえず関西弁の方がギンな」という噂が流れている程だ。
ギンは「血は繋がっていない」と否定しているらしいが名字も風貌も同じなボクらが信じて貰えないようだ。ギンは父ちゃんだから血は繋がっているのだけれどこれはさすがに教えられない。
「うわあ、いっぱいスカウト来とるで」
「…全隊舎から来てるじゃん」
「ボクらえらい人気者になってしもうた」
「まさかここまでとは…。噂の力恐るべし」
卒業と同時に護廷十三隊に入らなければならない。その為何処に入ろうかふたりで話し合っているところだ。
「何処に入隊する?」
「五番隊に決まっとるやろ」
「だよね。アイツを監視しなきゃだし」
こうしてボクらは五番隊に入ることとなった。
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「『神双』っちゅう奴は餓鬼なんやろ?そんな奴が入ってきてホント大丈夫なんか」
「確かに彼らは小さい。けれど、力があることは確か。真央霊術院を一年で卒業するなんて前代未聞ですよ」
「それは隊長も分かっていることじゃないんですか?」と藍染に言われ俺は眉を潜めた。藍染、お前は一体なにを考えとる。
『神双』が五番隊に入ると決まる約半年前。五番隊の参席と四席が虚に殺されたと連絡が来た。そのせいで今そこは空席となっており、『神双』の二人は参席と四席につくこととなったのだ。それも…藍染の推薦で。話が良すぎると思った。
まさかお前、『神双』も巻き込むつもりちゃうやろな?ここまで藍染の全て策略通りだとしたら――。俺は少し頭が痛くなった。
「隊長、部下の前なんですからしゃんとして下さいね。いつもみたいなぐーたら披露したら今度こそ殴ります」
「おーおー、上司を殴る副官なんてこの世に存在しちゃあかんやろ。そないなことしたら後でどんでん返し来るで」
藍染は「はぁ」とため息をつくと木製のドアを開いた。
部屋の中には銀髪の二人が椅子に座っていた。開いたドアに気づいたのか少しだけだが戦闘態勢に入る。ほう、反射神経はええみたいやな。
「そんなに身構えないで。この人は一応隊長だから」
「一応ってどう言うことや惣右介。ってこいつら俺に身構えとったん!?」
「「藍染副隊長こんにちわ」」
「なんや!!この餓鬼イラつくなぁ!!」
俺はまるでこの場にいないみたいな扱い方。上司普通はこんな扱い方されへんで。っちゅうか……。
「なんや『神双』の片割れはあん時の餓鬼かいな」
「…ロン毛なオッサン。キモ」
「…お前、やっぱり指導が必要みたいやな」
まさかあん時俺が死神にスカウトした奴が『神双』なんてたいした異名つけてくるとは思わんかったわ。相変わらず口は悪いし上司に「キモい」なんて普通使わんやろ。それにしても。
「お前らほんまに似とるな。それでも血は繋がっとらんとやろ?」
「そうやで。幼なじみではあるけど全くもってあかの他人や」
「この世には同じ顔が3人いるって言うぐらいだしまあ変じゃないでしょ」
「いや、可笑しいやろ!!」
二人とも張り付けたような胡散臭い笑みを張り付けているため全くもって見分けがつかん。ありがたいことに二人の喋り方は違うのでそこから見分けをつける、ということ。こいつらが俺の部下になる。…俺の部下にはまともなもんおらんのか?
「まあ、これから頑張れや。餓鬼共」
「禿げろロン毛」
「宜しゅうお願いしますわ」
「おいこら右!!ちょっと表出ろや!!」
俺は確か碧っちゅう名前の奴を指差した。