とあるバカの幻想拒絶   作:ミリライ

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四話

 

 

 

「‥おはよう」

 

「っ!?む、ムッツリーニか、ビックリした‥」

 

たわいも無い話をしながら登校していると急に後ろから挨拶された。

 

「僕もいるで。おはようなんやで〜」

 

さらにムッツリーニの後ろから青髪にピアスをした少年が歩いてきた。

 

「なんだ、青髪変態コンビも補習なのか」

「ちょっ!誰が変態やって!?」

「‥不名誉な‥!」

 

 

どんなジャンルでも大好物、雑食男青髪ピアス。

寡黙なる性識者(ムッツリーニ)の異名を持つ土屋康太。

この二人は学校で青髪変態コンビと呼ばれており生徒(特に女子)から恐れられてたりする。

 

 

「つーか土屋から全然気配を感じなかったんだが」

「だよね、いつの間にか背後にいたし‥」

「‥強能力者(レベル3)に上がった」

マジかよ!?と、当麻と明久は驚愕する。

 

「一年で2つもレベルが上がるだなんて前代未聞だぜい」

視覚阻害(ダミーチェック)だっけか、気配消せて監視カメラにも映らなくなると手がつけられない能力になるな」

「その能力使って変なことしちゃダメだよムッツリーニ?」

「「‥‥‥」」

 

明久のその言葉で何故か変態二人は目をそらした。

 

 

「‥大丈夫」

「いいか?アキちゃん」

 

 

珍しく真面目な顔でそう言って、

 

 

 

「「バレなけりゃ問題無い」」

 

 

 

「「問題しかねーよ!」」

 

この二人が新聞の一面を飾るのもそう遠くないのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うー疲れた‥」

「島田も苦労が絶えないのぉ」

「おはよー、美波はどしたのそんなダラーっとして」

学校に着いた明久はまず窓側後方の机に荷物を置いた。

そして真ん中らへんの机に座っている男勝りな性格で発火能力者(パイロキネシスト)の島田美波、爺言葉を使う読心能力者(サイコメトラー)の木下秀吉(超絶可愛い、だが男)に近づく。

 

「おはようなのじゃ明久」

「おはよアキ、ちょっと登校途中に美春に追われてね‥」

「清水さんにかー、確か昨日も追っかけられてたよね?」

昨日の放課後に二人が校舎で仲良く鬼ごっこしていたのを見た気がする。

「そうそう、夏休みだしプールに行こうって誘われたけど補習があるからって断ってきた。去年の事もあるし」

「去年というと‥確かプールで色んなことを」

「やめて木下、思い出したくない」

「む、すまぬ‥」

「大変だね美波も‥」

 

清水美春とは島田美波を愛してやまない少女(ストーカー)である。能力が同じ発火能力(パイロキネシス)なこともあって(一方的に)仲良くなったらしい。

 

「そういえば明久よ、姉上から聞いたのじゃが昨日は大丈夫だったかの?」

「ん?あぁ優子さんのこと?」

秀吉の言葉で昨日の夜にあったことを思い出す。

 

いくら左手で消しても襲ってくる風の刃、眩しい閃光を放つ高電離砲(プラズリーム)、などなど。

 

「‥まぁ‥うん‥大丈夫‥」

「姉上はちと強引なところがあるからの、姉上に代わって謝るのじゃ」

別に秀吉が謝る必要ないよ、と笑いながら明久はぽりぽりと頬をかいた。

 

「ふーん、木下のお姉さんとデートねぇ」

「え、いやデートとかじゃなくて」

「‥昨日ホントはウチと約束あったのに‥」

「‥あー」

頬杖をついてむーっとする美波。

 

確かに昨日は映画を見に行く約束をしていたが美波は清水に、明久はその情報を聞きつけたFFF団に追われて結局行けなかった。

ちなみにFFF団とはまたの名を異端審問会と言い異性に縁のある者を物理的に裁く断罪集団である。

 

「その、ちゃんと埋め合わせするから」

「じゃあその‥今度プールに‥約束‥」

チラチラと明久を見ながら小声で呟く彼女。

 

「オッケー、約束ね」

「ホント?絶対だからねアキ!」

「わ、分かったから」

「良かったのぉ島田よ」

「〜♪」

 

明久の二つ返事で機嫌が良くなる美波を見てホッと胸を撫で下ろす。

彼女は早速携帯を起動させてどこのプールに行くか調べ始めた。

 

「うーん沢山あって悩むわねこれ」

「最近できたレジャーランドなんかはどうかな?いろんな種類のウォータースライダーがあってみんなで楽しめると思うよ」

「「‥‥‥みんな?」」

 

あれ?と首を傾げる二人。

 

「いやー当麻達も映画楽しみにしてたからさ。秀吉は演劇部の方が忙しそうだったから誘わなかったけど今度は行けそうじゃない?」

 

「「‥‥‥」」

 

 

そこで二人は思い出した。

この少年が絶望的に鈍感だと言うことに。

 

 

「映画、皆で見る予定だったのかの‥?」

「うん、そうだけど」

「‥明久よ‥お主と言う奴は‥」

「?」

先程の二人と同じように首を傾げる明久。

 

「‥‥‥」

 

突然、美波は無言で彼の手をガシッと掴んだ。

 

「どしたの美波?どうして僕の手を掴んでって痛い痛い痛いっ!指がおかしな方向にっ!?」

「アキのっ‥アキのバカっ!」

「僕なんかした!?ちょっとストップ美波っ!」

「〜っ!!」

 

どうやら明久は美波が怒っている理由が分からないらしい。

そんな彼に彼女は問う。

 

「ねぇアキ、関節外すのと根性焼きどっちが良い?」

「関節外されるならまだしも能力で根性焼きはヤバイって!」

「それじゃあ根性焼きね☆」

「いやぁーーー!!!」

「関節外されるのは別にいいんじゃな‥」

 

 

一方、窓側前方の席では、

「にゃーっ!何故わからない!やっぱり一番はメイドさんなんだぜい!妹だったら尚良し!!」

「何をゆーとるんや!僕はロリのちっささに可能性を感じてるんや!」

「‥ボクっ娘を愚弄する者には死を」

どのジャンルが一番かを決めるしょうもない争いが。

 

 

さらに、後方のロッカー前では、

「ちょっと待て!誤解だ!」

「誤解?それじゃあこの写真に写っているのは誰だ?霧島翔子と‥坂本雄二、お前だ。夏休み前日から早速デートとは面白いことをしてくれたな」

「だからデートじゃねぇって言ってるだろうが!」

「デートじゃないにしても大罪だ。諦めて報いを受けよ」

「くっ!畜生!」

「逃すな、捉えて十字架に吊るせ」

「「「YES」」」

「は、はなせっ!」

雄二がFFF団(ヤバイ宗教)に絡まれていた。

 

 

「はーい補習を始めるですよーって何ですかこの殺伐とした空間はー!?」

 

そこに身長135cm、ランドセルが似合いそうな教師ナンバーワン(文月高校学内アンケート参照)の月詠小萌先生が入ってきた。

状況をしっかり確認してからこの教室を浄化すべくあわあわと動き出す。

 

 

「何回目だろうな、この光景を見るのは‥」

 

そして様々な厄災から逃れる為、前方のドア近くに避難していた上条当麻はやれやれとため息を吐いた。

 

 

こうして夏休みにもかかわらず文月高校二年Fクラスの騒がしい一日は始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うぐぐ‥」

 

と、呻きながら美波に関節技をキメられた身体を伸ばして窓の外をぼーっと眺める。

 

 

インデックスは今どうしているだろうか?ちゃんと教会を見つけられただろうか?もしかしてまたお腹が空いて倒れているんじゃ無いだろうか?

 

 

さっきから明久は彼女のことを考えていた。

クソ暑い教室、何の話をしているのかサッパリ分からない授業、痛む身体。こんな事になるぐらいなら追いかけてでもあのフードを少女に渡しに行けばよかったなぁと後悔する。

 

「‥‥‥あ」

 

今になって彼は気づいた。

なんだかんだで彼女との繋がりが欲しかったという事に。

彼女が「おなかすいた」と笑いながらまた家に来てくれることを無意識に期待してしまっていた。

 

 

 

 

『‥それじゃあ、私と一緒に地獄の底までついて来る?』

 

 

 

そんな優しい言葉で辛そうに笑っていたのを思い出す。

明久と当麻を危険な世界から突き放すために彼女は助けを拒んだ。

 

それなのに自分はどうだ?ただ彼女の笑顔が見たい、あの子の存在が幻じゃないのだと信じたいが為に再会したいと望んでしまっている。

 

「‥‥‥」

 

明久は静かに首を振り授業に集中する事にした。

 

今考えたことを早く忘れようとするために。

 




先週はとある一挙放送を見てサボりました申し訳
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