ベースがある分は案外早く書ける気がしています。
―――二度目の生の最期は絶望と共に終わった
今度こそ忠義を貫きたいというたった一つ懐いた祈りと共に参加した戦いの儀。
名誉と誇りを重んじる優秀な主君に呼ばれ、初戦にて清廉な騎士王と刃を交えた時、その願いは果たされるのだと心を躍らせた。
だがその想いは外ならぬ騎士王の陣営の手によって無残にも踏みにじられ、慟哭と共に葬られる事となった。
―――聖杯なんて要らなかった
生前に後悔はあれど万能の願望機に願う事などない。召喚に応じたのはかつて果たせなかった主への忠節と勝利を捧げたいという想いからであった。
しかしその結末はあの時と同じように主の目の前でその手によって最期を迎えるというもの。そのあまりにも皮肉な結末にもはや哂う事しかできない。
一体何がいけなかったのだろうか。
我が身に科した誓いなのか。理解してくれなかった主君なのか。我が身に宿るこの消えない呪いのせいなのか。それとも己自身だったのだろうか。
聖杯の泥の中で己の結末をあざ笑っていたが、やがて思考は鈍り、心身共に悪意の海へと沈んでいく。
―――揺れる―――揺れる
聖杯という名の黒く穢れた願望機は騎士の心を呪いの泥の中に沈めていく。
後悔、憎悪、悲壮…・・・騎士の心に渦巻く負の想いは泥に飲み込まれ流されていく。すでに自我も希薄であり、ただの聖杯のリソースとして消費される事を待つだけの存在へとなっていた。
永劫に続くのではないかと思う程の地獄。だがそれは唐突に終わりを告げる。煌く黄金の輝きが闇を斬り裂き、騎士の心を捕らえていた穢れた泥の檻から解き放ったのだ。
穢れた泥は虚ろな騎士に器を与え、黄金の強い輝きがその穢れを消し去る。そして英霊の力を溜めていた聖杯から放たれた膨大な魔力は世界の壁に穴を開けるとその身体を次元の狭間を越えた新しい世界に飛ばす。
「ぐっ……!?」
多くの英霊が願う受肉と第二魔法に近しい平行世界移動。奇跡的に引き起こされた二つの現象に巻き込まれた闇に囚われていた騎士は、己の身に何が起きたか理解する事もできぬまま唐突に意識を覚醒させられ、全身を揺らすような感覚と遅れて背中にやってきた衝撃で息を詰まらせる。
連続で襲ってきた衝撃によって脳を揺さぶられた状態に加え、黄金の光の影響で視界を塗り潰されて何も見えなくなっていた騎士であったが、歴戦の英雄たる騎士はそのような状態であってもすぐさま体に力を入れて身体を跳ね上げ、膝立ちになると神経を集中し、何が来ても即座に動けるように構える。
しかしそれ以上何も起きる事はなく、やがて戻ってきた視界が捉えたのは青々とした木々と傍らを流れる穏やかな清流であった。
「ここは……何処だ?」
自身を照らす優しい木漏れ日の中、三度目の生を与えられた忠義の騎士、ディルムッド・オディナは状況が全く飲み込めず、思わずそう呟くのであった。
リメイク決めた時は最低1000文字になってたと知らなくて焦った作者です。
リアル忙しくて書いてる作品結構中断してますが、書きたいなって気持ちはあるのでなるべく早く書いていこうかなと思っています。
久々に描いたから結構推敲したけど納得できてない部分あるので、時間たって読み直してから修正すると思います。