ソードアート・オンライン・フェイトアンコール 作:にゃはっふー
さまざまな出来事の中、フィリアと共に色々とここ《ホロウ・エリア》を調べ回る。だが最近、様子がおかしい。
「フィリア」
「えっ、あっ。な、なにかなメイト?」
「最近元気が無いけど、どうした」
「それは、な、なんでもないよっ」
そう言って彼女は先に進む。それでも届き何か思いつめたように考え込むのを見逃していない。
キリトたちにでも相談するか。ここには俺、セイバー、キリト以外も、キリトと共にアスナたちも来られる。
キリトや俺を通じて他のプレイヤーと出会うが、それでもフィリアはここで一人、ずっと籠っているのだ。NPC、作られた俺ではなにもできないのだろうか。
考えても何も思いつかない、仕方ないのだろう。俺はそう言う〝モノ〟なのだから。そう考え、セイバーが道を切り開く中、先へと進む。
とりあえずいまは考えることしかできなかった。
◇◆◇◆◇
それはとある階層の町でセイバーと共に色々見て回ったり、買い物したりしている。セイバーと散歩と言うわけだ。
「あれれ~、メイトとセイバーだっ♪」
「ストレアか」
「おお、久しいなストレア」
セイバーがそう言い、簡単な作りのレストラン。NPCの店で食事をしているらしきストレアと出会う。買い物をしたのか、傍らに可愛らしいぬいぐるみなどある。
「メイトたちも買い物? ねえねえ、一緒にご飯食べようよっ♪」
「うむ、余は問題ないぞ。奏者は」
「分かった」
彼女はどうやら辛い料理を食べていた。見るからにそう言うたぐいというのがあった。
自分たちも向かいの席に座り料理を頼む。料理を待つ間、ストレアはこちらをじっと見る。向かいの席だからと言うこともあるがずっと見ている。
「どうした」
「ん? メイトがアタシのこと見てたから、見てただけだよ?」
「目の前だからな」
「へえ………」
ストレアが少しだけ悪戯を思いついた子供のような顔をした。なぜか目線を外しながら聞こえるように呟きだす。
「いっや~、少し熱くなってきたな~」
そう言って汗をかいた身体で胸元を見せるようにしていた。
そんな様子を見て、
「………」
「………」
こちらの反応を見ているがすぐにぶーたれる。
「ぶーぶー、メイトはアタシの魅力的なボディに興味ないの?」
「?」
「? どうしたストレアよ。汗をかいて服を脱ぎたくなったか?」
「ここで脱ぐのはまずい、宿に帰って風呂に入るといい」
そんな反応にストレアはぶーぶーと不満を言う。
俺はなにか間違えただろうか? なにかに色々俺の位置では見えそうであるが、見えてないのだから気にすることではない。
結局その後、ストレアも加わった買い物に振り回されるが、セイバーで慣れていたので気にせず共に歩く。
セイバーだけ少し先に進む中、ストレアが腕を組んで目についた物を指さす。そんな風に過ごす中、ストレアが俺の顔を覗き込む。
「ねえねえ、メイトは楽しい?」
「楽しいよ」
「えぇ~、そうは見えないよ~!」
そう言われても、
「セイバーやストレアが楽しそうだから、俺は楽しい。それじゃだめなのか」
「もっとこう、うおーーーーってならないかな!?」
「そうはならないな」
ストレアが俺の身体に触れたり、抱き着いたりする。そんな触れ合いにセイバーも参加して、俺はもみくちゃにされながら休日を過ごすのだった。
◇◆◇◆◇
リソース回復の為、食事を取りながら町を散歩する。様々なNPCやプレイヤーがいる中、俺はセイバーと別行動していた。
セイバーとて自分の時間が欲しいと思った。この前の戦闘で真名を話していないことを気にしていたこともある。俺は別に真名を無理矢理知ろうとは思わない。
俺は〝上〟に行く。その為に必要なら聞きたいが、いま無理に聞く方がいけないと思うからだ。
なにより、別に聞かなくても俺が〝上〟に行くのに問題は無い。
ユウキの件も気を付けている。彼女はいまだ自分たちと行動を共にする。彼女のことはシリカやリーファにも面倒見てもらい助かっていた。
いまのところ問題は無い。そう考えていると、
「? シノン」
シノンがどこかへ、一人で転移門を使うところを目撃した。
シノンはまだ一人でフィールドは早いはず。PKするプレイヤーがいないとも言えない。
フィリアのいる《ホロウ・エリア》。このエリアでもPKがあったらしく、キリトからその話を聞き、十分警戒している。
ともかくいまはシノンか。メンバー全員に連絡するか考えた。セイバーもいないが俺は戦える。それに頷き、すぐに行動した
転移門のデータをコードキャストで確認し、俺はシノンの後を追う。
◇◆◇◆◇
俺は追跡スキルを使い、シノンを追った。コードキャストで時間がかかったが確実にこの層にいるのは確かだ。
場所がどんどん強力なエネミーが出る危険地帯へと入る中、悲鳴が聞こえた。
「シノンっ」
急ぎ駆けだすとシノンがエネミーに囲まれ、HPも心持ない。
シノンがいるのを確認してすぐに俺は
唖然とするシノン。すぐに回復したてのリソースが底を尽き、膝を付く。
「メイトっ」
リソースが切れ、すぐに立ち上がることはできなかった。だが駆けつけたシノンを見る。問題なさそうだ。
「シノン、無事か」
いまはそれしかいまは言えない。
なんとか剣を支えに立ち上がり、その様子にシノンは塞ぎこむ。
「ごめんなさい………」
「シノンやリーファは《ナーヴギア》じゃないかもしれないけど、HPが無くなるのは危険だ。なんでこうな無茶を?」
「そんなこと、分かっているわよっ」
前衛で無いシノンではここは危険なのは本人も分かっていた。彼女はそう言い、悲しそうな顔をする。その顔を見たとき、俺の中にあるそれが囁く。
ああそうか、シノンは………
「でも……そうなるのなら、それでもいいと、思った………」
「………死んで良いと思ったのか」
死を求める者。現実を受け入れられず死を求めたデータがある。俺には永遠に分からない感情なのだろう。俺はすでに死者であり、生者ではないのだから。
なによりシノンは自分の身体を抱きしめるようにして震えていた。
「このまま無力に怯えて生きていくよりか………」
俺の問いかけに答えるシノン。だけどすぐに首を振る。弱々しく立ち上がった俺に近づき、小さく呟くように話し出す。
「けど、HPが赤くなって、これで消えるのかと思ったら……怖くなった」
静かに俺の胸に顔を押し付け、彼女は震える身体で呟く。
「怯えたまま……ずっとなにも出来ないまま終わってしまうのが……。辛……くて、悲しくて………」
「シノンたちはそれでいい、それが正しいんだ」
「メイト………」
泣いている彼女を見ながら俺は言う。
「俺は作り出された〝モノ〟だ。始まりの感情もなにもかも、他人が定めたものだ」
だけど、
「〝上〟に行くこと、そしてシノンを助けたことは、俺が決めた俺の意思だ」
「!」
「………生きていてくれてよかった」
そして涙を流すシノン。しばらく周りを警戒して彼女が落ち着くまで側にいる。
色々話をした。だいぶ記憶は取り戻していて、自分がここに来る前のことを呟く。
とある治療のため、フルダイブ技術を使った治療を受けるはずだったらしい。
どんな病気なのかはいまは言いたくないと彼女は言う。だが記憶を取り戻し、少しでも前進したかったとのこと。
ともかく落ち着いたシノンになにか思い悩んでいるのなら、キリトたちに相談するなりすればいいと言うが、
「うん。だけど、これは私の問題だから、私にしか解決できない………。彼奴らなら、一緒に悩んでくれるのは分かってる。それでも」
「分かった、シノンがそうしたいのなら、俺はもうなにも言わない」
「………うん」
そう言い彼女と共に町に戻り、俺はまたリソース回復のため動き回る。
◇◆◇◆◇
それはセイバーとメイトが《ホロウ・エリア》でフィリアのカルマ救済イベントを探している時間。メンバーが集まりながら彼らについて話し合っていた。
「まずは悪い噂は、NPCってところで少しだね。彼に攻略まで任せようって話」
ギルド組であるアスナとクラインは他のギルドリーダーとも接点があり、そういう話を聞く。
これでも彼らの扱いは良くなっている。一時期チートなど言われていた。
彼は強く設定されて作り出されたNPC、日々恐怖と戦いレベリングしているプレイヤーからすれば納得できない点がある。なにより彼が上に行くのも、そう設定されているからと認識されていることもあるのだ。
「俺は少し違う気がする。サーヴァントもそうだけど、彼はなにか違う気がするんだ」
「うん、わたしもそう思う。二人とも、というよりサーヴァントたち。みんな自分の意思ってものを感じるわ」
それに全員が頷き、シリカたち直接対峙していないプレイヤーは噂だけしか聞いていないが、
「確か、人間らしいんですよね? メイトさんと会話しててもNPCとか、忘れちゃいます」
「ええ。彼奴なんて言うか、町の中にいるNPCって感じじゃないもの」
「………AIを搭載された、NPCかもしれない」
「それって」
俺の言葉に全員の視線が向けられる。ユイも静かに頷き、俺は静かに口を開く。
「自分で考え、学習して行動する。けど」
「それはメイト君だけだよね? それとセイバーさん」
そう、メイトとセイバーは学習する節はある。
元々上に行く、鋼鉄の城《アインクラッド》を攻略することを前提にして動くメイトとセイバー。だが少しだけ俺は疑問に思う。
まずはセイバーだが、少しだけあの〝リン〟と言う存在、彼女との会話はまるで知っている反応が気になる。
それは主人であるメイトより多くの情報を持っていることを言うが、これはおかしい。
「おかしい? なにがおかしいのお兄ちゃん」
「聖杯戦争ってゲームは、まずマスターがサーヴァントを呼んで戦うゲームだ。情報量で言うのなら、プレイヤーであるマスターが多く持っていても不思議じゃない」
「そっか、メイト君はリンさんを知らないけど、セイバーさんが知っているのはおかしいっ」
「それだけじゃない、セイバーは〝前々回〟と〝前回〟と言う言葉を使った。これじゃ、セイバーはまるで前に聖杯戦争を参加しているようだろ?」
それに全員が首をかしげたがエギルが気づく。
「もしも情報を多く持ってるなら、メイトや俺らに話していてもおかしくないってことか」
「ああ。セイバーはあえてなにも言わない、そんな印象なんだ」
それに全員が驚き、同時にどうして話さないか分からず、首をかしげた。
現状リンのように、情報に規制がかかっているからだろうとしか言えないが、それでも設定からおかしい。
「それに正直サーヴァントたちも行動がおかしい。清姫とかはいいけど、カルナとか」
「彼はまるで召喚されたから戦うって選択をした。だけどそれは俺たちSAOプレイヤーとは戦わないっておかしなものだ」
「うん。ただのゲームならプレイヤーであるわたしたちと戦わないって」
「ああおかしい。それなら前の四人組。アンとメアリー、ロビンフット、ドレイク船長も」
ロビンフットなんか忠告するように戦い、メアリーとアンも本気では無かった。それがそもそもおかしい。
確かにHPゲージが減ればボスエネミーはパターンを替える。だがそれでもおかしいのだ。
「なあ、本当に聖杯戦争は
クラインは自分でもバカバカしいと思いつつも、みんなにそう訪ねた。
その言葉にみんなが固まる。誰もまさかと思いながら言葉を受け止める。
「それってここのようなゲームだって言うの? そんなまさか」
「無いのは分かってる。けど、なにかが違う気がする」
何かが違う。そう考える中、
「なあ、メイトが言う〝上〟ってなんだ?」
「あ? そりゃオメェ、ここの100層のこと」
「本当にそうか? 彼奴はただ上を見て〝上〟としか答えていないだろ」
「………」
誰も何も言わなくなった。
目的が上へと進むことのNPC。それがメイトでは無い気がする。
彼奴の言う〝上〟はなにを指す?
答えが出ないまま、俺たちは静かに解散した。
◇◆◇◆◇
「メイトって、いつもセイバーと一緒だよね」
「? ああ。サーヴァントだからな」
セイバーが一人先に進み、花や景色を楽しみながらこのエリアをくまなく探す。
しばらくこの辺りを調べられるようになってから、俺はセイバーを連れて歩いていた。そんな中、フィリアがそんな話をしてきたのだ。
「サーヴァントってさあ、別々に行動できないのかな?」
「どうだろう。けどこの前、俺が宿にいる間、セイバーだけ別の階層に出かけていた。だから平気なんだろう」
「そうなんだ」
フィリアはなにか思いつめた顔をしながらそう呟く。
「どうした」
「………ねえ、メイト」
その時、彼女は静かに口を開いた。
「話があるの、今度、一人でこっちに来てくれないかな?」
その言葉に俺はああと答え、セイバーにはシリカ辺りにお使いを頼めばいい。
彼女はなにか思いつめている。それを感じて、そして考えて答えた。
「ありがとう、メイト」
そう彼女は微笑んだ………
ただどこか儚く、悲しそうに見えた気がした。これはなんなのか分からない。次会うとき、いつものフィリアならいいのだが。
約束をしたあとはセイバーを追い、俺も急ぐ中、フィリアの視線を感じつつ、彼女も後を追ってくる。
ともかく次会うときだろう。そう思い、探索をつづけた………
イベント、イベント、そして不穏な影。そして新たな問題にメイトが関わり出す。
お読みいただきありがとうございます。