ソードアート・オンライン・フェイトアンコール 作:にゃはっふー
それは静かに階層に呼ばれた英傑たちを見て、少しだけ笑みをこぼす。
彼らならば気に食わないだのなんだの文句は無いだろう。その結果を見ながら、次にプレイヤー側を見る。そちらは少しばかり目を疑いながら、その光景を理解できなかった。
「プレイヤー側はなにを考えているのかしら? まあいいわ」
自分たちが勝利すればそれで問題ない。
ウインドウの中でメイトが映る。忌々し気に憎み、睨みながら彼を見る。
「この階層でお前が死ねばいい、死ね、死ね人形ッ」
そう叫び、ウインドウを開き、作業を開始した………
フィリアの一件が終わり、いろんなところを見て回る。セイバーはいま好きに町を見て回る。いまは一人の時間だ。
「きゅう♪」
そうして辺りを散歩していると頭にピナが止まる。
「あっ、メイトさーんっ」
ピナが頭に止まる中、シリカが走って近づいてくる。
「すいません、こらピナ、メイトさんの頭から離れなさい」
「きゅう………」
「別に気にしないよ」
そう告げて彼女と共に町を見て回る。
「ユウキはどうかな」
「はい、ピナや他の方と一緒にクエストを受けたりします」
ユウキともたまに行動を共にするが、妙なことにはなっていない。とりあえずあの子は表面上は元気だ。
だからこそ不安になり、見た目年齢が同一と思われるあの子が心配ではある。
(だからと言って俺では手に負えないことではある)
そんな日々の中、新たな聖杯戦争が幕を上げる。攻略組からしたらかなり頭痛の種がある中で………
◇◆◇◆◇
「新しく見つかったのって、メイトがいなきゃいけない戦い。だっけ」
いまはボクたちはフィールドでレベリングに向かうところ。リーファ、リズ、シリカと一緒にフィールドに。ボクたちはフィールドでレベリングしようと言う話になった。
公園でみんなを待つ。前の戦いも大変だったって話で、少しだけ心配だな。
「上の空だね」
「えっ、あっ、はいっ」
その時白衣、お医者さんのような人が話しかけてきた。
「あまり周りを見ずに歩くのは危ないよ」
「ごめんなさいっ」
少しばかり上の空、ボクは少し周りを見てなかった。近くに人がいたことに気づかなかった。
眼鏡を直して微笑むこの人はプレイヤーなんだろうな。受け答えしているその人は公園のベンチに座っている。
「攻略組が気になるのかい」
「えっと、はい」
「なら問題ないよ。彼はこの程度で終わるはずがないからね」
彼って、誰のこと言ってるんだろう? キリトたちの誰かの知り合いかな? その時ボクは園内の外、キリトたちが向かった方角を見つめた。
「戦いとは悲しい。だけど人を成長させるためには仕方ないこと。いずれ彼も私と同じ〝モノ〟になる」
「えっ」
後ろから聞こえた言葉に振り返ろうとしたとき、
「ユウキ~」
ボクを呼ぶ声に気づいてそちらに振り返って手を振る。
「リ~ファ~」
手を振ってからボクが振り返ると、
「あれ?」
その人はそこにいなかった。ボクは気にせずに、ただメイトたちが戻ることを信じて、いまはできることをやるだけだ。
◇◆◇◆◇
「キリト、なんか今回の攻略組、多すぎねえか?」
クラインが言うように、今回プレイヤーが倍近く増えていて、いつもよりもボス部屋の前で多くのプレイヤーが話し合っていた。
「クラインもか。一応アスナが目を光らせているから、レベルは問題ない」
「レベルは?」
「人が多くてどんなプレイヤーなのか、確認が後々になったらしい」
苦々しくキリトが言う。それにクラインはふざけているのかと、新規に入ったメンバーを睨む。
別段弱そうではないがボス戦と通常戦は勝手が違う。なによりいまから行くのはサーヴァント戦。なにが起きるか分からない。
「大丈夫なのか?」
「………」
キリトは難しい顔をしながら、メイトはそんな中でも気にもせず、ボス部屋へと出向く準備をしていた。
少しだけ気を付ける。それがいけなかったことに彼は後々気づく………
◇◆◇◆◇
光の無い道を歩く中、しばらくしてまた開けたフィールドに出た。
「今回は戦場か?」
「東洋の戦場みたいだ」
日本の城、中庭のような場所であり、それ以外には城壁で囲まれている。全員がどよめく中、混乱を鎮めるアスナの号令が響く。
だがアスナの号令、いくら他ギルドでも大手である《血盟騎士団》の号令を聞いても、
「おい向こうになんかあるぞっ」
「は?」
そんな声に陣形がいともたやすく崩れる。
「あなたたちっ」
アスナが咎めるように叫ぶがかなり無防備のプレイヤーに、
「へ?」
刀が振り下ろされた。眼前に突然現れた刀身、だがすぐに深紅の剣が間に入る。
「うわっ」
「なにをしているッ。ここは戦場だぞっ」
セイバーの言葉に目の前にいる白髪のような桃色の髪。誠の羽織を着こむ剣士は僅かに舌打ちし、そして、
「さあ殺ろうか」
セイバーに即座にコードキャストを展開して身体強化を行う。斬撃を避けたセイバーは、その威圧に気づく。
二人のサーヴァントが現れる。一人は西洋の装いをしていて、鬼のような形相でこちらを見ていた。一人は誠の羽織を着こむ剣士。
「………まずい」
メイトはすぐに切り替えた。
「キリト、生き残っていてくれよ」
「? それは」
その時、高笑いと共にチャリオットに乗る戦士が現れた。その男が即座に集団へと向けて突進してくる。
「タンクッ」
アスナの号令と共に盾が現れると共に彼、メイトはすぐに突進した。それと共にコードキャストの防壁が更生される。
彼が身の守りをこちらで受け持ってもらうことでどうにか耐えられた。その中でも、
「はあッ、話が違うッ」
「おっ、おい、助けてくれッ!!」
そんなバカなことを言う連中がいて、僅かに陣形が崩れたところ戦車がひき殺す。
一気に陣形が瓦解し、キリトもまた不完全な盾の所為で吹き飛んだ。
顔を上げたキリトはゼロになったプレイヤーがいないか確認し、レッドになる者はいたが最悪な結果にはならなかったことに安堵して、
「なっ」
それに目を疑った。
死相、デッドフェイスと言う姿になる彼の攻撃を、
「オラオラオラオラオラオラオラオラッ」
一斉合切避けず受け止めて無傷の相手に絶句した。
「メイトっ、セイ」
その時、セイバーはセイバーで絶技の戦いをしていた。
目にも止まらない速さの剣げきと、鬼のような怒涛の攻めに辛うじて耐えている。
「なっ」
ここでキリトが把握したのは、この階層。サーヴァントたちは、
「殺す気でいる」
全員が全員、戦うを選択した面々だったといま悟った。
◇◆◇◆◇
戦車から引きずり下ろしたそれと戦うが、全く傷がつかない。
それにはすぐに神々の加護が関わると知り、内心手段が無いことに焦っていた。それだけでなくそれは駿足だったのだ。
「オッラッ」
楽し気に戦いを楽しみ、自身の強化を平行して行わなければすでに死んでいると理解する。するがそれ以上のことができない。
先ほど防御を一任してもらったが瓦解したのを見て、すぐにまた少ないがリソースを向こうに割いた。
僅かに視線を周りに向けて考える。
「はあああああああああ」
「邪魔だッ」
種子島と刀の攻撃の中、神速と言えるほどの速さの剣士。二人の攻撃にセイバーは身体強化を受けながらどうにか戦えていた。
(だがどうにかだッ。これ以上どうすれば!?)
苦虫を噛み、セイバーが対処する中、弾丸がプレイヤーに飛ぶ。それはすでに展開されているコードキャストで防がれているが、
(手が、足りない)
それが彼の本音だ。
◇◆◇◆◇
「シノン、彼奴らの真名に心当たりは無いかッ」
「………」
真名看破のために参加する彼女は、剣士を見ながら与えられた知識を参照していた。
「たぶん、セイバーが相手にしている二人組は新選組の侍よ」
「マジか」
「西洋の格好で侍はかなり少ないから。有名どころで沖田総司だけど、女なのか分からない。男が沖田じゃなくても凄腕の剣士のはず」
「女の沖田総司?」
「彼から史実と性別が違うのはよくあるって聞いたわ」
アスナが疑問にシノンは答え、彼女は冷たい刀のようにセイバーの隙を縫うように斬り込む。
傷ができてもすぐに回復されるが、このままでは致命傷をいつ受けてもおかしくない。
「もう片方は分からない、槍に駿足? ランサーなのかライダーなのかもわからない」
「このままじゃリソースが尽きる。すぐに陣営を整えてこの防壁くらいは消させないと」
そう言うキリトに待ったをかけるプレイヤーたちがいた。新規の攻略組だ。
「な、なに言ってるんだっ。そんなことしたら死んじまうだろ」
「なにを言ってるんだっ。このままじゃメイトが負けて、俺たちの負けだぞっ」
「つぎ、次にかければいいだろっ。だって」
それは攻略組云々ではなく、キリトたちにとって許せない言葉だった。
「ただのNPCが消えたところで、また作ればいいだろっ」
その言葉に絶句し、なにを言っているか分からない。
「なに言ってる。また作る? そんなことできるはずないだろっ」
「なに言ってるんだよっ、彼奴はこの戦いの為に作られたんだろ? ならまた作れば」
「んな権利俺らにあるかッ。テメエらこそなに言ってるんだっ!?」
その時動揺する新規のメンバーにキリトは噂話で、彼の存在が便利なアイテム扱いであることを思いだす。
(まさかこいつら、メイトが量産できるとか、サーヴァントに次があるとか思っているのか?)
考える。だが、心の中であり得るのかと言う疑問が浮かび、すぐに否定した。
明らかにメイトが作られた理由は特別処置。それで敗北して、だからと言う理由で再度同じことがされる保証は無い。
なにより、
(仲間を切り捨てる、そんなことできるはずがないッ)
そう思うキリトだが目の前の戦いに参加することができない。
防壁がしっかりされているが、多くのプレイヤーが邪魔で出られない。そんな状況にキリトは歯を食いしばった。
◇◆◇◆◇
考える。こいつはどうやっても傷をつけることができない。
カルナレベルの加護持ち。神の加護を突破する術があるかと言われれば、唯一無二の方法があるがそれをする隙が無かった。
「どうした
そんなことを言われた。
………
ならばと、
【セイバー下がれ】
「!? しかしッ」
【考えがある。従えセイバーっ】
その言葉にすぐに跳び上がり、距離を取る。
だが位置取りで彼が三人の攻撃の範囲に躍り出た。
「なっ」
全員が戦慄する。無論、三人組も驚くがすぐに切り替えた。殺すと言う意味に。
「一歩音超え、二歩無間」
「誠の旗は、不滅だッ」
「これで散れッ、
捕らえる攻撃に彼は防御を………
「!?」
取らなかった。無防備にただ立っている。
「三歩絶刀っ!! 無明三段突きッ!!」
「切れ!進め!切れ!進め! 俺が! 新!選!組! だああああああああああッ」
槍が貫き、弾丸を受け、斬撃で斬られ、首元を貫く突き。
刻まれた身体を見ながら、全員が青ざめた。
「奏者ああああああああああああッ!?」
◇◆◇◆◇
「………あっけないもんだ、沖田っ、ちゃんと殺したか?」
「はい、問題ありません土方さん」
より深々と首を貫く彼女は静かに刀を抜く。
血が流れ、地面に広がり、血の池が出来上がる中、彼はつまらなそうにプレイヤーを見た。
「ちっ、今度はてめらか。正直殺す価値もなさそうだが」
何名かがすでに逃げ腰であり逃げていた。彼が倒れた瞬間、防壁が消え、それでだ。
残ったのは元々いた攻略組だけであり、セイバーは睨みながらアスナたちも構えた。
「はあ、やめておけ。お前たちにこの俺、アキレウスは討てない」
「アキレウス? アキレウスですってっ!?」
シノンはすぐに自分の知識を引き出した。
「確か母親が神で、不死身の肉体を与えられた英雄。だけど、そんな」
「察しがいいな。俺は神々の加護により、一部を除き神の一撃以外、けして傷付くことは無い身体の持ち主だ」
「だから奏者の攻撃が」
すぐに動こうとしたが、セイバーは突如膝を付く。
「もうやめておけ、お前のマスターは死んだ。ならいずれお前は敗者として消える」
「くっ………」
「おいおい、つまるところなにか、けしてダメージを負わない奴がボス? ふざけてるのか」
「ふざけているか。バカバカしい。戦場においてそんな良い訳が通じるか」
それに三人はすぐに切り伏せて興味が無いように彼らを見る。
「さてと、この空間から出るには俺ら三人を殺すか、お前たちが死ぬかの二つに一つ。もう答えが出ている以上、戦士としてせめて、まっとうに死ぬことをお勧めするぜ」
そう言いアキレウスが前に出る。
「せめてお前たちが有象無象で無ければ、
そう言った時に、
【そう言ってもらえて嬉しいよアキレウス】
瞬間、赤いトゲが地面から生えた。
「なあああああああああああああああああああああああああああああああああッ!?」
「ッ!?」
「土方さ、ッ!?」
沖田を背後から羽交い絞めにして、全身を暗闇の腕が彼女の身体を取り押さえた。
「バカな、確実に殺したはず」
【死者を殺せると思うな。攻撃される個所さえ予測できれば貫かれようと斬られようが、繋がっていればどうとでもなる。そして罠も張れる】
アキレウスはすぐに獰猛な笑みと睨みでメイトを見て、土方はすぐに口元を釣り上げた。
瞬間、
【土方はセイバーッ、アキレウスは頼むッ】
アキレウスの踵は貫かれ、それに汗を流しながら、すぐに槍を構えたがすぐに止まる。
その瞬間、斬り込む黒の剣士がいた。
「任せろッ」
「チッ、まあいいッ。戦士として心構えがあるのなら、俺を楽しませろッ」
「汝の相手は余だ狂戦士ッ」
「いいだろうッ」
幕末の侍とセイバー、弱体化したアキレウスとキリトたち。
【お前は俺と喰らい合いだ】
「くっ」
沖田はそのまま、噴き出す闇と鮮血が全身に纏わりつき闇に飲まれていった。
こうしてこの階層の戦いは終結へと進みだす。
バーサーカー対セイバー。
セイバー沖田総司、メイトに拘束。
ライダーアキレウス、不死性を失い弱体化。キリトを筆頭にSAOプレイヤーと交戦。
観測を続けます。