ソードアート・オンライン・フェイトアンコール   作:にゃはっふー

20 / 28
あまり変わらないところは飛ばしています。それもあり話が急展開しているところが目立ちだすな………

それでも最後までこの作品は投稿しますので、よろしくお願いします。


第19章・順調な旅路の中で

 それはある日のこと、ストレアがS級食材を持って来てプチ料理大会、パーティーが始まる。

 

 セイバーが余もやるぞと言ってとんでもないものを出して戦慄させたが、ストレアのも凄いので打ち消し合っていた。

 

 その日はストレアもここの宿を利用する中、俺はキリトと攻略について話している。

 

「ここ最近はサーヴァント部屋は出ていない。問題は無いよ」

 

「そうか」

 

 そう話している時、キリトは俺の左手を見る。

 

「それは」

 

「令呪、契約サーヴァントに対する、絶対命令権の一種だ。俺は五画、いま手元にある」

 

 一画使用したが、彼女からもらったもので合計五画もある。キリトは一度使った画面を思い出し、不可解な顔で令呪を見つめる。

 

「そんなものが、どうして」

 

 キリトに令呪について説明する。

 

 サーヴァントはけして友好的にマスターと共に戦ってくれないことがある。反英雄、悪名を以って有名になった者もいるからだ。

 

 それだけじゃなくブーストのような効果。サーヴァントの限界すら突破し、強制的に回復させたりすることもできるので、必要なものとして説明していると、

 

「誰だ」

 

 部屋の前、扉の向こうに誰かいる。俺はそれを察して話しかけたとき、

 

『アタシ』

 

 そうすぐに返事が返り、扉を開けると難しい顔をしたストレアがいた。

 

 彼女の具合が悪そうであり、少し苦しくて眠れないところ、話し声が聞こえたから立ち寄ったとのこと。

 

「平気か、いまコードキャストを」

 

 コードキャストを使用しようとしたが手で遮られ、静かに首を振るストレア。彼女を曰く、これは本人の問題らしい。

 

 キリトも頭痛のことを知っていて、それが関係しているのか聞くと、彼女の感覚では、自分では無い誰かが自分の中にいて、その誰かが痛くなると痛くなる。

 

 知らないいろんなものが流れ込む。すごく大事なことだけど、忘れちゃっている。だけど思い出そうとすると、自分が自分でなくなる気がすると言う。

 

「ストレア」

 

「メイト………」

 

「ストレアになにか危険があるのなら、みんなでどうにかする。なにがあっても、みんな変わらない。だから辛かったら頼って欲しい」

 

「そうだな。なにかあれば、俺たちがストレアを助ける。ストレアだってそうだろ」

 

「………うん………」

 

 そんな話をしていると安心したのか、彼女はキリトの部屋で眠り始めた。

 

「それじゃキリト」

 

「待てメイト、お前はこの状況を放っておく気か」

 

「すまない、俺にはどうすることもできない」

 

「そんなあっさり、あっ、待てメイトっ!」

 

 キリトはとりあえず放っておき、俺はストレアの言葉を思い出す。彼女にもなにかあるのか?

 

「ホロウで少し調べるか?」

 

 そう考えながら、リソースを確認した。

 

 リソースはここしばらく戦闘が無く、だいぶ回復している。このまま何事もなく進むば、

 

「俺は〝上〟にたどり着く、その先はきっと」

 

 その先を考え、すぐに首を振る。

 

 意味の無いことだ。それくらい分かること。

 

 そして俺はセイバーたちが眠る部屋へと戻り、俺もまた眠ることにした。

 

 攻略が進む、最上階に近づく。それは〝上〟に近づいているということ。

 

 もうすぐ………

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 90層への階層はサーヴァント部屋であった。そんな話があり、俺が共に階層へとやってくる。

 

 いつも通り、さすがに慣れた攻略組メンバーは何も言わず、そして奥へと来ると、ただのだだっ広い石舞台。

 

 多くのプレイヤーが困惑する中、俺も困惑する。そこにそれはいた。

 

「待っていたぞ、この〝世界〟のマスター」

 

 そこにいたのは一人の男、その男は見覚えがあった。なぜならば俺はこいつに〝殺され、殺している〟。

 

 そうこの男は………

 

「奏者よっ!」

 

 唐突に何かが迫り、放たれる攻撃に無数のコードキャストの壁を作り、セイバーを守る。

 

 それは拳、中国武術家が放つ一撃を防いだ。

 

 だがセイバーだけが目を見開き、そして俺は吐血した。

 

「なっ、メイトっ!?」

 

「どーしてだっ!? いま防いだはずだろっ?」

 

 クラインたちが戦慄し、それはすぐにマスターの元に戻り、セイバーが前に出る。

 

「よもや貴様らとは」

 

「そうだな、こちらも驚いた」

 

「なっ、貴様。バーサーカーではないだと」

 

 セイバーが驚く中、胸を押さえ、俺は顔を上げてマスターを見る。

 

 すぐに回復のコードキャストを使用するが、これは、

 

「即死の拳、格闘術。お前は」

 

「儂はクラスアサシン、そこのセイバーとは〝前回〟と〝前々回〟、バーサーカーとして打ち負かされたサーヴァント。名を『李書文』と言う」

 

「………即死の宝具か」

 

 彼については記録にある。

 

 李書文、彼の拳は必殺の武術。避けても俺が防壁で俺に放たれた事実だけあればいいのだろうか。発動し、俺に即死の傷を与えた。それでも生きているのは俺が死者だからだろう。

 

「儂の一撃を食らい、生きているとは。さすがだ」

 

 喉を鳴らしながら笑い、笑みを浮かべる李書文だが、マスターは一切笑わない。

 

「〝前回〟と〝前々回〟………セイバー」

 

「………まさかアサシンのクラスで、お前たちとまた相対するとは。なぜお前はここにいるっ!? 『ユリウス・ベルキスク・ハーウェイ』っ!?」

 

 そう言われた男は、僅かに顔を上げ、俺を見る。

 

「なぜ? なぜだと? お前が言うかセイバー?」

 

 それは怒気は感じない。怒りを抱いたところで意味が無い、そう言わんばかりに彼から感情を感じない。

 

「〝それ〟がここにいる、だからこそ俺はここに来た」

 

「メイトがここにいる………」

 

「確かにそれはここにいる者たちとって必要な〝道具〟だ、だからこそ不愉快極まりない」

 

 そう言いながら彼の身体は黒く染まっている場所がある。

 

 その黒は、

 

「お前も、死相(デッドフェイス)………」

 

「そうだ、お前と同じ、死人だ」

 

 血を流しながら回復スキルを使用して立ち上がる。

 

 お互い見る瞬間、武器が破壊された。いつの間にか破壊されていたらしい。

 

「先ほどの一撃か?」

 

「死人ならばそんなものは不要だろう」

 

「………他のサーヴァントはどうした」

 

 ここには後二騎、サーヴァントがいるはずだが、ユリウスの背後に折れた螺旋剣と二降りの赤と黄色の槍がある。

 

「殺したさ、お前をここで消すために。死人は死人らしく死んでいればいい、なぜおまえは動く? 死人の分際で生者の輪の中にいて己を見失ったか?」

 

 その言葉に一切の感情が無い。

 

 だがキリトたちはその言葉に前に出ようとして止め、静かに立ち上がる。

 

「セイバー、あのサーヴァントは倒せられるか」

 

「やれと言うのであれば、ただし気を付けろ奏者。奴はバーサーカー、理性の無い奴を使いこなした強者よ」

 

「分かった。なら二手に分かれるぞ。俺がマスターを、お前はサーヴァントを」

 

同じこと(・・・・)を繰り返すか」

 

「クッカカ、それも良いが、儂はバーサーカーではないこと忘れるなよッ」

 

 気迫が放たれ、それだけで地面がへこみ、セイバーが顔を歪めた。

 

 ユリウスと共に手を翳す。お互い顔が死へと変わり、そしてぶつかり合う。

 

 それと同時に、剣と拳が激突した。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 死が激突し合う。

 

 お互い死相(デッドフェイス)であり、死の侵食が効かない相手。

 

【お前は知っているはずだ、この戦いに意味は無い。まさしく死者らしい戦いだ】

 

【………お前は彼らの道を閉ざすのか】

 

【閉ざす? ふざけるな、死者がどうやっても死者だ。死人に生きている者をどうこうする資格は無い】

 

 拳が激突する中、横目でセイバーの方を見る。

 

「ハッ!」

 

「くっ」

 

 拳を防ぎ、セイバーは一時的に格闘術を手に入れ防ぎながら、コードキャストが展開された。

 

「奏者、己の戦いのみに集中せよっ!!」

 

 そう声がかけられたがそれはできない。

 

 セイバーもまたあの拳の影響下にいる。防ぐには死ぬよりも早い回復しか現状無いため、サポートするしかなかった。

 

【死人が無意味なことをするなッ!!!】

 

 拳がめり込み、腹の、あばら骨を掴まれる。

 

【くっ】

 

【苦しそうにするな、痛みを感じるな、生者のフリをするなッ!!】

 

 吹き飛ばされる中、両足にコードキャストを展開させ、踏ん張りながらユリウスを睨むメイト。

 

【どうして、そこまで否定する?】

 

【貴様を見ているとうんざりする。まるであの悪夢の再現のようだ】

 

 そう言って一人の死相は目を細めた。

 

【〝岸波白野〟のようだからか】

 

【ッ!?】

 

「っ!? 奏者………」

 

 セイバーが驚き、ユリウスが微かに震える。それでも彼は変わらず立ち尽くす。

 

【貴様………】

 

【驚くことか? 俺は死相(デッドフェイス)だぞ?】

 

 それに雷光のような死が立ち上る。

 

 ユリウスが立つ場所が暗闇に飲まれていった。

 

【貴様は知っているのか、知っていて変えないのか、貴様は、お前たちはッ!!】

 

「奏者………、なぜその名を」

 

【俺はセイバーから真名を教えてもらう資格は無い、俺もまた隠していることもある。そんな〝モノ〟に資格なんて無いのも理解している】

 

【理解していながらもなお、お前は変わらないのか。岸波ッ!!】

 

 そう叫び声を上げたが、俺は静かに否定する。

 

【お前も変わらないな、変えられないのはお前の方だろ】

 

【黙れッ】

 

 ユリウスがコードキャストによって強化され、また接近戦、拳が激突し出す。

 

死相(デッドフェイス)は死の再現、悪性情報だッ!! お前は〝また〟生にしがみつき、死を忘れるかッ!?】

 

【俺は〝岸波白野〟でも〝岸浪ハクノ〟でもない。だからこそ死を忘れているわけではない】

 

 拳が激突し、顔を近づかせて彼は、

 

【俺はだから〝上〟へと進む】

 

【貴様………】

 

 離れた瞬間、ユリウスは令呪の腕を翳す。

 

【『令呪を以て』】

 

【かかったな】

 

 その言葉の次の瞬間、鮮血のエフェクトが舞い上がる。

 

「ほう………」

 

 李書文が感心し、ユリウスの令呪を刻まれた腕が斬り落とされた。それを斬ったのはメイト。

 

 ただメイトは剣を握りしめていない。ユリウスの腕を斬った剣は別にある。

 

「なっ」

 

 キリトが気が付くと、彼が背負う鞘の周りにコードキャストが展開されていた。

 

 それはキリトの背中から解き放たれ、その勢いのまま、剣はユリウスの腕を斬り落としている。

 

【お前は俺に固執しすぎだ。ここには攻略しに大勢の生者がいるんだぞ?】

 

「奏者ッ!!」

 

 その瞬間、それは構えていた。

 

 メイトの側で拳を握りしめ、獣のような眼光が獲物を仕留めようとしている李書文。

 

【そうだ、俺はそうやって(・・・・・・・・)お前に殺された】

 

 放たれる高速の拳術。

 

 彼の利き腕より瞬時繰り出された高速三連撃。それに俺は同じ型で同じように放つ。

 

「まさか」

 

 激突し合った急所を一寸狂いなく放つ必殺を、同じく一寸狂い無い必殺で返した。

 

【貴様………】

 

 李書文もユリウスも驚く。

 

 彼が培った、サーヴァントの技をそっくりそのまま返したのだ。他ならぬ必殺の技を。

 

 その時、コードキャストが展開される。

 

 キリトから抜き取った剣が高速で動き、ユリウスを貫く。

 

【貴様………〝敗者の記憶から〟、アサシンの技を〝思い出した〟なッ!!?】

 

 そうだ、俺にはそれで殺された記録がある。

 

 その記録を使えばどのタイミングでどう放たれるか、分かり切っていた。バーサーカーでなく、知能持つ正確な技を放つ彼だからこの方法で防げたのだが。

 

 死相が消える。だがそこにいるのは死人だろうか。彼は消えるアサシンの姿を見ながら、吹き飛ばし告げる。

 

「俺は忘れない。俺たち死相(デッドフェイス)は生者に触れられない」

 

【………貴様は】

 

「俺は〝岸波白野〟でも〝岸浪ハクノ〟でもない。だからこそ、最後に行きつく先くらい分かる」

 

 それを聞いてユリウスは消えていく。

 

【お前は結局】

 

「お前も忘れない、お前も死相(デッドフェイス)なのだから」

 

 こうして道は開かれ、最後の時が近づく。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

「奏者よ」

 

 セイバーが近づく。

 

 いまは90層へ進出したパーティー中、ストレアが皆にハグしたりと、わいわいキャーキャーする中だ。

 

「お主、どこまで知っている?」

 

 その言葉に俺は静かにセイバーの頭を撫でる。

 

「………答える気はないのか、それでは、余はいつまでも真名を開かせられないではないか」

 

「ごめん」

 

「いや、仕方ないのだろう」

 

 セイバーはそう言い、俺は天井を見つめる。

 

 残り10層。そうすれば、

 

「俺は〝上〟に進める」

 

 そう呟きながら、残り僅かな時間を楽しんでいた………




 最後のマスターが倒され、それは静かに目を閉じた。

「最初のマスターは〝失敗〟だった。けど今回のマスターは問題なかった」

 ただ問題があるとすれば、自分のリソースを増やすために、他に配置したサーヴァントを吸収したところか?

「それでもあれを壊すには届かなかった。だけど死のデータから情報を得て、経験にする方法は分かった」

 ならば手はある。それはそう思いながら準備し出す。

 自分以外のマスターは終わりを告げた。

「だから終わらす。その為に、使えるものはすべて使う」

 そう呟き、それは誓う。

「この世界を守る、ただ、それだけに………」

 そう静かに、ウインドウのメイトを握りしめる。その手に刻まれた令呪が淡く輝きながら………
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。