ソードアート・オンライン・フェイトアンコール 作:にゃはっふー
それでも最後までこの作品は投稿しますので、よろしくお願いします。
それはある日のこと、ストレアがS級食材を持って来てプチ料理大会、パーティーが始まる。
セイバーが余もやるぞと言ってとんでもないものを出して戦慄させたが、ストレアのも凄いので打ち消し合っていた。
その日はストレアもここの宿を利用する中、俺はキリトと攻略について話している。
「ここ最近はサーヴァント部屋は出ていない。問題は無いよ」
「そうか」
そう話している時、キリトは俺の左手を見る。
「それは」
「令呪、契約サーヴァントに対する、絶対命令権の一種だ。俺は五画、いま手元にある」
一画使用したが、彼女からもらったもので合計五画もある。キリトは一度使った画面を思い出し、不可解な顔で令呪を見つめる。
「そんなものが、どうして」
キリトに令呪について説明する。
サーヴァントはけして友好的にマスターと共に戦ってくれないことがある。反英雄、悪名を以って有名になった者もいるからだ。
それだけじゃなくブーストのような効果。サーヴァントの限界すら突破し、強制的に回復させたりすることもできるので、必要なものとして説明していると、
「誰だ」
部屋の前、扉の向こうに誰かいる。俺はそれを察して話しかけたとき、
『アタシ』
そうすぐに返事が返り、扉を開けると難しい顔をしたストレアがいた。
彼女の具合が悪そうであり、少し苦しくて眠れないところ、話し声が聞こえたから立ち寄ったとのこと。
「平気か、いまコードキャストを」
コードキャストを使用しようとしたが手で遮られ、静かに首を振るストレア。彼女を曰く、これは本人の問題らしい。
キリトも頭痛のことを知っていて、それが関係しているのか聞くと、彼女の感覚では、自分では無い誰かが自分の中にいて、その誰かが痛くなると痛くなる。
知らないいろんなものが流れ込む。すごく大事なことだけど、忘れちゃっている。だけど思い出そうとすると、自分が自分でなくなる気がすると言う。
「ストレア」
「メイト………」
「ストレアになにか危険があるのなら、みんなでどうにかする。なにがあっても、みんな変わらない。だから辛かったら頼って欲しい」
「そうだな。なにかあれば、俺たちがストレアを助ける。ストレアだってそうだろ」
「………うん………」
そんな話をしていると安心したのか、彼女はキリトの部屋で眠り始めた。
「それじゃキリト」
「待てメイト、お前はこの状況を放っておく気か」
「すまない、俺にはどうすることもできない」
「そんなあっさり、あっ、待てメイトっ!」
キリトはとりあえず放っておき、俺はストレアの言葉を思い出す。彼女にもなにかあるのか?
「ホロウで少し調べるか?」
そう考えながら、リソースを確認した。
リソースはここしばらく戦闘が無く、だいぶ回復している。このまま何事もなく進むば、
「俺は〝上〟にたどり着く、その先はきっと」
その先を考え、すぐに首を振る。
意味の無いことだ。それくらい分かること。
そして俺はセイバーたちが眠る部屋へと戻り、俺もまた眠ることにした。
攻略が進む、最上階に近づく。それは〝上〟に近づいているということ。
もうすぐ………
◇◆◇◆◇
90層への階層はサーヴァント部屋であった。そんな話があり、俺が共に階層へとやってくる。
いつも通り、さすがに慣れた攻略組メンバーは何も言わず、そして奥へと来ると、ただのだだっ広い石舞台。
多くのプレイヤーが困惑する中、俺も困惑する。そこにそれはいた。
「待っていたぞ、この〝世界〟のマスター」
そこにいたのは一人の男、その男は見覚えがあった。なぜならば俺はこいつに〝殺され、殺している〟。
そうこの男は………
「奏者よっ!」
唐突に何かが迫り、放たれる攻撃に無数のコードキャストの壁を作り、セイバーを守る。
それは拳、中国武術家が放つ一撃を防いだ。
だがセイバーだけが目を見開き、そして俺は吐血した。
「なっ、メイトっ!?」
「どーしてだっ!? いま防いだはずだろっ?」
クラインたちが戦慄し、それはすぐにマスターの元に戻り、セイバーが前に出る。
「よもや貴様らとは」
「そうだな、こちらも驚いた」
「なっ、貴様。バーサーカーではないだと」
セイバーが驚く中、胸を押さえ、俺は顔を上げてマスターを見る。
すぐに回復のコードキャストを使用するが、これは、
「即死の拳、格闘術。お前は」
「儂はクラスアサシン、そこのセイバーとは〝前回〟と〝前々回〟、バーサーカーとして打ち負かされたサーヴァント。名を『李書文』と言う」
「………即死の宝具か」
彼については記録にある。
李書文、彼の拳は必殺の武術。避けても俺が防壁で俺に放たれた事実だけあればいいのだろうか。発動し、俺に即死の傷を与えた。それでも生きているのは俺が死者だからだろう。
「儂の一撃を食らい、生きているとは。さすがだ」
喉を鳴らしながら笑い、笑みを浮かべる李書文だが、マスターは一切笑わない。
「〝前回〟と〝前々回〟………セイバー」
「………まさかアサシンのクラスで、お前たちとまた相対するとは。なぜお前はここにいるっ!? 『ユリウス・ベルキスク・ハーウェイ』っ!?」
そう言われた男は、僅かに顔を上げ、俺を見る。
「なぜ? なぜだと? お前が言うかセイバー?」
それは怒気は感じない。怒りを抱いたところで意味が無い、そう言わんばかりに彼から感情を感じない。
「〝それ〟がここにいる、だからこそ俺はここに来た」
「メイトがここにいる………」
「確かにそれはここにいる者たちとって必要な〝道具〟だ、だからこそ不愉快極まりない」
そう言いながら彼の身体は黒く染まっている場所がある。
その黒は、
「お前も、
「そうだ、お前と同じ、死人だ」
血を流しながら回復スキルを使用して立ち上がる。
お互い見る瞬間、武器が破壊された。いつの間にか破壊されていたらしい。
「先ほどの一撃か?」
「死人ならばそんなものは不要だろう」
「………他のサーヴァントはどうした」
ここには後二騎、サーヴァントがいるはずだが、ユリウスの背後に折れた螺旋剣と二降りの赤と黄色の槍がある。
「殺したさ、お前をここで消すために。死人は死人らしく死んでいればいい、なぜおまえは動く? 死人の分際で生者の輪の中にいて己を見失ったか?」
その言葉に一切の感情が無い。
だがキリトたちはその言葉に前に出ようとして止め、静かに立ち上がる。
「セイバー、あのサーヴァントは倒せられるか」
「やれと言うのであれば、ただし気を付けろ奏者。奴はバーサーカー、理性の無い奴を使いこなした強者よ」
「分かった。なら二手に分かれるぞ。俺がマスターを、お前はサーヴァントを」
「
「クッカカ、それも良いが、儂はバーサーカーではないこと忘れるなよッ」
気迫が放たれ、それだけで地面がへこみ、セイバーが顔を歪めた。
ユリウスと共に手を翳す。お互い顔が死へと変わり、そしてぶつかり合う。
それと同時に、剣と拳が激突した。
◇◆◇◆◇
死が激突し合う。
お互い
【お前は知っているはずだ、この戦いに意味は無い。まさしく死者らしい戦いだ】
【………お前は彼らの道を閉ざすのか】
【閉ざす? ふざけるな、死者がどうやっても死者だ。死人に生きている者をどうこうする資格は無い】
拳が激突する中、横目でセイバーの方を見る。
「ハッ!」
「くっ」
拳を防ぎ、セイバーは一時的に格闘術を手に入れ防ぎながら、コードキャストが展開された。
「奏者、己の戦いのみに集中せよっ!!」
そう声がかけられたがそれはできない。
セイバーもまたあの拳の影響下にいる。防ぐには死ぬよりも早い回復しか現状無いため、サポートするしかなかった。
【死人が無意味なことをするなッ!!!】
拳がめり込み、腹の、あばら骨を掴まれる。
【くっ】
【苦しそうにするな、痛みを感じるな、生者のフリをするなッ!!】
吹き飛ばされる中、両足にコードキャストを展開させ、踏ん張りながらユリウスを睨むメイト。
【どうして、そこまで否定する?】
【貴様を見ているとうんざりする。まるであの悪夢の再現のようだ】
そう言って一人の死相は目を細めた。
【〝岸波白野〟のようだからか】
【ッ!?】
「っ!? 奏者………」
セイバーが驚き、ユリウスが微かに震える。それでも彼は変わらず立ち尽くす。
【貴様………】
【驚くことか? 俺は
それに雷光のような死が立ち上る。
ユリウスが立つ場所が暗闇に飲まれていった。
【貴様は知っているのか、知っていて変えないのか、貴様は、お前たちはッ!!】
「奏者………、なぜその名を」
【俺はセイバーから真名を教えてもらう資格は無い、俺もまた隠していることもある。そんな〝モノ〟に資格なんて無いのも理解している】
【理解していながらもなお、お前は変わらないのか。岸波ッ!!】
そう叫び声を上げたが、俺は静かに否定する。
【お前も変わらないな、変えられないのはお前の方だろ】
【黙れッ】
ユリウスがコードキャストによって強化され、また接近戦、拳が激突し出す。
【
【俺は〝岸波白野〟でも〝岸浪ハクノ〟でもない。だからこそ死を忘れているわけではない】
拳が激突し、顔を近づかせて彼は、
【俺はだから〝上〟へと進む】
【貴様………】
離れた瞬間、ユリウスは令呪の腕を翳す。
【『令呪を以て』】
【かかったな】
その言葉の次の瞬間、鮮血のエフェクトが舞い上がる。
「ほう………」
李書文が感心し、ユリウスの令呪を刻まれた腕が斬り落とされた。それを斬ったのはメイト。
ただメイトは剣を握りしめていない。ユリウスの腕を斬った剣は別にある。
「なっ」
キリトが気が付くと、彼が背負う鞘の周りにコードキャストが展開されていた。
それはキリトの背中から解き放たれ、その勢いのまま、剣はユリウスの腕を斬り落としている。
【お前は俺に固執しすぎだ。ここには攻略しに大勢の生者がいるんだぞ?】
「奏者ッ!!」
その瞬間、それは構えていた。
メイトの側で拳を握りしめ、獣のような眼光が獲物を仕留めようとしている李書文。
【そうだ、
放たれる高速の拳術。
彼の利き腕より瞬時繰り出された高速三連撃。それに俺は同じ型で同じように放つ。
「まさか」
激突し合った急所を一寸狂いなく放つ必殺を、同じく一寸狂い無い必殺で返した。
【貴様………】
李書文もユリウスも驚く。
彼が培った、サーヴァントの技をそっくりそのまま返したのだ。他ならぬ必殺の技を。
その時、コードキャストが展開される。
キリトから抜き取った剣が高速で動き、ユリウスを貫く。
【貴様………〝敗者の記憶から〟、アサシンの技を〝思い出した〟なッ!!?】
そうだ、俺にはそれで殺された記録がある。
その記録を使えばどのタイミングでどう放たれるか、分かり切っていた。バーサーカーでなく、知能持つ正確な技を放つ彼だからこの方法で防げたのだが。
死相が消える。だがそこにいるのは死人だろうか。彼は消えるアサシンの姿を見ながら、吹き飛ばし告げる。
「俺は忘れない。俺たち
【………貴様は】
「俺は〝岸波白野〟でも〝岸浪ハクノ〟でもない。だからこそ、最後に行きつく先くらい分かる」
それを聞いてユリウスは消えていく。
【お前は結局】
「お前も忘れない、お前も
こうして道は開かれ、最後の時が近づく。
◇◆◇◆◇
「奏者よ」
セイバーが近づく。
いまは90層へ進出したパーティー中、ストレアが皆にハグしたりと、わいわいキャーキャーする中だ。
「お主、どこまで知っている?」
その言葉に俺は静かにセイバーの頭を撫でる。
「………答える気はないのか、それでは、余はいつまでも真名を開かせられないではないか」
「ごめん」
「いや、仕方ないのだろう」
セイバーはそう言い、俺は天井を見つめる。
残り10層。そうすれば、
「俺は〝上〟に進める」
そう呟きながら、残り僅かな時間を楽しんでいた………
最後のマスターが倒され、それは静かに目を閉じた。
「最初のマスターは〝失敗〟だった。けど今回のマスターは問題なかった」
ただ問題があるとすれば、自分のリソースを増やすために、他に配置したサーヴァントを吸収したところか?
「それでもあれを壊すには届かなかった。だけど死のデータから情報を得て、経験にする方法は分かった」
ならば手はある。それはそう思いながら準備し出す。
自分以外のマスターは終わりを告げた。
「だから終わらす。その為に、使えるものはすべて使う」
そう呟き、それは誓う。
「この世界を守る、ただ、それだけに………」
そう静かに、ウインドウのメイトを握りしめる。その手に刻まれた令呪が淡く輝きながら………