ソードアート・オンライン・フェイトアンコール   作:にゃはっふー

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終わりの時が近づく。存続か破滅か、彼らの戦いを見守ろうか………


第20章・動き出す者

 セイバーと共に少しずつ階層を上がる中、今日はユイと共にお留守番だ。もうすぐ100層へと近づく。

 

「とはいえ、リソースの回復もあるからな」

 

 情報を集めながら色々調べてみると、どうやら〝神隠し〟とかいう行方不明プレイヤーがいると言う話を聞く。

 

 念のため《ホロウ・エリア》で調べてみようかと、キリトと相談しようとしたとき、

 

「!」

 

 地震のような出来事が起きて、体制を崩さないようにしていた。

 

「いまのは」

 

「奏者地震だぞっ!」

 

 お風呂に入っていた、セイバーとなぜかユイがタオルを巻いて出て来て、色々言いたいことがあるがいまは置いておいて、

 

「ユイ、この世界に地震が起きる。ということはあり得るのか」

 

「いえ、そんなはずは………。なにか、他に要因があると」

 

「攻略に出向いているキリトたちや、探索しているユウキたちが心配だな」

 

「ああ、念のため見に行こう。セイバー」

 

「うむ」

 

 服を着たセイバーと共に攻略組に会うために動くと、無事キリトたちがそこにいて、様子を見に行く。

 

「キリト」

 

「メイトか、そっちは無事か」

 

 それに頷きながら、今回のボス攻略戦について詳しく話を聞くと、

 

「ストレアが参加したのか」

 

「ああ。けど、いつもの頭痛が酷くなってな。その後、すぐに別れたんだけど………」

 

「ストレアは一人だから、心配だな。余たちの方も見かけたら共に行動するようにしおこう」

 

「ああ頼む。メイトも気を付けてくれ、もうすぐ100層。なにが起きるか分からない」

 

「ああ」

 

 だがストレアの異変について少しばかり気にはなる。

 

 元よりこの世界はすでに異質を取り込んでいるんだ。どうなるか分からない。

 

 できることは限られている。できないことの方が多いのだろう。

 

 それでも進まなければいけない。それが俺がここにいる理由なのだから………

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

「ここ最近、ストレアさんを見かけませんね」

 

 シリカがそう呟く。ここ最近彼女と出会うことはなく、みんな心配して話し合う。

 

 キリトが思い出したことで『クリアしたら会えなくなる』と彼女が告げたらしい。

 

「それって、現実に戻ると会えなくなるってことかしら」

 

「言葉通りなら。それと『この世界を守らなきゃならない』とも言っていた」

 

「どういう意味だ?」

 

 ともかく話は纏わらず、ソロで経験値稼ぎしているからだと言う話で話し合いを終えて、またパーティーしたりしたいと願い、彼女の帰りを待つことになる。

 

 そんな日の夜のこと、

 

「アスナ、いま問題ないか」

 

『メイト君? いいわよ。いまみんなやキリト君もいるから』

 

 アスナからの返事を受けてから、俺は彼女とユイの部屋に入る。

 

 部屋にはユイを含めた女性メンバーとキリトがいて、なにか話し合っていたところ。

 

「邪魔したか?」

 

「ううん、ただの女の子で集まって話してただけ」

 

「その通りだ奏者、それでキリトも交えていたところだ」

 

 セイバーとユウキも嬉しそうにそこにいて、それを見て頷く。

 

「そうか。俺の用事はセイバーたちがどこに行ったか聞こうとしただけだから。キリトは」

 

「いまから買い出しに行かされるところだ」

 

「なら俺も」

 

 行こうかと話をしようとしたとき、そう言い終える前に急に周りが暗くなった。

 

「? 停電か?」

 

 急に真っ暗になり、辺りがちゃんと見えない。となればしばらく動かない方がいいか。そう考えていると、ザザザッと言う音が鳴り響く。

 

「雑音?」

 

「どうしたの?」

 

 ユウキが側で腕に張り付いている。一瞬世界にノイズが走り、なにかが起きた気がした。気のせいか、腕に妙に柔らかいなにかが触れている気がする。

 

「あっ、点いた。もうなんだったんだろうね」

 

「あんな完璧に真っ暗だったってことは、なんらかのプログラムに障害があって、光源処理が行われなくなってたのかも」

 

 そうキリトが言い、アスナたちがほっとする。

 

 ユウキもほっとしている中で、俺はあることに気づく。

 

「みんなどうした?」

 

「どうしたって………」

 

 その時、キリトたちも異変に気づく。全員がバスタオルを巻いた姿になっていた。俺とセイバーを除く全員がそんな姿になっている。

 

 大騒ぎをした後、この状態は装備を外している状態であることから、装備状態へと戻すためにウインドウを開く。だが全員が装備画面になんら変化は無いらしい。

 

「キリト君メイト君見ちゃだめええええええ」

 

「メイトっ! そのコート渡しなさいっ!!」

 

「ああっ、リズさんずるいですっ!」

 

「にゃーーーーっ!!?」

 

 そんな混乱が続く中、下手なことはせず待つことしかできない。とりあえず部屋の中にいることになる。

 

 俺は気にしないがキリトは目が泳ぎ、俺の反応が気に食わないのか、シノンとフィリアからの視線が痛い。ユウキは少しだけ頬を赤くしてアスナの方に移動した。

 

 そんな中、もうバスタオル姿だと気になる為、シリカとユイがお風呂に入る。せんべいを食べながらセイバーが、

 

「キリト、奏者よ。少し良いか」

 

「どうしたセイバー」

 

「今回の件で少しな。この事態、いささか納得できぬ」

 

「それはゲームのエラーだな?」

 

「うむ。この世界は現在、カーディナルとムーンセルの二つが管理している。そうなると今回のようなバグは起こるはずがない」

 

「けど現に起きてるじゃない」

 

「だから、これは自然に起きたものではなく、人為的なものの可能性がある。もしくばバグを処理することより、優先されることがあるということだ」

 

 セイバーの言葉にキリトたちはセイバーを見る。

 

 俺はセイバーが言いたいことが理解できる。このような事態をムーンセルが放置することはまずありえない。そう俺を構成するデータが間違いなく保証していた。

 

「どういうことだセイバー」

 

「カーディナルは分からぬが、ムーンセルがこのようなミスはしない、絶対だ」

 

「なら、この現象はいったい………」

 

 考え込む中、シリカたちの方が風呂から出る。

 

 どうやらこの装備の不具合は装備を付けなおせば直ることで、すぐさま全員が行動した。

 

 おかしなことばかりが続く、いったいこの世界になにが起きているんだ………

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 セイバーの言うことは一理ある。普通ならこんなことあり得ない。キリトたち攻略組が動く中、俺たちは色々調べ回っていた。

 

 ムーンセルの管理が関わる中、こんなことが起きると言う事は、それ以上に優先することが起きていたくらいか。

 

 そう考え込み。中央コンソールで《ホロウ・エリア》から調べていると、

 

「ん?」

 

「どうした奏者」

 

「ストレアからメッセージだ」

 

「!?」

 

 どうやら助けを求めるメッセージのようであり、急ぎセイバーと共に駆けだす。

 

 みんなに連絡する時間も惜しい。セイバーと共に加速し、急ぎ迷宮区へと進む。

 

「ここから先はリソースを温存する。急ぐぞセイバー」

 

「ああ、リズに剣を鍛えてもらって助かったな」

 

 二人でエネミーを切り払う中で、ついにストレアを見つけた。

 

「ストレアっ!」

 

 そう言って彼女がいるフロアへと近づいた。ストレアがいるフロアに入ると、一瞬だがノイズが過る。

 

「ストレア?」

 

「待て、様子がおかしい」

 

 セイバーと共にその場に止まった次の瞬間、防壁が生み出された。

 

「っ!?」

 

「コードキャストの、ウィザードの防壁だとっ!?」

 

 防壁は何重にも張られ、ストレアは無表情でこちらを見る。

 

「ストレア?」

 

「あなたには死んでもらう。この世界を守るために」

 

 そう言った時、彼女は左手(・・・)でウインドウを開き、操作する。

 

 空間転移が始まり、別の空間へと転移させらた。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

「ここは………」

 

 空の色がおかしい。ノイズ画面のようであり、砕かれていたりしている。

 

 大地は荒野が広がり、なにもない、そう思った瞬間、

 

「奏者っ!」

 

 その時、回転音が鳴り響き大地が砕かれ、即座に飛んで避けた。

 

 大地は吹き飛び、その先を目で追うと黒いデータに侵食されたサーヴァントがいる。彼はドリルのような螺旋の剣を地面に刺している。

 

「奴は」

 

「奴だけでない、他にもいるぞ!?」

 

 黒白の夫婦剣を持つ赤い外套、大柄の武将、黒い霧を纏う鎧騎士。

 

 他にも侵食された英霊たちが次々と現れ、武器を構えている。全員がバーサーカーとして現界した、狂化の英霊たち。

 

「バーサーカーしかいない、いやバーサーカーにされた英霊しかいないのかっ!?」

 

「まずいぞ奏者、この数はいくら余たちでも。まずはこの空間からの脱出せねば」

 

「分かっているっ!」

 

 すぐに地面に手を触れてこの空間の解析を始める。気づいたことは、ここの時間の変化だ。

 

「まずいな………」

 

 この空間と元々いた空間、SAO内に戻るために記録をたどるが、時間のズレを感じる。

 

 この空間とSAO内の時間の流れが違う。おそらくいまキリトたちか自分たちが、数倍の速さで動いている。

 

「バカな、このような空間を創り出すだと!? くっ」

 

 セイバーの言葉を遮るようにバーサーカーたちが流れ込む。

 

 二人してその場から離れ、令呪を構える。

 

「セイバー、令呪を使う。お前だけでもこの空間から脱出してくれ」

 

「しかし奏者!?」

 

「ここはいまだSAOと言うゲームの中だ。令呪、ムーンセルのルール内なら、令呪を用いればお前をキリトの下に転移させることは可能だ」

 

「それはそうだが」

 

 そうなる場合、俺だけでこのサーヴァントの群れを相手にしなければいけない。だがこのままではセイバーを失う可能性が高い。

 

 ならばセイバーをキリトたちの下に転移させて、その記録を辿って脱出ルートを創り出す方が確実だ。

 

「俺はここで死なない。死者は死なない、なにより〝上〟に進む。頼む、俺を信じてストレアのことをキリトたちに伝えに行ってくれ」

 

 赤雷を操る騎士の攻撃を避けながら、セイバーの顔を見た。

 

 顔は歪みながらも、冷静に考えている。

 

 ここからの脱出もそうだが、なにより、ストレアのことをキリトたちにも連絡したい。この情報は確かに届けないといけない気がする。

 

 その天秤の中でセイバーは俺を見た。

 

「………分かった。余たちが助けるまで、果てるなよ奏者っ!」

 

「『令呪を以て命ずるッ! セイバー、キリトの下に馳せ参じろ』ッ!」

 

 その瞬間、令呪を以て転移を始める。

 

 彼女が消えたのを見届ける。これでもかなりきつい賭けだ。

 

「いくらムーンセルのルールでも、この空間内とSAO内の時間に差があれば、転移にかなりのロスがあるだろう。そこまで俺が持つしかないか」

 

 ストレアの様子、それにコードキャスト。コードキャストはストレアが使用したわけでは無い。つまり、

 

「裏にウィザードがいる? 誰が、何者だ」

 

 そう呟く中、セイバーを送ったものの、最低一日くらい、もしかしたらもっと時間がかかる可能性がある。

 

 それでも早くストレアのことをキリトに伝えないといけない。令呪が無駄になるだろうとも、僅かにも連絡手段があるのなら使っておいたほうがいい。バーサーカーたちが向かってくる。中には明らかにバーサーカーに堕ちるはずもない英霊もいた。

 

「セイバークラスを始め、バーサーカーに収まらないサーヴァントも無理矢理そうしたか」

 

 そう呟く中、死を纏い、静かに構える。

 

【悪いが、ここが果てる場所ではないからな。全員ここで蹴散らす。来い、堕ちた英霊たちよ】

 

 咆哮が鳴り響き、無数の攻撃、宝具の攻撃が降り注ぐ中、駆け出す。

 

【ストレアを救うためにも、むしろこいつらを蹴散らすッ!】

 

 そう決意して俺は、狂化された英霊たちと激突した。




「メドゥーサ狂化完了転移。シュヴァリエ・デオン狂化完了転移………」

 数々の英霊を狂化して、あの空間へと転移させる。ここらで限界か。

「ストレア、時間設定を変更しなさい。あの空間内の時間を減速。その間にSAOプレイヤーたちを処理する」

「はい………」

 ウインドウを操作してストレアが作業する様を見ながら、それは静かに見つめる。

「この世界を救う為、必ず、必ず勝つ………」

「………」

 それは静かにロープを握りしめながら、ウインドウに映るSAOの内部を見つめる。

 全てはこの世界を救う為、そう呟きながら………
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