ソードアート・オンライン・フェイトアンコール   作:にゃはっふー

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予測されているネタの発表とSAOと聖杯戦争のラスボスの登場です。


第22章・彼女たちの目的、彼の旅路の果て

 全てを終えるため、彼らは全力を出すことになった。

 

 攻略組として活躍するキリト、アスナ、クライン、エギルはもちろん。リズ、シリカ、リーファ、シノン、フィリアやユウキもこの戦いに参戦する。

 

「正直止めたいんだが」

 

 横目でストレアの隣にいるユイを見る。彼女も同行することを決意した。

 

 100層は最初プレイヤーたちが探索すると、大きなボス部屋の扉があるだけで他には何も無く、プレイヤー全員が準備を整えてそのフロアへとやってくる。

 

 そこで待っていたのは、

 

「待て、誰かいるぞ」

 

 キリトの言葉に全員が止まると、一人の騎士がそこにいた。

 

「貴様は」

 

 セイバーの言葉に静かに頭を下げ、上げた顔に俺は呟く。

 

「円卓の騎士が一人、太陽の騎士。ガウェイン卿」

 

「ようこそお出でに。SAOプレイヤーの皆さん、そしてこの世界に生まれたマスター。私はガウェイン。あなたたちの最後の敵として召喚されたサーヴァントです」

 

 そう彼の騎士は告げた瞬間、奥の扉が音を立てて開く。攻略組が困惑する中、キリトがシノンに話しかける。

 

「シノン、ガウェインって」

 

「アーサー王伝説で双璧を為す、最強の騎士よ。太陽が出ている間無敵とされた、騎士王の騎士」

 

 その言葉に動揺する中、彼は案内するように奥へと進む。

 

「………行こう」

 

 歩きながら、ガウェインは独り言のように話し出す。

 

「聖杯戦争の情報を取り込んだSAOと言うゲームが、失ったラスボスに相応しい存在を創り出しました。それが我がマスター、ムーンセル並び、カーディナルが判断し、いなくなったラスボスとして構築したラスボスです」

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 構築されたマスターは二つの世界の特長を強く引き継いだ存在。そうガウェインは告げて、側を歩くセイバーは警戒しながら聞いていた。

 

「特徴とはなんだ」

 

死相(デッドフェイス)。我がマスターもそうなってしまった」

 

死相(デッドフェイス)って、そもそもなんですか?」

 

 シリカの問いかけに長い道のりの中、静かに答えた。

 

 生きながら死に囚われた、何も生み出さない悪性情報の一種。

 

 死を迎えながら死に切れない精神情報は電子の仮面になり、死した肉体も動かして、いずれその身体も悪性情報へと変える。

 

 その姿すら死の貌に塗り替える。満足な終わりを迎えた身体すら汚染する歩く死体。

 

「き、キリの字」

 

「………」

 

 キリトたちは難しい顔でメイトを見る。

 

 メイトはなにも言わず、肯定も否定もしない。ユウキだけが複雑そうに彼を見ていた。

 

「この世界は約4000人のプレイヤーの死の情報がありました。それだけでなく、他にも悪性情報が存在しました」

 

「それはプレイヤーの皆さんが抱えていた、負の感情」

 

 ユイの言葉で思い出すのは現実へと帰れない、怒り、悲しみ、憎しみの感情。

 

 最後のマスターはそれにより生み出されたとガウェインは告げた。

 

「この世界で権限を得たマスターは、もう一つの情報源を手中に収めました。彼女たち《メンタルヘルス・カウンセリングプログラム》。彼女たちを自分と同化させることで、この世界の存続こそが自分の存在意義として、彼女は存在を獲得しました」

 

「存在の獲得、この世界の存続………」

 

 このゲームはクリアされればそれと同時に消滅する。それを回避するには永遠にゲームをクリアさせなければいい。

 

 プレイヤーがいなくなれば、また外からプレイヤーを連れてくればいいと、

 

「マスターはそう判断しました」

 

「そんな、ことって………」

 

 一般プレイヤーにはもうわけが分からないだろうが、キリトたちは理解する。

 

 もしかすればそれはそうする。そう心のどこかで理解した。

 

「マスターはそれと共に最大の障害を識別しました」

 

「メイトのことか」

 

「はい、彼のマスターさえどうとでもすれば、人類がサーヴァントに勝てるはずがありません」

 

「事実上の勝利、と言うことか」

 

 セイバーはそう告げる。彼のマスターはメイトを処理するため、まずは最初のサーヴァント。ロビンフットなどを差し向けた。

 

 召喚されるサーヴァントはランダムであり、それでもそれらを使い、そこでまず情報を得ようとした。各フロアで彼の動き、コードキャスト、ウィザードとしての能力を知ることから始める。

 

 そして自分の手元にガウェインを用意し、ガウェインと同じよう自分の使い魔になる二騎のサーヴァントをマスター、選手へと変えた。それを配置して彼との戦闘データを得ることを選んだ。

 

「いままでの戦闘は、彼の情報を得るためだったのかッ!?」

 

「なによりマスターは作り出された身。その実、経験と言うものが存在しなかった。故に彼のデータの基、私と言う駒を最大限に使用できる状況を作り出しました」

 

 途中、廊下の壁に画面のように映るのはメイトの戦闘。

 

 無数にある戦闘データは普段のエネミーとの戦闘まである。

 

「このようなことをして、ムーンセルとカーディナルはなにも言わないのか」

 

「彼女はそこについては、大いに自分の立場を利用したのです」

 

「利用? それっていったいなんですか?」

 

 アスナの問いかけに長い道のりは続く。

 

「それにはまず説明を。始まりはSAOと言うゲームのエラーです」

 

「このゲームのエラー……。俺たちSAOプレイヤーがログアウトできなかったことか」

 

「そのエラー、詳細は不明だったが」

 

「死のデータか」

 

 メイトの言葉にガウェインたちは一瞬止まる。セイバーは静かに目を瞑り、プレイヤーたちは戸惑う。

 

「死んだプレイヤーの無念が、このゲームをおかしくした………」

 

 キリト自身、なにを言っているんだと思いながら、そう感じてしまう。彼らの思いの深さは、自分たちが深く理解できる。できてしまうから。

 

「そのエラーより作り出された彼女はラスボスの正体、GМ茅場晶彦と言うこのゲームの最高アクセス権を持つ存在であることを利用しました。同じ権限を要請、疑似的なGМ権限を会得、その際に使用した技術は彼女の力であると見なされ、カーディナルとムーンセルは放置したのです」

 

「コードキャスト、ウィザードである俺たちマスターの能力としてみなされた」

 

 静かに頷くガウェインは再び歩き出す。

 

「マスターは自分を作り出したデータ、自分が取り込んだ《メンタルヘルス・カウンセリングプログラム》。自分が置かれたSAO最後のボスにして最高責任者としての立場。それら全てを利用して、あなたを倒す準備をしてました」

 

 取り込んだ《メンタルヘルス・カウンセリングプログラム》で、メイトの情報を大いに取り込み、あまつラスボスの権限でさらに介入した。

 

 だが一つ気になる。

 

「作り出されて、そこまで思考するほど進化したのか? 他にも元になるデータはあるな」

 

「この世界には《ホロウ・エリア》と言う、テストプレイ空間が存在し、そこでプレイヤーデータを基にAI搭載NPCを作り、日々この世界を維持するためのデータを収集してます」

 

「まさか《ホロウ・データ》から作り出されたのか!?」

 

「ええ、それにより彼女はSAOプレイヤーとしての立場も獲得しています。着きました」

 

 そう言われ、玉座の間のような場所。紅玉宮へとたどり着くプレイヤーたち。

 

 そこの玉座に、細剣を腰に下げた一人のプレイヤーがいた。

 

「!?」

 

 その時、僅かにキリトは違和感を感じた。

 

 それは自分たちに死のゲームを告げた外套ではなく、赤いフード付きの外套を身に纏う、女性プレイヤーだ。

 

「来てしまったのね………」

 

 玉座から立ち上がり、ガウェインは側で膝を折る。

 

「始めまして、SAOプレイヤーの皆さん。わたしがカーディナルとムーンセルにより、あなたたちの相手として作り出された存在。そして聖杯戦争のマスターとして作り出された者です」

 

「あんたが………」

 

 プレイヤーたちはただ静かに彼女を見る。その中で二人のプレイヤーは彼女に戸惑う。

 

「ねえキリト君………」

 

「ああ」

 

 キリトとアスナだけ戸惑う中、静かにそれは彼女は告げる。

 

「さて、皆さんにお願いがあります」

 

「願いだって?」

 

「簡単です。そこにいるマスターを殺し、このゲームをクリアしないと言う、簡単なことです」

 

 それに全員が動揺する。

 

「ふざけんなよっ! んなことしたら、一生このゲームで怯えて暮らさねえといけねえじゃねえかっ!」

 

「クラインさんの言い分も最もです。ですからそれを殺したら、それが持つリソースを使い、このゲームをクラッキングし、エネミーはただいるだけの存在にして、簡単に倒せるものに変えてあげます」

 

「なっ………」

 

 プレイヤーたちがざわめく中、彼女はそれだけでは足りないのかまだ続けた。

 

「それともお店の品をタダで買えるようにしますか? なんなら迷宮区だけは通常の状態にして、スリルを味わいたいのなら迷宮区へ。と言うのはいかかですか?」

 

「ふざけているのか、そんなこと」

 

「できます。それがウィザード、このSAOでは無いルールを持つわたしなら」

 

 その瞬間、画像が空中に浮かぶ。

 

 それは第1層の町や、他のプレイヤーが映る。向こうは戸惑いながら空を見ている様子だった。

 

「いまこの状況は全SAOプレイヤーに投影され、知ることができるようにしております」

 

「………本気なのか」

 

「ええ、この世界を維持するためならなんでもします」

 

 その言葉を聞いて、キリトは剣を抜く。

 

 それに全員が戸惑うが、アスナも続いて剣を抜いた。

 

「決まりましたか」

 

「ああ決まった。あんたをここで倒さないといけないってことが」

 

「どうしてです?」

 

「そこの騎士は言った。このゲームを継続させるのなら、他のゲームからプレイヤーを連れて来るってな。そしてなによりここは現実じゃない、仮想世界だ」

 

「この世界でわたしたちは健康に見せていても、現実の身体は病院で寝かされている。その身体だって、このままでいいはずがない」

 

 キリトとアスナの言葉に彼らは選択肢が無いことを知り、各々が武器を構え出す。

 

 それに首を振り、彼女は言う。

 

「我々ウィザードにとって、肉体の死なぞ関係ない。と言っても、これはわたしにとってもただの情報ですね。仕方ありません」

 

「そこまで分かるのなら、なんで」

 

「あなたたちが勝てないからです。この騎士、サーヴァントには」

 

「勝つさ」

 

 メイトが前に出たとき、彼女から殺意、殺気が放たれた。

 

「あなたは………」

 

「サーヴァントにはサーヴァント、マスターにはマスター。聖杯戦争のルールなら、俺が勝てば、キリトたちは現実世界に帰れる。ならば勝つ、もともと俺はその為に作り出された」

 

「黙れ人形風情がッ! 貴様に、貴様なんかに何が分かるッ!?」

 

 歯を食いしばり、歯ぎしりすら聞こえるほど憎いらしい彼女はメイトを睨み続けた。

 

「あなたを殺せばSAOプレイヤーはゲームクリアはできない。そうすればこの世界は永遠に継続される。それすら分からず、消滅へと進むモノに、わたしたちの気持ちが分かるものか!!」

 

 そう言って彼女は外套を掴み、彼に投げた。

 

 そして現れた素顔にキリトは、キリトたちは目を疑う。

 

「アス……ナ………」

 

 そこにいたのはアスナと言うプレイヤーと瓜二つの顔だった。

 

「驚くことではありません。わたしは彼女、ギルド《血盟騎士団》副団長、《閃光》のアスナの《ホロウ・データ》で作り出された」

 

「わたしの、データ……」

 

「それもまた同じですよ」

 

「なに」

 

 細剣を向けながら、彼女は怒りと憎しみを向けながら叫ぶ。

 

「わたしと同じ《ホロウ・データ》から生み出されていながら、死のデータで作り出されていながら、死へと進むその男。黒の剣士キリト(・・・・・・・)のデータを下に作り出された偽物」

 

「っ!?」

 

 全員がメイトを見るが、メイトとキリトは似ているかと言われれば、少し躊躇いが生まれる。

 

「当たり前です、彼はムーンセルによって別の死のデータも組み込まれた。だけどその《二刀流》、そのスキルだけは一人のSAOプレイヤーしか持つ事を許されないもの」

 

「そうか、彼は俺の《ホロウ・データ》」

 

「完璧な《ホロウ・データ》でないメイトさんは、パパと同じ空間にいてもカーディナルに消されることはなく、こうして共に行動できている。ということですね」

 

「そう、そしてわたしも完璧なアスナの《ホロウ・データ》ではない。故に同じ空間に存在する」

 

 彼女の髪の毛が黒く染まり、瞳は血のように紅く染まる。

 

「わたしと同じでありながら、わたしたちとは違う道を進む紛い物の人形。あなたを殺せばこの世界は守られる」

 

「それでも俺は進む……〝上〟を目指して」

 

「上?」

 

 キリトは疑問に思う。ここはすでに最上階、上は存在しない。

 

「あなたにとって、上はなんなの?」

 

 その言葉に彼は言う。

 

 

 

「俺は先に進む為に……終わり(〝上〟)を目指して。その為にここまできた」

 

 

 

 その言葉にキリトたち、ユウキは絶句した。彼が言う上はそう言う意味だったのだから。

 

 セイバーは悲しそうにそれを聞き、ガウェインはなにも言えず、敬意を以って剣を抜く。

 

「なぜなのッ!? 同じなのに、同じの癖にッ! どうして終わりを目指すッ!? それは作り出された感情、偽物の感情で、あなたの作られた目標なのに」

 

「それでもそれを選ぶ。お前こそ勘違いをしている」

 

「なにを」

 

「死者は死者、生者を捕らえ続けていいはずがない」

 

 その言葉に彼女の殺意が強まる。それでも彼は続けた。

 

「彼らは現実の世界に還るべき存在であり、俺たちは消え去るべき存在だ。ここまで上がって、ここまで進んで、目指して、俺はそれをより一層願うようになった」

 

「人形が………」

 

「俺には三つ、作り出されて願いができた。その一つである『現実世界へみんなを還す』。叶えさせてもらう」

 

「結局あなたは、作り出された人形ね………。ガウェイン」

 

 その瞬間、天井が斬られ、浮遊する足場がフィールドとして作り出された。

 

「あなたを殺せば、彼らも先ほどの条件を飲むしかなくなる。これが本当のSAOの最後の戦い」

 

「キリト」

 

「メイ……ト………」

 

 戸惑う彼らに、彼は静かに微笑んだ。

 

「お前、お前は」

 

 キリトは思う。だが言葉にできない。それに彼は笑う。

 

「俺に、意味のある死をくれ」

 

 それを聞いた彼は、

 

(ああそうか、君は俺なのか………)

 

 仲間を死なせ、あの日、冬の雪が降る日、あのメッセージを受け取るまでの自分。

 

 ただひたすら死を求め、生きていた自分。

 

「例え俺の先が死であろうと、俺は歩くのを止めない」

 

「いいだろう奏者、その旅路を余が彩ろうッ!」

 

「ならわたしはあなたたちに終わりを与える。この世界を守る為に………」

 

 無数の人型の、ユイとストレアと同じ《メンタルヘルス・カウンセリングプログラム》。彼女たちが武器を持って現れた。

 

 それと共に天高く、太陽が空を照らし出す。

 

「『令呪を以て命ずる、騎士の忠義を示せ』ッ!!」

 

「この剣、あなたのために振るおう」

 

「太陽の騎士を太陽の下で倒すか、奏者よ」

 

「ああ勝つぞ。キリト」

 

「………」

 

 黙り込む彼に、彼は、

 

 

 

「………頼む、みんなを救いたいんだ」

 

 

 

 その言葉にキリトは我に返り、彼を見た。その顔は笑っている。

 

「………くっそおおおおおおおおおお」

 

 武器を構え直し、キリトの咆哮に続くようにクラインも叫ぶ。

 

「いくぞテメエら、ここが最後の決戦よォっ!!」

 

「はい」

 

 全員が武器を構えて、プレイヤーはプレイヤー、マスターはマスターの、サーヴァントはサーヴァントのフィールドに上がる。

 

「わたしは勝つ、勝ってこの世界を守り通す」

 

「俺は勝つ、勝ってこの歩みの先へと進む」

 

 お互い死を顔に纏い、静かにセイバーたちは剣を構える。

 

 こうして全ての決戦が、いま幕を上げた………




SAOラスボスマスター、ホロウアスナ。サーヴァントセイバー、ガウェイン。

聖杯戦争もまた、終わりへと向かい、一人の人形は〝終わり〟へと歩き出す。

お読みいただきありがとうございます。
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