ソードアート・オンライン・フェイトアンコール 作:にゃはっふー
変わり出した仮想世界、キリトとメイトに戦いが迫る。
あれからだいぶ過ぎた。
まずはコードキャストについての確認したところで、他のプレイヤーにも強化などのサポートできる。
セイバーは強く、俺もエネミーぐらいなら相手にできている。キリトたちは《ホロウ・エリア》を含めて攻略を進めていた。
「それでね」
いまリズベットから《アインクラッド》について詳しい話を聞く。
ここ76層より前の話では、75層でゲームマスターである茅場晶彦。
彼はプレイヤーに紛れ、プレイヤーの動向を見ていたらしい。だがキリトが彼の正体を暴いた。
正体を知られた彼はキリトに、その場で彼にラスボスへの挑戦権を与えた。どうもこのゲームの最後のボスを自身が担うつもりだったらしく、キリトはその申し出を受けた。
戦いはキリトの勝利で終わったはずだが、どうやらシステムエラーが起きて、いまだ仮想世界に捕らわれの身である。
リーファは現実世界で別のゲームをしていたキリトの妹であり、シノンも別のフルダイブ機能を使用していた時、この世界に囚われた。
その後はSAOプレイヤーは正規のログアウト方法である100層をクリアするために動き、リーファたちは攻略を手伝ったりする。
何名かは中層プレイヤーと言う、中層で活動していた人たちもいる等々、話を聞いた。
町の中は《アンチクリミナルコード有効圏内》、通称《圏内》。他のプレイヤーを傷つけることはシステム的に不可能だが、抜け穴があるため気を付けないといけない。
そんなこともありながら階層攻略は79層へと成りつつある………
◇◆◇◆◇
「今度のボス攻略戦、情報を集められないのか?」
「うん、そうらしいの」
それはある日、キリトたち攻略組が詳しいミーティングをしている時だった。
難しい顔でアスナから情報を聞くキリト。
彼女は攻略組を纏める指揮官にどうも収まってしまいながら、攻略組をまとめ上げていた。
そんな彼女の情報ではボス部屋は見つかったが扉は固く閉ざされていて、開くことはできるがあまりの重圧に入ることをためらわれ、情報を集められないらしい。
「ボス部屋の中には《結晶無効化空間》があるし、75層みたいに一度は入ったら出られない。そう言ったたぐいか」
「うん、だからかなりの人数で気を付けていくつもりだよ」
その話を聞きながらセイバーが立ち上がろうとして引き止める。
「なぜ止める奏者よ」
「俺たちはダメだ、キリトたちに迷惑をかける」
「それはそうだが」
「いや、セイバーたちには他のことで助けてもらってるよ」
そう言うキリト。あの後調べたが俺とセイバーは《ホロウ・エリア》には行ける。時々フィリアにも会いに行っている。
セイバーと共にシリカを初めとした、唐突にこの階層に来てしまったプレイヤーのレベリングを手伝ったりしている。それがいま俺が〝上〟に行くための方法だろう。
「俺のシステムのことは誰にも言えないのか」
「それは……。リーファのことも詳しく説明できないのに、外から来たシステムで戦えるのはな」
「そうよ。それにあんた、記憶を取り戻してないでしょ」
リズベットはそう言うがそれは………
「〝上〟に行くのに必要ない」
「あんたねえ」
そう怒られる中でシノンだけはこちらを見ていた。彼女も記憶が曖昧とのこと。
それに気づきながらもこうして話は聞かされ、明日のボス攻略戦を祈るだけになる。
◇◆◇◆◇
槍を持つシノン、短剣のシリカ。ピナと共にセイバーはフィールドを駆ける。
「はあああああああああ」
簡単にエネミーにダメージを与え、弱らせたところシリカがトドメ、もしくはシノンがスキルを使い戦う。
コードキャストを使い、二人を強化しつつ俺は指示していた。
「ふう、助かりました」
「ありがとう」
「別にかまわない。むしろセイバーに言ってくれ」
「ふっふーんっ♪ この程度の輩、余の敵ではないっ」
そう得意げに胸を張り、戦いの中でボス攻略戦が行われる部屋へと続く道を見る。
「キリトさんたち、だいじょうぶでしょうか」
「平気よ、彼奴らなら………」
そんな話の中、急に気配を感じた。
「誰だ」
すぐに全員が構える。考えたくはないがPKプレイヤーの可能性もある。
そんな考えの中、不思議な女性が現れた。
「やっほーセイバー」
「お主」
セイバーが驚きながら剣の構えを解き、それは静かに、フレンドに、愛想笑いをして俺を見た。
赤い衣装に身を包む衣装はこの世界観に合わない普通の服装。
金色の髪のツインテール、束ねるリボンを見ながら彼女は静かに微笑む。
「あなたが〝いまの〟この子のマスターでいいのかしら?」
「あんたは」
「私? 私はね『リン』よ。いまはただのリンってことでよろしくね」
シリカたちも警戒する中、彼女は陽気に答える。
「このままじゃ攻略組が絶滅しちゃうから、あなた助けに行ってくれないかしら?」
「なっ」
「………あなた、なに言ってるか分かってるの?」
シリカは青ざめ、シノンは睨みながら聞くが涼し気に流すリン。
「むしろあなたたちこそ分かってくれないと困るわね」
そう言いながらこちらには近づかず、俺だけを見ながら彼女は言う。
その時に気づいた。
「二人とも、リンはNPCだ」
「っ!? 本当です、これは」
プレイヤーとNPCなど識別するカーソルがある。彼女はNPCとしてそこにいた。それに彼女は簡単に説明する。
「まあ、あなたたちのところのユイって子みたいと思って。これでもかーなーり無理してあげてるんだからね」
ユイは事情のあるキリトの娘と認識している俺からすれば、その情報を持っているリンこそ警戒するものなんだが………
「上に行きたいのでしょ、あなた」
「ああ」
「何のために?」
「憎いから」
それに二人が驚き振り返る。
だが俺は気にせずリンを見た。
「俺が行かなきゃ〝上〟に行けないのか」
「ええ、今頃悪戦苦闘しているわ」
「間に合うか」
「いまから行けば」
「分かった」
そう言い俺はすぐさま向こうことにした。
「ちょっ、奏者っ!?」
セイバーが追いかけて来る中、シリカとシノンも来るが気にせず前に進む。
急がなければいけない、急ぎ向かわなければいけない。
◇◆◇◆◇
「彼より重傷ね、まあ仕方ないけど」
そう言いながら彼女は二つに束ねた髪をいじりながら、静かに呟く。
「けど、放っておけない問題なのよね。まったく、どうしてこんな〝混ざった〟のかしら。この世界を作った奴は天才だけど、大馬鹿者よ」
そう呟き、彼女はノイズと共にその場から消える。
その様子を、
「………」
気配を消して静かに顔を出す、紫の女性プレイヤー。
ストレア。彼女は静かにその様子を難しい顔で眺めていた。
「………」
静かにまた気配を消して彼らを追いかけた………
◇◆◇◆◇
ボス部屋だった。そのはずだった。
扉を開けて薄暗闇の中、攻略組は先に進み、光が差す場所にたどり着いた途端、
「なんじゃこりゃッ」
クラインが驚くのも無理はなく、当然場所が暗雲立ち上る、古い大型船の看板に出た。
古い木造の船であり、嵐の前の静けさのような風景が広がる。
そして現れたボスエネミーに全員が驚いた。
「タンクッ」
全員が困惑する状況で壁役が吹き飛び、俺はそれと斬り合う。
顔に大きな傷跡がある少女。カトラスを持つ小さな身体で斬りかかり、全然太刀打ちできない。その身体に似合わない強さを持つ。
「毒を受けた者は後ろに引いてっ」
「がっ、HPがっ」
「助けて、解毒結晶っ、解毒結晶!」
――いやさ無駄だって。
声だけが聞こえる。彼女以外に誰かいた。
そいつは毒付きの矢で多くのプレイヤーを動けなくした。それが一番の痛手だ。
「さっきから、なんなんだこれは」
――言ってるだろ?
「キリト君っ」
俺に目がけて矢が放たれ、それをアスナがかばった。
「くっ」
「アスナああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
顔を歪めるアスナはすぐに解毒結晶を使おうとするが機能しない。
この毒は解毒アイテムが一切効かないんだ。
こいつの言う通り、システム自体が違うから反応しない。そんな印象を受ける。
いまは回復アイテムでHPゲージゼロを防いでいるが、いつまで持つか分からない。
「くっそ」
「ごめんね、けど仕方ない。僕らは君らと戦うために召喚されたんだからね」
カトラス使いまで話しかけて来て余計混乱する。NPCであるのだろうが、まるでユイのようにAIシステムを搭載しているようだ。
「それじゃ、そろそろ終わりにしようか」
こいつと斬り合っていると時々変な攻撃が飛ぶ。死角からの攻撃、それを防いでいるせいで押されている。
事実上よくて三人を相手にしているのに、大勢いるこちらは絶滅間際。
そう考えていると、
「はああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
突然俺とカトラス使いに割って入る、一人の剣士。それは深紅の衣装を纏う彼女。
「セイバーっ」
「っ!?」
――なんだと――
向こうが驚いたようだ。セイバーの出現に動揺してカトラスの少女は吹き飛ぶ中、セイバーが何も無い空間に剣を振った時、甲高い音が鳴り響く。
「ほう、姿を隠す者二人。アーチャーかアサシンか。ともかくセイバーと言う訳では無いなお主。ライダーか?」
「………そう、僕はライダーだよ。セイバーさん」
俺はその言葉に驚きながら、
「コードキャスト」
その事と場に振り返るとメイトが毒を受けたプレイヤーたちを同時展開で回復させた。
コードキャスト、彼だけが持つ別のゲームシステムスキルが展開されて、全員の毒状態が消える。それだけでなくHPが回復している。
彼はウインドウを片手で展開しつつ、その様子を眺めていた。
「イチイの毒か、姿を隠しているのはアサシンかアーチャーか」
「イチイ? よもやッ」
セイバーが何かに驚きながらすぐに周りを見渡し、なにも無い空間に斬りかかる。
「おっと」
そう言い、突然そこから人が現れた。
緑色の服を着る、心底嫌そうな顔をした男。腕に弓を装備している。
「まさか、このゲームに弓は無いぞっ」
「いやね、だから俺は言ってるでしょ? ルールが違うって」
そう言ってアーチャーはカトラス使い、ライダーの後ろに隠れながらけん制。セイバーは辺りを警戒する。
「セイバー、分かってるな」
「ああ、隠れていないで出てきたらどうだ」
そう言った途端、セイバーに影が覆いその頭上を見ると、マスカット銃を構えた金髪の女性が銃を使い攻撃した。
だがコードキャストの壁が現れてすぐに防がれ、プレイヤーを含めて守るように展開される。
銃の攻撃を防いだ二人。三人の敵を見て困惑するセイバー。
「どういうことだ。なにか仕掛けはあると思ったが、三騎だと?」
「違う二騎だ。おそらくライダーは二人で一人のサーヴァントだ」
メイトの言葉に向こうは驚きながら、それが正解である反応だと俺でも分かる。どういうことだ?
「お前さん、こっち側か」
そう姿を隠していた毒使いが訪ねて来た。
「ああ。お前は誰だ、暗殺者のクラスか、弓兵か」
「この者はアーチャー、ロビンフットよ」
メイトの問いかけにセイバーが答える。
それにロビンフットは目が飛び出しそうなほど驚いた。
「おいおいマジかよ、なんで真名がこうも簡単に。そんなメジャーじゃないぜ俺」
「知れたことッ。一度戦った者を忘れるはずは無かろう」
剣を向けたセイバーの言葉に、俺たち攻略組は置いて行かれながらロビンフットは、
「一度戦った? お前さん、前回のこと覚えているのか」
「ああ、前々回のことも覚えている」
それにライダー二人は驚き、ロビンフットはため息をつく。
「こりゃ、とっとと殺しておけばよかったか。ルールが違うシステムが違う何もかもが違う相手を相手にしなきゃいけないからって、手を抜きすぎた」
「本当ですわ、このままではわたくしたちの真名も看破しそうです」
「同感、先に殺すのは彼でいいね」
そう言い、三人はメイトを見る。
先ほどからの会話、そしてメイトのコードキャストがロビンフットの毒を消していたこと。
もしかしたらシステムが違うと言っていたのは、
(メイトのシステムで作り出された、ボスエネミーっ!?)
そう驚きながら彼は二つの剣を抜き、静かにセイバーを見る。
「セイバー、ロビンフットの情報は」
「この者は姿を消す宝具と毒を撃ち、二度目の攻撃で絶命させる毒の宝具の二つだ。ただしどちらか一方しか使えない」
「ライダーは俺がやる、お前はアーチャーをやれ」
そう言い即座に二本の剣を構えるメイト。
「分かったぞっ」
セイバーも気にせず構えていた。
「それじゃ、木々の無い隠れ場所無いこの場所でやるしかないか。お二方が頼りですからねっと」
苦笑する彼は姿を消す。それと共に武器を構えるライダー。
「ええ任せてくださいな」
「海賊の意地、見せてあげるよ」
「行くぞ」
こうして全てを置いて行き、彼らの戦いが始まった。
サーヴァント複数参加。ロビンフットさん、フィールドの相性悪いな。
メイトも全力で戦いだし、キリトたちは困惑しながらセイバーたちの戦いに巻き込まれる。
それではお読みいただきありがとうございます。