ソードアート・オンライン・フェイトアンコール   作:にゃはっふー

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オリジナル展開。

それと察しの良い人はきっとお弁当を渡している者が誰か分かるはず。

これやっていいのか不安になりながら投稿します。


第7章・迷子の妖精

 現在キリトにお弁当(手作り)が毎度届く。

 

 ダンジョン探索の帰り、起床時にいつの間にか部屋、あるいはエギルに預けられていた。預けられる際、いつの間にか店内にあったとのこと。

 

 S級食材により作り出されたオムライス、ビーフシチュー、スパゲティー、ボルシチなど赤い色が目立つ食材が多い。

 

 クラインは、

 

「きっと、キリトのファンだぜこれは」

 

「ファン?」

 

「そうさきっと………『キリトさん素敵っ、けどアスナさんがいる。私のことはきっと選んでくれないの。せめてキリトさんを想って作った料理を食べてほしい。きゃっ♪』ってな感じだぜきっとっ。うらやましいぞこの」

 

 果たしてそうだろうか?

 

 時々弁当と共にある手紙の内容、かなり詳細なキリトの日常が書かれていて、これにはさすがにどうかと思うほど細かい。一番気になるのはこれが《ホロウ・エリア》のことも書かれていることだ。

 

 それに俺が疑問に思うと、仲間から

 

「一応向こうでもプレイヤーがいるんでしょ? だから」

 

「《ホロウ・エリア》に行ける女性プレイヤーですねっ」

 

 リズとシリカが俺にこのお弁当プレイヤーが誰なのか、それらしい人物がいないか調べてほしいと言われるが心当たりがない。あそこにフィリアやキリトのようなプレイヤーがいるのだろうか?

 

 ちなみにお弁当の件はアスナには秘密。これは、

 

「なぜだ」

 

「それはお前、この愛くるしい一途な子の想いを裏切るってのか?」

 

「そうなるのか?」

 

「なによりアスナさんも良い顔しないだろう」

 

 キリトもまあ、それには少し思うところがあるのだろうか。だから気にして秘密にしている。

 

 いまいち人の感性が分からない中、そう思いながらもここ《ホロウ・エリア》でフィリアと共に探索を始める。そんな時だった………

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 色々探索をするがプレイヤーの影は一つも無かった。キリトはいると言うが、俺はフィリアたちと共に行動するが一向に会わない。

 

 森のフィールド、森林地帯。初期のようなこの場所を見て回るが何も無かった。

 

 ちなみにここに他プレイヤーを連れて来れるが、俺はセイバーを選び続ける。サーヴァントも一人としてカウントするらしい。

 

 エネミーを倒し、ここでしか手に入らない品物を持ち帰る。そんな中、

 

「奏者よどうした? 空ばかり見て」

 

「ああ。少しばかり、空がおかしい」

 

「おかしい?」

 

 フィリアたちも空を見るがなにもない。デジタルにより作り出された仮想の世界。その空が広がっていた。

 

 そう感じる中、

 

「!」

 

 僅かに世界が揺れた。

 

 ノイズが走り、デジタルの歪みが現れ、セイバーとフィリアに緊張が走る。

 

「これって」

 

「奏者っ」

 

「分かっている」

 

 なにが起きるか分からない。色々構えている中、それが見えた。

 

 電脳の歪み、ひび割れた空から何かが出て来る。

 

 死相(デッドフェイス)を纏う。

 

 すぐに木々を足蹴に蹴り跳び、足場のコードキャストを展開、即座にそれを確保する。

 

 そのまま地面に下りる中、死を解き、静かに見た。

 

「女の子?」

 

 地面に降ろして前髪を払い、顔をよく見る。

 

 年齢は14前後、紫紺のロングヘアーにバンダナ。剣士のような衣装。

 

 プレイヤーかNPCかはカーソルでプレイヤーと分かる。

 

 だが問題はそこでは無い。

 

「これは」

 

 そう耳の形が僅かに違う。

 

 少しだけ尖っていて、僅かに髪の中から見える。少し触るがくすぐったそうにして眠っていた。

 

「………今日の探索は中止だな」

 

 空を見るとすでに安定していて、俺はこの子を背負い、セイバーたちの元に戻る。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

「これで必要なピースは揃った」

 

 男は石に座り込み、その様子を見ていた。

 

 周りの空間は歪んでいて、エネミーが削れたように黒く染まる。

 

「後は彼が上にたどり着くだけ」

 

 そう言って静かに立ち上がり、静かに両手を広げて宣言する。

 

「七天が織りなす戦いはいま一度開演した。マスターよ、上を目指せ、その先にたどり着くために………」

 

 そして男は暗闇の中へと姿を消した………

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

「エギルはいるかッ!?」

 

「おうセイバー、早かったな。メイトもって」

 

 この店の亭主であるエギルは、俺が背負う者を見てすぐに驚く。

 

「少女が空から降ってきたのだ、すまぬがキリトたちと相談したい。何名かにメッセージ? を送信してはくれまいか」

 

「空からだと」

 

「!? それって」

 

「本当ですかっ!?」

 

 その時シノン、リーファが店にいて、話を聞いて近づいてくる。

 

 リーファは俺の背中で眠る少女を見て、すぐに気づいた顔になった。

 

「この子、闇妖精族(インプ)だっ。うん、間違いないよ」

 

「リーファが元々いた世界のプレイヤー?」

 

 リーファが言うには、リーファのゲームはプレイヤーが妖精になり、各種族で争ったり協力したりする、PK推奨の本格VRMMOらしい。

 

 この子もそのプレイヤーなのか、いまは首筋を甘噛みしたりする。夢を見ているようだ。

 

「ともかく部屋に寝かせておきたい。その後の対処は任せていいか?」

 

「うむ、いきなり説明するのも大変だからな。奏者より同性が良いだろう」

 

「うん分かった、部屋はメイト君たちの部屋だね」

 

「すまない」

 

 とにかくメッセージを飛ばし、しばらくは宿屋待機。

 

 部屋で寝かせた後、俺はリーファを残してセイバーと共に部屋を出る。

 

 そこには難しい顔のエギルとシノンがいた。

 

「見た限り、まだ小さいが………見た目通りじゃないと分かってても、不安になるな」

 

「? どういうことだ?」

 

「見た目通り子供なら、このゲームに囚われたと言う事実をちゃんと受け止められるか分からないってことよ」

 

 セイバーの言葉にシノンが答える。

 

 シノンはまず記憶が混濁していて、すぐにここがゲームの中と実感できず、キリトたちに保護された。

 

 リーファはキリトがいた。だからこのデスゲームに対応できたと話を聞く。

 

 だがあの子は?

 

 二人は《ナーヴギア》、SAOプレイヤーを死に繋ぎ止めている機具を使用していないが、HPゲージが無くなるとどうなるか分からなかった。

 

 あの子も違う機具を使用していても、この問題は解決しない。

 

「………責任を取るしかない」

 

 少し考え込むが、あの子は俺が連れて来た。なら面倒を見るのは俺だろう。

 

 元々俺はリソース回復などがある。できる限り備えるぐらいしかやることはなく、時間だけはある身。

 

 それにはセイバーも頷く。

 

「うむ、あのような愛らしい者を見捨てるなぞ言語道断。奏者のやりたいようにするが良い」

 

「ああ」

 

 別のVRゲームは性別以外、ランダム生成らしい。あの子はどんな子かは知らないが、見た目ほど幼いと言うことはないかもしれない。

 

 それを祈るくらいしかいまはなく、静かに店で時間を潰した。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 しばらくしてキリトたちも慌ただしい様子で帰ってきた。

 

 キリトも俺からのメッセージを受け取り慌てたらしい。

 

「話を聞く限り、シノンのようなケースだな」

 

「そうか。見た限り幸せそうに奏者にぱくついていたから、見ている夢は問題ないと思うが」

 

「そ、そうなのか……」

 

 そんな話をしつつ、リーファがみんなが集まる中に現れた。例の子を連れて。

 

「お兄ちゃん」

 

「リーファ、その子は」

 

「一通り説明した。とりあえず、あたしから話せる範囲は話したよ」

 

「………」

 

 少し不安そうにしながらも、反応は歳相当の子らしい。

 

「えっと、初めまして。ボクは『ユウキ』。ALOでは闇妖精族のインプしてます」

 

「ユウキ、でいいのね。その、このゲームのこととかは分かる?」

 

 ここはアスナが代表して話を聞く。彼女は重々しくうんと頷く。

 

「始めはあの出られなくなるゲームだなんて信じられなかったけど、ボク、つい日向ごっこしてて寝落ちしたはずだもん……。このままなら強制ログアウトで、ゲームから出てるはずだから」

 

「よく眠っていたぞ。余のことはセイバーと呼んでほしい」

 

「メイトだ」

 

 ともかく自己紹介を終え、シノン、リーファのケースから、ユウキは外から来たプレイヤーなのは間違いないらしい。

 

 その事実にキリトたち、SAOプレイヤーは苦々しい顔をしていた。

 

「このゲームは、どこまで人を巻きこめば気が済むんだ………」

 

「えっと、これからボク、どうしよう……」

 

 少し悩むように言うが俺はすぐに、

 

「しばらくはここの状況をよく聞いて、考えればいい。面倒は見るよ」

 

「け、けど悪いよそんなの」

 

「構わない。助けたのは俺で、そうすると決めたのも俺だ」

 

「うむっ、余は問題ないぞ奏者っ♪」

 

 ともかく話をして、部屋も三人部屋を借りることにして今日は落ち着く。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

「えっと、いまは攻略組って言う人たちが、100層のゲームクリアを目指してるんだね」

 

 ユウキの問いかけにああと頷く。

 

 いまは三人部屋になったところで、ユウキに足りない知識を照らし合わせていた。

 

 グリーンカーソルプレイヤーを攻撃すると犯罪者、オレンジカーソルになると言う辺りなど、気を付けなければいけないところなぞ。

 

 俺自身、教えられたことをそのまま教えているので簡単だった。

 

「それでえっと、聖杯戦争。って言うルールが混ざって、いまこの世界では二つのルールが混線してる。んだよね」

 

「ああ」

 

「その聖杯戦争のルールを解決するために、メイトが作られたって。メイトはNPCなの?」

 

「ああ」

 

 作り出されたモノとしてならば、俺はNPCと変わりないためそう頷く。

 

 ユウキは色々と驚きながら話を聞く。いま聖杯戦争のルールが適応されたボス部屋は見つかっていない。見つかれば俺がそこを攻略しなければいけない。

 

 セイバーもまた静かに胸を張り、宣言する。

 

「案ずるなユウキよ。余と奏者がいれば、如何なる英雄であろうと必ず勝利を収めてくれる」

 

「聖杯戦争は、英雄が出て来るんだよね? ならセイバーも、英雄なの?」

 

「ん? それはその………」

 

 セイバーは少しだけ言いにくそうに目を泳がせて、ユウキが聞きたそうにしているために少しだけ口を開くセイバー。

 

「ユウキよ、聖杯戦争で呼ばれる英雄は、けして〝善〟だけではない」

 

「ぜんって、正義ってこと?」

 

「うむ、その逆も存在する。反英雄。悪いことをして有名になり、人類史にその名を刻んだ者もおると言うこと」

 

「中には史実とは違う英雄もいる」

 

「史実って、嘘の話もあるってこと?」

 

 それに俺はいい例として、シグルドとジークフリート、カール大帝とシャルルマーニュを教えてあげた。

 

「片方は同一起源されていたり、片方はモデルにされていたりしている。同一人物でも、その側面が違う英霊もいるんだ」

 

「そうなんだ。なんかすごいね」

 

 ユウキはきっと、SAOプレイヤーのように聖杯戦争を理解しているのだろう。

 

 セイバーもまたそれでいいとしている。ならとやかく言うのはやめておく。

 

「余はその、悪名として名高い皇帝でな。その真名をまだ奏者にも話しておらぬ」

 

 そう言い窓の外を眺めているため、表情は見えないが、あまり良いと言うわけではないだろう。

 

 セイバーの言葉にユウキも少ししゅんとなるが、その頭を撫でて俺は話を区切る。

 

「真名は俺にとってはどうでもいい。いまは〝上〟を目指して、みんなで頑張ろうだ」

 

「うんっ。ボクも攻略組にはなれるか分からないけど、頑張って生きるよ」

 

「うむっ、その通りだ」

 

 振り向く彼女はいつも通りであり、ユウキも嬉しそうにしている。

 

 生きるため。その言葉は俺にとってどれほどの意味があるか分からない。ただそれでも目指すことをやめてはいけない。

 

 後のことは後にして、その日は休むことになる。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 その後はユウキが《ホロウ・エリア》に入れるプレイヤーであるかの確認と、今後ユウキはなにをするか、シリカたちと話し合うことにした。

 

 フィリアには《ホロウ・エリア》の際に話しておいて、こうしてユウキはこの世界のプレイヤーとして活動を開始する。

 

「とりあえずみんなとのフレンド登録も終えたから、次は装備かやれることを探そう」

 

「うんっ♪」

 

「それでは行くぞ二人ともっ♪」

 

 セイバーとユウキを連れて俺は町を歩いた。

 

 この世界、なにも攻略組しか方法が無い訳では無い。レベリングした時の情報や、クエストをしてアイテムを集めたり、それが巡り巡って攻略組の助けになったりする。

 

 ともかくユウキはリーファやシリカのようにそう言うプレイヤーになるのだろう。

 

 戦いの方も強く、レベルは攻略組クラスなのを確認させてもらった。

 

 途中でストレアにも会ったりして、彼女の動ける範囲を広げる。

 

 こうして俺の周りが慌ただしい中、

 

「ああそうだ、メイト」

 

「どうした」

 

 少し照れくさそうにするユウキ。少しだけ黙り込んでから、

 

「色々あって、言うの遅れちゃったけど、助けてくれてありがとう」

 

「ああ。問題ないよ」

 

 そう言われ、ユウキはセイバーと共に町で色々な施設を見て楽しんでいた。

 

 とりあえずいまのところ、彼女はこの世界に怯えている様子が無い。

 

 だがいまはだ。気を付けないといけない。

 

 こういうのは分からないから、人に聞きながら彼女の面倒を見なければいけないな。

 

「………攻略より大変だな」

 

 そう呟きながら、俺は彼女たちと共に過ごしている。

 

 そして………

 

「メイト、ボス部屋の様子がおかしい。もしかしたら聖杯戦争の部屋かもしれない」

 

 キリトからの言葉に俺の宿命もまた動き出す。

 

 先に進む〝上〟に進むために。

 

 俺は止まることは許されない………




ユウキも現れ、謎の人物も出現。

果たしてメイトは〝上〟へとたどり着くのか。

お読みいただきありがとうございます。
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