TS転生未来レトロゲーム実況配信のびる   作:おかひじき

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ホールなのかコースなのか、コレガワカラナイ


ゴルフ(水分マシマシ)

 

「はい、いつもありがとうございます、のびるです!今日は対戦、

ファミコン初期も初期の『ゴルフ』、ストロークでいってみたいと思います!」

 

『対戦きたああああ!』『連続やないか!』

『のびちゃん対戦系になるん?』

『俺得すぎて血管破裂しそう』『高血圧ニキは養生して、どうぞ』

 

「ゴルフゲームはだいたい元々合法の個人競技なんで、

設定は個別フィールドでコメント共有で行きます。

サーバー最低値でも255人まで大丈夫なので……はい、」

 

スポーツでも、ゴルフのような完全な個人競技は事情が異なる。

同じフィールドに存在させる必要すらないので、ダイブ形式でのプレイが可能なのだ。

クライアント側にワイプ機能の立体映像かモニター映像を表示し、

ホスト側に管理コンソールを配置する。

完全時間共有のチャットか時間同期ファジー設定のコメント機能を共有して、

一人一人別フィールドでゲームを進行させるのが一般的である。

 

スポーツはスポーツ競技ごとに様々な法的交渉・社会的認知を行って、

ダイブ形式ゲームへの対応を個別に行ったとされているが……詳細は明らかではない。

 

「私はですね、反省しました。ゲームでいらいらしてわめき散らしたり、

ゲームの世界がプレーヤーに対して優しくしてくれて当然という思い込みはダメです。

ダメなんじゃないかな……いけないと思います、うん」

 

『お、おう』『せやな』『すぐに草生やす煽り勢も反省して、どうぞ』

 

「そこでこのゴルフです。おだやかな心で、BGMのないファミコン初期特有の

静寂のゲームの世界を感じるのです……」

 

どうやら皆出揃ったようだ。100人くらいか?

最初の配信から、よくもここまで人が集まるようになったものだなぁ。

 

『いい……』『賞金王になりそう』『これは女子プロ』

『のびちゃ……のびるさん』『明鏡止水、明鏡止水ですぞ!』

 

頭に白のバイザーをかぶり、

オレンジ色の襟付きシャツに緑と青のチェックのスカート、

白ストッキングに白の靴下、あともちろんメガネという、

いかにもゴルフ女子な格好をした俺に、注目が集まる。

とりあえずデフォルトのゴルフ女子アバターの色変えただけなんだけどな……。

 

「それじゃ私が……」

 

無音の世界で、私の最初のショットがゴルフボールを叩く。

BGMはなく、ボールが飛ぶエフェクト音だけが世界に響き渡る。

 

『うおおおおプレイ開始だああああ!!!』『落ち着けww』

『何気にスポーツ対戦ってこれが最初じゃね?』『だよな』

『多人数同時型もこれが最初だけどかなり快適だな』

『何気にサーバー性能すごい?』『家サーバーだろうし家族有能だな』

 

ダイブフィールドでの多人数同時プレイだけあって、すごい勢いでログが流れて行く。

これは全部見て返信は無理だな……いける時に拾い読みするだけにするか。

 

「流石に第1ホールはバーディーですね……」

 

ゲーム性を重視して身体トレース機能が採用され、

ファミコンと似た操作感覚でゴルフが出来るようになっているので、

ダイブフィールドとはいえ最初からかなりの結果が出せそうだ。

 

『マジかよ』『俺ボギーなんだが……』『ダボ……』

『呼んですらもらえない+3以上だぞ』『お前ら……』

 

……あれ?ひょっとして元ゲームのゴルフ経験者もあんまいない……のか?

 

『経験者いないのかよ』『リアルではあるけどゲームはやったことないぞ』

『ダイブ型スポーツゲームって偏見あったから……』

『だな、ゴルフなら元々合法作品があるってのも知らんかったし』

 

それかー!

 

「あーそれじゃ仕方ないですね。スコア諦めて、慣れるのと楽しむの重視で行きましょう」

 

『せやな』『ですね』『やむを得ない!』

 

出来る人がいるようならもっとスコアで一喜一憂しようかとも思っていたが、

いないのなら仕方ない。解説や助言重視の初見に優しい実況で行こう……。

行けたらいいな。

 

第2、第3ホールは大きな池のあるコースである。

 

「まずはクラブの距離をつかんで……風があったら曲がるんで注意した方がいいですよ」

 

『ぐわーやられたー』『ピシャーン!ドゥードゥードゥーwww』

『風め……余を愚弄するか!』『アイアンで刻んでいく(なおダボ)』

 

楽しそうだからいいか。

なお俺は第2ではバーディーだったがショートホールの第3ではパーだった。

……ショート苦手なんだよね。

 

その後ちょっと曲がった第4でバーディーをとり、

迎えた第5ホールはパー5の池ありロングホール。

 

『さらっとイーグルをとっていく』『さすのび』『アンダー……だと?』

 

「まあこのゲーム感覚をつかんじゃえば簡単ですからね。

ゲームなら体力なくても出来ますし……出来る……出来ます。はい」

 

『あっ……』『(察し)』『体育を見学できないか常に悪知恵働かせてそう』

『リアルとかクソゲー、俺たちには古典ゲームがある』『それな』

 

共感したくないけどしてしまう……これが陰の者(ニュータイプ)の共感!?

やはり陽よりやはり陰だな……(自己欺瞞)

 

第6ホール。現実ではありえないような、大きな湖か海に浮かぶ小島のようなコース。

 

『海www』『潮騒が目にしみますね……(震え声)』

『ダイブ空間もクソゲー』『それな』『何でやゲーム特有の謎コース面白いやろw』

 

ゴルフをと言うよりは、海の小島コースというリアルではありえない

美しい景色と光景を楽しんだ。もちろんバーディー。

 

 

第7ホールは、コースの中を川が斜めに突っ切っているようなコース。

 

「珍しいけどないこともない……ないよね?あるある?」

 

『あるあるwww』『ねーよwww』『小川ぐらいならよくある?』

 

そして迎えた第8ホール。パー5のロングコースで、

OB地帯の森の中にグリーンへ直行できる円形のフェアウェイがある。

 

『あるあ……ねーよwww』『これは誘われてますね……』

『誘ってやがる!意地汚いゴルフコースめ!』

 

「よく狙って……ホィッと。……やってて何ですけど、皆さんはやらないほうがいいと思います」

 

『そんな餌に釣られ……クマー!』『かくいう私もゴルフのプロでね』『やりました(OB)』

 

なぜやるかというと、そこにイーグルがあるからだ。俺は出来た、皆はできなかった。

 

第9は海か湖の島が陸橋で繋がっているようなコース。

それを無視すればただのショートコースだが。

 

「もー!だからショートは苦手だっていったでしょー!ほんとにもー!」

 

『かわいい』『のびちゃんのもー出た!』『出た!これで勝つる』

 

 

第10は何のひねりもない普通のコースだ。

 

『普通』『普通だな!』

 

普通なので普通にバーディーだった。次行こう。

 

そして第11ホールは……。

 

「まーたショート作って!こーなったらもーホールインワン!してやる!それ!」

 

普通に無理で、その上パーでした。

 

『知ってた』『www』『ショートホール苦手って珍しい気がする』

『何でかな……?』『わからん……』

 

第12ホールは、普通だけどグリーンの位置がちょっと曲がってる。そんなコース。

 

「風強っ!何16mって!」

 

ここで風のシステムがのびるに牙を剥いた。

 

「まあ、普通に行けるんですけどね……」

 

元おっさん転生者は伊達じゃない。

ファミコンのゴルフは風速ごとの曲がりを体得するまでやり込んだのだ!

 

『さすのび』『これはプロ』『野生のプロ』『女子プロ』

『女子プロレス?(勘違い)』『風とか大した事ないやん!(フラグ)』

 

そして第13ホールは、またもや海に浮かぶ小島のコース。

しかも今度はパー5のロングホールである。

 

『お?またイーグルか?』『のびちゃんのイーグルが見たい!』

 

ロングホールでは積極的にイーグルを狙う俺だが……ここはやめておく。

 

『塩』『塩対応』『のびちゃんがイキらないなんて……』

 

「流石にウォーターハザード全開のコースでギリギリを狙うのはちょっと……」

 

無難に小島を経由して、バーディーとなった。これでいいのだ。

 

第14ホールはショートホールで、あんのじょうパー。

 

第15ホールは……。

 

「ホントに水が好きだな!」

 

『はい』『はい……』『はい……(絶望)』

 

しかし第16ホールも、曲がりくねった大き目の川?のような水を越えるコースである。

 

「もう何も言うことはない……」

 

『はい……』『コレデヨイ……』『これでいいのだ……』

 

水に疲れきった我々は、曲がっているだけの第17ホールで安堵した。

 

「今更だけどフィールドの風景とかもいいですよね……」

 

『わかる』『俺も俺も』『俺は海の小島コースも好きだぜ!』

 

ゲームは進み、俺はついに最終の第18ホールに足を踏み入れた。

 

「さあ、私はとりあえず本日最後の第18ホールです。皆さん今日はどうでしたか?」

 

『楽しい!』『すっごーい!』『明鏡止水!イヤー!』

『ああ、のびちゃんとゲームしてるんやなって……最高やな!』

『水には苦しみましたが、今はもうおとなしい』『コレデヨイ……』

 

……若干名意味不明なのもいるが、概ね好評のようだ。

多人数型ダイブゲームも、出来るなら、またやってもいいかも知れん。

 

「えーと、私の成績は-15ですね。皆さんはどうでしたか?」

 

『のびちゃんプロじゃん……』『追いつけない……』『アンダーの人いる?』

 

想像以上に苦戦したみたいだな……風評被害のせいで、前世では売れたこのゲームも、

現代ではマイナーの範疇に入っているのかもしれない。

 

 

 

……仕方ない、盛り上げのために俺のとっておきを披露しちゃおうか。

 

「えーと、このまま終わるのもアレなんで、このまま私の……えっと、

のびる@サーバーに移動してもらえますか?歌を歌います!」

 

『え?』『歌?』『歌……だと!?』『歌い手きたああああ』

『踊りみたいになる……ならない?(疑惑)』『何歌うのー?』

 

あらかじめ用意した草原小川フィールドに入り、

テトリス武闘外伝のグランプリンセス衣装……薄紫のドレスに手袋、

緑の宝石をあしらったティアラにもちろんメガネ。手に持つ羽扇を振って宣言する。

 

「古典ゲーマーの歌と言えば、まずはこれしかないでしょう!

ボンバーキングの例の歌です!聞いてください!」

 

このあと大いに盛り上がった。歌って踊って盛り上がりはした。

どのように盛り上がったかは……言わないでおく。

 

 

 




あわれな踊りにあわれな歌(無慈悲なネタバレ)
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