TS転生未来レトロゲーム実況配信のびる   作:おかひじき

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ゴリラと思ったらゴリラじゃなかった


ロットロット〈空間を入れ替えていく〉

 

「今日のゲームはロットロットです!」

 

『ロトの剣?』『ロト3部作?』『くじか何か?』

 

「違います!(律儀)これはファミコンのアクションパズルゲームです!」

 

ロットロットを起動させ、そのフィールドの中にダイブすると、

そこにあるのは建築中のマンションみたいなコンクリートの四角部屋の建造物。

左下には、赤色のOUTの文字とともに赤い線が引かれていた。

 

「それでええと、自機は……私のアバターになってますね。

流石にあの3次元矢印のままでの『原作重視』はなかったですか……」

 

原作ゲームでは自機のピンクっぽい3次元矢印と、

その自機に追従して動く色違いの青か緑っぽい3次元矢印を操作するのだが、

リメイク担当者はそれを変える必要がある、と考えたようだ。

機能は変わらずに、謎の建造物の前を飛び回ることが出来る。

 

『リメイカー有能』『のびちゃんが2人!?』『羽がある!』

『妖精のびちゃんが見れて嬉しい』

『のびちゃんが美麗すぎて側頭部の血管から動脈血噴出しそう』

『高血圧ニキは病院行って、どうぞ』

 

そう、空を飛ぶ都合上アバターに空を飛ぶギミックを追加する必要があり、

選択性で虫・動物の羽、小さなヘリや飛行機といったような、

無駄にたくさんのアバターオプションが用意されていた。

私はその中でオオミズアオの翅を選び、瞳とアバターの色も合わせて

オオミズアオの淡い緑色に設定した。

 

そして、追従する色違いの物体の代わりには、

当然のごとく色違いのアバターが使われる。

俺の場合は、薄緑色に設定した箇所が薄桃色になっているようだな。

 

原作の自機は、アバターの持つ指示棒となって役目を果たすようだ。

 

「原作では……この指示棒の先にあるのが自機で、その色違いが追従してきます」

 

『なるほど……』『わからん……』

 

まあ、俺もそう思う。アクションパズルは実際やって見せないとわかりにくいものだ。

 

「そうですね、やってみればわかると思います……始めます」

 

ゲームが始まり、

ステージ1のオレンジ色の玉が建物の上から降りてくる。

部屋の仕切りがランダムになくなり、順々に落ちるオレンジの玉。

 

「この玉をですね、出来るだけ右に、左下のOUT以外の場所に

落としてあげるのがこのゲームの目的です」

 

と言いながら俺は飛んで、落ちてきて1つの部屋に詰まったオレンジの玉を、

部屋の空間ごと右下部分の空き部屋と入れ替えた。

 

『ファッ!?』『空間を入れ替えた!』『まさかこれは……ゴリラ!?』

『いや微妙に違う、2つのアバターのいる部屋の、中身だけが入れ替わった!?』

 

そう。この自機の能力は、

自機とそのスタンドだかゴリラだかのいる部屋の空間の中身だけを交換する能力。

 

しばらくすると右下の部屋の右側の仕切りが消えて、玉が落ちる。

1玉50ポイントである。

 

「とりあえずこれを繰り返して進むゲームです。ステージ1は2万点でクリアですね」

 

その後順調に、次々と落ちてくる玉を出来るだけ右に、

右端に穴の開いているフロアに持ち込んで、右端に落としていく。

 

『ちょっとわかってきた』『のびちゃんこういうパズル好きね』

『ほんとにどこから見つけてくるのか……』

 

2万点でステージ1クリア、6万点でステージ2、10万点でステージ3がクリアと、

点数の加算がそのままステージクリアに繋がるシンプルな構成になっている。

そのまま続けたが、今回は50万点に届かない時点で終了することにした。

かなり運が悪く、何度もやり直していたら時間が足りなくなってしまったのだ。

 

「はい、今回はこれで、最後に感想をいただいて終了することにします。

皆さん今日のロットロットはどうでしたか?」

 

『カニがうぜえw』『だな。なぜカニを敵に使おうと思ったのか』

『俺もう3面ぐらいからアカン気がするわ』『実際これ相当だと思うぞ』

『このゲームの修行者じゃないと無理そう』『修行w』

『BGMとSEがキツい、これで煽られてると頭おかしなるで』

『ファミコン特有のダイレクトな焦燥感とでもいうかな……』

 

「感想ありがとうございます。今日も実況はのびる、ゲームものびる担当でお送りしました!」

 

 

 

………………

 

 

 

「あの」

 

その後。実況配信を終了した後、

俺はダイブ内のアカウントフィールドから通信コンソールを開き、

俺の通う小学校の情報処理担当、ゲーム部顧問の「喜多島」教諭に連絡を取った。

 

「はい、情報処理担当の喜多島です」

 

「ええと……収入条件のあれで相談に……」

 

「ええと、そちらは田中さん……『のびる』でよろしいですか?」

 

「はい、それで……あの、お願いします……」

 

アカウント名も本名も、個人情報は学校外部にはばれないようになってはいる。

生徒同士でも極力ばれないように配慮はされているが、

正直実況収入を得る選択をしたら有名無実だ。

最終的にはその名前と容姿を積極的に広めるぐらいでないと、

芸能人の一種であるゲーム実況配信者にはなれないだろう。

 

まあ俺はとりあえず小学生の間はリアルを公開するつもりはないので、

小学校関連と学友……ぐらいの広まり方で上手くやっていけるといいな、

などと思っている。

 

「はい、準備申請は終わりました。来場者千人時点からの計算で、来月からの収入になります」

 

あっさりと申請自体は終わる。そりゃ小学生からの収入あれこれである、

小学生が自力での書類がどうのこうので申請、という真似が出来るはずもないので、

大きな区切りでの国・民間を巻き込んだバックアップ体制がとられ、

手続き関連は完全にお任せできるのだ……らしい。

別に年齢が高いからバックアップが得られないということもないので、

この建前は怪しいと思っているが……俺には得しかないので詳しく追求する理由もない。

 

「のびるさん、実はお願いがあるのだけど」

 

ん、何だ?群れてゲームするのを嫌ってゲーム部に入らなかった俺が、

今まであまり接点のなかったこの教師。俺に何を頼むって……。

 

「謎のチャレンジャー『のびる』として、1日1度でいいのでゲーム部の対戦に

お付き合いしてくれないかな?」

 

何だ

 

何だその心躍るシチュエーションは!!

 

 




玉を落とすことに生きがいを感じるカニの一生とは
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