大会に出たりとかはしないからエンジョイしてます^^
俺は詳しいんだ!
その後、詳しい話を聞いた俺は、条件付きで提案を了承した。
俺は自由にやりたいからゲーム部に所属していないんだ、
当然気分次第で対戦したりしなかったりする!
嫌なやつとは対戦しないし飽きたらやめる!
そんな俺の条件を聞いても喜多島は予想通りだと言わんばかりに、
それでいい、と丸呑みして具体的な話を切り出した。
まず、喜多島が部員に外部の実力あるプレイヤーとして「のびる」を紹介しておく。
俺は(やりたい時は)ゲーム部にメールやアカウント掲示板で時間を指定する。
双方合意なら同じくメールやアカウント掲示板に承諾の返事が返ってくる。
ここのゲーム部は基本的にプロ志向で、実況配信ドンと来いの部員が多く、
望むなら俺自身の実況配信での対戦相手として利用するのもいい……云々。
なかなかいいな!何よりリアルで直接接触しないのがいい。
連絡形式はこれで構わない、あとは肝心のゲームは何か、という話になる。
「テトリス、カルドセプト、ヴァンパイア、桃太郎電鉄……」
喜多島から手渡された(仮想の)用紙に列挙されたゲームは多岐に渡った。
ゲーム競技者は、最終的には総合種目に加えてジャンル別の種目でも競うことになるが、
まず「小学生総合」競技の練習を通して自分の適性を知り、
中高で徐々に得意種目を見出すのが王道の上達の道なのだ、という。
苦手なゲームも弱点にならないように鍛えるとか、俺には無理だな。
「んー、じゃあまず、カルドセプトで」
俺はまず、その中でも現状参加予想人数の多いカルドセプトをやることにした。
俺自身が前世やりこんで、現世でも既にやっているゲームでもあるし、、
「カルド(カード)」というやり込み要素を揃えて強い「ブック(山札)」を作成しないと、
対人対戦はまともに成り立たないという、
実況配信の即席募集では厳しいカードゲームでもあったからだ。
何より流石にこの手のゲームで小学生に負けることはないから……ないよな?
まずはセプター(カルド使い。たまに空を飛ぶ)としてゲーム部員と対戦だ!
………………
「はい!いつもご視聴ありがとうございます、のびるです!」
さて、話はしてあると言うことで、翌日すぐに連絡を入れてみる。
いきなりだったが、1人が俺の呼びかけに答えてくれた。
実況配信もなんでも来い、らしい。ま、しょせんアバターだしな。
「今日のゲームはカルドセプト!なんですが、今日はゲストを紹介します!」
『お?』『お友達?』『のびちゃんにお友達?』
『そんなバナナ』『(お友達作っても)ええんやで』
【あなたが挑戦者というか外部のセプター?ホントに強いの?】
ハンドルネームは苺蔓(いちごかずら)。彼女の幻影がフィールドに現れた。
とにかく難しい字や大人っぽい言い回しを使おう精神ですね、わかります。
髪の毛も瞳も赤く、髪には白いメッシュが入っている。
服の一部には緑も入れて、苺全体を表現したようだ。
カルドセプトのダイブ形式においては、
お互いのフィールドにお互いの幻影が出現してゲームが進行する形になっている。
ダイブ関連法を意識した対戦形式の一つ、幻影相対応である。
幻影だから直接対峙していない。切断すると消える。俺に優しい仕様!
ちなみに今日の俺はカルドセプト自己アバター選択から、
ロリータ風ファッションを着込んだ少女をそのまま選んで、
髪と目の色を深緑に変えただけのほぼカルドセプト風味で勝負に挑んでいる。
【さっ、始めましょうか】
疑うのも無理はない。同学年くらいか?あっちも俺を同じくらいに見ているはず。
急に凄いセプターと言われても納得しづらいだろう。
実際に力を示すしかない。
対戦が始まった。マップはオーソドックスなアリーナ1である。
どうやらその色通り、苺蔓ちゃんは火属性ブックのようだな。
……今回俺は水属性で、配置制限があって相性良くないのだが大丈夫か?
【ふふっ、どうしたの?早く周回しないと負けちゃうのに】
苺蔓は元気な子だなぁ……。
ダイブ化してるから実際に移動しなきゃいけない。
特にカルドセプトはダイスを振ってクリアまで周回するゲーなので。
今は小学生だとしても、精神おじさん美少女にはきついですよ。はい。
「まあリアルよりはだいぶ体が軽いからいける……行けます?」
『のびちゃん……』『頑張れ……頑張れ……』『俺ら代表w』
苺蔓ちゃんのブックは、
序盤フィレイムウィビルをばら撒きつつダイス加速して、
G(ゲイン。魔力とかエネルギーとか)を稼ぐ火属性周回ブックのようだな。
そのわりにはドラゴンとエルダードラゴンを複数入れてるのが気になるが……。
趣味かな?
『あっ……』『のびちゃん負けた?』『えっ大丈夫なのこれ?』
序盤、適当にばら撒いたクリーチャーに俺は援護を与えず、負け続けた。
無防備宣言である。時には自分から侵略して、その上負けるという茶番を繰り返す。
【まあ私には勝てないのは分かってたけど……】
序盤の損失は当然である。相手の周回ブックの方が軽いクリーチャーが多く、
展開力で負けている上に周回スペルでG(ゲイン)を稼ぐ速さも負ける。
だが、勝負は終盤。相手がリソースを使って土地の値段を上げて、
勝利に向かって動き出した直後。
【そろそろ勝っちゃいましょ。いただくわ!】
「今です!」
一見無駄に見えた俺の負け侵略と無防備宣言が生きる。
低額の属性違い領地を守るのにも全力を出し、
防具を使い切ってその上土地を育てるのにG(ゲイン)を使い切った苺蔓ちゃんの、
レベル5ドラゴンの領地を今、守るものはない。
俺の水侵略ニンジャブックが今、目覚める!
いつのまにかレベル5ドラゴン領地の隣に移動し、
そのまま一見放置していた俺のニンジャの移動侵略。
そして、最初からニンジャ用にと潜ませておいた巻物フュージョン強打が炸裂した!
見事高額領地を奪う。
【はああああああ!?】
『きたああああ』『さすのびw』『知ってた』『ネタバレせんかった草どもえらいw』
『草』『草w』『一転攻勢』『ここからが本番だ!』『面白くなってまいりましたw』
「行くぞ!AIBO!」
これまた温存して機会を待っていたAIBOことリバイアサンを使い、
移動侵略も利用して、低額領地も容赦せずにガンガン水に沈めてゆく。
『ああ^~水まみれや』『容赦ねえwww』『さすのびwww』
こういうチマチマした(別にやらなくてもいい)勝利への作業は大好きだ。
なんというか生きてる!って実感が湧くな!うん。
『AIBOを決戦に使うんじゃなくて安全な勝ち固めにしか使わないのがさすのび』
『性格がRPGのラスボスなんだよなぁ……』『もうちょっとこう、手心と言うか……』
『のびちゃんが楽しそうで何より』
侵略を終えたリバイアサンの領地を育てると、勝利条件のG(ゲイン)を越えた。
城(スタート地点)に戻った俺、大勝利だ!
大勝利……。
【……すん、すん……ひぐっ……うー……】
忘れてました!この子小学生でした!やらんでもいい蹂躙やらかしたら、
そりゃ泣いたりもしますよね!ですよね!
『ガチ泣き』『先生!のびちゃんが苺蔓ちゃんを泣かしました!』
『貴様はやりすぎたのだよ……』『JIHIの心を忘れてはいけない(戒め)』
ど、どうしよう!?泣いてる子を泣き止ますなんて前世でも経験ないぞ!?
えーとこういう時はどうすれば……えーとえーと……。
と、とにかく優しく、優しく語り掛けて……。
「い、苺蔓よ……セプターが軽々に泣くものではない」
ど、どうだ?よし、少し収まったような気がするぞ!この調子で……。
「負けは日常、己の糧とせねばならん。大体周回を目指すブックでありながら、
あの数のドラゴンガン積みはどうであろう?守る選択が多いわりに防具は不足し……」
それっぽい含蓄がありそうなことを言いながら、
とにかく彼女の興味を自分の感情から俺の話にそらす。
こうすればその間に落ち着いて……しかし俺と彼女の接点なんてカルドセプトしかない。
ずっとそれっぽいカルドセプトの話を……。
「全ての領地を守る選択も良いものではない、手札は限られ、アイテムも限度がある。
AIBOは数を絞り、ここぞという時に使ってこそ……」
【師匠!】
「……アイェ?」
『ですよねー』『知ってた』『ラスボスのカリスマ』
『草w』『何で師匠ムーブしてるんですかね……』『さすのびw』
なぜ こんなことになってしまったんだ……!
コレガワカラナイ