ゲーム部との最初の接触は、一応の成功と言っていいだろう。
苺蔓ちゃんになつかれた俺は、カルドセプト仲間の「蔓茘枝(つるれいし)」ちゃんと、
「万寿果(パパイヤ)」ちゃんを紹介された。……緑と黄色が揃って信号機かな?
とりあえず俺とゲーム部との最初の関わりはこの子達を通してしよう。
翌日の対戦も約束して、ログアウトする。
ただ、実況でやりたいゲームはまだまだあるので、
実況ではそっちをとって新ゲーム優先で配信することにする。
………………
「よくおいで下さいました!今日のゲームは、スターフォースです!」
『シューティング来たあああ』『マジかよ!』『のびちゃんシューティングはどうかな』
「目標はインフィニティクリア!クレオパトラ(ゴーデス)も1度は撃破したいですね」
『おお、けっこうやる気だな』『クレオパトラかゴーデスかはっきりしろw』
『スコアラーは化け物だけどクリアレベルでも結構凄いぞ』
『俺クリアどころかゴーデスまで行けないんだけど……』
「いえ私はそこまでではないと思いますよ……多分」
早速、スターフォースのフィールドにダイブした俺は、
スターフォースの購入特典アバターに変化する。
上半身はSF宇宙服、地味にハイレグが入っていたので、
ダイブアバター用女子服はスカートが追加されている。正直ありがたい。
2Dシューティングをダイブに「翻案」するのは苦労したらしい。
ダイブ感覚重視でパイロット視点にするか、
どうにかしてモニターゲーム時代の操作感を再現するか。
スターフォースは後者だ。
宇宙が舞台で、2Dの上から視点シューティングと言うことで、
宇宙に浮かぶ母艦から、2D視点で無人機を操作しているという設定をひねり出したらしい。
リメイカーの中の人も大変だな。
「とにかく連射して敵を破壊するのが気持ちいいゲームですね」
母艦という設定の、スターフォース操作コンソールフィールドに座った俺は、
ファミコン型仮想コントローラーで自機「ファイナルスター」を操る。
2Dという設定なのでモニター表示だ。
……何だか本末転倒のような気がするのは気のせいだろうか。
ゲームは進み、BGMの変化と共に謎の敵が姿を現した。
「中ボスのラリオスですね。連射して合体前に倒すとボーナスが入ります」
見事5万点ボーナスを得ることが出来た。
クリアを目指すならこれぐらい当然とはいえ、幸先がいいな。
「この、ニコニコマークで1UPします」
地上に置かれた緑のはてなマークに攻撃すると、
そこがニコニコかプンプンに変わる。
ニコニコだと1UP。クリアには重要である。
正式名称はあるけど俺は知らない。というかほとんど知らないな。
『のびちゃん連射って出来るの?』
「ええと、迷宮組曲の連射測定で120くらい?出したので12連射程度ですかね」
『12連射は秀才レベル』『十分速いように見える』
『レジェンドは20とか30とか出したらしいけど』
転生して驚いたことがあった。
ファミコン時代から平成以降まで、ゲームや漫画・アニメその他の黄金期が、
日本史の飛鳥文化やら国風文化やらと同等に、
日本文化史の一大ムーブメントとして記されていたことだった。
古典ゲーム実況推しが度を過ぎてないか?とゲーム大好きな俺が心配になってくるほどだ。
「ステージはギリシャ文字になってて、オメガの後にインフィニティになって、
以下無限インフィニティです。なのでインフィニティクリアまでやります」
『スコアアタックじゃないのか』『まあそっちやな』
『クリアの方が見せるにはいいかもな』
そうこうしているうちに大陸が途切れて、エリアターゲットが現れた。
ボスには、エリアを表すアルファの文字が書かれている。
「ボスっぽく出てきますけど強くないので……やられると事故の部類ですね」
『マジでボスなのに草』『左右にフラフラしてるだけだもんな』
『スコアでもクリアでも正直このボス、的の大きい雑魚だし……』
あっさり撃破して、次のエリアへと進む。
『突っ込みどころがなくて無言になる』
『いや何というか破壊のSEとか敵の動きとかは見てて面白いんだが』
『なんかこう、見るよりはやりたくなるよな、これ』
「ですよね。敵の名前とかゲーム中ではあんま出てこないし、
自分で敵を破壊してなんぼのもんですからね」
ここらへんが前世の、ゲームの観客という文化がつくかつかないかの、
境目だったろうか。キャラバンイベントなど、
周囲を盛り上げていたイベントなどはあったが、例えば格闘ゲーム時代のように、
いちプレイヤーの後ろに張り付いて見るだけの観客は少なかったように見えた。
「キャラ全部に名前はあるらしいですね、私は知らないんですが」
『その年ならしゃーない』『むしろ知ってたら俺らの立場が』
『古典ゲームに詳しいだけのおっさんの価値とは』
『その価値もなくなっちゃうだルォ!?』
実際は前世含めた年齢がある俺でも、知る機会がなかったんだけどな。
ゴーデスは実はクレオパトラだった?っていう有名ネタぐらいならわかるけど。
エリア・イプシロンにて、当然のごとくジムダ・ステギを10個連続で破壊し、
8万点のボーナスを得た。……1回だけなので別に超人技と言うほどではないと思う。
『さすのび』『信じてた』『のびちゃん上手いなあ』
「そ、そんなに褒めないで下さい。あの、それ程の技じゃないんで……1回だけだし」
エリアは順調に進み、地上物が蛙だか肉まんだかと言われる部類に切り替わった。
エリア・シータにて、ついにクレオパトラ撃破を達成する。
『おめ』『100万点きたああああ』『これでクリア?』
『ゴーデスだかクレオパトラだかの人、さようなら……』
「残念ながらクリアではないんですよね……」
ボス?らしきものがただの100万点ボーナスの地上物で、
倒してもその後エリアが進むというのはいかにもこの時代のゲームらしい。
地上物は大きく口を開けた人の顔、なんかびっくり顔の地上物
梅干みたいな丸い顔、丸っこいびっくり顔、と思ったら最初の地上物に戻る。
「この地上物は何を思ってこうなってるんでしょうかね……」
『わからん……』『ぜんぜん分からん!』
『人の顔を建物にして破壊したかったんやろなぁ……』
後方から奇襲してくる、何だっけガイラだったか?
大きな敵にはほんのわずかにちょっとびびったが、
あとはニコニコ1UPを交えつつの都合5ミス程度でそこそこ?上手く切り抜けて、
エリア・オメガで2度目のクレオパトラ(ゴーデス)ボーナスをゲット。
ついにクリア条件エリアのエリア・インフィニティ!
を普通にクリアして、以下永遠にエリア・インフィニティ。
「スコアアタックのゲームなんで永遠に続きますけど……クリア条件はクリアです!」
『うおおおおお』『888』『88888』『さすのび!』
『スコアカンストはやるんですか?』
『正直シューティングは行けないと思ってた』
「スコアカンストはガチシューターの実況者様にお任せします。私はエンジョイ勢なので」
『は?』『は?』『何か言っとるwww』『戯言使いかな?』
『エンジョイ(蹂躙)』『エンジョイ(覇王)』『あーたのしー(破壊)』
『本当はS級妖怪だけど面倒だからB級のフリですね、わかります』
「何でどうして私が覇王だって証拠だよ!見てろよ私が普通だって証明してやるから!」
この後、適当に選んだファミコンウォーズ・わくわく7・テトリス武闘外伝対戦で、
まさかの全勝優勝(初)を記録し、
文字通りの覇王・蹂躙・破壊の三冠王の名をほしいままにする俺であった。
……解せぬ。
ダイブ空間でモニターのゲームをプレイする本末転倒感嫌いじゃないよ