今日の来場者は……何と3989人。
倍増ってレベルじゃねえぞこれ!今の古典ゲームってこんなに人集まるのか?
まあ実況配信でなら慣れたから、そこは行けるんだけど。それにしても急増すぎる。
「皆さんいらっしゃいませ!今日のゲームは、スーパーリアルベースボールです!」
『なんだと!?』『やったクソゲーだ!』『マジかあああああ』
『初見、スーパーリアルw』『無茶しやがって……』
『数ある野球ゲームの中でこれかよw』
「例のごとく合法!のドールマスター2888を使ってですね、対戦します!」
『いやああああ』『まさかのクソ対戦枠www』『いやーキツいっす』
『そんなにクソなん?』『やればわかるて』
「はい!ここから10人目です!よーいスタート!」
『ノ』『ノ』『の』……
対戦の権利を得た木彫り大仏さんは、黒チームを選択。
俺は青チームを選択し、試合が始まった。
今回は俺もスーパーリアルに?ちゃんとスカートじゃなくてズボンで野球している。
原作ゲームでは1Pが先行だったようだが、
今の時代のリメイクにおいては1P後攻が主流のようだな。
「このゲームは、当時の選手が実名で登場するのも売りだったそうです」
『へーそうなんだ』『この選手たちは過去の実在選手なのか』
『野球ゲームだと常連だぞ、他のゲームだとなんか変な名前になってるけど』
【ん?】
試合開始早々、木彫り大仏さんは早速操作に戸惑っているようだ。
【なんかよく……振れないんだが】
「あ、これ1回構えないとバットは振れません」
『構えww』『カラテカ精神www』『構えねば死ぞ』
『カラテカじゃなくて野球しろよw』
【マジかよ……じゃあええと、うん?何だこれ】
「えーっと、パワプロの強振限定と思っていただければ」
【限定ィィィ!?】
『立体で強振限定とかきつすぎるwww』『天然縛りwww』
『昔のゲームは難しい(ガチ)』『救いは無いんですか!?』
「実際は若干範囲が広いような気がするので、慣れれば平気ですよ」
俺は何事もないようなフリをして投球し、三者三振に抑えた。
最初ならこんなもんだと思う。
≪ビィィィィィィーーーー!!!!≫
『うるせえwww』『OUTの音大きすぎるwww』
『OUTOUT!ホラOUTだぞ!!!(アッピル)』
『何で三振でピッチャーがホームに突撃してるんだよwww』
三振するとなぜかピッチャーがホームに突撃するし、
OUTの音はまるで防犯ブザーのように鳴り響く。
これがスーパーリアルだ!
『OUTやかましすぎwww』
『力の入れ所おかしいだろwww』
「慣れるまでは苦労しそうですね……はい、じゃあ攻守交代です」
1回の裏、俺の攻撃。
ここでこのゲーム最大の問題、守備システムが木彫り大仏さんに牙をむいた。
【こいつら何で捕球しないんだよwwww】
そう。このゲームは、タイミングよくボタンを押さないと守備陣が捕球をしてくれない。
まるでただの障害物のように、ボールは選手に当たって落ちる。それだけである。
『リアルwww』『リアルすぎるwww』『いやリアルじゃねえよw』
『ファーストすら棒立ちでゲーム成立すんのかこれwww』
『ボタンを押せば捕球してくれるはず』『合わせてボタン押せってマジかよw』
『エラー連発www』『こんなんじゃゲームになんないよwww』
俺の転がした内野ゴロを処理できずに、エラーを連発する往年の名選手たち。
正直リアルと言っていいのか悩むが、発売当時はこのゲームで良く見た光景である。
内野でボール回ししても捕球してくれないのは正直どうかと思う。
意外とタイミング合わせないと難しいんだもん、これ。
【何で通常の守備が初見殺しなんだよwww】
ぐうの音も出ない。
だってこれキャッチャー前内野安打とか内野返し安打とか普通に出るもん。
距離短くて速すぎて、人間の速度じゃ反応しにくいから。
【外野に飛んだ……って何だこれ見づらい!見づらい!】
内野が速すぎて反応しづらいからといって、外野なら取れるかと言われてもそうではない。
視点切り替えが絶望的で、打撃中のキャッチャーからの光景と角度が変わらないので、
外野手の距離感がかなりつかみ辛い。時には内野から視点が切り替わらずに、
専門用語で言う「ラーメンマン現象」※1 により縮小した外野手での捕球を強いられる、
というシステム的な難易度上昇を体験することになる。
※1 ラーメンマン現象。古のク……ダメ……アレなゲームにおいて、
画面背景が切り替わらずに、自キャラが縮小した不便な状態での操作を強いられること。
別に小人になったから小さく表示されるわけではないことに注意。
『な、なるほど……』『よくそんなの見つけてくるなw』
『何でラーメンマンがク……アレなゲーム用語になってるの?』
『何、お前知らないのかあの伝説の古典ゲームを!』『幸せなやつめ……』
まあ、それはいいんだ。
「ええと……まだ行けそうですか?」
【すまん……これ無理】
木彫り大仏さんのギブアップにより、手動でゲームセットということにした。
流石に俺もこのゲームに付き合え、と強要するつもりはない。
「さて、どうしようかな……」
まだそんなに時間が経っていない。
次は今までやった対戦ゲームでもやるか、それとも……などと考え、
ソフトの一覧や通信コンソールを開いて確認していた俺は、
ゲーム部からの対戦申し込みが来ていたことを知る。
何々、スポーツ・格闘ゲームなら何でも。
ドールマスターでもモニター操作でも行けます……か。
何でもやるって言ったよね?
………………
【何じゃこりゃああああああ!!!】
『www』『バロスwww』『その言葉が聞きたかったwww』
ゲーム部の3年生、「つちや」くん。
小学生特有の本名プレイでアバターもリアル直結汎用体操服姿の、
小学生男子にはよくあるパターンである。
苗字だけで姿も平凡なのでギリギリセーフ?なのか?
【これどうやって打つの?何で振ってくれないの?ねえねえ!】
正直ガチには程遠く、かなりの教えて君のようだが、
年齢通りと言えばその通りかもしれない。まあ、ゲーム自体が好きなのは伝わってくる。
このゲームでも忌避せずに付き合っているのはかなりのものだろう。
『構え』『構えじゃわかんねえよボタン押すんだよ』
『こんなゲームにマジになっちゃってどうするの?』
意外にも視聴者の皆さんも反応は悪くない。
そもそも小学生の実況配信見に来てた人たちなんだから当然と言えば当然か。
俺はとりあえずこのゲームの操作を教えつつ1試合分続け、
今日の実況を終えた。
※この物語はフィクションであり、
実在のゲーム用語等には一切関係ありません。。。