いつものダイブフィールド、いつもの来場者さん。
俺もなかなか実況配信に慣れて来たな。
この調子で来場者数万、数十万、数百万と増やしていこう!
技術の発達と人類の拡大の歴史、特に翻訳ソフトと通信装置の発達により、
配信先と動画視聴は世界中、宇宙にまで広がり、
前世とは視聴人口の規模が違うのだ。
……小学校……いや中学、高校を出てからだな、うん。
流石に今から世界的芸能人のような暮らしをする気にはなれないし、
その能力も俺にはない。
「はい、今日のゲームはスーパー三国志2です!」
『まさかのw』『なぜそんな半端なところを』『むしろのびちゃんらしいぞ』
『のびちゃんらしいって何だよw』
「それは私が、このゲームの雰囲気を気に入ってるからです!
レトロゲーム感と実プレイ感覚のバランスが丁度いいですね!」
『そうか?』『それはある』『そうなのかなー?』
「それじゃ設定していきましょう!」
シナリオは最初の董卓の横暴で、もちろん一人プレイ、
初期配置は17国で新君主。名前はもちろんのびるで。
曹操、袁術、劉ヨウ、陶謙、董卓と隣接し、18国だけは空白国となっている。
『新君主きたー』『ですよねーw』『やると思ってた』
『お?覇王か?』『支配者になっていく』
新君主はこれ、漢字固定で読みだけのびるになってるんだよね。
8月31日生まれ、10歳、女性。このゲーム1歳から設定できるんだよな。
年齢でちょっと初期能力が変わるらしいが。
能力設定は初期知力60、武力55、魅力75にボーナス50を割り振る形か。
武力100、魅力80の武力君主型にしよう。
武力型にすると武装した格好のアバターになるので、
兜で頭の一部が隠れるのがマイナスと言えばマイナスかな。
『知ってた』『脳筋www』『武力100は基本』『武力強いからな、このゲーム』
細かい陣形とかなくて計略も誰でも使える火計だけ、
戦争は武力の高い武将の武装と訓練度を高めてどれだけ揃えられるかで決まる。
一回一国から出せる武将数に制限があるので、武将の武力は本当に重要である。
おっと、配下武将が一人だけ付けられるんだったな。
もちろんありで、俺と同じ10歳女性にしておくか。
「ゲームのレベルは1、他国の戦争は見ない……」
設定が終わり、スーパー三国志2のゲームフィールドへと場面が切り替わる。
いかにも古代中華風な建物の中、太守の間というのか?
一つだけ奥まった場所に置かれたちょっと豪華な椅子に俺は座って、
側にいる一人だけ設定した配下……10歳女性の「嬌妹(きょうめい)」を、
軍師に任命する。こいつの知力84あって助かった……知力魅力型のようだな。
このゲーム軍師がいるといないで大違いだからな。
原作ゲームに忠実に、あまり喋らないのもいいな。
突っ込み入れられたら泡食って死んじゃう。主に俺が。
『国の要人が10歳と10歳しかいなくて草』『嬌妹ちゃん頭良さそう』
『太守ごっこにしか見えないw』『気分次第で国滅ぼしそう』
『むしろのびちゃんが滅ぼさないとでも?』
失敬な。滅んじゃうことはあっても積極的に滅ぼすことはないぞ!
「えーっと初期の兵力は君主が100(MAX)で、嬌妹が10か……」
『確認してる』『まさか……』『戦争かな?』
「よし、行くぞお前ら!武力100ならまずは戦争だ!」
『初期特攻キタアアアア』『マジかよwww』『武力100から正直見えてたw』
『ヒャッハー!』『どこどこ?どこに行くの?』
17国配置もこのためにやったのだ。まず初手で隣接国を滅ぼし、武将の頭数を増やす!
資金2000、兵糧200を全力ぶっぱして、19国の袁術と戦争だ!
原作ゲーム再現の馬に乗り、一瞬で戦争フィールドへ切り替わった。
『へー、2はこうなってるのか』『原作にかなり忠実だな』
『馬が敵国に乗り込んで即座に戦争だからね、かなりの再現』
戦争フィールドの初期配置は北東。
フィールドの中央、ここから南西で袁術と部下が篭城しているようだ。
これも原作通り、手元の君主コンソールで地形や部隊の配置は確認出来る。
まず最初にすることは一騎打ちの選択である。
特にこの原作ゲームの袁術勢力の評価は低いので、強いと言えるほどの武将はいない。
一騎打ちを断られ、袁術勢力全体の兵士がわずかずつ去っていく。
MAXの100だった袁術が94に。その他の配下は10だったものが9に。
この差も全兵力で見た場合は馬鹿にできないだろう。
そして、最強の兵力である俺、新君主のびるが城にたどり着かなければならない。
城を囲む砦にたどり着いた、と思った瞬間、袁術配下の雷薄による火計を受けてしまう。
「ぬわー!おのれ雷薄のくせに生意気な!」
『イキったw』『若干イキ』『火計イキ』
火計を受けた時には、移動からの誘導というコマンドがある。
コンソールで指定すると、俺の部隊が上手く雷薄を釣り出し、
火を回避しつつ雷薄を逆に火の中に誘導することに成功した、
と思ったら雷薄は全力で退却し、俺の部隊のモブ兵士に捕まるという失態を演じた。
『雷薄www』『流石に草w』『何しに出てきたのwww』
砦を乗り越え、城に近い森を使って俺と嬌妹の部隊を進ませる。
姿を現し、隣接したとりまきの一部隊に突撃をかました。
「エンジョイ・アンドエキサイティング!」
『さっすがのびちゃんは話がわかる!』
『のびちゃんベルセルクまで押さえてるとかw』
『ベルセルクはまずいだろw主に年齢制限がwww』
突撃で大した被害もなく部隊を全滅させ、楽就を捕らえた。
そして、ついに袁術と隣接!
無意識に出してしまったがベルセルクネタは微妙にまずかったか?
自重しよう……出来れば。
袁術と俺の部隊、袁術が92、俺が93の状態で隣接できた。上等じゃないか。
「行くぜお前ら!」
『やあってやるぜ!』『ヒャッハー!』『見ろよあの袁術をよー!』
一度の突撃で、袁術が81、俺が88となる。これは行けるぜ!
一方軍師の嬌妹は、俺との連携一斉攻撃でちまちまと周囲を囲む袁術の配下を削り、
紀霊を捕らえることに成功していた。
袁術は苦し紛れに火を放つが、俺は逆に袁術配下の李豊を火中に誘導して逃げた。ざまあw
しかしそれだけでは終わらない。何と火が延焼し、俺の逃げた先も火に巻かれた。
ここは袁術の部隊に突撃し、そのまま通り抜けるしかない!
再度突撃の結果、袁術が69、俺が75となった。行ける行ける!
しばらく離れて火が消えるのを待ち、しかる後に突撃を繰り返した。
俺の突撃により袁術の部隊が69・54・45と順調に数を減らし、
袁術41の時点での突撃により一気に23にまで削ることに成功する。
対する俺の部隊は未だ53残している。勝ったな、これは。
そこで俺は、今まで生き延びさせていた嬌妹を元の17国に撤退させた。
無事撤退し、全軍出撃で空白地となっていた17国への逃げ道が塞がれる。
これで袁術は戦って首を切られる選択肢しかなくなったわけだ。
『うおっ、何と抜け目がない……』『相変わらず10歳とは思えんwww』
『首置いてけ!』
その後数回の突撃により無事袁術を捕らえ、わが軍の勝利となった。
『おめ!』『いやーレベル1だけどちゃんと出来てるのはいいね』
『初手でこれはリセット上等の最速クリアやってる気分ですよ』
袁術に勝ち、19国を奪い、雷薄、楽就、李豊、紀霊、張勲、陳蘭、袁胤を配下に加えた。
大勝利だ!
処刑シーンは流石にカットされていた。原作ゲームでも出てこないしね。
《創業未だならずして袁術ついに逝く……袁術の一族は滅亡しました》
『草』『葬式シーンはしっかり原作再現で草』
「さて、とりあえず戦後最初にやることは、名馬配りと施し……ですかねぇ」
配下に加えたばかりの武将は、忠誠度が低い。これを上げるために、
国ごとに初期配置されている「名馬」を配るのがコストゼロで効率がいい。
19国には20、17国には10の名馬があるので、
今いる部下を忠誠度100まで上げるのには使って余りあるだろう。
『馬!』『のびちゃんの馬!』『名馬人気あるなぁ』
軍師の嬌妹だけしかいない17国に資金と米、武将も何人か移動させ、
「褒美」コマンドで忠誠度を増やす作業効率を倍にする。
君主じゃなくて、太守からでも褒美はあげられるからな。
『褒美、褒美!』『ご褒美欲しい』『俺も俺も!』
毎回誰かに褒美を与え、徴兵で兵力も補充し、余った人員で民に施しをして、
民忠誠度を上げておく。米10施せばわずかながら上昇するので、
初期の米が少ない時には便利だ。
軍師が別の国の太守をやってるので、軍師の話は後になるし、
軍師の助言も君主の本国にいないので聞けない。
早く忠誠度上げて太守交代したいな。
ちなみに今回の軍師の話は、第10国の脅威を語るものだった。
董卓の第10国が脅威なんて分かってんだよ、嬌妹!
そんな時、劉ヨウから太史慈が、孫堅から孫策が相次いで使者として訪れた。
「同盟?するする!」
『即決やな』『まあこっちに損ないし』『敵が減るしな』
7月。米収入が入る月。とりあえずここまで乗り切って、
戦争で使った米以上の米が手に入り、ほっと一息。
今日の軍師は、
心を用いて戦うを上策、兵を用いて叩くを下策と申しますなどと、
なんか軍師らしいことを語っていた。でも結構ギリギリの知力84なんだよなぁ。
このゲーム、知力80ないと軍師になれません。
そして次の月。董卓が攻めてきた!
「軍師の言ったとおりだ!」
『ピタリ賞で草』『これは麒麟児』『伏龍かな?』
嬌妹のいる17国に攻め寄せた董卓。武将3人、兵力は165!うん、それ無理。
とりあえず即時撤退、どうやら全員君主のいる19国に撤退できたようで何より。
19国からの逃げ場がなくなったけどな!
ここで名君主のびる、悪魔的ひらめき……!
「今、董卓の10国の兵力はどうかな?」
とりあえず翌月、施し係の張勲さんを使って10国をのぞき見る。
兵力は109!董卓は手ごわいが、こちらは俺の100に加えて雷薄、嬌妹50ずつくらいで、
計200を越える兵力がある。勝てる!
「我が名は新君主のびる!イクゾー!」
『ホイ!』『ポォー、ひょうてき登場ダナ?』『董卓の存在など不要ラ!』
『お前らwww』『よく即座にネタ返せるなお前らw』
今回も馬に乗り込み、10国の戦場フィールドへ即座に移動する。
まず行う一騎打ちで、今度は樊稠(ハンチョウ)が一騎打ちを受けた。
強いのは17国に出て行ったのかな?都合がいい、武力100の俺なら楽勝……。
『おい、苦戦してるぞ』『ワロタ』『残り3のギリギリ勝利で草不可避www』
一騎打ちって怖い。流石にダイブ、立体での迫力は元ゲームには無かったからな。
ま、まあ勝ったからいいか。
やることは前回と同じ。城に近づき、まず董卓の周囲の武将を片付ける。
最初に李儒を捕らえる事が出来た。調子がいいな。
ここまでは同じだが、董卓は武力があるのでここからが違う。
突撃では武装、訓練度の分こちらが不利。
俺、軍師、雷薄の3人を城の周囲に揃え、董卓を囲んで一斉攻撃だ!
董卓を囲む死闘。こちらが58、13、14の兵力になっても、
まだ董卓は47の兵力を残している。
だがそこで、軍師が城の董卓に火計を決めた!
一気に34まで兵力を落として城から逃げる董卓。
結局火に巻かれて戻ることが出来ず、
火が消えた瞬間に城に滑り込んだ俺の部隊によって城が陥落。
俺たちの勝利だ!
『うおおおお』『やったああああ』『888』
『正直負けるかもって思ってた』
勝利はしたものの、残念ながら董卓は逃げ、
配下に出来たのは捕まえた李儒とハンチョウのみ。
だが、ぎょくりんのけんを手に入れた。
即座に新君主のびるがゲットし、武力+6で106に!
しかし兵数は65にまで落ちてしまった。また勢力を蓄えないとな。
しかし、世界はそれを許さなかった。
今度は曹操軍が10国に攻め込んできたのだ!
武将3人、兵力162、最初の董卓軍と変わりない大軍勢だ。
「皆はここで、私が逃げると思っているかもしれない。だが私はそうしない!」
『きたああああ』『私はそうしない!キタアアアア』『さすのびwww』
さあ、連続だが今回もやるぞ!
一騎打ちを申し込むが断られる。ですよねー。
軍師の火計!雷薄のアンブッシュ!だが雷薄はすぐに捕らえられた。
兵力回復してないからね、仕方ないね。
その後雨ばっかりで火計が使えない。じりじりと削られる中、
ようやく晴れた時を見計らっての軍師の火計、夏侯淵にヒット!
だが、火をかけられて激おこの夏侯淵に軍師も捕らえられ、
俺の部隊も激しい攻撃を受けてついに0、ゼロになってしまう。
だが、敵も夏侯淵の1部隊、なんと6になるまで粘りに粘った。あと少し!
というところで、勝負は来月にもつれ込んだ。これはワンチャンあるか?
『いけるか?』『無理かな……』『希望は捨てない!』
次の月、全力で徴兵して兵力20となった紀霊さんを援軍として10国に派遣。
これでさらに粘ればと思ったその瞬間、曹操も援軍を派遣していた。
『ですよねーw』『知ってた』『おかわり!(絶望)』
そして奇跡は起こらず、夏侯淵の攻撃で新君主のびる、俺は捕まった。
「お、おう!?」
その瞬間、俺は主観モードを切られて、
スーパー三国志2の設定をしたアカウントフィールドに戻っていた。
コンソールには新君主のびるの葬式の場面が表示されている。
俺のアカウントフィールドなので、無駄に美麗な立体映像である。
妙な気分だな。
《無常なるかな人の運命は……君主の新君主が死亡しました。後継者を選んでください》
後継者か。そりゃ当然、軍師の嬌妹ちゃんで……いない!?
そうか、捕らわれたからいないのか!
じゃあその、いる中で君主を選ぶなら、袁胤さんで……。
『袁胤w』『袁家じゃねえかwww』『19国元鞘で草』
『袁家復興で草生えますよw』
「はい、ええと最後は死にエンドでしたけど……今日はここまでにします。
エンインさんのウインク?しかめっつらを拝見しつつお別れします。ありがとうございました!」
結局国を滅ぼしてしまったのびちゃんであった(ナレーション風)