TS転生未来レトロゲーム実況配信のびる   作:おかひじき

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火炎バリアがあるからって大丈夫とは限らない(扉突撃からの突然死)


ボンバーマン〈初代だけの伝説〉

 

もう来場者数は気にしないことにした。その方が精神衛生上好ましい。

……まだ1万人は超えてないな。何だかほっとした。良かった良かった。

 

「皆さんよくおいで下さいました!今日のゲームはボンバーマンです!」

 

『きたあああ』『対戦来るー!?』『俺黒な!』

 

「残念ながら対戦はないです。なぜならそれは初代だから!」

 

『なんやて!?』『まさかの初代』

『のびゲー耐久じゃないですかヤダー』『のびゲー耐久って何だよw』

 

「対戦とは、つまり争いです。人はなぜ一人で道を極めることをやめ、

争いに身を投じたのか。在りし日の一人用ゲームをやりながら、

その歴史に思いをはせるのです」

 

『なんか言ってるw』『何だかよく分からんが尊そうなこと言い出したぞ』

『やはり神になるつもりでは?』『神気取りのびちゃんいいぞーこれ』

 

「それでは始めて行きます。よーいスタート!」

 

例のごとく、アカウントフィールドでゲームを起動し、

コンソールから初期設定を入力する。

 

アバターは……オリジナル、続編風、ロードランナー?

自己アバターをジェッターズ風に変換するなんてのも選べるのか。

対戦のない初代リメイクでも、ダイブであるからにはこういうのは充実してるんだな。

 

ここはやはり配信のキャラクター重視で、

のびるアバターのジェッターズ風変換を利用するとするか。

元々小さい俺が、さらにデフォルメされて丸っこく、

頭と目が目立つようになって「ジェッターズアニメ風」の仮想キャラに変貌する。

 

『ふおおおおおおお!!』『ま、まだ、まだあわてるるるる』『落ち着けwww』

『ヤバいかわいすぎない!?』

『のびちゃんは仮想キャラがリアルに出てきてくれた存在だった!?』

『逆逆wwwそう錯覚するのも分かるけどな、なんだこの感覚w』

『何か漏れそう……側頭部の血管から血が』『これはちょっと破壊力が高いですね……』

 

こ、これはちょっと予想外だな。そんなにインパクトがあるのか?

いつもは見ないけどあとでアーカイブ動画見てみるか。

 

「ええと、じゃあとりあえず見た目はこれで、クリア目標に……1時間半くらいですかね?」

 

前世の自己ベストが1時間10か20分くらいだったと思うからそれでいいだろう。

ダイブだと意欲的というか野心的に見えるくらいのタイムなはずだ。

 

早速ゲーム開始。アカウントフィールドに鉄の黒枠で囲った木の扉が現れた。

これはボンバーマン原作ゲームのステージクリアの扉か。手が込んでるな。

 

 

扉を開け、中に入るとそこは早速ステージ1。

オレンジ色の風船に顔が出来てゆったり動いてるような最初の敵、バロムである。

 

「早速爆破!と行きたいのですが、最初の火力はたった範囲1なので難しいです。

パワーアップのない最初の1面、リモコンの取れる3面までが一番難しいんじゃないですかね?」

 

『あーわかる』『そうそう』『リモコンあればまあ最低限……』

 

ダイブは初めてだが、システムはそう変わるものでもないだろう。

爆弾を置く……肩から下げた大きめのポシェットの中から、無限に出てくるらしい。

一つ置くと、そこに固定化される。重くて投げたりは出来ない。うん、原作仕様だな。

 

しょぼい火力でバロムを処理しつつ、壁を爆破して火力のアイテムパネルを踏んだ。

そう、ダイブ感覚ということで、アイテムパネルを踏んでその能力を手に入れる、

という形になったらしい。シンプルで分かりやすくていいと思う。

 

これで火力が範囲2になったな。

原作ゲームと違って、3次元的な広がり方には注意する必要があるかな?

まあバロムはまだ動きが遅いし、これでもやられることはない。

 

全てを一掃し、壁もほとんど爆破してもまだ時間があったので、

隠しがちゃんとあるのか確認してみることにする。

 

「あった……」

 

『うおーーー!何これ!』『ゴーデス?』『クレオパトラだっけ?』

『のびちゃんよく知ってたな』『こういう隠し古典ゲームだと良くあるよね』

 

敵を全滅させた後、外周を回ると出現する隠れキャラ。

ステージごとにキャラが違い、キャラごとに条件も違うが、

俺は1面のこいつだけしっかり憶えていたので出せた。

まあこいつは隠しの中では安い方の2万点なんだけどな!

 

 

2面はバロムに加えて、富士山だか青いたまねぎのようなオニールが初登場する。 

動きが結構早く、バロムとは比較にならないがまだ雑魚だ。

油断さえしなければやられることはない。

 

「しかしダイブになってずいぶん低くなりましたね。バロムの半分もないんじゃ?

いや、イメージ的にはぴったりだったですけど」

 

『こいつ他人を卑怯者呼ばわりしていじめそうな顔してるな』

『永沢君w』『永沢君は関係ないだろw』

『たまねぎ型ってだけで永沢君呼ばわりすんなよw』

 

このステージのアイテムパネルは爆弾アップ。

爆弾を一度に置ける個数が1増える。2つ連続で置けるようになるのは大きな進歩である。

敵対処もしやすくなる。問題なく敵を一掃し、扉から次のステージへ。

 

 

3面は今までの2つの敵に加え、ダルという敵が加わる。

ダルは行ったり来たりする動きが多いので、割と動きを読みやすく、倒しやすい。

 

『樽だったのか』『ちょうちんかと思ってた』『俺はライクライクみたいなもんかと……』

 

このステージのアイテムパネルは重要である。

最初のリモコンが隠されているのがこのステージだからだ。

ノーミスならこのリモコンをずっと使っていくことになる。大切にしよう。

 

「パネルを踏むとBGMが変わるのいい感じですよね。

アイテムゲット!嬉しい!みたいな原初の欲求に届いてくれる感覚が」

 

『わかる』『わかるわー』『さすがのびちゃんは表現が違うでござるなぁ……』

 

リモコンが使えれば、ミスは格段に減る。

爆弾を置いても、あわてて離れる必要がなくなるのが大きい。

爆弾による敵ブロックの際なども、その効果は大きい。

 

 

次いで4面。今までの3つの敵に加えて、オレンジの球に顔が付いたミンボーが出現する。

オレンジはバロムと被ってるけどまあ、別にいいか。

 

『ミンボー?』『民暴……』『民事介入暴力ですね、わかります』

 

そっちを連想するよな。

 

このステージのアイテムパネルは重要である。

ここの「スケート」は、全ステージでここにしかないスピードアップアイテムなのだ。

なぜここにしか出さなかったのか、正直分からない。

ほとんどの敵はスピードが速く、これは必須と言っていいだろう。

 

 

そして、次の5面をクリアすると、ここで初のボーナスステージである。

爆破し放題、こっち無敵、バロムだけの30秒全力爆破ショー!

 

「スコアアタックは時代の産物ですよねぇ……」

 

『せやな』『のびちゃんヒエヒエで草』『スコアは興味なさそう』

『ここ以降バロムは出ない』『マジで?』『ここで一つの種族が絶滅するのか……』

『悲しいなあ』『いや出るぞ』『え?』『普通に出るって』

 

 

6面は何事もなくクリアし、次の7面。

火力アップのアイテムパネルを踏んで、範囲3。ちょっと自爆誘爆に気をつけなきゃいかんな。

ここでは今まで出てきたダル、オニールに加えて、

青っぽいコンドリアという敵が初登場する。アメーバのようで動きは遅いが、

爆破できる壁をすり抜ける能力を持っている。

最もその能力を持つ敵の中では最弱と言っていいのだが。

 

7面と8面を、連続してクリアした。

 

「ええと、今回はノーミスを目指してるので多分見れませんが、

死ぬとリモコンとかのアイテムがなくなってしまいます。

回収するかやり直すかはまあ、お好みですけど」

 

死ぬとリモコンがなくなって、火力と爆弾はある状態で再開する。

正直自分の火力に怯えてリモコンを待つ状態が続くので好きじゃない。

だからミスはしない!前世の有り余るおっさんゲームライフの時間でそう鍛えたのだ!

Q.E.D. 証明終了!

 

 

9面では、壁をすり抜ける能力を持ったオバピーという敵が新たに登場する。

こちらは赤いパックマンの敵みたいな姿で、速さもあり、油断できなくなってくる。

このステージはさらに爆弾すり抜けのアイテムパネルも登場。

爆弾すり抜けは、ボンバーマンで典型的な爆弾に押し出されての自爆を防げるアイテム。

 

「まさに虎に翼、鬼に金棒といったところですね……」

 

『今日のイキリ』『弱イキリジャブぐらいですかね……』

 

 

次の10面では、さらに「壁抜け」というアイテムパネルも存在する。

何とこちらは爆破できる壁を通り抜けられるというゲーム性が変わるアイテムだ。

 

「でもこれ結構罠ですよね……爆破した壁の残り火でやられることあるんで……」

 

『それな』『ありますねぇ!』『私も気をつけないと』

 

 

10面をクリアすると、今度は全部オニールのボーナスステージである。

 

「ヒャッハー!新鮮なオニールだ!!」

 

『いくぜお前ら!』『のびちゃんが分からない……』『何で今度はノリノリなんだよw』

 

私にも分からない……。

 

 

ノリに乗った俺は順調にステージをクリアして行き、

ついに14面。

 

「ヤツが来る……!」

 

壁抜けしないのは欠点でもあり利点でもある。

登場ステージ数とその動きの性格の悪さから考えて、

このゲーム最大の難敵……だと俺はそう思っている。パース登場!

 

「顔だけになったネコ科の猛獣みたいな顔しやがって……」

 

『のびちゃんが燃えてる……』『オーストラリアかな?』

『これは幾人ものボンバーマンを屠って来た顔しとるわ……』

 

「でも、倒せる時は爆弾で一発なんで、ミスらなければ勝てます。

私は今回ミスらないから全部一発!Q.E.D. 証明終了!」

 

『唐突なQ.E.D.やめろw 』『のびちゃんマイブーム来たな……』

『これは古典漫画作品キメてる顔ですわw』

 

 

結局危なげもなく次の15面までクリアし、

全部ダルのボーナスステージに到達。今更ダルって言ってもねえ。

 

「でも爆破する!アイアムベリーベリストロングボンバーマンソルジャー!」

 

『唐突シリーズ英語編www』『ベリーベリーストロングwww』

『わけわかんないとこから引用してくるゴーイングマイパロディやめろwww』

『パロディなのかよwわかんねえよw』

 

 

その後、順調にクリアし続けた俺は20面クリア後のボーナスステージでミンボー、

25面クリア後のボーナスステージでコンドリアの群れを爆殺。ゴウランガ!

 

 

26面では、無敵になれるパーフェクトマンというアイテムパネルが出現する。

あるのはあるのだが……。

 

「正直、このゲームで時間制限ありの無敵とかガチで罠ですよね……」

 

『そうそうw』『何度時間切れ直後に死んだことか』

『むしろ製作者の漆黒の意思を感じるレベル』

 

一応取るけど、無敵を当てにして行動しない。ないものとして扱う。

それが多分このパネルに対する正しい付き合い方なんじゃないかと思う。

 

 

次に重要な進展があるのは30面。

何があるのかというと、ここから別ゲームになるレベルのバランス崩壊アイテムパネル、

火炎バリアが存在するからである。

 

「これでもう勝ったも同然ですね!あとはどれくらいタイムを縮められるかです!」

 

『お、慢心か?』『調子に乗っていく』『いやでも実際そういうとこあるしな』

 

火炎バリアの何がすごいかというと、その名の通り火炎を防ぐ、

すなわち自分の置いた爆弾での自爆がなくなるのだ。

 

原作ゲームではボタン押しっぱなしでいけたが、ダイブフィールドではというと、

俺の場合はポシェットをひっくり返して爆弾を無限に落として歩くといいようだ。

 

「もうアイテムパネルも必要ないし、このリメイクだと原作ゲームみたいな処理落ちもないし、

ホントに勝っちゃったですかねこれは?」

 

『爆弾魔だ!爆弾魔が出たぞ!』『冗談じゃなくて完全に爆弾無限に持った通り魔で草』

『通りすがって魔って行け』『魔って行けって何だよw』

 

 

30面クリア後の全部ボーナス、全部オバピーを一蹴した俺は、

35面クリア後に全部パース、そして何故か39面クリア後に未知の敵「ポンタン」による、

全部ポンタンのボーナスステージを駆け抜けた。

 

ちなみにポンタンとは、赤いコインが回転して壁抜けしてくるというこのゲーム最強の敵である。

時間切れで出てくる敵でもあり、本来どこかで目にしてるだろうという想定なのだろうが、

今回俺は目にする機会はなかった。

 

その後のボーナスステージ、44面クリア後と49面クリア後は両方ともポンタンステージ。

ラストの50面の後にボーナスを配置したくないので、39・44・49にずらしたのだろうか。

確かにこのポンタン得点は高いので、稼ぎとしてはご褒美的な意味かもしれない。

 

当のポンタンが本編ステージに登場するのは48ステージ以降。

まあ時間制限キャラが早く出てくるのはどうかと思ったのかもしれないが、

正直出るのが遅すぎるような気がする。

 

一気に飛んだと思うかもしれないが、火炎バリアを取った後はガチでゲーム進行がこうなる。

原作ゲームであった処理落ち時間がない分、

もう移動して爆破し尽くしたら扉に入るだけのゲームである。

 

 

「さあ……ようやくラストステージです。と言っても、

何か盛り上がるボスとかがいるわけじゃないんですが……」

 

『爆弾魔の行軍』『イフリートかな?』『ゲンスルーだってここまでひどくねえよwww』

『世界が変わるっていう表現を、あの火炎パネル一つで実現して見せた。製作者は偉大だ』

『のびちゃんのイキリを炎で表現するとこうなる』『炎の魔王かな?』

 

順当にラストステージもクリアし、伝説のエンディングへ。

今まで歩いて来たボンバーマンが、ロードランナーの主人公へと早変わりする。

このリメイクにおいてはつまり、ジェッターズアニメ風美少女だった俺が、

SFっぽいかっこいいバイザー付きヘルメットとスーツに変身することに……。

 

『うおおおお!』『こ、これはまた』『未来っぽい……』

『今日ののびちゃん凄ぇな、持ってるわ』

 

なぜか……というか当然のごとくヘルメットはなく、

バイザーが謎判定で目の前にくっついている。

代わりにインカム付き、下はスカートで、上の服の青と下の白のコントラストが素晴らしい。

 

うん、これは俺もわかる。今日は凄かった!

 

「ええと……1時間半は切れなかったですね。今日も私の実況配信、

見てくれてありがとうございました!実況配信どちらものびちゃんでお送りしました!」

 

 

 

………………

 

 

一人、今日のアバターの姿を確認した俺は、そのあまりの姿に見入っていた。

 

正直、このゲームの、というかダイブアバターのアニメ化処理舐めてた。

もっとデフォルメでマスコット風味優先かと思ったらとんでもない。

前世で言えば大きなお友達にも大受けするくらい萌え萌えじゃないですかーやだー!

 

何よりこの、大きなお友達をかつて前世で自認していた俺自身が理解できてしまうのが!

アニメ化処理された俺のアバターかわいすぎるだろ!!!

これは刺激が強すぎるので封印ですね……。

 

……やっぱもったいないからたまにならいいかな。

 

……いやいや配信者としてそれはどうなんだ?むしろやるべきでは?

 

……ま、まあ今日みたく偶然やりたいゲームにアニメ化処理があったら?

やってやらんこともない(妥協)

 

 

 




唐突にアニメ風になったら誰でも美少女になれる(彼は狂っていた)

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