TS転生未来レトロゲーム実況配信のびる   作:おかひじき

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ここまでUSAだとは思いもよらなかった……(ストーリーにわか)


バンゲリングベイ〈まれにみるUSAゲーム〉

 

今日の俺は完全武装、米軍パイロットスーツにグラサン付けてパイロット気分だ!

 

「皆さんいつもご来場ありがとうございます!

今日のゲームはバンゲリングベイ!やって行きたいと思います!」

 

『お、のびちゃん気合入ってるね!』『ガチ米軍じゃねーかクオリティ高いな』

『それかー』『短いループだけど大丈夫?』

『いやむしろクリアできる?』『のびちゃんなら余裕だろ』『そうかも知れん……』

 

バンゲリングベイ、それは1984年にコモドール64で発売され、

1985年にファミコン用ソフトとして移植された見下ろし型全方位シューティングゲームである。

 

謎の次元侵略者、バンゲリング帝国と米空母との戦いを描いた、

バンゲリング帝国3部作のひとつで、星の自然を失い、

既に生物機械人と化していたバンゲリング帝国人たちは、

失った自然を求めて地球にやって来た。

 

「その手段が自分達の侵略って本末転倒だと思うんですがそれは」

 

『それな』『地球は地球人が管理してるから地球なんやで』

『バンゲリング帝国さんは自然の管理がお出来にならないんでしょう……?』

『食い潰すだけだろうな』『なぜ地球人と仲良くして学ぼうと思わないのか』

『何で自然壊れたんやろ?って思いながら放浪してるんじゃない?』

 

 

西暦にして2888年、人類は未だ生存し、宇宙にまでその生存圏を広げていた。

地球上の環境規制は更に厳しくなり、それは数々の工場や施設、

企業連合が規制の穏やかな宇宙進出を一時血眼になって推し進めた原因となったのだ。

小学校の社会科で習うくらい基本的な歴史の出来事である。

 

まあつまり、この時代の人間達は、

利益を犠牲にして地球環境を守った歴史と自負を持っている。

前世SFではよくあった、自らの星を壊してしまった宇宙人にはかなり厳しいのだ。

 

 

バンゲリング帝国はカリブ海一帯を地球の空間から隔離し、

地球侵略の生産拠点として利用し始めた。謎の発光現象により、

その場にいたアメリカ第2艦隊までもがバンゲリング帝国の尖兵となってしまう。

その中には最新鋭のQ型戦艦の姿もあったと言う。

何か特別な兵器を乗せるために利用されたらしいが……。

 

「で、その発光現象を『対核戦闘シールド』で防いだたった1隻の空母、

それに残されたわずか5機の新型攻撃ヘリAH-16 シーアパッチという、

現実に計画だけあって実現しなかったアパッチ海仕様がこのゲームの主人公です」

 

『マジであったん?』『開発者ガチやな』『そんなんよー調べたなw』

 

「この空母の名前が、当時のアメリカ大統領の名前で……。

これも当時は実在しなかったんですけど、アメリカ式の命名に則った先読みしてるんで、

ちょっと後に同名の空母が実際に就航してるんですよね」

 

『あるあるw』『まー予想はしやすいよね』

『まれに見るUSA濃度のゲームですね……』

『USA!USA!』『ウサ!ウサ!』『宇佐!宇佐!』

『族長(オサ)!族長(オサ)!』『草(クサ)!草(クサ)!』

『草w』『草生えるw』『USAコール変換止めろw』

 

何やってんだこいつらw

ホント隙あらばネタに走るな。

 

「さて、設定はこれぐらいでいいでしょう。私はこれも楽しみだったんですよ!

このゲーム主観操作モードがあるじゃないですか!パイロットさんには昔から憧れが……」

 

『激しく既視感』『どこかで見たぞこの流れ』『え?何かあるの?』

『何かあると言うか、予想できると言うか……』

 

「手足が届かない……」

 

『www』『知ってたw』『草』『こんなん草生えますよwww』

『当然である』『大人用だからね、仕方ないね』

 

未来の未成年者保護枠は、存在しないと思わせておいて意外と厳しいことがままある。

もちろん明示された規制も数々存在し、

俺が前世で経験したゲームが未成年ゆえに触れる事さえ出来ないという例が数多く存在する。

俺の前世ゲーム経験は、未だその封印は完全には解かれていないのだ!

 

モニター系の原作完全再現ゲームは概ね前世規制に似ているが、

10歳という年齢は12歳の規制にすら引っかかるので、

リメイク加減によっては意外なゲームが規制対象になっていることがある。

年とともに封印が解かれていくのが楽しみでもあり、もどかしくもある。

 

まあたまにオタにぃとか姉がこっそりやらせてくれたりはするんだけど。

前世18歳までに味わった感覚を段階的に楽しめると思えば、まあ悪くはないかな。

 

 

結局俺は標準ののびるアバターに戻り、

サングラスを額に当てて雰囲気だけ出しつつ、

平面立体地図コンソールを床に置いて立体鳥瞰でプレイすることにした。

操作も仮想コントローラーなので操作感は前世とそう変わらない。

 

「えーっと、ゲームAとゲームBのパターンしかないのかな?

A2ステージ、B1ステージどちらかクリアすればクリア扱い?」

 

『そうやね』『元からの仕様ぽいね』

 

「じゃあ、Bステージから始めていきます!はい、ゲームスタート!」

 

起動すると、独特のOP音楽の後、平面立体地図コンソール上に海が現れる。

その上に浮かぶ空母、そして主人公機シーアパッチ。

 

「うわ、立体コンソール上だと、これものすごい速く見えますね。

操作感覚は変わらないけど空母や敵、島の風景が流れる速度が半端ないです」

 

『そりゃ5機で打開可能な戦力だし、多少はね?』

『戦闘機ともやりあって撃墜できる戦闘ヘリ様やぞ』

『米軍の新兵器だからね、古代インド魔術や極秘に伝わるニンジツ並の伝統芸だよね』

 

このゲームの具体的な目的は、ステージに存在する6つの工場を爆弾を落として破壊すること。

爆弾は9つしか持てないので、空母かもしくは敵基地に乗り込んで補給する必要がある。

 

「まあ、ダメージも完全回復するので、ダメージがあるなら空母に帰るべきですけどね」

 

首尾よく最初の工場を破壊した俺は、近いからという理由で敵基地に乗り込み、

手っ取り早く爆弾を補給する。

 

『上手いw』『この旋回……素人じゃないな!』『普通に操縦出来てて草』

『このゲーム旋回だけでも苦労するのに』『このゲームもやり込んでますね……』

『ええい、のびちゃんのやり込み範囲は化け物か!?』

 

すまんな、前世加算ってことで勘弁してくれ。

 

何度か往復し、2つ3つと工場を破壊して行く。

 

『しっかしこれも無音ゲームなのか?』『あ、それ俺も思った』

『OP以外だと音ないのかな』

 

「え、いや、無音ゲームじゃないですよ?この繰り返し音はBGMじゃないですか?」

 

『あ。そっか』『今気づいたw』『ずっと同じで気づかんかった』

『そうだよこれもBGMだよな』『単純すぎて音楽だと認識されていなかった……?』

 

シンプルな繰り返しBGMに乗り、工場を探す。

途中敵の艦船や砲台、戦車、レーダー等をバルカンで破壊する。

このバルカンも1撃でこれは相当威力が高いと思う。

 

工場を破壊し、敵基地で補給。ダメージを受けてないというのは、この点有利だな。

 

『これはプロ』『やはり爆弾魔の血が……』

『爆弾のためならヘリの操縦も完璧ですね、わかります』

『着艦、着陸の速さが常人離れしてますね……』

 

今度は爆弾魔かよw

よくヒトをなんか変な者にするのが好きだな、こいつらは。

 

だんだん工場と補給場所、敵基地と自空母が遠くなり、

時間経過と共に工場の耐久力も上がってくる。

古典ゲームあるある、最速クリアが最適解というやつだ。

 

「だが、私の敵ではない!」

 

とにかく敵が見えたら即撃破。雑魚は一撃で時間を取らない。

常に最速クリアを心がける。

第5、第6の工場を破壊し、ステージクリアだ!

 

「はい、バンゲリングベイ、ステージクリアです!」

 

『おめ!』『このゲームクリア出来たんだ……』

『持ってるけどクリアできないゲームその1だからなw』

 

どうやら今日はバンゲリング日和のようだな。5分かからずにクリア出来たぞ。

 

「とりあえず、これ続けてやりますね。ループ感をお手軽に味わっていきましょう!」

 

とりあえず6周ぐらいしたらアラートから攻撃機わらわらで空母が沈められて終わった。

敵を落としたと思っても空母がやられちゃ意味がないんだよなぁ……。

 

 

 

………………

 

 

 

「ねえねえ、姉は準1級だったよね?」

 

田中家の夕食。俺とオタにぃの2人のことが多いが、

今日は姉がいるので発掘者資格について聞くことにした。

前世知識は全く役に立たないし、ネットで表層的な事は知れても、

実態はなかなか掴めないからな。

 

「うん、そうだよ?何、妹よ。やっぱ今から受け始めるの?」

 

「いや、そうじゃなくて。細かい違いは聞いてなかったからさ。

準1級、1級、公認、公認+考古とかの上の方の話」

 

すぐに必要かと思って、10級とかの下位資格の実態を聞いたら、

4級以下は高校以下の情報学科の学力テストみたいなもので、

単に「この人は発掘者にこれだけ興味があります」程度の看板。

バイト・雑用としてでも使ってもらえる3級以上とは天地の差らしい。

 

俺ぐらいのゲーム知識があれば最初からそれ以上。知識に加えてダイブ経験、

その上実況配信の知名度が最初からあるなら準2級あたりが妥当じゃないかという。

 

「発掘したソフトも売れてナンボだからね……宣伝枠の加点もあるから多分行ける」

 

このあたりは前世と感覚が違うところだな。現代では宣伝効果もしっかり数値化され、

様々な場面で人気枠の加点か似たような制度が導入されて既に何百年、

誰もその存在を疑うことすらしない。

 

実況配信のような、数値が瞬時にあからさまにはっきり出てくる業態が、

完全に定着したからこその現象だと姉の持ってる本で知った。

 

「フミのその……のびるだったか?あれはいいな。フミが小さい頃の思い出が蘇る……」

 

「オタにぃ!?ちょっと恥ずかしいからやめてってば!」

 

「いいじゃん、のびる。私も好きだなー」

 

「姉まで!もう!知らない!勝手に見れば!」

 

むくれて無口になった俺を、なぜか嬉しそうに見守るオタにぃと姉。

くそっ、前世じゃ兄も姉も持ったことないから距離感が分からん……。

 

「ええと、上の資格の話だっけ?簡単に言えば、準1級が勤め人、1級が個人事務所、

公認が大手エースか幹部で普通はこれで上がり、プラス考古は狂気の沙汰って感じかな。

考古から発掘者に来た場合は違って、ゲーム知識に不安がある指揮指導タイプが多い」

 

なるほど……ゲーム知識メインの俺は公認の上がりで良さそうな感じかな。

もちろん準1級や1級でも発掘者は発掘者、そこで生きる人生も悪くはないだろう。

 

……はっ、姉に顔を向けた俺を2人が生暖かい目で見ている。

まだ実況配信を見ていいとか認めたわけじゃないんだからな!ふん!

 

 




なついてないフリをしている猫が生暖かく見守られてる感
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