「さー始まりましたよついにロマンシングサガ!解説は私のびる。
実況は私のびるでお送りいたしまーす!」
『わこ』『一緒やないかーい!』『のびちゃんはしゃいでるねえ』
ついにこの時が来た。来場者は……現在43人か。対戦を求めてきた分が減るかと思ったが、
逆に増えたのは幸いである。
今回の操作系統はターン制ゲームで多用されるリアルタイムターン待機型の思考操作だ。
完全リアルタイム制……シームレス型の「データの中の世界」をそのまま生きるタイプの操作が
要求されるゲームと比べて、
ロマサガはゲーム性を重視し俺のようなコミュ障にも優しい最低限のコンソールと
「ターン待機」が確保されたゲームになっているはずだ。
「さて、このロマンシングサガは最初のスーファミ版とプレステ2版が基礎になってるけど、
両方のあれこれを組み合わせた形になってるみたい……ですね」
『シフがシフだった』『殿下の声は伝説のあの声だった模様』
『アースヒールあるやん!救われた……』
おおむねキャラデザインと頭身はスーファミ版、
システムやイベントはリメイク版が基礎になっているらしい。
「オープニングはリメイク版の歌かな?静粛に!」
オープニングソングが流れる中、基本的な内容をさらに確認してゆく。
ロマサガ特有の時限イベントの管理自体はリメイク版と同じ。
ただ、時間で消えたイベントのシナリオ上の意味づけがされていて、
消えたイベントは「ほかの主人公とその仲間が解決した」事になる。
そこで例えば騎士団領ではアルベルトの解決になりやすく、
バファル帝国ではクローディアの解決になりやすいなどの傾向がある。
自キャラからの勧誘はいつでも出来るので、何やっても先を越される!とか仲間にならない!
ということはない。
……つまり、リメイク版の感覚でプレイしてれば間違いはないってことね。なるほど。
などと確認している間に歌が終わり、キャラメイクのコンソール画面があらわれた。
「えーとこれは……原作そのままに主人公8人としてプレイするモードの他に、
オリジナルキャラモードがある!?え。ちょっと複雑、何か今更感が……」
『まあ待て』『実質オリキャラだけど一応元キャラがいる』『リメイク版の名無しキャラだゾ』
「あ、ホントだ。ナニナニ?名も無き人の中からあらわれた、
世界に生きる全てのもののチャンピオン。何を思い、何をなすのか。
その行く末は……ってここで!?ここでそのネタ伏線にするの!?
何年越しのネタだと思ってんの!?うぁーやられた、
これ選ぶしかないじゃん、ないじゃん!!」
『然り然り』『こんなネタかまされたからね』『チャンピオンって何だよ(哲学)』
私がその「オリジナル」の選択肢を選ぶと、さらに細かい設定モードが浮かびだす。
「これは……デフォルトにすると、ダイブアバターの【のびる】そのままの見た目になるんだ。
見た目はこれでいいや。名前もこれで……両親は占い師と魔術師で術士系に。
利き手は……剣使わないからリアルと同じ右手で。職業は……初期職業は無しか両親のだけ?
ならどっちかというと占い師で」
次々と決めていく俺の目の前には、当然のごとくああしろこうしろという
指示コメントも大量に流れていくわけだが……
最初から自分と同じ意見にだけ従って聞いたふりをして、結局自分の意思を通した。
現代においては、気合の入ったイベント追加やシステムのフルダイブ化、
バグチェックの関係からか、ロマサガは発売されたばかりの最新ゲームとなっていて、
他人の持つ情報が前世の記憶を持ち込んだ俺よりも格段に劣るという現実も
あるにはあったが。
「これで性能としては女術士?でも流石にLPは7に増えてる……のかな?
サブキャラとしても最低限だけど」
『7ならまあ何とか』『妖精王できるからまあマシにはなる』『女術士なら風と魔ある?』
『でも伝説クラスだと最初は補正なしか……』
「親が占い師なのにクラス認定に達してない段階で放り出されるとか……この世界じゃ
千尋の谷過ぎる……」
『お?獅子王の子か?』『修羅の子だから獅子王の親戚』『然り然り』
術士の杖とローブがあるだけマシか……とりあえず占い師への繋ぎで
帝国に行って帝国学術士になるのをしばらく目標にして……
初期地点は……どうやらクリスタルシティのニーサ神殿らしい。
初期術に風術を持っている俺はとりあえずここには用はないので外に出ると……
「うわ……すげぇ……」
クリスタルシティは本当に水晶のようにキラキラと光り輝く、美しい都市になっていた。
『マジか……』『これはクリスタルシティ』
『く、クリスタルシティにいたと思ったらクリスタルシティがクリスタルシティだった、
何をされたのかわからなかった……』
『ここだけで予算いくらだ……リメイクが本気すぎる』『やはり狂人であったか』
「何か前回からフレイムタイラントがいる……フレイムタイラントがいない?気のせい?」
『バレてしまったようだな……』『俺だよ俺俺』
『いやフレイムタイラントはいいだろ別に。それよりこれ、期待できそうじゃん』
グラフィックとゲーム全体の出来は必ずしも関係しないが、
いきなりチャンピオンネタをぶちこんできた開発には愛が伺える。
「そうですね。ええとまずは仲間……仲間がいればいいんだけど、
確かゲーム開始直後は誰もいないとかあったはず……
リメイクの方の名無しさんならいるかもだけど、いてくれたら……いたっ!」
≪俺の腕が必要なら、貸してやらんでもないぞ≫
≪あたしの技を見てみないかい?サービスするよ≫
「戦士さんと女闘士さん、よろしくお願いします!」
『のびちゃん、ロールプレイ派なの?』『いや、リアル頭身だしなんか……アレじゃね?』
「えと、そうなんです。人間に近いのでその……ゲームキャラとわかってても
何というか、ぼっち発動というか……待機モーションも本当に、
新人がテンパってる様子を生暖かい目で見てる先輩冒険者そのものに見えますし……」
『たしかに』『ゲームキャラにも発動するのかそれ……』
『く、鎮まれ……鎮まれ呪われしぼっちの波動よ!』
「ま、まあ慣れれば大丈夫……大丈夫だと思いたいので、
早速セーブしてから3人で最初の稼ぎを……」
そこでセーブして、同時にコンソール上で俺が見たものは。
想定の何倍もの(リアル)時間経過だった。
「キャ、キャラメイクに時間使いすぎた!?やだもう帰らねぇと……すいません、
ホントーに始まった直後ですが、明日は別のゲームをやる予定です。
今日はここまでで……ああっ!?すいません戦士さん、女闘士さんホントに……
って何で謝ってんの私!えとその、つまり……じゃそういうことで!もぉ~!!」
このあと全力で家に帰った。
このゲームやりたい!買って買って!(錯乱)