TS転生未来レトロゲーム実況配信のびる   作:おかひじき

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原子力文明の1900年


シムシティ〈NOBILL開始〉

 

「はい!皆さんいらっしゃいませ!今日のゲームはシムシティ!やって行こうと思います!」

 

『神視点キター』『神気取りクルー!?』

『のびちゃんが本当の私を出せるゲームや!』

 

何を失礼な。神視点だからって、

このゲームがそういう神様ゲームの仲間であるはずが……はずが……。

 

そうだった。上から眺めるゲームのうえに、

市長は災害を起こして街を破壊することも出来るんだった。

 

「まあ、いいです。今日の私は出来る女ですから!」

 

出来る女のびる。年代設定が1900年開始なので、

深緑のブラウスに白い羽根つき帽子、

当時の田舎のアメリカ婦人みたいな装いになっている。

 

『あーいいっすね』『将来何とか婦人って呼ばれそう』

『レディ扱いされるのに憧れてそう』『のびちゃんは何着ても似合うなぁ……』

 

最初からを選び、マップNoを選択。

 

「マップNoは……2888年にちなんで、888番にしますね」

 

真ん中ちょっと右を、水域が縦に走って分断している。

その真ん中でまた右側に水路が走って、3部分に分かれた形だ。

おそらく川かな?この幅で海って事はないと思うが。

ああ、入り江ならありえなくもないかな。どっちだろ。

 

操作コンソールはこの手のゲームのダイブリメイクによくある、

平面立体地図での出力。入力は、いつもの仮想コントローラーを選択した。

 

都市名はもちろんのびる……アルファベット入力?ならNOBILLで。

 

『英語圏にありそう』『オーストラリアあたり?』

『ならこの川ワニがいますね……』

 

難易度は初級。初期資金が2万で、他にも色々違う……らしい。

俺はそこまでは詳しくない。

 

 

早速始まる。平面立体地図に、開発前の大自然が投影される。

そこでまず、このゲームでやる事と言えば。

 

「ザ・ワールド!」

 

『ザ・ワールド!』『時よ止まれ!』

『のびるが止まった時の世界に入門してくるだと!?』

『スタンド名・NOBILL第一の能力!時間操作!』

 

「まず時間を止めて、一気に建てられるだけ建ててしまいますね」

 

北東側の水域の向こうに工業地帯。ついでに発電所もそこに建てよう。

原子力を……2基建てちゃっていいかな。

 

水域の西側、広い方の岸辺にまず商業地。その奥に住宅地を並べる。

最初はこんなもんか。自然はタダなので、出来るだけ緑を残しておく方向性にしよう。

 

建てるだけ建てて、あと69ドルしか残っていない。

 

「ちなみに見て分かる通り、道路はないです。シムシティにおいては線路命!」

 

『お、そうだな』『あいかわらず分かってるな』『シムシティに道路は要らぬ』

 

そして時は動き出す。見る見るうちに人口が増えて、2千人に。

村から「町(タウン)」への進化を果たした。

 

そこで緑髪メガネのDr.が登場し、プレゼントの連絡をくれた。

何と「市長の家」が100ドルで建てられるという。

プレゼントは地価を上げる効果があるので、地味に嬉しい。

 

『こいつ何者?』『開発者っぽいマスコットやぞ』

『またかわいいおっさんマスコットかw』

『のびちゃんの兄』『メガネ見るとのびちゃんの兄にするのやめろよw』

 

「お、お金がなくて建てられない……」

 

そうだ、今お金ないんだった。

とりあえずお金がないと何も出来ないので、決算を待つ。

今年の決算では、214ドルを確保出来た。最初にしては上等だろう。

早速市長の家を建てよう!地価が安い工業地帯の中に作った。

 

「電気はないとダメ、ゲームできない!あ、線路は後でいいや」

 

『だよねw』『ゲームは死活問題』『わかりすぎて困るw』

『完全にヒッキー志向で草』

 

とりあえず余計な金はないので、しばらく町の発展を眺めることにする。

データモニターを開くと、工業地の需要が低すぎて下に突き抜けてる。作りすぎた?

人口は5000人から6000人をうろうろ。Dr.に聞くと、

住宅問題を解決しようとか言われた。なるほど、住宅の需要は高い。

 

だがしかし。金がなくて何も手を打てないでいるうちに、

一気に人口が7500、8900、1万人以上にまで膨れ上がった。何があったんだ!?

人口1万人以上でシティー、都市になった。そして決算、予算も今年は590ドルに増えた。

ありがたいことだ。

 

そしていきなり、ピーチ銀行が支店を建てたいと言って来た。プレゼントだ!

地価の安い工業地帯に建てよう。融資?まだいらん。

ちまちまと、残った金で住宅地を建てて行く。この地道な作業が市長の秘訣。

もっと道路が必要です?いやそう言われても。

 

『道路作れはずっと言われるよな』『だなぁ』

『そういう仕様だからしょうがないとしか……』

 

人口はいったん8000人に下がった後に13000、14000と、

減ったり増えたりで徐々に上がっていく。

 

 

次の決算では、658ドルを確保出来た。

様子を見るとどうやら家と職場が遠いと言う話があるらしいので、

仕方なく新たな住宅地を工業地帯のちょっと先に作ることにした。

北東の更に北と東、線路も含めて拡張性重視で作っておく。

後でここ予算が出来たら追加しよう。今はもう18ドルしかない。

 

そして、来るべき時が来たようだ。

データモニターに、消防署と警察署を作れという案内が表示されたのだ。

決算での確保では時間がかかりすぎる。ここは融資だ。

1万ドルを借りて、500ドル21回払いの契約を結んだ。

これは決算で引き落とされる。払えないと破産でゲームオーバーである。

 

『のびちゃん大丈夫?』『この年で借金とは……』

『市長になるのも楽じゃないな……』

 

とりあえず消防を北東の工業地帯に、警察を真ん中寄りに建てた。

住宅地も北東の隅に追加で建てておこう。

 

そして決算。警察と消防を建てたせいで、税収1096に対して支出が1034に。

これはひどい。銀行への支払いが含まれてるのがせめてもの幸いだな。

 

本年は西側に追加で住宅地を建てることにしよう。

人口が17000から19000にまで伸びた所で、再度決算。

今回の予算は130ドル確保。少しはマシになったか?

 

現状は色々と足りていない。今度は工業地を建てる事にする。

東側の北、東は既に端に到達しているので、西側の南側を伸ばして、

新たな工業地帯を作る。公害対策に少し離しておくことにしよう。

当然自然の緑は残しておく。資金の残りは、あと7000くらい。

 

『資金は大丈夫?』『派手な使い方してないからまだ大丈夫じゃない?』

 

「積極財政!」

 

『www』『草』『そうだね積極財政だねw』

 

積極財政?が功を奏したのか、人口は一気に25000を越えた。

しかしまた減って2万台をうろうろ。Dr.曰く、犯罪が多いんだと。

そうだな。じゃあデータモニター上で犯罪の多い北東工業地帯にサツを、

警察(サツ)を建てなければ!

 

しかし、住民は警察よりもスタジアムの建設を要求していた。

3000!?高すぎる!ふざけるな!

 

 

決算を越えて、予算+100くらい。まずは予定通りに追加の警察を建設。

そして南の工業地帯と住宅地の境目に、スタジアムをドンと!

建てちゃいましたよ奥さん!

 

『やったー!』『さすのび』『これは究極ハリキリスタジアムですね……』

『宵越しの銭?ヤツは死んだよ』『千葉民なのに江戸っ子ですね!』

『借りた金でスタジアムを建てる!なんと聞こえのいい言葉かー!!』

『……それ聞こえがいいか?』『良くはないですね……』

 

残り予算が3240しかない。早まったかな?

 

「ええと、まだサツが足りないので西側の北よりにもう一つ……」

 

警察をもう一つ立てた直後、Dr.がプレゼントのお知らせをくれた。動物園?

 

『わーい!』『すっごーい!』『たーのしー!』

『お前らw』『古典芸自重しろwww』

 

これはスタジアムを建てた記念報酬かな?

地価がどうしても安くなる北東の工業地帯へ潜り込ませる。

少しでも足しになってくれることを祈ろう。

 

そして決算。ん?特別収入というのが100ドル追加されてるな。

これは動物園効果か?何にしても嬉しい。決算は+384となった。

少し上向いてきた。

 

 

その後1909年、ついに人口が3万人突破!

予算も年500ドルは+になってきた。調子いいな!

 

北東の住宅地を更に拡張。

工場からは最低限離し、もちろん緑地は残すようにしておく。

ひさびさにDr.の話を聞くが、公害について言われてもどうしようもないんだ。

本当にすまないと思っている。

 

翌年、西側南部の鉄道がようやく南の端に到達した。

工業地と住宅地を調子よく拡張していると、

データモニターに港を要求する文字が映し出された。

 

「ついに来たか……」

 

先にスタジアムで融資まで使い切ってしまったのでどうしようもない、

発展に必須な建築物。かなり高額。港は5000ドルも必要になる。

何も手を打てないので粛々と待つしかない。

 

唐突に、カジノと遊園地どっちを選ぶ?などと、

Dr.が選択性のプレゼントの話を持ってきた。

これは、カジノの場合治安に悪影響があるけど収入が増えて、

遊園地の場合人を呼べるなどと言っているが……。

 

「遊園地一択であった」

 

『だよな』『俺もそう』『え?そっちなの?』

 

これカジノは300ドルもらえるが、遊園地でも200ドルの特別収入はもらえるのだ。

カジノを選ぶリスクに見合ってないと言えるのかもしれない。

実際カジノがどれくらい治安に悪影響があるのか分からないので、

絶対とは言えないが。

 

相次いで、図書館のプレゼントが手に入った。

特別収入額は100ドルだが、ランダムの学校の数に左右されるのでこれは嬉しい。

 

図書館はどうも伸び悩んでいる最初の住宅地近くに、

遊園地は南に作った工業地帯に建てておこう。せめてもの地価下落への抵抗!

 

 

1911年10月、人口は4万人突破。それにより税収も増え、

毎年千数百の予算を確保できるようになった。これは完全に軌道に乗ったな。

特別収入の400が輝いて見える。それはいいのだが……。

 

「港がいるって事は市長も分かっているので……」

 

港の要求が止まない。建設するまでずっと続くのだ。

なお道路要求は最初からずっと続いている。

ええい港目標額はまだか!とりあえず予算的にはそろそろか?

犯罪が多発しています?予算さえあれば……!

 

「(犯罪者)暴れんなよ……暴れんなよ……」

 

決算で……出た!今年の予算で港建設費の5000越え、6000確保。

ようやく港を建設できる。

北東の工業地帯に残しておいた水際の空間に港を置いたのだが……。

 

『なんか中途半端な場所になったね』『やりたいことは理解できた』

『ちゃんと港を水際に置いている +114514』

 

警察署を建てたいが、データモニターに表示される犯罪の分布に対して、

予算が足りないので決算まで持ち越し案件にしておこう。

人口は4万ちょっとをうろうろしている。

 

無事?決算を越え、西側南のスタジアム近く、

俺が適当に配置したせいでカオス状態の住宅地を区画整理し、そこに警察署を建てた。

 

4つだけで一杯だった住宅地があら不思議。2つ分を区画整理しただけで、

住宅地5つ+警察署1つが収まるきっちり空間に。素晴らしい!

 

『クソ配置すぎて草』『よくこんな配置思いつきましたね……』

『ある意味神業レベル』

 

うっさいなw

 

住宅地が全く足らんので、今までの場所を延長してちまちま増量。

残り85ドル。

 

『宵越しスレイヤー・サン!イヤー!』『相変わらず思い切り良過ぎますね……』

『家計を握らせたらやばそう』『リソースは使い切って全力投資!』

『鉄火場に慣れてそう』

 

 

決算の後、1917年。ついに人口は5万人を越え、

シティーは首都(キャピタル)へと進化を果たした。

 

「首都では……ないですよね?」

 

『まあうん』『それはゲームだから……』

『この時代でも5万人は首都クラスではない……よな?』

『地方の州とか県とかの首都なのでは?』『そうかも……』

 

原作ゲームではここでスケールモデルというのが解禁されるのだが、

元々平面立体地図で操作しているこのダイブ版では特に何もない。

思いつくものが無かったのかも知れん。

 

「あ」

 

そんなことを考えていたのが悪かったのか、

俺は住宅地を西の果ての誰もいない未開発地に置いてしまう。

完全に暴発である。即座に整地を使って無かった事にする。

 

『www』『見てたよ』『存在抹消で草生えるw』

 

このあたりで、住宅・商業・工業3つの施設がどれも足りないインフレ状態に突入した。

今の今まで、港に電気が通って無かったのは些細なことだ。

 

「ゲームできなかったなんてなんというひどいミス……市長は謝罪します」

 

『草生えるw』『謝るのそこかよw』『まあ港は電気無くてもいいんだけどね』

 

電気も交通もなくても機能するらしいが、それじゃあ船が来ないじゃん。

 

「あの船の音を聞かないとシムシティ力(ちから)が薄れるので……」

 

『シムシティちからw』『オーラバトラーか何か?』

『覇王のオーラかな?』『修羅界では市長すら覇気を纏う……』

 

スタジアム周辺から線路を延ばし、その外側の開発に取り掛かる。

全てが足りてないので、まず工業地を離して配置、間に商業地、

その先に住宅地を置いていく。

 

 

決算を挟み、今度は北東部の開発に着手。したのはいいが、

また配置をミスってしまい、線路がくし状のあわれな姿と化してしまう。

 

『www』『のびちゃんこういうの得意だと思ってたのにwww』

『何でシムシティ配置は雑なんだよwww』

 

俺だってわかんねーよ!でも何かこう配置しろって悪魔のささやきが……。

 

その後もちまちまと開発を重ね、1920年。

人口は6万、犯罪も増えたので、スタジアム周辺と北東の隅に警察を建設した。

相次いでプレゼントが発生。強力な警察と、遊園地かカジノの選択。

もちろん遊園地!

 

「さて、ええとデータの年数は……1922年、人口は6万5千というところですか。

半端ですけど、今日はこれで終わりにしておきます」

 

『えー?』『終わりかー、まあ結構時間過ぎたからね』

『おつう』『市長様は素晴らしいお方です!』『のびちゃん乙カレー』

 

「はい、それでは今日も実況配信のびる、ご来場頂きありがとうございました。

実況は全てのびるの提供でお送りしました。それではまた、次のゲームでお会いしましょう!」

 

 

 

………………

 

 

 

配信を終えた俺はゲームフィールドから退出し、

アカウントフィールドでメッセージや通信ログをチェックする。

家のサーバーやモニターを使ってやってもいいが、「のびる」の活動を家族に知られたので、

それ関連のものを家族に知られるのは気恥ずかしいというのがあったからだ。

 

ちなみにのびるのアドレスは本名と別に作ってある。これは俺の考えではなく、

ネット上のアバター作成に伴うアドレス確保等は推奨されているからだ。

でなければ小学生に至るまでの個人情報など守れやしない。

 

「ええと、苺蔓ちゃんと、蔓茘枝ちゃん、万寿果ちゃん。

いつもの対戦のお誘いに……こっちは配信者さんの……FPSのお誘い?

実は年上だとか思われてるのかな。制限もあるし、ライセンスも持ってないのに」

 

こういうお誘いが最近は増えた。ゲーム部の皆からは毎日のように、

それ以外からも配信関連のメッセージは知らない人からも届くようになった。

 

知らない人からのメッセージは、怖がる人もいるかもしれない。

実際に俺が小学生女子だったら、

どんな穏やかで礼儀正しいメッセージでも受け取らないのかもしれない。

 

しかし俺は、今までの活動が社会、この世界に認められてきた証のようで、

とても嬉しかった。受け取ったものにスキャンをかけてから、

出来るだけ確認するようにしている。

 

「これは……ハゲラットさん?タッチ見ました……見てくれたんだ、嬉しいなあ。

高血圧さん?いつも見てます、血管ぶち切らないように必死にこらえながら……。

あはっ、そういうこと言ってる人いた気がする……っと、これはまた対戦のお誘い?

卓上遊戯連盟の……ムーンフォークさん?」

 

対戦のお誘いがあれば受けるのもいいし、実況配信の来場者数的に、

そろそろダイブフィールドでのイベントなら行ってみてもいいかもしれない。

リアルイベントは年齢的都合もあるし、

まさか親同伴でのびる活動をしようとは思わないので参加はないが。

 

俺は未来への希望を胸に、ダイブ室を後にした。

 

 




シムシティ力(ちから)は列車の音、発電所から長い電線を引く作業、
火災を防ぐために建物を壊す作業などでも補給できます。
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