TS転生未来レトロゲーム実況配信のびる   作:おかひじき

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慣れた人たちの前でならリア充に擬態できる!
ぼっち102芸のひとつ、ペルソナリア充拳!


バトルシティー(+アーカイブ動画コメント返信)

 

「はーい、いつものびのび楽しくゲーム。のびる実況のお時間です」

 

『わっこおおおおお』『きたあああああ』『うおおおおのびるううううう』

 

うおっ、何かテンション高いな。ナニナニ、来場者98人……少ないとは言え倍になってる。何で?

 

「な、何かあった?」

 

『何かあったっけ?』『いやない』『ノリで?』『すいませんなんとなく……』

 

「もー……えーっと今日はですね、配信すると後でアップロードされるアーカイブ動画の

コメント返信しようと思ってるんですけど……それだけじゃちょっとアレなんで、

待ち時間が発生するような古典ゲーム実況をしながらコメント返信しようかなと」

 

『待ち時間か……』『のびちゃんちゃんとお返事できる?』『ダメそう』

『不意打ちに弱いのびちゃんがゲーム中にお返事できるはずがない』

 

「そこらへんはね、ちゃんと大丈夫です。ちゃんと考えられてる……角度とか。ええと、

ファミコン初期の、エディットモードがある作品で皆さんにステージを

作ってもらって、私がそれをやります。その間に返信するってことで」

 

『エディット?』『あーあったなそんなの』『タイトルはー?』

「えっと、そうですね。タイトルはバトルシティーです。

3番目に手を挙げた方に作ってもらいまーす」

 

『ノ』『ノ』『ノ』……

 

「それじゃあ、ハマサキさん。ステージお願いします」

 

3番目に『ノ』と書き込んだハマサキさんをバトルシティーに招待して、コメント返信を始める。

 

「えっと、最初に……『のびちゃんどこ住みかな……』日本語配信なんでお分かりでしょうが

日本です。日本の……関東ですね。なのはな体操できます!」

 

『マジかよ』『なん……だと?』『古代より伝わるあの踊りを……』

『これは千葉県民』『千葉県は滅びても魂は消えぬ!何度でも蘇るさ!』

 

西暦2300年ごろ、道州制の導入が行われて、関東・近畿などの大区分が州として再編され、

都道府県は消滅した……はずだった。しかし当然のごとく東京が特別州として独立していたため、

州都が決められずに県庁所在地がそのまま「神奈川州都」「千葉州都」などという

政治的妥協の名称で呼ばれる分散状態、

結局名目が消えただけで県の政治的範囲が残されてしまう形になった。

のちの2500年代、宇宙開発・移民の最盛期においてそこで色々あったのだが……

詳細は触れないことにしておく。

 

「えっと、次は……『ところでのびるって何?』これはですね……野草です!山菜?

山菜ではない……山菜っぽくはない……

でも山菜……山菜という説もなきにしもあらず……食べられるので」

 

『どっち』『どっちだよw』『どっちかひとつにしなさい!』

『あー知ってる、あれな(よくわからない)』

 

「うー……画像あるかな?検索すれば……はい、これです。ちっちゃいらっきょみたいなこれ。

田畑のわきとかによく生えて……むかごで大繁殖します。野草ですけど、

不思議と人里近くの環境のほうがよく増えるので……山菜らしくはない?」

 

『野草か……』『のびちゃんは野草』『雑草』『なんだと』『草刈りすると増えます』

 

「あはは……とくに思い入れがあってつけた名前ではありません。それじゃ次は……」

 

その時、エディット終了のお知らせが届く。

 

「あ、早いですね。ハマサキさん作のステージ、タイトルは……いしのなかにいる?

えーと、それじゃ早速……あっ」

 

『あっ』『あっ……(察し)』『あっ……』『これはいけません』

 

そこで俺が目にしたのは。周囲を白い破壊不能ブロック(アイテムがないと壊せない)に覆われ、身動きひとつとれない自機戦車の姿だった。

気合を入れてファミコンウォーズで手に入れたアバター外装である青の軍服と

豆戦車に乗り込んでいた俺は、何も出来ずにゲームオーバーとなった。

 

「クリア不能ステージ作んなあああああ!!ブチ殺すぞヒューマン!!!」

 

『www』『wwwww』『ワロスwww』『魔王様がお怒りじゃーwww』

『シズマリタマエーwwwシズマリタマエーwww』

 

「オノレー!もう1回!もう1回やる!もう1回手を挙げて!」

 

『ノ』『ノ』『ノ』……

 

「はい!それじゃ今度はモグナミさん!ちゃんとクリアできるステージ作ってねー?頼むよー」

 

『はい』『ハイ』『hai!』『当たり前だよなぁ?』

 

「ホントに大丈夫かな……まあ、その間次のコメントいきますね。えーと『ホラーやるの?』

 や り ま せ ん !

大体私ホラー全フリのゲームだと面白い反応できませんよ?

不意打ちでびっくりしてパニクるのはありますけど、

3回目ぐらいでゲーム攻略脳に切り替わって慣れちゃいますから……

それなら普通のゲームで急に怖い方が……」

 

『然り然り』『不意打ちのびちゃんが一番かわいい』『いつでもかわいい』

 

「……えーとまあ、次行きましょう。『ふしぎな踊りから来ました』……ふしぎな踊り?」

 

『なってる』『動画なってるよ』『マンボの踊りが切り取られて動画になってる』

 

げっ……ふしぎな踊りで検索したら本当にあった。せいぜい280再生くらいだが、

配信の人数よりかなり多い。

まあ重複してるんだろうけど……。

 

「もー!勝手に使っちゃダメでしょ!?ホントにもー!」

 

『嬉しそう』『体は正直』『イキるだけじゃなく調子にも乗っていく』

 

「しょうがないねー!まったくねー!ハイ次!次行こ!えーと、『大会とか出てる?』

出てないです。

そういう大会って結局リアル会場じゃないですか。私観客が多いとダメになるので……」

 

『知ってた』『ですよねー』

『明鏡止水じゃ……明鏡止水の心でコミュ障の波動をコントロールするのじゃ……』

 

「あはは……えーと、ステージが出来たようですね。はいそれじゃモグナミさん作、

無防備宣言の森ステージに……あっ」

 

『あっ』『あっ……(察し)』『またかよォ!』

 

そこに現れたのは……一面の樹海。そう樹海だ。

バトルシティーにおける森は通過できるが見えなくなるというオブジェクトで、

敵も味方も見えなくなるが素通し、弾丸も遮られずに飛んで行く。つまり……。

 

「実質クリア不能でしょおおおおおお!!」

 

敵の発生ポイントから、ゲームオーバー条件の司令部が無防備で素通し。

一発でも敵が司令部に向けた弾丸を撃てば終わりの、

実質クリア不能ステージであった。

 

「もー今日は終わり!知らない!明日はファミコンのタッチやります!タッチ!」

 

『何ィィィィ!?』『クソゲー来たあああああ』『マジかよ!』『やった罰ゲームだ!』

『新たなクソゲーマイスターの誕生だ!』

 

「私はこれ楽しいからいいけど、皆の楽しさは保証できません。それでよければ……」

 

『とんでもねぇ、待ってたんだ!』『お前のクソゲーが見たかったんだよ!(歓喜)』

『クソゲーやったり神ゲーやったりしろ』

 

「それじゃあ、明日も見てね。古典ゲーム実況配信、のびるでしたー!」

 




のびるはいいぞ!(野草)

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